2013年06月15日
【社畜?】『「社畜」と言われようと会社は辞めるな!』上田信一郎
「社畜」と言われようと会社は辞めるな! 角川SSC新書
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、タイトルから考えたら、かなりハードそうな雰囲気の1冊。ただし内容的には、意外と「真っ当」で、いい意味でも若干悪い意味でも「想定外」でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「65歳定年制」を前向きに実施できるのは大企業のわずか。定年延長・再雇用の問題は賃金大幅ダウンをはじめ、安易に判断できない罠だらけ。年金支給開始70歳も叫ばれる中、早期退職などの最新動向を追いながら、どうすれば正社員として長く働くことができるのかを探っていく。
定年は先でも、今のうちからやっておくべきことが……。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.今の会社で長く勤める3つの方法第1は、現在の職場・仕事での実績を上げ、昇進・昇格のチャンスを増やし、生き残りを図ることです。置かれた環境、職場によって異なりますが、自分の成長・実績づくりのために、展望を持って仕事に邁進することが大切です。(中略)
第2は、専門職でのポジションを確立し、スペシャリストとして生き残りを図ることです。経営状態が良ければ、定年後も戦力として評価され、会社側から慰留され、長く勤め続ける道が開かれるケースもあるでしょう。
第3は、とにかく会社に何を言われようともぶら下がって、辞めないことです。これは最後の手段のように思われるかもしれませんが、守りを固めるように見えて攻めの姿勢を必要とすることなのです。
■2.会社の仕事ではなく、自分の仕事という意識を持つ
まずは、小さなことからで構わないと思います。少しでも署名入りの資料を残す、ということでいいのです。その次に、企画提案書を出す、自分のプレゼンテーションができるようになる、というふうになってくれば、たとえ企画が採用されなくても、自分の仕事が確認でき、自信につながっていくはずです。
そうして、会社に評価される人間、かけがえのない人材となっていくのではないでしょうか。
転職の際にも、職務経歴書に自分のやってきた実績を具体的に書けるというのは強いアピールであり、武器になります。
■3.キャリアの蓄積が効く、専門職に就く
日本企業におけるキャリア形成は専門性の蓄積が弱く、所属企業や所属部門のネットワークだけが強い人材をつくってしまい、業務内容の個別性からも他社では通用しにくい傾向があります。業界や企業を超えて通用するプロフェッショナルが少ないのです。日本でアメリカほど「へッドハンティングされた」ということを聞かないのは、それだけそういう人材がいないことの裏返しとも言えます。非常に限られた人材だけが、業種を超えてへッドハンティングされる場合があるということでしょう。
他社でも通用する専門性の蓄積はいざというときの武器になるので、企業内で長く勤めようとするならば、キャリアの蓄積に務めたほうが賢明です。
■4.営業・販売職は大口願客、リピーターを増やす
銀行や証券会社、生損保の法人担当やメーカーのルートセールス担当には、顧客が営業マン個人に付いている場合があります。いわば、指名です。
水商売などでも個人に顧客が付いていて、指名されるほどに評価が上がるそうです。夜の商売とは比較できませんが、このような指名は「セールスの財産」と言っていいでしょう。会社にとっても「余人に代え難い」ということになります。ライバル企業からは、スカウトの対象になるでしょう。
■5.出向も必ずしもネガティブとは限らない
仕事内容は様々ですが、困難を抱えた系列会社への出向では、そこで業績を改善し力量を認められて本体へ復帰したり、新たなチャンスをつかんだ人もいます。また、小回りの効く会社のほうが性分に合っていて、かえって面白い仕事に出会える場合もあるかもしれません。「出向をすべてネガティブにとらえることはない」と断言しておきます。
■6.大企業出身者が陥るミスマッチとは?
