2013年06月19日
【オススメ】『「対面力」をつけろ!』齋藤 孝
「対面力」をつけろ! (光文社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、お馴染み齋藤 孝先生のコミュニケーションネタの新刊。実は、昨日の「未読本・気になる本」の記事を書く時点で、その存在を認識していたものの、「あー、また齋藤センセの『○○力』かYO!」とスルーしておりました。
しかし、実際にリアル書店で手に取って、パラパラとチェックしてみたところ、意外や意外、結構な良書であることが判明。
少なくともこれは、「イイ方の齋藤センセイの本」(ry
新書なので画像は載せませんが、最初から付箋貼りまくりました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.肩甲骨を柔らかくするリアクションできない集団を前にして私がやってもらうのは、「からだほぐし」だ。
立ってその場で軽くジャンプする。高く飛び跳ねる必要はなくて、肩の力を抜くイメージ。
「ジャンプ、ジャンプ、肩をほぐす〜、ジャンプ、ジャンプ、肩をほぐす〜」
こんなリズムで、「肩をほぐす〜」のところで肩を回す。全身を揺さぶる感じでこれを4,5回やると、肩甲骨が動き出す。
これをやって座り直してもらってから先ほどと同じ質問をすると、愉快なほどみんなの手が挙がるようになっている。ジョークに対する食いつきもよくなり、笑いが起きやすくなる。無反応でなくなる。
■2.相手に臍(へそ)を向ける
人の話を聞くときの鉄則がある。
「目を見る」「微笑む」「うなずく」「相づちを打つ」――この4つは対面における基本中の基本リアクションだ。
だが、最近、私はもう1つ大事なことが抜け落ちていたことに気づいた。
「臍を相手のほうに向ける」、つまりからだの中心軸を対面相手に向けることである。(中略)
あるゼミ生は、「自分の就活の勝因は、この『臍を向ける』にあった気がします」と言っていた。面接で7,8人ずつの集団討論があったとき、彼はつねに発言者に臍を向けていた。その態度がたいへん印象的だった、と面接官からほめられたそうだ。
■3.アイコンタクトは、相手の右目を2秒見る
目を合わせる行為に苦手意識があるなら、片目に絞って見るようにしたらいい。相手の右目に焦点を当て、「1、2」と数える2秒くらい見る。相手に意識の線を投げかける気持ちで、しっかりと目で「コンタクト」する。会話の中で、時々そうするだけで、「聞いていますよ」という気持ちは十分伝わる。
なぜ右目がいいのか。
これも池谷裕二さんが『脳には妙なクセがある』(前出)で書いていたことだが、人間には左視野を重視する傾向があるのだという。脳が左視野に比重を置きやすいということは、向かい合う相手の右目を見ることは自然にやりやすいのだ。
■4.笑えるからだを準備しておく
よく、「口角を上げる」とか「歯をどのくらい見せる」といった細部にこだわるあまり、「練習するんですが、どうしてもうまく笑えないんです」と言う人がいるが、口角を上げて表情筋を動かせば、必ず理想的な笑顔ができるわけではないと私は思う。
顔の表情を気にするだけでなく、肩甲骨が天使の羽が生えているような柔らかさになっているか、みぞおちががちがちに固まっていないか、といったように、からだ全体でとらえたほうがいい。笑えない人は必ず肩甲骨やみぞおちが硬くなっている。
■5.どんなときでも「上機嫌」でいる
うまくいかなかったとき、ダメになったときこそが、上機嫌のワザ化の正念場だ。
うまくいっているときに上機嫌なのは当たり前。そうではないときこそ明るく「いやあ、ダメだったか」「考えてみりゃ、それもそうだね」「また、次もあるさ」ととらえる。引きずらない。
あるいは、ちょっと苦手だと感じる相手に対してこそ、上機嫌に接してほしい。向こうから何か言われる前に、こちらからにこやかに話しかけ、上機嫌パワーでこちらのぺースに巻き込もう。そういうときは、相手との距離感だの空気だのを読んで遠慮してはいけない。先手必勝だ。
■6.意識して相手の名前を呼ぶ
私は会話の最中に、最低3回は相手の名前を呼ぶようにしている。
「○○さんはこれについてどう考えていますか?」
「そういう状況になった場合、○○さんならどうします?」
「○○さんのそのアイデイアに僕も賛成ですよ」
