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2013年07月14日

【超仕組み化?】『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』松井忠三


無印良品は、仕組みが9割  仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)
無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「無印良品」で知られる「株式会社良品計画」会長・松井忠三さんが、無印良品の強さのヒミツを語った1冊。

昨夜、土井英司さんのメルマガが一足先に取り上げてらっしゃったので、ご存知の方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から。
38億円赤字からの「V字回復」を実現した経営者が語る、シンプルな仕事哲学。あらゆる会社・チームをよみがえらせる「仕事の仕組み」とは?「決まったことを、決まった通り、キチンとやる」だけで生産性は3倍に!

私たちビジネスパーソンも参考にすべき「仕組み化」が学べること必至です!


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【ポイント】

■1.マニュアルは常に更新する
 無印良品のマニュアルは、現場で働くスタッフたちが「こうしたほうが、いいのに」と感じたことを、積み重ねることで生まれた知恵です。
 また、現場では毎日のように問題点や改善点が発見され、マニュアルは毎月、更新されていくのです。仕事の進め方がどんどんブラッシュアップされるし、自然と、改善点がないかを探しながら働けるようにもなります。
 このように、仕事が停滞せず、常に"動いている"様子を、私は「血が通う」と表現します。そして、MUJIGRAM(店舗用マニュアル)や業務基準書(本部用マニュアル)は、無印良品にとっての血管です。


■2.意識改革は本質的な部分から行う
 そもそも、ビジネスモデルが世の中のニーズと合わなくなっているから業績が悪化しているのであり、社員の意識だけを変えようとしても根本的な解決にはなりません。
 ビジネスモデルを見直して、それから仕組みをつくっていく。
 その仕組みに納得して、実行するうちに、人の意識は自勤的に変わっていくものなのです。
 この順番が間違っていると、せっかくの改革もムダに終わってしまいます。本質的な部分から着手しないと、抜本的な改革は実現できないのです。


■3.マニュアルは徹底して具体化する
「商品を整然と並べる」と指導しても、人によって「整然と」のとらえ方はまちまちです。これを統一させるために、「整然とはどういうものか」を定義づける必要があります。
 たとえばMUJIGRAMでは、"整然"とは、
「フェイスUP(タグのついている面を正面に向ける)、商品の向き(カップなどの持ち手の向きをそろえる)、ライン、間隔がそろっていること」
 と定義づけ、この4つのポイントがどういう意味なのかを、写真入りで説明します。読んだ人は誰でも、「整然とは何か」がわかるのです。


■4.作業を見直して、生産性を上げる
 無印良品の店舗では、売れた品を棚に補充するための「品出し」を、以前は頻繁に行っていました。
 これを、売れ筋の商品は多めに品出しをし、回転の悪い商品は1日1回と決めたところ、品出しの回数が減り、現場のスタッフは他の作業に回れるようになりました。さらこ、回転の良い商品の売上げが上がるようになり、効率的に売上げアップを図れるようになったのです。
 このように、1つの作業を見直すだけで、生産性かアップする効果があります。


■5.ミスやトラブルもフォーマット化する
 部下がミスやトラブルを起こしたときに、「次からは気を付けるように」の一言で済ませてしまうリーダーもいるでしょう。その後、その部下はミスをしないよう気を付けるかもしれませんが、他の部下が同じミスをする恐れもあります。
 ミスやトラブルが起きたとき、誰が悪いのかという犯人捜しをして責任を追及するのが目的ではありません。同じトラブルを未然に防ぐための判断材料として、その情報を役立てるべきなのです。そのためにもトラブルの事例はフォーマットをつくって、管理しておくといいでしょう。


■6.挨拶で信頼関係を築く
 結果をなかなか出せないチームがあったとしましょう。
 そのチームの根本的な問題は、「能力」ではありません。社員同士のコミュニケーションや、信頼関係の希薄さが不振要因になっている場合が多いのです。
 部下に訓辞を垂れるよりも、朝の「おはようございます」、退社するときの「お疲れさまでした」のたった一言を徹底する。これだけでも、信頼関係は築けるものです。


■7.文書を共有して生産性を上げる
 作成した文書は自分で保管せずに、誰もがわかるようなファイルにまとめて、部署ごとにキャビネットに入れています。さらに、キャビネットの扉も取り払ってしまい、見える化を進めました。
 ここまですると、「3ヵ月前に会議でもらった資料はどこに行った」という話になっても、誰でもパッと探し出せるようになります。資料が山積みになったデスクや、何がどこに入っているのかわからないキャビネットでは、書類を探すだけでムダに時間がかかります。こうしたムダの積み重ねが、生産性を下げている要因でもあるのです。


【感想】

◆先日の編集後記で本書に触れた際、かつて私が「全身無印オトコ」だったことをカミングアウトしましたが、そんな私も、その運営会社である良品計画が、一時は経営不振に陥っていたことは知りませんでした。

本書の著者である松井さんは、そんな逆風の時期に社長に就任。

普通なら、リストラ等による人件費削減や、不採算部門からの撤退、資産売却などで対応するところ、松井さんは、さらに違ったアプローチで社内改革を進めます。

それが、本書で言及されている「仕組み化」でした。


◆書影にもある「2000ページのマニュアル」もその1つで、これは上記ポイントの1番目にある「MUJIGRAM」のこと。

従来、無印良品の各店舗では、店長の裁量で店づくりが行われていたため、レイアウトからレベルまで、店ごとにバラバラでした。

それを上記ポイントの3番目にもあるように、「誰にでも同じように理解できるよう」マニュアル化(松井さん曰く「100人いたら100人が同じ作業をできるようにする」とのこと)。