私が転職人材バンクの仕事をしていた時、大企業にいた人が中小企業への転職を検討した際に、「あまりに組織ができていないので、これではダメだと思った」という話を聞いたことがあります。しかし、中小企業側は組織ができていないからこそ、大企業経験者の力が必要だと思っているのです。組織自体を、しっかりつくっていく、まとめていく力がほしいのです。しかし、実際には、その大企業経験者はでき上がった組織の中で仕事をしてきただけで、組織を最初からつくることには自信がなかったのです。まさに、ミスマッチの代表例です。
■7.独立するための資格選びの5つのポイント
・ポイント1「開業可能な分野か」
・ポイント2「自分のやりたい仕事に関連する分野か」
・ポイント3「自分の適性に合った分野か」
・ポイント4「飽和度はどうか」
・ポイント5「関連ビジネスの成長性があるか」
(詳細は本書を)
【感想】
◆タイトルだけだと良く分からなかったのですが、本書の軸足は、どちらかというと「シニア層」に向いており、下記目次にあるように第3〜6章あたりは、現状の制度のお話や、今後の見通しがほとんど。「65歳定年制」や「再雇用制度」、さらには可能性としての「70歳定年制」等、ミドル層以下のビジネスパーソンにとっては、まだまだ先の話になります。
その辺が冒頭で触れた、ネガティブな方の「想定外」。
とはいえ「首を切られない」ためには、若いうちからキャリアを積むことも必要であり、今回はその辺を中心に抜き出してみた次第。
特に私もそうだったのですが、文系のスタッフ職(総務、経理等)だと、つぶしが効かないことが多々あります。
ですから上記ポイントの4番目にあるように、「余人に代え難い」人材になることが重要なワケでして。
◆また、「余人に代え難く」ならなくても、上記ポイントの1番目にあるように「会社に何を言われようともぶら下がる」戦法もアリ。
その関係で、最近話題となっていたのがベネッセの「追い出し部屋」を違法とした判決です。
ベネッセが全面敗訴 “リストラ被差別部署”での社内就活&退職勧奨は「人事権の裁量範囲を逸脱」:MyNewsJapan
ベネッセのほかにも、日立製作所、パナソニック、ソニー、NEC、東芝etc...といった会社にも同様の「追い出し部屋」とみられる部署があるそうで、私も会社を辞めなかったら、そこにいたのかもw←笑えない
ちなみに本書では、そういった「不当な扱い」への対応策が軽く触れられていますが、ここでは割愛。
と言うか、そこに配属されないよう努力したいところではあります。
◆もちろん、必ずしも会社にそのまま残らなければならないワケでもないので、出向の可能性や転職、独立等も考えておくべき。
まず、出向に関しては、どの本にあったのか失念しましたが、一度、海外の子会社なりの経営を経験していないと、本社のトップにはなれない、というお話があった気が。
また、独立については、上記ポイントの7番目にもあるような観点で、資格を選ぶ必要があります。
この中で分かりにくいのが4番目の「飽和度」なんですが、これは例えば、今からFP(ファイナンシャル・プランナー)で独立するには、よほどの営業力がないと難しいかも、ということ。
資格を取れる、取れないと同時に、それで食べて行けるか、という観点も大事ですね。
◆……と、当ブログの読者さん仕様でまとめてみましたが、やはり本書を一番活かせるのは、ある程度「定年」を意識した層ではないか、と。
今回ほぼ丸ごと割愛した第3〜6章あたりは、逆に必読だと思います。
かくいう私も思いっきりアラフィフだったりしますし、かつての上司たちが年賀状で「働き口ないですか?」みたいなこと書かれていて、結構切なかったりするのですが。
もっとも、そのお年まで会社が存続していたことを感謝すべきなのかもしれませんけどね。
ベストの選択をするために読んでおきたい1冊!
「社畜」と言われようと会社は辞めるな! 角川SSC新書
序章 終身雇用崩壊、正社員も安易に解雇される時代に
第1章 現役世代は、どうすれば生き残れるのか
第2章 首を切られないために、心がけておきたいこと
第3章 70歳まで働く時代がやってきた
第4章 見直しが始まった定年制と65歳定年の動き
第5章 再雇用制度とその実態
第6章 60歳定年後、再就職の厳しい現状
最終章 今こそ、能力次第で転職や独立も視野に
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【オススメ】「キャリア・ショック」高橋俊介(2009年04月11日)
【編集後記】
◆成毛 眞さんの本がいよいよ発売!40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。 新・ミドルエイジ論
これも読まなくてはw
ご声援ありがとうございました!
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