2013年05月25日
【弱者?】『ノムラの教え 弱者の戦略99の名言』野村克也
ノムラの教え 弱者の戦略99の名言
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、おなじみ・野村克也氏による自己啓発本。球界きっての「頭脳派」として知られる野村さんだけに、「野球」をベースにしていながら、そのまま私たちの「人生」にも通ずるものがありました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
弱者はいかに闘い、いかに勝つべきか。現実をどう認識し、戦略を練るかですべては決まる。闘う前から勝負を捨てた者にチャンスが巡ってくることはない──。
自身、無名高校からテスト入団し、捕手として打者として頂点を極め、監督としても万年Bクラスのチームを常勝軍団に育て上げた野村克也氏。人間の能力や才能の差など、ほんの僅かにすぎない。その人の意識のありようで、現実はいくらでも変えられます。
本書では、そんな野村監督がこれまで語ってきた至高の名言を厳選した、人生を変える名言集です。
私はテレビで野球を見なくなって久しいのですが、本書の言葉には痺れました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.未熟者にスランプなし。たんにつまずきをこじらせただけ未熟者が結果が出ないのは、たんに「つまずきをこじらせただけ」だ。
未熟者は熱意や研究、向上心に欠けるがゆえに、ちょっとつまずいただけで大げさに、しかも軽々しく「スランプ」と思い込んでしまう。たんに未熱であるから結果が出ないだけなのに、スランプだと勘違いしてしまうのである。未熟者にスランプなどあるわけがないのだ。
■2.欲から入って、欲を捨てろ
人間は誰しも欲がある。欲は人間を成長させる原動力になる。欲があるから努力もできる。しかし、それに凝り固まってはいけない。結果がよくないばかりか、自己中心的になって周囲にも悪影響を与えることになる。
欲から入り、最後は欲を捨てること。それが成功の秘訣だ。欲を自制する力を「セルフコントロール」と呼ぶ。セルフコントロールを身につけ、チームのためにできること、やるべきことを第一に考えれば、不思議なもので結果もよくなるのだ。
■3.覚悟に勝る決断なし
私は、どのような結果が出ようと、責任はすべて自分が引き受けるつもりでいた。その結果がそれまでの野球人生を台無しにしかねないものであっても、かまわない。そう覚悟を決めてしまえば、人間は意外に身軽になれるものだ。人事を尽くして天命を待つ――そういう心境に素直になることができるのである。
選手・監督時代を通して、私にはいくつも危機があったけれど、それを乗り越えられたのはすべて、覚悟を決めたからだった。迷ったときは覚悟を決めることだ。
■4.人間は無視・称賛・非難の順で試される
その人間が箸にも棒にもかからない状態のときは「無視」。少し見込みが出てきたら「称賛」。そして組織の中心を担う存在になったら「非難」する。これは、すべての分野で一流の人間を育てるための原理原則である。
逆の立場からいえぱ、「無視」されたとき、「称賛」されたとき、そして「非難」されたときに、どのように受け止め、いかなる行動をとるかで、一流になれるかどうかが決まるということだ。まったく実力がないのに、無視されてふて腐れるようでは見込みはゼロだ。「どうしたら認めてもらえるか、何をすればいいのか」と考えることから人間の成長がはじまるのだ。
■5.「もうダメだ」ではなく「まだダメだ」
たいていの人間は、ほんとうの限界を知る前にあきらめてしまう。そして、うまくいかない原因を才能の有無に求めてしまう。豊かになった現代では、ほかの道で生きていくこともできるし、何でも懇切丁寧に教えてもらえる。けれども、真の限界に突き当たり、自らそれを乗り越えようとする気持ちを持たなければ、同じことを繰り返すだけだ。限界だと挫けそうになったときは、「もうダメだ」ではなく「まだダメだ」と考えるべきなのである。
■6.若いときに流さなかった汗は、年老いて涙に変わる
誰でも最初は大志を持っている。しかし、環境に慣れ、それなりに仕事をこなせるようになると、手を抜くことを覚えたり、遊びに精を出したりして、初心を忘れてしまう。もっと向上しようという意欲が薄れてしまう。そして、気がついたときにはもはや手遅れになってしまうのだ。
