2013年06月25日
【熱狂?】『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』見城 徹,藤田 晋
絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ (講談社+アルファ文庫 G 241-2)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、幻冬舎社長・見城 徹さんと、サイバーエージェント社長・藤田 晋さんの対談本の第2弾。『人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない』の文庫版になります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
若いビジネスマンに働く上での精神的心構えを熱く説いて大反響を読んだ前作から、さらにパワーアップ。ビジネスだけにとどまらず、より日常の局面において、人としてまっとうに生きていく上で、何が大切で何が無駄かを、見城氏による35の言葉を藤田氏が紐解きながら読者に提示していきます。
単行本から1年2ヶ月という短期間での文庫化は、まだ読んでいなかった私には「渡りに船」でしたw!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.何かを成し遂げるためには「熱狂」が必要振り返ると、アメーバが立ち上がらず苦悩していいた頃、僕には「熱狂」が足りませんでした。人任せにしていたり、完全には理解しないまま物事を決めたりしていたのです。そして、アメーバが多くの利用者に利用され、収益の面でも当社の柱となるまでに成長したのは、僕が「熱狂」できたからだと思います。何かを成し遂げるためには、「熱狂」という原動力が不可欠なのです。(藤田)
■2.年賀状は出さない
一年を通じてお世話になった人には、きちんと封書で手紙を書くべきだ。年賀状など、出すだけ無駄である。(中略)
年費状を書かないかわりに、12月になると、僕は1年をを通してお世話になった人には手紙を出す。大体、10人前後だろうか。封書で便箋6,7枚は書く。自分の気持ちを相手にキチッと伝えたいと思うから、時間がかかる。手紙を書くために、年末は必ずホテルにこもっていたこともあった。書き終わった後、ゆったりと浸かる風呂は実に気分がいい。
年責状を500通出したとして、一体どれだけの効果があるだろうか。5通でも、ちゃんと心のこもった手紙を、悪戦苦闘して書いたほうがよほどいい。(見城)
■3.ヒットしたものはすべて正しい
ヒットしている商品やブームになったものがあれば、僕はいつもそれを自分なりに分析する。考えても、わからないこともある。それでも、否定してはいけない。そこには僕の知らない価値が存在している。自分がそれを面白いと思うかどうかは、単なる主観である。一方、売れたことは、動かない現実だ。現実は、必ず主観に勝る。
出版人に限らず、多くのビジネスマンは、なかなかその考え方を受け入れることができない。ヒットしたものを前にすると、「自分の作った本のほうが面白いのに」「自社の製品のほうが優れているのに」と考える。まず、そうした無意味な自己肯定を捨てるべきだ。(見城)
■4.横綱ではなく、10勝5敗を続ける大関を目指せ
大人になったら、1つ得るためには、血を流して1つ失うということを覚えたほうがいい。それをわきまえることが、大人の条件である。「あれも欲しい、これも欲しい」は、子供の言うことだ。相撲を例に取れば、14勝1敗や15勝0敗で勝つのはもちろんいいことだが、その中の2勝や3勝は、必ず次の敗因を含んでいる。それを自覚しないで勝っていると、いつか1勝14敗か2勝13敗がやってくる。要は、あえて自分で黒星を作れるかどうかが、その人の器量につながるのだ。10勝5敗でずっと勝ち越す。それができれば、どのビジネスもうまくゆく。(見城)
■5.携帯でメモして自分宛てに送る
情報整理は、1つにまとめることが大切だと思います。それが生活の一部に組み込まれていなければならない。いつも身近にあるものでないと、意味がないと思います。その点携帯は、今やほとんどの人が身から離しません。メモしたい時、手元にある携帯でメモし、仕事中にメールを処理する際、必ず確認することになる僕のやり方は、多くのビジネスマンにお勧めできます。(藤田)
■6.本物の熱狂が最後の決め手になる
僕はプレゼンの際、何とか相手を説得しようとしている人には疑ってかかります。プレゼンで勝ちたいとか、自分を認めさせたいという目先の評価を求めている可能性があるからです。一方、本気で熱狂している人は、自分のアイディアに夢中なので、人がどう思おうと気にしていないことさえあります。
