2013年06月23日
【名演説?】『小泉進次郎の闘う言葉』常井健一

小泉進次郎の闘う言葉 (文春新書 922)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「自民党のプリンス」こと小泉進次郎氏の語る「言葉」にフォーカスした1冊。著者の常井さんが、半年に渡って小泉氏に密着取材を敢行し、その人気の秘密を探った作品です。
アマゾンの内容紹介から。
2012年11月の衆院解散直後から13年5月まで21都道府県で、約180日間密着。応援演説会場、被災地、国会等での35の語録をもとに、"永田町一の人気者"の実像を描く―。
今回は特に、その「人の心をつかむ」スピーチの特徴を7つ挙げてみましたのでご覧ください!

【ポイント】
■1.ダジャレを使う進次郎氏は開始3分で、得意のダジャレを作裂させた。
「堀井さんの経歴は、みなさんが一番ご存知です。リレハンメル五輪銅メダリスト。すごいですね。メダリストに会えることはそうあることじゃありません。堀井さんはスピードスケートでさんざん滑ってきましたが、政治の世界に入ってからは、1度も滑ったことがないんです。道議選も1期目当選、2期目当選、そして今回が3回目の勝負です。滑るわけがありません。どうしてリレハンメル五輪で銅メダルだったか。金より銀より銅が欲しかったんです。ホッカイドウだから。そして、もう1つ、あえて銅にした理由があるんです。大金星は今回にとってあるんです、この選挙に」
■2.ご当地言葉で心を掴む
「こんげ集まってくれて、わりいじゃ。宮川さんのために飛んできました。この甲府では走ってきたことを『飛んできた』というそうですね。宮川さんのためにこの3年間、何回もこの甲府に飛んできました。(後略)」
■3.韻を踏んでリズム感を出す
「熊本といえば、やっぱり『くまモン』です。木原さんはホンモンです。木原さんという本物の政治家は、二セモンのやりたいようにさせない。今回はどうか本物の政治家、木原稔に、いままでの努力が実るように、みなさんの1票を心から(お願い)申し上げて、小泉進次郎からの応援とさせていただきます」
■4.オバマ風「巻き込み手法」を用いる
続いて兵庫県・神戸の市営地下鉄西神中央駅前では、こんなオバマ的な台本を投入した。
「安倍総裁の役割、石破幹事長の役割、そして小泉進次郎の役割。それぞれに役割があるように、みなさん1人ひとりにも役割がある。私たち政治家かやらなければならないこと、会社にお勤めの方の役割、自営業の方の役割、家で家族の帰りを待っているお母さんの役割、そして携帯を構えてこっちを撮ってくれている高校生たちの若い力。それぞれの役割を全うしてもらって、最後はひとつの力にして、日本全体を押し上げて行く。それが自民党の役割なんです。私たちはそういった政治を取り戻したい」
■5.著名人と関連づけて説得力を出す
「鈴木憲和さんを見ていて私が思い返すのは、この地にゆかりのある歴史上の偉人ですよ。直江兼続、上杉鷹山。この2人は、ここで生まれ育ったわけじゃないんですよ。鈴木憲和さんと同じなんです。(中略)
その上杉鷹山を尊敬していると言ったのが、私が尊敬する政治家でもある米国のジョン・F・ケネディ元大統領。そういった歴史上の偉人を支えてきた土地柄で、今回支えてほしいのは鈴木憲和という男なんです」
■6.手紙を引用する
「地元で、ある女性の方から、手紙をいただきました。自民党の支援者の方です。『いろんな方が応援に来てくれるけど民主党の批判ばかり。もう、わかっています。そういうことを聞きたいんじゃないんです。悪口言いたい気持ちはわかるけど、小泉さん、やめてください』。私はその通りだと思った」(12月7日 滋賀・近江八幡市)
■7.比喩で例える
自民党の候補者が元旅行会社社員だと、こんなたとえを使った。
「3年前、ある旅行会社が非常に人気がありました。その旅行会社の名を民主党、商品はマ二フェストと言いました。旅行期間は4年間、料金はタダ。みんなが行きたい。みんなが飛びついた。行ってみたらその景色はあまりにべらぼうだった。そして、タダではなかった。そんな政治にこれからの日本を任せておくわけにはいきません」(12月五5日 宮崎市)
【感想】
◆元々私は、小泉氏の演説についてはあまり知らなくて、下記の記事のこのツイートで「何かしら考えてるラシイ」ことを知ったくらい。池上彰さんがテレビ東京の選挙特番でやりたい放題だと話題に : 市況かぶ全力2階建
