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2013年07月05日

【文章術】『決定版! すっきり書ける文章のコツ80』高橋俊一


決定版!  すっきり書ける文章のコツ80
決定版! すっきり書ける文章のコツ80


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、元新聞記者であり、現在は日本大学および大学院講師、フリージャーナリスト・コラムニストでもある高橋俊一さんの文章術のご本。

「はじめに」によると、本書は、つきつめればキリのない文章術をあえて一部切り捨て、80のコツに絞り込んだのだそう。

アマゾンの内容紹介から。
修飾語は長いものから先に書く。積極的に改行する。主語と述語を近づける。読点「、」で誤解を防ぐ。「い」抜きと「ら」抜きに注意。関連の強いものをまとめる。主役を早く出す。ときには文を短く削る…書いて伝えるための厳選ノウハウ集。

類書を数多く読んできた私でも、漏れていた点がいくつもありました!


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【ポイント】

■1.主語をむやみに入れ替えない
×コーチ鍛えて、全員が上達できた。

○ a.コーチ鍛えて全員上達させた。
  b.コーチ鍛えられて、全員上達できた。
このモヤモヤ文のー文だけではどちらが主役なのか、わかりません。コーチが主役の文ならスッキリ文a.のように、コーチを最後まで主語にすえて書きます。
「全員」を中心にするなら、b.のように「鍛えられて」と受動態をとり入れると、主語を入れ替えることなく、一貫して「全員」中心の文になります。


■2.「名詞+する」を使いすぎない
×皆で励行しよう決定したゴミ拾いの日程を遵守する意識が減退しているとは、いやになってしまうなあ。

○皆でしっかりやろう決めたゴミ拾いの日程を守る意識がなくなっているとは、いやになってしまうなあ。
お役所文書や学術論文で多用される「名詞+する」。重々しく書くか、軽快に書くか、この形を使うかどうかは内容とニュアンスによりけり。例文はゴミ拾いですから、こうまで硬い言葉を並べるのは不自然です。
「名詞+する」の形はきりがなくあります。身近な言葉も多いので、ついつい使いすぎてしまいますが、ケース・バイ・ケースで使い分けましょう。


■3.修飾語は長いものから先に書く
×素早く絶対に立ち止まることなく走る。

絶対に立ち止まることなく素早く走る。
「素早く」も「絶対に立ち止まることなく」も、「走る」の内容を示す修飾語です。モヤモヤ文では、「素早く立ち止まる」をワンセットで考えてしまう人がいるかもしれません。そうまでいかなくても、まさにモヤモヤした、わかりにくい文です。
「素早く走る」をセットに考えるのが自然です。長い修飾語「絶対に立ち止まることなく」を先に、短い修飾語をあとにするとスッキリ整理されます。


■4.カタカナとひらがなを使い分ける
×列車が左右に揺れながらごとごとと進む。
×春の小川はサラサラ流れていく。

○列車が左右に揺れながらゴトゴトと進む。
○春の小川はさらさら流れていく。
・「ドカン」「ゴウゴウ」など音からくる擬音語や、「ニャーニャー」「ワンワン」など声からきた擬声語は、原則としてカタカナで書く。
・「さらさら」「ぶらぶら」などの擬態語はひらがなで書く。ただし、カタカナのほうが雰囲気に合うと思ったときはカタカナでもよい。


■5.体言止めを活用する
体言止めを3回以上続けて使うな、と言う人もいます。文章は1つ1つ多彩なものですから、算数の公式みたいに回数のワクをはめるのはおかしいですが、繰り返しても雑にならないかを見極める必要があります。歯切れよさと文のつながり、両者のバランスが問題です。
 また、体言止めを使った文章は情報が不正確と言う人もいます。モヤモヤ文は「だった」が多すぎるので、体言止めを活用して解消しました。連続的に使っても違和感なく読めますし、情報は読み手に正確に伝わります。不正確と決めつけるのは、文章の機微を知らない人や、形式ばかりにこだわる人の意見です。


