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2013年07月21日

【魅力UP?】『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』鴻上尚史


あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)
あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)


【本の概要】

◆今日お送りするのは、以前ご紹介した『コミュニケイションのレッスン』が人気だった、鴻上尚史さんの過去の作品。

その『コミュニケイションのレッスン』の中で言及されていたうちの1冊なのですが、思ったよりテクニカルなので、今般取り上げてみようかと思った次第です。

アマゾンの内容紹介から。
カッコイイ自分を引き出してくれる教則本。男でも女でも人が魅力的に見える要素は「顔」や「ファッション」だけじゃない。体の内側から出す表現にこそその人の魅力がにじみ出る。演出家ならではの助言満載。

モテたい方、発言力を高めたい方なら、一読の価値アリです!


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【ポイント】

■1.感情は相手に伝わる
 問題なのは、その人事部の部長さんで、「やあ、鴻上さん、よろしくお願いします」と微笑みながら、決して、目は笑っていません。
 大企業の人事部長になればなるほど、微笑みながらも、「この男は、どんなことを話すんだ。ちゃんと、謝礼分の内容のある話をするんだろうな」と値踏みしているのが分かります。(中略)
 で、言いたいことは、そういう感情は、絶対に伝わるということです。
 僕がどうして、感情を「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒントの一番にあげたかといえば、感情は、服装や髪形と同じように、相手に伝わるからです。


■2.本音の声は低くなる
 人間は、「大切なことを言う時」「本当のことを言う時」「本音を語る時」には、声がふだんの声より低くなります。それは、お腹とつながるからです。
 体が「これは、大切なことなんだ」と判断するので、放っておいても、声をお腹が支えるのです。不思議ですが、人間は、そういう作りになっているのです。
 よく「ドスのきいた声」と言いますが、これもまた、お腹とつながった声のことです。
 だからこそ、自分の心から一番遠いことを話そうとする時、声は高くなりがちなのです。


■3.話の「速さ」と「間」をコントロールする
「話が下手な人」というのは、「速さ」が単調な人です。「速さ」をちょっと変えるだけで、聞いている人は、耳をそぱだててくれます。内容ではなく、それが表現ということです。
 また、間が過剰に多い人も、「話が下手な人」と言われます。句点(。)ごとに間を入れる人、さらに読点(、)ごとに間を入れる人もいます。緊張しているとこうなりがちですが、自分の間を意識して過剰な間を削るだけでも、あなたは、「話のうまい人」に近づきます。


■4.声のベクトルを相手にかける
 演劇界では有名な「話しかけのレツスン」というのがあります。何人かに後ろを向いてもらって、少し離れた所から、一人が、話しかけるというものです。後ろを向いている誰かに向かって「こんにちは」でも「ねえ」でも、好きな言葉をかけるのです。(中略)
 そして、呼びかけられたと思った人は、後ろを向いたまま、手を上げるというレッスンです。
 声のべクトルがはっきりしている人は、成功率が高いです。無言で示された人が、話しかけられた後、ちゃんと手を上げます。
 が、例えば、声が後ろに出ていると感じている人がやると誰も手を上げません。
 声が、扇子やシャワーのように広がっている人がこれをやると、全員が手を上げたりします。


■5.体を共鳴させて、さまざまな声を出す
 人間の共鳴の主な場所は、胸、ノド、唇、鼻、頭の五つです。
 やってみると分かりますが、順番に、出る音は高くなっていく傾向があります。
 ふだん、すぐに声が度れてしまう人は、ノドだけを共鳴させている人が多いです。それは、ギターで言えば、ものすごく小さいボディしかないということと同じです。
 共鳴の場所が小さいので、大きな声を出そうとすると、声帯で頑張ってしまうのです。声帯も筋肉ですから、激しく使えば、疲労します。
 なかなか嗄れない声というのは、ノド以外の場所で共鳴させて、大きく響かせている声です。そうすれば、声帯に無理がかかりにくくなり、嗄れにくいのです。


■6.状況と言葉をわざとズラす
 例えば、話がうまくもなく下手でもないふつうの校長先生がいるとします。
 目の前には、たくさんの生徒。状況としては、「第三の輪」ですから、校長先生の言葉は、「みんなと話す言葉」になります。
 二学期の始業式なら、「みなさん、夏休みはどうでしたか? 楽しかったですか?」と話し始めます。
 一方、ここに話のうまい校長先生がいるとします。この校長先生は、「みなさん、夏休みはどうでしたか?」と「第三の輪」の言葉で話し始め、突然、一番前にいる生徒に向かって「ケン坊、夏休みはどうだった?……そうか。焼き過ぎたか。校長先生も子どもの頃、焼き過ぎたなあ」と「第二の輪」の言葉をかけ、そのまま、「……痛かったなあ。皮がボロボロむけたなあ。本当に痛かった……」と「第一の輪」の言葉になり、すぐに「みんなも、焼き過ぎなかったか?」と「第三の輪」の言葉を出すのです。
 分かりますか? この話のうまい校長先生は、状況は「第三の輪」なのに、言葉は、「第三の輪」「第二の輪」「第一の輪」、そして「第三の輪」と、移動し続けたのです。


