2013年05月22日
【和田式勉強法完全版?】『できる大人の勉強法大全』和田秀樹

できる大人の勉強法大全
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、お馴染み和田秀樹先生の勉強本。しかも、今、巷で流行りの「大全形式」ということで、まえがきで和田先生いわく「これまで提唱してきたさまざまな勉強法について1冊にまとめた」作品とのことです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
テレビで大活躍、和田式勉強法を提唱して「受験の神様」として知られる著者が、社会人に贈る。会社の仕事に役立つ勉強法や生涯学習を無理なく続けらるノウハウを惜しげもなく披露。大人のための一生使える学習参考書です。
今回は、当ブログの読者の皆さまの嗜好に合わせて、受験に関係する「狭義の勉強本」的な内容を選んでみましたので、ご覧ください。

【ポイント】
■1.理解力は良い解説書で高める理解力は、自覚次第でかなり高めることができる。少しでもわかりやすい解説書を探せばいい。これはどんな勉強においても基本的なテクニックである。最近は、さまざまな資格試験や、興味のある分野について、かなりわかりやすい解説書や入門書が出されている。よい入門書、解説書と出会えるかどうかが成功の鍵を握る。
■2.記憶してから9時間以内に復習する
「長期記憶」として定着させるための方法論で最も確実なものは、「復習」である。
人間の記憶というのは、頭に入ってから時間が過ぎるにつれて消えて行く。とくに、記憶してから9時間までのあいだに、記憶の保持率は急速に低下する。この時間で覚えたつもりの「中期記憶」がどんどん消えてしまうわけだ。
しかし、「中期記憶」がまだ残っているあいだに反復学習すると、記憶の保持率が飛躍的に高まる。これだけは忘れずにやることだ。
■3.復習は長ければいいわけではない
クリューガーという心理学者が興味深い実験を行っている。これは、一定の数の単語を覚える際の復習時間を比較するというものだ。
実験によれば、単語を覚えるのにかけた時間の半分の時間を復習にあてた場合と、覚えるときと同じ時間をかけて復習した場合とでは、記憶の保持率に大差はないことがわかっている。ここからわかるのは、「復習は長ければいいというものではない」ということ。それよりも、短時間に、効率よく進めるのが効果的だ
■4.「単体」でなく「セット」で覚える
歴史でも、「坂本龍馬は何年に何をやった」と単体で覚えるよりも、いっぱいエピソードを入れたほうが、かえって覚えやすくなる。
私たちが思っている以上に、記憶のネットワークというのは深いところに入り込み、いろんなものがセットになっている可能性がある。そして、出力の際は、付帯情報がくっついたほうが、「キュー(きっかけ)」がいっぱい出てくる分だけ、かえって引き出しやすくなっているのだ。
■5.短期間で合格した人に聞くべき5つのポイント
(1)どの参考書、解説書、入門書、問題集がわかりやすく、実戦的だったか
(2)予備校は、どの予備校が一番すぐれているか
(3)合格には、トータルでどのくらいの勉強時間が必要だったか
(4)一番点のとりやすい単元、とりにくい単元はどこか
(5)勉強生活の中で、何が一番効果的だったか、何が一番ムダだったか
■6.調子が悪いときは「守りの勉強」をする
自分が落ち込んでいる、うつだと思うときは守りの勉強をしてみるほうがいい。簡単にいうと、新しいことを覚えるのではなく復習をするということで、新たなことにチャレンジするような「攻めの勉強」は調子のいいときにする。
調子が悪いときに復習をしていると、意外と「できる自分」を発見することも多いし、落ち込んでいるときに復習したほうが自分のできないところとか、わからないところとか、覚えていないところが見つかりやすいのだ。
■7.勉強は「やり方」を知っているか否か
昔、高学歴の親を持つ友達の勉強法を真似て、自分の勉強のやり方を変えたら、とたんに成績が伸びたことがあった。そのときに、私はあることを確信した。高学歴の親を持つ子どもが勉強ができるのは、基本的な才能の差ではないということをだ。単に、親が勉強のやり方を知っているから、子どももうまい勉強のやり方を身につけることができているというだけの話だったのだ。
要するに勉強のやり方を知っているかいないか。その差にすぎないという結論をこのときに出した。だからやり方を真似して勉強をしただけで、成績が急に上がっていったのだ。
【感想】
◆今回は冒頭で申しあげたように「狭義の勉強法」を選んでみましたが、本書自体は下記目次の通り「広義の勉強法」も多々。完全に「狭義」と言えるのは、第4章と第6章で、後はアマゾンの内容紹介にあるように「社会人のスキルアップ」的な内容が目立ちました。
ですから、本エントリーを読まれて、本書が「ガチ」な受験用勉強本だと思われると、ちと困ります。
帯の一番下にあるフレーズである「会話力、読解力、記憶力、そして実行力が身につく」というのが、本書の本質と言えるでしょう。
◆とはいえ、和田先生も伊達に「受験の神様」と言われているわけではありません。
今回抜き出した部分以外にも、本書には受験用の記憶術、勉強法テクニックは盛りだくさん!
類書とネタがかぶっているので割愛しましたが、定番の「過去問」「チャンキング」「語呂合わせ」「他人に話す」「音読」あたりは、当然完備しております。
逆に、これだけ勉強本を読んでいる私が、まだ知らないネタがあったのが意外だったと言いますか。
例えば、「復習が重要である」というお話は何度も目にしておりますが、「9時間以内に」というのは初耳でした。
なお、和田先生は、「復習は短時間でもいい」というお話に続いて、朝のちょっとした時間を使った「起きがけ復習」を勧めてらっしゃいますので、ご参考まで。
◆ところで、もともと私が和田先生のことを知ったのは、『ドラゴン桜』のルーツとも言われた『スーパーエリートの受験術』でだったのですが……。

