2013年06月30日
【討論?】『「自分で考える力」の授業』に学ぶ、上手に意見を交換する7つのルール

世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「世界で通用する考え方」のご本。著者の狩野さんは、20年にわたって、大学等で「考える力」と英語を教えてらっしゃる方で、TEDxTokyo teachersのご出演もあるのだとか。
アマゾンの内容紹介から。
自分なりの答えを出すこと、想定外の事態で新たなシナリオを見つけ出すこと、意見に説得力を持たせること、いずれも「きちんと考える」ことができなければ、うまくはいきません。ハーバード大学の提唱するメソッドやクリティカル・シンキングをもとに、著者の実体験を踏まえ、ビジネスで使える「考え抜く力」を伝授します。
今回は、本書に収録されていた「上手に意見を交換する14のルール」の中から7つご紹介しますので、ご覧ください!

【上手に意見を交換する7つのルール】
■1.この世に絶対的な正しい意見などない、と心得る日本で生まれ育った人は何かについて考えたり語ったりするとき、知らず知らずのうちに「どこかに正解があるはずだ」と思う傾向があるようです。
でも、意見には「絶対解」などというものはありません。意見はそれぞれの人が自分で考え出すものです。人間が頭の中で考え出すものである以上、1人1人の意見はそれぞれ違っていて当然です。
ですから、意見を言うときには「間違っているかもしれないんですけど……」などと思わないでください。そして、そのようなことを言わないでください。
■2.これから話す内容の「マップ」を示す
議論に慣れている英米人がよくやる方法の1つに、これから話す内容の「マップ」(話のアウトライン)を最初に口頭で示す、というものがあります。このような「マップ」を示すと、自分の話をよりスムーズに理解してもらうことができるのです。(中略)「私はこの企画については賛成なのですが、その根拠は6つあります。まずはその根拠からお話しして、それから、この件について提案したい点を3つ、お話ししたいと思います。(後略)」
■3.反論=人格否定、ではない
自分の意見に対して誰かが否定的なことを言ってきても、「○○さんは私のことをダメなヤツだと思ってる」とか「私のことを嫌いなんだ」と思わないでください。ましてや、人格を否定されたと思うのはもってのほかです。誰かが反論してきたとしても、その人が反対しているのは、あなたの「意見」であって、あなた自身ではないはずです。
■4.NOは相手からの「質問」だと思おう
否定的なコメント、つまりN0には、「どうだろうね」、「賛同しかねるな」、「無理だよ」など、色々な表現がありますが、これらはすべて「質問」と解釈するといいと思います。
NOと言われてしまった……と思うと絶望的な感じがしますが、相手は質問してきたんだ、と思うと希望が持てます。つまり、NOと言われたら、「あなたの意見は説得力に欠ける気がするけれど、どう思いますか」という質問だと思ってみるのです。
■5.「わかったつもり」はNG
相手の反論の中でちよっとでも「ん? よくわからないな」と思うところがあったら、必ず質間するように心がけてください。生半可な理解しかしていないのに、たとえば「おっしゃっていることは現実的ではないと思います」などと言い返すのは、いちばんやってはいけないことです。(中略)
議論の場で相手の発言内容を「わからないけど、まあいいや」と放っておくのは、相手を尊重していないも同然です。議論がきちんと機能しなくなる可能性も十分にあります。
■6.相手の意見の丸呑みは「尊重」ではない
相手を尊重するイコール相手の言うことはなんでも受け入れる、ということではありません。たとえば、相手があなたの意見に否定的なことを言ってきて、納得できていないのに「おっしゃる通りです」などと反応するのは「尊重」ではなく、「丸呑み」です。(中略)
相手の言い分をまずはきちんと聞き、「ご指摘ありがとうございます」などと敬意を表して受け止める。そのとき、相手の言ったことをきちんと理解できていなければ「○○とおっしゃったのは△△という意味ですか」などと確認する。その上で「私が思いますに……」と言うべきことは言う、というのが理想です。
■7.反対するなら代替案を
反対するだけ反対して何も代替案を言わない、という人は意外に多い気がします。でもこれは、議論のマナーからすると好ましくないことです。(中略)
皆さんが誰か他の人の意見を聞く側になって、もしもその意見に反対したいのであれば、なるべく代替案を言うように心がけてください。