【感想】

◆最後の方が長くなってしまったので、この辺で。

最後の6番目のポイントでは注釈もなく引用してしまいましたが、「第●の輪」という言葉の意味は、簡単に言うと以下の通りになります。

 ●第一の輪……自分一人の状態

 ●第二の輪……相手に関心・集中する状態

 ●第三の輪……周りすべてに関心・集中する状態


鴻上さん曰く、日本人のスピーチがつまらないのは、内容もさることながら、輪がずっと同じだから、とのこと。

確かに「第三の輪」状態で「ぼーっと」聞いていたものが、突然「特定の個人に向けて話かけている」と感じたら、それは緊張します罠。

たまにセミナー等で、最前列の聴衆と話を始める講師とかいますが、それはこういう効果をねらっていたのかも。


◆一方、興味深かったのが、4番目の「声のベクトル」の件。

おおぜい人がいるところで、呼びかける内容を絞り込んで振り向かせる、という神田昌典さんのお話は有名ですが。


こちらはそうではなく、あくまで「発する声」の問題。

これも具体的に、ベクトル(矢印)が相手に向かってさーっと進むようにイメージすると、その通りの声になるのだそう。

例えば凄腕のナンパ師の方は、きっとこのベクトルがしっかりしてるんじゃないか、と思うワタクシ。


◆なお、下記目次にもあるように、本書は「感情」「声」「体」「言葉」の4つの項目ごとにヒントが収録されています。

このうち、「体」に関しては本書内で図が多用されていたため、上記ポイントでは割愛させてもらいました。

その中から1つだけここでご紹介しておきたいのが、「『体の外側へ』を意識する」というお話に登場するエクササイズ。

これは例えば、あなたが鏡の前で目を閉じたまま「あるポーズ」をとって、自分なりにどんな姿か想像してから、目を開いてその差を確認するというものです。

イメージしたポーズと実際のポーズが近ければ、それだけ「体の外側へ」を意識しているということ。

足を肩幅に開いて、両手と両足を地面と平行に出すポーズですら、実際にはなかなか平行にはなっていないそう。

……ウチの姿見だと両手が入りきらないので、今度ショーウインドーででもやってみようかな、と。


◆本書のあとがきによると、鴻上さんが本書を書いたのは、とある国際的な会議での日本人プログラマーの発表ぶりに接する機会があったからなのだとか。

その会議で、アメリカ人プログラマーは、「体」「感情」「声」「言葉」を駆使して、自分の開発したソフトの素晴らしさを語ったのに対し、その日本人プログラマーは、ただ下を向いて「淡々と」自分のソフトの素晴らしさを「読み上げた」のだそうです。

こうした現状を打開するために(?)、本書では各項目ごとに、タイトル通り「魅力を演出するヒント」を指南。

私自身も実践したいものが多く、非常に参考になりました。

文庫本で、かつ、マーケットプレイスにも在庫があるので、比較的お手頃価格なのもありがたいところ。


より魅力的になるために、読むべき1冊!

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)
あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)
1 感情のヒント
2 声のヒント
3 体のヒント
4 言葉のヒント


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【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

フリーで働くあなたを成功に導く101のルール
フリーで働くあなたを成功に導く101のルール

最近の中山マコトさんは、「フリー〜ノマド」方面の人になられたんでしょうかね?


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この記事へのコメント
               
こんにちわ。
いつも楽しく読みながら、勉強させて頂いています!

今回の記事も、興味深く拝見させて頂きました。

一点確認ですが、編集後記のリンクが「コミュニケーションのレッスン」になっているのですが、これはあってますでしょうか?

その下の文章から察すると「フリーで働くあなたを成功に導く101のルール」な気もするのですが。。。

私の勘違いでしたら大変恐縮ではございますが、少し気になったもので。

これからも更新楽しみにしております!
Posted by @tagtw at 2013年07月21日 10:57
               
>@tagtwさん

ご指摘ありがとうございます(汗)!
お恥ずかしながら、リンクの貼り間違いです!
ありがとうございました!
今後とも引き続きお願いします☆
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年07月21日 13:32
               
この本は「コミュニケイションのレッスン」中でも言及があり興味を持ってました。

書評を読んで購入の意気高まりましたので、Amazonアタック!してまいります。

文庫本だと値段も安くて購入しやすくて良かったです。
Posted by 五条勝 at 2013年07月21日 19:50
               
>五条勝さん

五条さんの場合、『コミュニケイション〜』がお気に入りだったようですので、この本もOKでしょう!
ここだけの話、実は文庫本より、単行本の中古の方が値段が安い(ry

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年07月22日 03:53