若いときに怠けたり、楽をしたりして流すべき汗を流さないと、歳をとってから泣くことになる。だから昔からいうのである。「若いときの苦労は買ってでもしろ」と――。
■7.開き直りとやけくそ、やぶれかぶれは違う
私にいわせれば「開き直り」とは、できるかぎりの準備をしたうえで、それでも追い詰められたとき、覚悟を決めてその瞬間に自分の持っているすべてを出し切り、燃焼することである。「人事を尽くして天命を待つ」といってもいい。だから成功する確率が高くなるわけだ。
対して「やけくそ」とは、何の準備も考えもなしに、イチかバチの賭けに出ることをいう。「あとは野となれ山となれ」ということだ。つまり、日頃の研究、工夫、努力、練習量、経験に裏打ちされない開き直りは、たんなるやけくそ、やぶれかぶれに過ぎないのである。そこを誤解してはいけない。
【感想】
◆私は読書の際にはいつも、本文を読む前に、前書きや目次から読みます。本書の場合は、目次がそのまま「名言」になっており、リアル書店でその目次=名言を目にを通しただけで、購入を決定。
いや、さすがに深いっす。
99個そのまま丸写しにして記事にしたいくらい(違。
今まで野村さんの作品をご紹介してきませんでしたが、本書は私のように「野球に関心がない」方でも読んで得るところがあると思われ。
◆そもそも私の場合、野村さんと言えば、「監督」としてしか知らなかったのですが、選手としての経歴もピカイチです。
アマゾンの著者紹介によれば「3年目に本塁打王。65年、戦後初の三冠王(史上2人目)など、MVP5度、首位打者1度、本塁打王9度、打点王7度。ベストナイン19回、ゴールデンクラブ賞1回」とのこと。
ただし、そんな野村さんが、入団当初は「テスト生」だったことや、1年目にはクビを言い渡されていたことは、全然知りませんでした。
そういう状況をいかに乗り越えてきたのか、そしてその後、いかに上記のような主力選手になったり、ヤクルト、阪神、楽天等で「名監督」と呼ばれるようになったかの「考えかた」「行動指針」が本書には詰まっています。
そしてそれは、冒頭で申しあげたように、そのまま「自己啓発」の教えとなるもの。
上記で挙げたポイントを読んだだけでも、その「濃さ」はお分かりになると思います。
◆また「テスト生」だった本人同様、監督時代も下位に低迷する球団を率いることが多かったせいか、そこからのしあがろうとする戦略は「弱者」のためのものがほとんど。
それがゆえに、サブタイトルにも「弱者の戦略」と入っているのでしょうが、まさに「言い得て妙」です。
それは「天才」長嶋茂雄や「常勝」巨人軍のやり方とは一線を画すもの。
名言の1つに「あんなカンピューター野球に負けてたまるか」とあるのはご愛嬌なんですが、そこでも「勘」が「根拠のない思いつき」であるのに対し、「ひらめき」は「脳のどこかに蓄積された経験、知恵、知識が状況にしたがって的確に発信される」と指摘されていて、なるほど確かに。
それがゆえに、選手たちに常日頃から「いろいろな知識を拾い集めろ」と言われていたそうですから、それは選手も伸びます罠。
◆なお、本書では人気野球漫画『グラゼニ』とのコラボレーションとして、ページ内に『グラゼニ』のシーンがイラストとして採用されています。
スイマセン、私はこの漫画を読んでなかったのですが、「才能に恵まれなかった主人公が努力や工夫でそれを補う」的なお話なんですね。
グラゼニ - Wikipedia
モーニング公式サイト - 『グラゼニ』作品情報
確かに野村さんの生き方に通じるものもありそう。
食わず嫌いするにはもったいない良書です!
ノムラの教え 弱者の戦略99の名言
「不器用は最後に器用に勝る」
「未熟者にスランプなし」
「才能のない者の武器は考えること」
「他人が下した評価こそ正しい」
「進歩とは変わることである」
「組織はリーダーの力量以上には伸びない」
「若いときに流さなかった汗は、年老いて涙に変わる」
「『失敗』と書いて『成長(せいちょう)』と読む」
ほか
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【編集後記】
◆本書と同時発売の野村さんの作品。負けかたの極意
メルマガで土井英司さんが激賞していたので、こちらも気になるところです。
ご声援ありがとうございました!
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