また、発注作業も、担当者の勘と経験に頼っていたものを、売上実績や季節情報等から予測する「自動発注システム」に変更することで、在庫修正作業も50%から10%に減少したのだそう。

このような「マニュアル化」「自動化」は、効率性を高めると同時に、それまで「個人」についていた仕事が「組織」に紐つくことにもつながり、退職や異動の際の引き継ぎ作業も容易にしました。

結果的に、松井さんが社長就任後から無印はV字回復を達成したワケですから、その効果は大きかったと言えると思います。


◆個人的には、ポイントの7番目の「共有化」を是非とも見習いたいところ。

「紙の資料を減らす」効果はもちろんのこと、自分が休暇や出張で不在の時にも、別の人が対応することが可能になるのは大きいです。

よく「ペーパーレス」を推進して、「紙の資料をPDF化する」という話を聞きますが、何かあった場合に、そのPDFに第三者が到達することができないくらいなら、むしろ紙の資料の方がマシな気が。

もちろん、「膨大な紙の資料」が「共有化もできていない」(=私の事務所)のがサイアクなのは言うまでもありません。

オフィスを整理整頓する際には、そういう視点も意識したいものです。←自信なしw


◆なお、第5章では、自分の仕事を「無印」のやり方に従って「仕組み化」する手法を伝授。

詳細まで詰める「MUJIGRAM」流に、「朝礼」「部下に注意する」といったアクションを定義づけしています。

しかも、この考え方は「仕事」に限らず「家事」についても同様で、本書では「洗濯」をも同じやり方で「仕組み化」しているというw

なるほど、子供に家事を教えるのは、新人に仕事を指導するのと同じですものね!


仕組み化すれば、人生が豊かになります!

無印良品は、仕組みが9割  仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)
無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)
序章 なぜ無印良品には"2000ページのマニュアル"があるのか
1章 売上げとモチベーションが「V字回復する」仕組み
2章 決まったことを、決まったとおり、キチンとやる
3章 会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」
4章 この仕組みで「生産性を3倍にできる」
5章 自分の仕事を「仕組み化する力」をつくろう


【関連記事】

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ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『7つの危険な兆候』の真実(2011年11月07日)

【効率化】「テンプレート仕事術」信太 明(2010年04月21日)

【仕組み】『「仕組み」整理術』泉 正人(2008年09月29日)


【編集後記】

◆今日の本を読んで、久々にこちらの作品を思い出しました。

テンプレート仕事術 ―日常業務の75%を自動化する
テンプレート仕事術 ―日常業務の75%を自動化する

3年以上前の本なのに、中古でもそれほど値崩れしていないのがスゴイです。

レビューは上記関連記事にて。


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この記事へのコメント
               
無印良品のコットンシャツがほしい五条です。今30%オフなので近いうちに買わねば。

さて、書評読みました。
ハードウェア(業務内容)とソフトウェア(人間関係)の双方を改善していますね。

ポイント1の「マニュアルは常に更新する」は先日の研修で講師が力説していた「就業規則は常に更新」を思い出しました。
作った=完成ではなく常により良いものにするため、変化に対応するために「更新」しないといけないなと解釈しました。


ポイント6の「挨拶で信頼関係を築く」
挨拶することで「私はあなたの話を聴く用意があります。」という意思表示になります。
「人は話すことが好きで、話を聴いてほしいと常々思っている。」
「人は話を聴いてくれる相手に好感を持ちます。」
こういう趣旨のことが鴻上尚史氏の本に書かれていました。

挨拶が大切だということはほとんどの本に書かれていて、成功したい人には「常識」だと思います。


「仕組み化すれば、人生が豊かになります!」この一文に多いに納得です。
遅まきながら、業務内容、習慣にしたいもの、勉強手順等を仕組み化していますのでこの一文が素直に心に響きます。

だったら買うの?と聴かれると「余裕があれば」とお茶を濁した返事になりますが、書評を読んで判断するに良い本だと思います!!


Posted by 五条勝 at 2013年07月14日 16:29
               
>五条勝さん

コメントありがとうございます。

初っ端の「マニュアルを日々更新する」、というのは、私も目からウロコでした。

また挨拶の件については、以前ネット上で「挨拶をする/必要ない」論争があってから、結構意識しておりましてw
私は「すべき派」だもんで、いちいち取り上げている次第です。

そうそう、メアドをご記入いただいていたのですが、URLが何も入ってない場合、普通に丸見えとなってしまい、URL収集業者の餌食になりかねないので、このコメントページのURLを入れておきました。
どうかご了承ください。

今後ともよろしくお願い申し上げます☆

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年07月15日 01:54
               
お手数掛けました。

メールアドレスは消さねば!と思っているのに、コメント書くのに気を入れすぎて忘れてしまいました。

適切な処理感謝しております。
Posted by 五条勝 at 2013年07月15日 13:19
               
>五条勝さん

いえいえ、お気になさらず。
というか、こういうブログの設定がちょっとどうかと思いますよね(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年07月16日 03:02