代替案を出すということは、建設的に反論する、ということです。最初に出された意見と代替案とを比較検討して、意見をさらによいものに深めていく。これが、議論の理想型だと思います。
【感想】
◆本来、この「上手に意見を交換するルール」は14あり、そのうち個人的に響いたものをここで抜き出してみました。まず、ポイントの1番目にある「どこかに正解があるはずだ」というのは、私自身も身に覚えアリ。
何か言う以上「正しい意見を言わねば」と思うことは多々あります。
それはひとえに「反論」が怖いからであり、何故怖いかと言うと、ルールの3番目にあるように「反論=人格否定」と思っているから。
もっとも、ケースとして多いのは、その場で反論される事よりも、「違う」と思っていながらも「空気を読んで」(?)、誰も何も言わない事なのですが。
少なくとも、「ここで誰も反論しなければ、授業(や会議)が終わる」というような場合、往々にして「意見をスルー」しがちかな、と。
◆同じように、「何言ってんのかわかんねー」と思っても、ルールの5番目のように「わかったつもり」でいてみたり、多少納得できない部分があっても、ルールの6番目のように「丸呑み」することは、世間的にも多そうです。
本書では比較対象として「欧米人の振る舞い」が例に挙げられているのですが、彼らには「なぁなぁで済ます」という処世術はあまりない感じ。
「どこでランチを食べるか」という案に何気に反対して、ルールの7番目に従い「私の案に反対って言うなら、他にどんな案があるの?」と切り返すアメリカ人、ワロエナイww
結局、本書にあるように「私たちは、意見を言ってもなんとなくスルーされることには慣れているけれど、反論されたり、質問や疑問をなげかけられることにはあまり慣れていない」のでしょうね。
◆なお、今回まとめた「ルール」は、第5章『上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール』からのものであり、本書の一部分に過ぎません。
そしてこの本自体は、冒頭の内容紹介にもあったように「考え抜く力」を身につけるためのコンテンツが中心。
付箋を貼ったものの、思いっきり割愛した部分を簡単にご紹介しておくと、こんな感じです。
●根拠力をつけるエクササイズ(初級〜上級編)
●「本当に理解できているのか?」をチェックする7つの方法
●自分以外の視点で、考えに深みを持たせる4つのTips
●暗黙の前提を見抜くために「根拠と結論」を図式化する etc...
特に最後の「暗黙の前提」のお話は、解説すると長くなるので割愛しますが、かなり「目からウロコ」でした(詳細は本書を)。
◆ところで、上記のような部分を中心として付箋をあちこちに貼ったものの、これらは全体で1つの「考え抜くための手法」であり、本書は個々のTIPSだけを抜き出して使うタイプの本ではないと思います。
それでも例えば、自分の考えに「根拠」を添えることで説得力は倍増しますから、上記の「根拠力をつけるエクササイズ」辺りをこなしておくと吉。
ちなみに、著者の狩野さん曰く、今まででいちばんびっくりしたのは、アメリカ人の友人に「夕飯は何を食べたい?」と尋ねられたので「餃子」と答えたところ「何で?」と根拠を問われたことだとか。
彼ら欧米人は、そんな些細なことにも「根拠を考えて」暮らしているのか、と私も若干あきれたのと同時に、それだからこそ「クリティカル・シンキング」が身についているのだな、と思った次第。
深く考え抜く力を身につけたいならマストです!

世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業
1 「自分の意見」の作り方―なぜ、私たちは「想定外」に弱いのか
2 理解を深める―「事実らしきもの」を前に考えをとめない
3 視点を増やして発想を広げる
4 未来のシナリオで現実的な選択肢を手に入れる
5 上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール
6 「?」に気づくことが「考え」のはじまり
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【編集後記】
◆成毛眞さんの新刊が出る模様。
この古典が仕事に効く! (青春新書インテリジェンス)
これまた楽しみですね!

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