アイディアは実現してこそ意味があります。これから先の辛く長い実現までのプロセスを考えると、目先の評価がほしい人のアイディアを採用する訳にはいきません。本物の熱狂は、その先の困難を乗り越える覚悟を内に含んでいると思います。
その執着心こそが、最後の決め手になるのではないでしょうか。(藤田)
■7.「負ける」と「負けている」は全く別物である
僕の悲愴な面持ちとはうらはらに、阿佐田(哲也)さんは顔色一つ変えなかった。
「見城君、君は10万円を持って競馬に行くと、9万9千9百円を失ったら負けた」と思う人なんだよ。でも、百円あったら、まだ勝負はできる。君は若くて、才能があるけれど、結論を早く出しすぎる。それが君の欠点だよ。百円が残っている限り、それはプロセスであり、勝ちでも負けでもない」
その言葉に、僕は胸を突かれた。目から鱗が落ちたような感覚の後、急に気持ちが軽くなった。(見城)
【感想】
◆本書は単行本の文庫化だけあって、今回新たに「文庫版まえがき」と「文庫版あとがき」が追加されています。そこで明らかになったのは、今回の文庫版のタイトルにもなった「絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ」というフレーズは、見城さんの座右の銘であり、藤田さんは単行本の際にこのタイトルを推していたということ。
そして見城さんは、実際のタイトルになった『人は自分が期待するほど〜』と迷った挙句、結局そちらを選んだものの、書店に並んだこの本を見て、『絶望しきって〜』の方が良かった、と確信したということ。
なるほど、『憂鬱でなければ、仕事じゃない』が、そのままのタイトルで文庫化されたのに、こちらが改題されたのは、そういう理由があったのか、と。
ちなみに、この「絶望しきって死ぬ」という一節は、フランスの小説家、アンドレ・ジットの『地の糧』にある言葉なのだそう。
地の糧 (1952年) (新潮文庫〈第344〉)
……この本(単行本版)のせいなのか、プレミア付きまくっててワロタww
◆また、単行本にもある「まえがき」を読んで分かったのが、本作は前作の完成時点で、すでに企画されていたものである、ということ。
実際、前作の発売時点では、収録するテーマの大半は決まっていたのだとか。
そして前作が売れたワケですから、当然本作も世に出た次第(前作がコケてたらどうなってたのやら?)。
私はてっきり、前作のヒットを受けての「柳の下のドジョウ」狙いだと思っていたのですが、大変失礼致しました。
なお、前作の経験を踏まえた上で、本作ではあえて「2人での打ち合わせ」を控えたのだそう。
「目の前で見城さんの話を聞くと、自分の意見を流される」と藤田さんは言われているのですが、確かにそれくらい、見城さんのお話は強烈です。
上記で挙げた部分を見ても、年上であるにもかかわらず、確かに見城さんの方が、相変わらず「尖って」いますよね。
◆個人的に一番腑に落ちたのが、上記ポイントの4番目の「10勝5敗を続ける」というお話。
一般的には「ベストを尽くす」方が良さそうですが、なまじ全勝してしまうと、今度は他人の妬みや恨みを買うことにもなり、倒すべき標的にもなってしまう、と。
「手を抜く」のとも、また違うワケで、「あえて自分で黒星を作る」というのは、なかなか奥が深いと感じました。
このくだりを受けて、藤田さんが「『その年に躍進した企業家に与えられるとある賞』の大賞を受賞したベンチャー企業家は、ほとんど消えてしまっている」というお話をされたのですが、それなんてフラグww
◆藤田さんがまえがきで語ったところによると、藤田さんの中では「本書はすでに前作を超えている」、とのこと。
確かに前作に比較すると、見城さんの「著者落とし」のネタが若干減って、その分多種多様な話が展開されている気がします。
もちろん、前作がツボだったかたは、ノータイムでお買い上げ頂いてOK!
もっとも、そういう方は、単行本の時点で、既にお求めになってらっしゃると思いますが。
文庫化のタイミングで、未読の方にオススメ!
絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ (講談社+アルファ文庫 G 241-2)
第1章 自分を追い込め
第2章 人付き合いの基本
第3章 仕事で勝つ心掛け
第4章 日々の過ごし方
第5章 成長を止めない
第6章 誰とも違う自分へ
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【編集後記】
◆前作の文庫版がこちら。憂鬱でなければ、仕事じゃない (講談社+アルファ文庫 G 241-1)
未読の方なら、2冊一気読みも良いカモw
ご声援ありがとうございました!
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