■6.書き出しは、理屈よりエピソードで
専門家の論文はべつとして、普通の人が散文やエッセイ、採用試験の作文などを書く場合、テーマや出題の定義から始める必要はありません。ありきたりの定義や一般論を誰も求めていません。すぐにウンザリされます。
 自分の経験や出来事で十分。そこに書き手の個性がにじみ出ます。特異な体験や冒険談でなくても大丈夫です。身近な話ほど、むしろ共感につながります。
 弱気にならずに「百の理論より1つのエピソード」で書き出すことが重要です。経験を具体的に書けば自然に読み手を引きつけられます。観念や抽象論よりも、自分で見聞してきた事実をまず示しましょう。


【感想】

◆今回は引用量が多いので、この辺で。

冒頭でも申しあげたように、本書は文章術の「厳選されたTIPS集」であり、絞り込んである分、王道的なものが中心でした。

ですから、「文を短く切る」「文のつなぎ目に読点を打つ」「同じ言葉を繰り返さない」といったベタなものもあるのですが、上記で挙げたような、「私が知らなかったもの」もちらほら。

単に見落としていたり、忘れていた可能性も否定できませんが、上記のポイント以外にも、想定外にありました。

ちなみに、引用部分にでてくる「モヤモヤ文」とは、例文で「×」扱いされているものになりますので念のため。


◆さて、その「知らなかったもの」ですが、典型的なのが2番目の「名詞+する」

例文はさすがに極端ですけど、今までまったく意識したことがありませんでした。

もちろん「子どもでも分かりやすい表現に」という趣旨で、あえて単純な動詞を用いたことはありますが、「名詞+する」が避けるべき手法とはつゆ知らず。

本書で挙げられた他の例では、「存在する→ある・いる」「奨励する→励ます」「援助する→助ける」……などなど。

ただ、具体的な類例のところで、「業界を牽引する」というのを「業界をひっぱる」と言いかえてるんですけど、微妙にニュアンスが違うような?


◆そして注目すべきは、ポイントの5番目の「体言止め」の件(って、この文もそうですねw)。

つい先日、こちらの本で、「体言止め、イクナイ(・A・)」と言われたばかりでした。

7日で身につく 正しい文章の書き方
7日で身につく 正しい文章の書き方

参考記事:【文章術】『7日で身につく 正しい文章の書き方』高橋廣敏(2013年05月30日)

他にも「避けよ」ですとか「多用するな」と言っている本は結構あったと思うのですが、本書はむしろ「活用せよ」と!?

といっても、一応「文の種類で使い分ける」ということで、「論文や契約書」では「原則として使わない」とのこと。

もっとも、「ビジネス文書や実用文」では「誤解や違和感がないかを見きわめる。慣例を参考に決める」と、やや緩くなり、「一般的な散文・エッセイ」では「大いに活用する」と、激プッシュしていますので、当ブログでは引き続き、フル活用させて頂きますw


◆ぶっちゃけたことを言ってしまえば、どの文章術の本にも、それぞれいい点があり、「この本がベスト」とはなかなか言いにくいところ。

実際、下記関連記事を眺めてみても、絶対的に「これ」とは断言できません(これも「言い切れない」と言いかえるべきかw?)。

ですから、本当に基本的な部分以外の箇所で「目からウロコ」なものがあったり、納得できるものを選べば良いかと。

個人的には「体言止め」を推奨してくれた本書とは、私はウマが合いそうですw


わかりやすい文章を書きたい方に!

決定版!  すっきり書ける文章のコツ80
決定版! すっきり書ける文章のコツ80
【1】 正しい文章を書くコツ
【2】 わかりやすい文章にするコツ
【3】 文章をもっと輝かせるコツ
【4】 スラスラ読ませるコツ
【5】 作品に仕上げるコツ


【関連記事】

【文章術】『7日で身につく 正しい文章の書き方』高橋廣敏(2013年05月30日)

【文章術】『いい文章には型がある』吉岡友治(2013年03月26日)

【文章術88のルール】『誰にでも伝わる 文章力のつくり方』木暮太一(2012年03月02日)

【文章術】『伝わる!文章力が豊かになる本』小笠原信之:マインドマップ的読書感想文(2012年01月15日)

【文章術】『150字からはじめる「うまい」と言われる文章の書き方』高橋フミアキ(2011年11月10日)

【オススメ】『伝わる!文章力が身につく本』小笠原信之(2011年06月26日)


【編集後記】

◆最近話題の文章術(?)の本。

6分間文章術――想いを伝える教科書
6分間文章術――想いを伝える教科書

こちらは「どう書くか」というお話以前の、「何を書くか」からの1冊ですね。


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