池上彰「小泉進次郎の演説には特徴がある、 地域名を出して挨拶、地域の歴史を取り上げる。」小泉進次郎「予習するのは当然でしょ?」 池上彰「地方の方言を演説で使いますよね?あざといとも取れますよねw」小泉進次郎「これが通じない場所があるw大阪です。」
— いし(い4) (@mk_ishi) December 16, 2012
池上さんに「あざとい」と言われた「方言」については、上記ポイントの2番目に挙げた通りで、本書によれば、大阪だけでなく京都でも封印したものの、それ以外の各地ではほぼすべて披露しているよう。
同時に、池上さんのご指摘通り、その地方の歴史や特産品にも触れており、最初のツカミで聴衆の心をガッチリ掴んでいました。
ただし、なぜ自分の選挙区である神奈川県ではなく、地方で演説しているかと言うと、自民党本部からの指示で、全国の選挙区で応援演説をしていたから。
しかも当初、公示日である12月4日から投開票日の16日までの間で10日間を党に拘束(再考を依頼して最終的には8日間)されていたと言いますからビックリです。
……フツウの候補者だったら、そんだけ地元を無視していたら落ちます罠。
◆どういう基準で応援する候補者を選んだ(小泉氏?or党本部?)のか分かりませんが、応援内容も納得できるものから、「ちょっとそれは……」的なモノまで多種多様。
とは言え、たとえ、その人の事を詳しく知らなくても、壇上に立つまでの間で資料を読みふけり、キッチリと仕上げてくるのですから、流石と言うしかありません。
上記で挙げなかったテクニックでもこんなものが。
・若い候補者を、自分と同世代であることをアピールする
・マイクが不調で雑音がしたら「じゃ、テイク2行きます」と芸人ノリを披露
・官僚出身の候補者には「自分の世襲批判に比べれば大した問題ではない」
……詳しくは本書にてご確認を。
◆ところで、約半年間も小泉氏に密着していながら、実は常井さんご自身は、直接小泉氏本人にインタビュー等したことは1度もありません。
その理由は、小泉氏が個別取材をすべて断っているからであり、それは本や雑誌だけでなく、テレビや新聞も同様。
ただし、俗にいう「ぶら下がり取材」は歓迎されており、本書に収録された小泉氏の言葉は、すべてこうした「共同取材」か、演説をナマで聞いたか、メディア等に掲載されたものになります。
その分、常井さんの「進次郎ウォッチング」は徹底しており、演説時の持ち物についても言及がw
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これでアナタも、気分は小泉進次郎!(違w
◆なお、当ブログでは、基本的に政治的な思想を避けているため、本書内で明らかにされている小泉氏の政治的立ち位置(TPP、社会保障、消費税等)については、ここでは触れません。
ただ、第3章の「進次郎と被災地」で描写されている小泉氏の言動は、1人の政治家として素晴らしいと思いました。
上記ポイントで挙げたものが「テクニック」だとしたら、この章での小泉氏の言葉は、まるで「心の叫び」のよう。
それはそれで、やっぱり聴衆の心を掴んでしまうワケでして。
ちなみに小泉氏が局長となっている、東日本大震災被災地の復興を目的とする「TEAM-11(チーム・イレブン)」のサイトがこちら。
自由民主党 青年局 TEAM-11 | 青年局の活動 | 自由民主党 青年局
毎月11日(月命日)には、被災地の訪問活動をしているそうで、本当に頭が下がります。
人の心を掴むスピーチがしたい方にオススメ!

小泉進次郎の闘う言葉 (文春新書 922)
第1章 進次郎に密着21都道府県1 総選挙前半戦
第2章 進次郎に密着21都道府県2 総選挙後半戦
第3章 進次郎と被災地
第4章 進次郎とオンナたち
第5章 進次郎と永田町
第6章 進次郎のマニフェスト1 社会保障
第7章 進次郎のマニフェスト2 外交・安全保障・エネルギー
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【編集後記】
◆同じく今月初めに出た「進次郎」本。
小泉進次郎という男
こちらは、よりビジュアル寄りのようです。

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