という具合。相手の名前を呼ぷだけで、「1対1」の距離感は圧倒的に縮まり、親しみが湧く。
初対面の人と名刺交換をしたら、その名刺を目の前に置いておいて、意識的に何度も相手の名前を呼ぶようにする。そうすることでその人の名前も覚えやすいし、相手も話していて悪い気はしない。
■7.会話で逆接の接続詞を使わない
「でも」「だけど」と言うクセのある人がいる。きっと、自分でも気づいていないのではないだろうか。
逆接の接続詞は会話には要らない、これが私の考えだ。(中略)
会話をしていて、自分の話に対して「でも」と切り返されて気分のいい人はいない。論を闘わせるディべートや討論の場ならば使う可能性もあるが、ふだんの対面状況では逆接の出番はない。私は、基本的に文章を書くときしか使わない。
「でも」と言いそうになったら、もう一度頭を整理してみる。書き言葉とは違って、これから自分が言おうとすることは、たとえ相手の意見の反対を言う場合でも、接続詞「でも」なしで言うことができるはずだ。
【感想】
◆本書の「はじめに」で、齋藤先生は「対面力」について「状況に即応して、場や相手にアジャストしていく力」であると言われています。曰く「柔軟に相手に合わせつつ、自分を印象づけ、『この人とまた会いたい』と思われるための能力」である、と。
当ブログでも、初対面の印象を良くしたり、相手に好かれたり、といったコミュニケーション本や、モテ本をご紹介してきたため、一部ネタ的にかぶるところはありました。
「相手の目を見る」ですとか「笑顔でいる」あたりは、本書に限らず「ド定番ネタ」ですし。
◆ただ本書の特徴として挙げられるのが、「カラダ」に趣きを置いているお話が多いところ。
これは上記ポイントの1番目が典型的で、まず「カラダありき」だったりします。
ポイントの4番目の「笑顔」でも同様で、「笑う」以前に「笑えるカラダかどうか」が問題。
本書では、営業職の人に対して、訪問先を訪ねる直前に、この「ジャンプ、ジャンプ、肩をほぐす〜」をやってみることを推奨していますが、確かに誰かと対面する前にやておけば、効果がありそうな。
◆こうした「カラダ」ネタが詰まっているのが、下記目次のタイトルでもお分かりのように第1章で、以後の章は「王道」というか類書とも通ずる内容。
第2章で登場するのも、「話す」「聞く」といったコミュニケーションの基本部分なので、こちらも押えておきたいところです。
割愛した中で、「なるほど」と思ったのが、「『話は違いますけど』と言わない」というお話で、要は「変えているようでも、つながりは持続させる」ということ。
例えば、相手の言葉によって、自分の脳が刺激されて思ったことは、「今の話で思い出したんですが」「それと似た話で」という風に話すことで「つながりを保つ」のが大事なのだそう。
……女性の会話だと、全然ぶった切ったテーマで話がコロコロ変わるイメージがあるんですが、あれはいいんじゃろか。
◆一方、第3章、第4章はちとテーマが抽象的で、前半部分に比べるとTIPSとして抜き出し難かったです。
1つ面白かったのが、第4章にあった対面力の鍛え方(?)で、洋服などを試着した上で「買わずに気持ちよくそこを出る練習」をせよ、と。
お店はもちろん、たとえ買わなくても気持ちよく送り出してくれるでしょうけど、「買わずに感じよく立ち去る」には対面力が必要です。
それはまた、店員さんの対面力を見きわめる練習にもなるとのこと……って、まるでナンパのターゲットを探すときのようなw(違
コミュニケーションは、まず「カラダ」から!
「対面力」をつけろ! (光文社新書)
第1章 対面力の基本は「からだのレスポンス」だ
第2章 話し上手・聞き上手・間合い上手にこうしてなる!
第3章 「世渡り上手」を実践しよう
第4章 「つながる」「広げる」対面力の磨き方
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。自分でやったほうが確実(はやい)! がなくなる任せる技術 (Asuka business & language book)
会社員時代は任せるのが苦手で、結局独立してしまったため、未だに上手くできない自分……。
ご声援ありがとうございました!
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