2013年07月16日
【バカと暇人?】『ネットのバカ』中川淳一郎

ネットのバカ (新潮新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『ウェブはバカと暇人のもの』でお馴染みの、中川淳一郎さんの新作。序章によると、本書はその『ウェブは〜』の続編的な位置づけになるのだそう。
アマゾンの内容紹介から。
ツイッターで世界に発信できた。フェイスブックで友人が激増した。そりゃあいいね! それで世の中まったく変わりませんが……。ネットの世界の階級化は進み、バカはますます増える一方だ。「発信」で人生が狂った者、有名人に貢ぐ信奉者、課金ゲームにむしられる中毒者、陰謀論好きな「愛国者」。バカだらけの海をどう泳いでいくべきなのか。ネット階級社会の身もフタもない現実を直視し、正しい距離の取り方を示す。
相変わらずの「身も蓋もない」斬りっぷりが痛快でしたw

【ポイント】
■1.中川流「ネットに関する基本4姿勢」・人間はどんなツールを使おうが、基本的能力がそれによって上がることはない
・ツールありきではなく、何を言いたいか、何を成し遂げたいかによって人は行動すべき。ネットがそれを達成するために役立つのであれば、積極的に活用する
・ネットがあろうがなかろうが有能な人は有能なまま、無能な人はネットがあっても無能なまま
・1人の人間の人生が好転するのは人との出会いによる
■2.一般人は「クリックする機械」
あなたの1クリック、1いいね!、1RTはすべて強者をより強者にするために使われている。イケている人をさらにイケている人へと強化するために使われている。いわばあなたは「クリックする機械」でしかない。
何もそこまで……と思われるかもしれないが、これは事実である。ありとあらゆるサイトでは、PVこそが儲けの源泉になっているのだから。
■3.実生活で先に頑張る
一般人がネットでなんとかセルフブランディングをして、実世界で人気者になろう! カネを稼ごう! などと頑張るよりも、実生活で先に何らかの実績を残し、その実績をネットで露出したり、宣伝したりする方が明らかに効率が良い。
いかに日本の「格差」が拡大したといっても、現実世界での格差には限度がある。(中略)
ところがネットでは「収入ゼロ」と「大金を手にする層」とに二極化される。クリックをする一般人は、時間と手間が取られるだけで何のリターンも得ない。収入はゼロ。手間を考えたらマイナスといってもいい。こんなことは現実世界ではありえない。安い時給であっても、手間と時間を提供して働けば相応のカネが手に入るのだ。
■4.一般人の勝者は「1ジャンルに1人」だけ
・ツイッター界の小学生アイドル枠の人気者 はるかぜちゃんこのように見てみると、様々な切り口で人気者が存在する。だから、切り口さえ斬新であれば、誰でも人気者になる可能性はもちろんある。そうなりたいのであれば、既存の切り口ではないところから見つけるべきであろう。たとえば「コンビニアイス評論家」を名乗るアイスマン福留氏は現在多数の仕事を獲得し、メディア露出も多い。「スイーツ/デザート評論家」は多数いるだろうが、「アイス評論家」をすっ飛ばし、「コンビニ」と庶民派に限定したところが勝因だったのではないか。
・ツイッター界のしゃぶしやぶ店枠の人気者 豚組
・ネット界の積極的活動系若手女子の人気者 はあちゅう(中略)
■5.ウケる見出しの「3つのテクニック」
●ネットの「伝統ネタ」を使え
●「笑いたい」「叩きたい」ネタを提供
●「それってどういうこと!?」を埋め込め
(詳細は本書を)
■6.ヤフー・トピックスに登場できる2つのパターン
(1)記事としてヤフーへ配信しているメディアに取り上げられること(1)についてはとにかく広報活動を頑張ってメディアに取り上げてもらうしか方法はないが、(2)については自社(または自分自身)の専門分野に関するネタをきっちりとネット上にアップしておく必要がある。なぜなら、ヤフー・トピックスの編集者は「最も優れた関連情報を読者に提供したい」と考えているからだ。
(2)ヤフー・トピックスに上がった記事と関連したコンテンツを持っており、「関連リンク」として貼られること
■7.ツイッターは「狭く深く」知るツール
ツイッターは、「狭く深く」知るには向いているツールなのである。だからこそ、ツイッターをやるにしても、複数IDでまったく異なる人をフォローすべきだし、ネット以外のマスメディアに積極的に触れるべきなのだ。せっかく多用な意見をネットでは知ることができるのだから、もっと幅広い範囲をウオッチするべきなのだが。
【感想】
