2013年06月22日
【トヨタ流】『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた100の言葉』若松義人
トヨタが「現場」でずっとくり返してきた100の言葉 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、文字通り「トヨタで言い伝えられてきた言葉」の数々を集めた1冊。さすが「世界のトヨタ」と呼ばれるだけあって、「なるほど」と思わせられるものが多かったです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
販売台数世界一、利益1兆円達成!
世界のトヨタが60年間使い込んできた「不文律」を完全公開。
本書における「トヨタ式のものの見方や考え方、行動の仕方」は、ビジネスシーンや人生においても、役に立つことうけあいです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.モノを「探す」のは仕事ではない。ある企業の経営者がトヨタ生産方式を導入したいと考え、トヨタの工場を見学に訪れた。いくつかの工場を見て歩くうちに、自社の仕事との大きな違いに気づいた。
「トヨタにはモノを探している人がいない」
「モノを探す」とか、「モノを動かす」ことも「仕事」になっている企業が多いが、トヨタでは、部品や材料はすべて何がどこに何個あるかが誰にでもわかるようになっているため「探す」必要がなかった。これだけでも大変な違いがある。
■2.モノをつくる前に人をつくれ。
トヨタ式を単にモノづくりの仕組みと考えると失敗する。トヨタ式は「人間の知恵」をべースとした仕組みであり、モノづくりを通して「人を育て」、そして「育った人」がさらなる知恵を出すことでモノづくりの仕組みを改善していく、という独特の考え方でつくられているからだ。トヨタ式が力を発揮するためには「知恵ある人」を育てることが大切であり、知恵ある人が育てば育つほどトヨタ式は大きな成果を上げることができる。
■3.二階級上の立場で考えろ。
仕事は、「二階級上の立場で考えろ」がトヨタの考え方だ。役職のない若手社員であっても、自分のことだけではなく、「主任なら」「係長なら」と上の立場でものを考える。
「自分だけ」「自分の部署だけ」の仕事は、ときに全体の能率を下げることになる。
仕事は、常に全体を見る目をもって取り組む必要があるということだ。
■4.昨日のことは忘れろ。明日のことは考えるな。
今日、どれほどの成功を収めたとしても、そのまま何も変えなければあっという間にダメになるのが、今という時代だ。昨日と比較せず、「明日やろう」などと延ばすことなく「今日を最悪と考え」て、今日、最善を尽くす。日々改善、日々実践を愚直にやり続ける。それがトヨタのやり方であり、「現状維持は、後退と同じである」と考えることで、はじめて人も企業も「昨日より今日、今日より明日」へと進歩し続けることができる。
■5.単位を変えれば、新たな知恵が生まれる。
ある企業の経営者が生産のリードタイムを大幅に短縮したとあるトヨタマンに自慢したことがある。それまでは10日近くかかっていたものを3日に短縮したことを大きな成果として話したのだった。すると、そのトヨタマンはこういった。
「3日ということは72時間ですね。次は『日』ではなく、『時間』を短縮して、最終的に『分』にもっていったらどうですか」
かつてトヨタは大野耐一氏の指示で何時間もかかるのが常識だった段取り替えを「分」レべルで考えることで、「シングル段取り」「ワンタッチ段取り」を可能にしたが、何かをやるときの単位を変えると、その成果も大きく変わることになる。
■6.「責任追及」より「原因追究」を。
人間がやる以上、ミスはつきものである。機械だって手入れを怠れば問題が起こる。大切なのはミスをした人を責めることではなく、「ミスをしたくてもできないはどの改善」をすることだ。トヨタ式は責任追及よりも原因追求を優先して対策を講じるのである。
■7.当たり前のことを当たり前に。
トヨタ中興の祖と呼ばれる石田退三氏がこう話している。
「私が考え、行う経営は、実のところ極めて常識的な、とんと当たり前のものだった。しかし、その当たり前が当たり前にいきにくいのが世の中である。あくまでも平々凡々、当たり前のことを至極当たり前にやってのけるだけであった。やらねばならぬことはやる、やるからにはとことんまでやる、万難を排してどこまでもやり遂げる、ただそれだけのことである」
トヨタ式の多くは奇策ではない。考えてみれば当たり前のことばかりだが、トヨタの凄さはそうした当たり前のことをきっちり習慣としてぬかりなくやるところにある。
【感想】
◆本書は下記目次のように全8章から構成されており、それぞれテーマが違います。今般レビューするに当たり、特定の章に偏らないよう、各章から1つずつ選んだ結果が、上記ポイントの通りになりました。
ですから実際には、やたら付箋を貼った章とそれほどでもない章とにはっきり二分。
多かったのが「知恵」をテーマにした第5章で、逆に少なかったのが第8章でした。
各章それぞれ、12〜15個ほどの「言葉」が並んでいるのに、極端に数が違うのが興味深いところです。
◆その割愛した「知恵」から1つご紹介しておくと『「安く買う」のではなく「安く売れる」方法を考えよ』というものがありました。
「安く売って利益を減らしてどうするの?」と思いきや、「安く売る」のは、トヨタに卸す「協力会社」の方。
つまり、仕入れ先と一緒になって知恵を絞り、改善をすることで、結果的に「安く売る」(トヨタから見たら「安く買う」)ようにせよ、と。
この辺は、下請けをいじめて(?)、仕入れ価格をとことん下げるやり方とは対照的ですね。
◆一方、上記ポイントの1番目にあった「トヨタにはモノを探している人がいない」というお話は、この本を思い出させます。
トヨタの片づけ
参考記事:お前らもっと『トヨタの片づけ』の凄さを知るべき(2012年11月22日)
ここではサラっと「探している人がいない」とか書かれていますけど、実際にはこの本にあるように、「片づけ」だけでも1冊の本になってしまうのが、トヨタのスゴイところ。
すでに12万部突破しているとのことですので、整理整頓が苦手な方はご一読を。
◆また、特徴的だったのが、トヨタの「人を育てる」姿勢。
テーマとしては第2章で深堀りされているのですが、それ以外の章でも、そう感じる部分が何箇所もありました。
確かに会社が作っているのは「クルマ」なんですが、上記ポイントの2番目にあるように「モノをつくる前に人をつくれ」なのだな、と。
製造業に携わる方はもちろん、それ以外の業種の方にも得るところは多いと思います。
トヨタの強さの秘密がここに!
トヨタが「現場」でずっとくり返してきた100の言葉 (PHPビジネス新書)
第1章 トヨタが「現場」を動かすときに使う言葉
第2章 トヨタが「人財」を育てるときに使う言葉
第3章 トヨタが「チーム」力を上げるときに使う言葉
第4章 トヨタが「改善」するときに使う言葉
第5章 トヨタが「知恵」を絞るときに使う言葉
第6章 トヨタが「なぜ」を問うときに使う言葉
第7章 トヨタが「実行」するときに使う言葉
第8章 トヨタが「WAY」を伝えるときに使う言葉
【関連記事】
お前らもっと『トヨタの片づけ』の凄さを知るべき(2012年11月22日)「トヨタの口ぐせ」OJTソリューションズ(2006年10月24日)
【名言集】『鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか』勝見 明(2013年03月04日)
【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田(2011年11月25日)
【ゴーン流!?】『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』漆原次郎(2011年12月30日)
【編集後記】
◆先日の「未読本・気になる本」の記事でも取り上げた、神田昌典さん絶賛のこの本が、現在アマゾンランキング2位です!?6分間文章術――想いを伝える教科書
完全に出遅れました……。
ご声援ありがとうございました!
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