◆下記関連記事を拾ってきて、今さら気が付いたのが、「私って、結構中川さんの本紹介してるよね?」ということ。特に、出世作である『ウェブはバカと暇人のもの』以降は、今回の作品で4作目になります。
正直、ウチのブログでは、どの作品もそれほどお買い上げ頂いているワケではないものの、個人的に惹かれる部分がありまして。
それはひとえに、書かれている内容が「身も蓋もない」からw
そしてそのテイストは、本書でも変わりありません。
◆思い返せば、『ウェブは〜』で描写されていた「バカ」と「暇人」とは、中川さんの主戦場である「●●●●」(一応自重w)界隈に多く生息する、と思っていたワタクシ。
それが『ウェブは〜』からの4年の間に「炎上」する「バカ」を多く目にするようになったのは、Twitterによるところが大きいです。
炎上の具体例については、本書でもいくつか言及されていますが、当ブログの読者さんは、その多くを恐らくご存知でしょうし、特に学ぶ必要もないと思いましたので、今回は割愛。
むしろ興味深かったのが、「基本的には実名」であるFacebookの世界で多く見られる「ジャズ喫茶理論」についてでした。
これは「自分のリアルな人生が関わると品行方正になる」という傾向で、「炎上」とは、ある意味真逆のモノ。
具体例として挙げられていたのが「名言」なんですけど、Facebookをまともにやっていない私には、収録されていた該当ネタに辿りつけませんでした(ダメじゃん)。
◆一方、「役立ちそう」なのが、上記ポイントの4番目の「1ジャンルに1人」の法則。
これぞまさに、「ブランディング」「ポジショニング」のお話ですよね。
ちなみに、上記で言及されている「アイスマン福留」氏のサイトがこちら。
アイス評論家 - アイスマン☆福留の[コンビニアイスマニア]
ここの真ん中あたりにある、「アイス評論家としての活動のきっかけ」「『アイス、コンビニアイス』に特化する理由」等々は、ブロガーの方の参考になるかと。
コンビニアイスマニアへようこそ! | アイス評論家のコンビニアイスマニア
このコラムも、かなりいいこと書かれてます。
アイスブロガーからアイス評論家へ | アイス評論家のコンビニアイスマニア
◆もう1つブロガーやサイト運営者の方なら見逃せないのが、上記ポイントの5番目の「ウケる見出し」のテクニック。
本書では、中川さんが手がけている「NEWSポストセブン」での事例を挙げて解説されています。
この「NEWSポストセブン」とは、「小学館が発行する『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』『マネーポスト』4誌を統合したニュースサイト」で、「各誌の最新記事・コラム等をネット用に再編集し、掲載するほか他のニュースサイトにも配信する」というもの。
つまり、紙媒体で出ているオリジナルの記事を再編集しており、特に見出し部分が「ネット仕様」であることが肝心なワケです。
1つだけ具体例を挙げておくと、こんなのがw
<雑誌>「とんでも鉢合わせ現場 DAIGO 加護ちゃん合コンにhyde乱入」
<ウェブ>「DAIGOと加護亜依(155センチ)の合コン現場にhydeが乱入」
なるほど、この「155センチ」というひと言を入れられるか否かが、ネットを制するための鍵なんですなww
ネットの「今」と、その付き合い方を学べる1冊!

ネットのバカ (新潮新書)
序 章 ネットが当たり前になった時代に
第1章 ネットの言論は不自由なのものである
第2章 99・9%はクリックし続ける奴隷
第3章 一般人の勝者は1人だけ
第4章 バカ、エロ、バッシングが受ける
第5章 ネットでウケる新12ケ条、叩かれる新12ケ条
第6章 見栄としがらみの課金ゲーム
第7章 企業が知っておくべき「ネットの論理」
第8章 困った人たちはどこにいる
終 章 本当にそのコミュニケーション、必要なのか?
【関連記事】
【ヤバ本】『ウェブで儲ける人と損する人の法則』中川淳一郎(2010年10月26日)【ウェブ】「ウェブを炎上させるイタい人たち」中川 淳一郎(2010年02月10日)
【Web1.374?】「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎(2009年04月25日)
【仕事論】「凡人のための仕事プレイ事始め」中川淳一郎(2010年05月16日)
【オススメ】「ヤフー・トピックスの作り方」奥村倫弘(2010年06月12日)
【編集後記】
◆今日発売の1冊。
人前で5分以上自信を持って話せる方法
人前で話すのが苦手なら要チェックかと。

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