スーパーエリートの受験術―キミにもできる
参考記事:【驚愕!】「幻の絶版勉強本」にとんでもなく高い金額が付いている件(2007年08月20日)
この本の中で薦められていた和田先生の『受験は要領』という本は、当時受験生の間ではバイブルだった模様。
そもそも「数学は暗記せよ」というのも、和田先生が言いだしっぺのようですし。

和田式要領勉強術 数学は暗記だ!―受かる青チャートの使い方 (大学受験合格請負シリーズ)
今のテクニカルな勉強法の原点は、和田先生にあると言えそうです。
◆ところで本書は、他の「大全シリーズ」と違って、元ネタとなる本が明記されていません。
版元サイトで検索かけても、版元では和田先生はこの本しか出していないようですし、冒頭の「まえがき」の表現の仕方からしても、一応「書き下ろし」なのだと思います。
なまじ大量に本を出されている和田先生だけに、元ネタ本を調べたくても調べようがないのですが……。
Amazon.co.jp: 和田 秀樹
その割には、「復習が大事なこと」とか「睡眠時間を削ってはいけないこと」が、本書内でかぶっていたのはご愛嬌。
多作な著者さんを避ける傾向がある方(含む私)は、和田先生もそのリストに入れてらっしゃるかもしれませんが、本書は3冊分くらいのコンテンツは詰まってますから、コスパは悪くないと思います。
和田式勉強本のエッセンスがここに!

できる大人の勉強法大全
序章 楽しくなければ勉強じゃない
第1章 「頭のいい人」の勉強法
第2章 会社で生き抜くための勉強法
第3章 文章力、会話力を伸ばす勉強法
第4章 記憶力を急上昇させる勉強法
第5章 活字理解力を伸ばす勉強法
第6章 試験を勝ち抜く勉強法
第7章 人間関係を円滑にする勉強法
終章 人はいくつになっても勉強ができる
【関連記事】
【勉強体質】「コツコツ勉強するコツ86」和田秀樹(2008年11月14日)【和田版「ドラゴン桜」?】「受験のシンデレラ」和田秀樹(2008年09月05日)
【勉強】『1日1分!目からウロコの勉強法』匠 英一(2013年04月27日)
【勉強法】『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』清水章弘(2013年04月13日)
最新脳科学が教える『記憶力を磨く方法』(2013年02月16日)
【編集後記】
◆同じ勉強本で気になっているのがこちら。
偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法 角川SSC新書
和田先生もそうですが、勉強本業界では、やはり「東大ブランド」は偉大です。

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この記事へのコメント
和田先生の本は、私もたくさん読んできましたが、とても参考になる内容が多いですよね。こちらの本は、まだ読んでいませんでしたので、さっそく読んでみたいと思います。
Posted by 短時間睡眠法に挑戦中 at 2013年05月22日 20:38
>短時間睡眠法に挑戦中さん
コメントありがとうございます。
私は逆に和田先生の本はあまり読んでなかったので、本書もお買い得な感じがしました。
それにしても先生、本出し過ぎでは……(汗)。
コメントありがとうございます。
私は逆に和田先生の本はあまり読んでなかったので、本書もお買い得な感じがしました。
それにしても先生、本出し過ぎでは……(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年05月23日 06:59
またまた登場の五条(偽名)です。
実は、和田式勉強法は実践してました。
過去問の研究を筆頭に本に繰り返し書かれているところはほぼ真似てました。
一年の浪人後、見事に(偏差値が17くらい上だった)志望校に合格できましたので、私には効果ありでした。
当分の間は資格試験を受けることはなさそうですが、普段の仕事に役立ちそうな2章と5章と7章と終章を吟味後、購入するかしないかを決めようと思います!
実は、和田式勉強法は実践してました。
過去問の研究を筆頭に本に繰り返し書かれているところはほぼ真似てました。
一年の浪人後、見事に(偏差値が17くらい上だった)志望校に合格できましたので、私には効果ありでした。
当分の間は資格試験を受けることはなさそうですが、普段の仕事に役立ちそうな2章と5章と7章と終章を吟味後、購入するかしないかを決めようと思います!
Posted by 五条勝 at 2013年05月25日 13:59
>五条(偽名)さん
『ドラゴン桜』のやり方を見て、和田先生を思い出された方も多いみたいですし、やはり効果はあるんですね!
私の場合、高校から大学の付属校に入ってしまった関係で、ちょうど和田先生の洗礼を受けてないのですが(汗)。
個人的には勉強本は、あくまで「受験のため」のものが好きなので、本書も激プッシュはできませんが、コスパは良いと思います!
『ドラゴン桜』のやり方を見て、和田先生を思い出された方も多いみたいですし、やはり効果はあるんですね!
私の場合、高校から大学の付属校に入ってしまった関係で、ちょうど和田先生の洗礼を受けてないのですが(汗)。
個人的には勉強本は、あくまで「受験のため」のものが好きなので、本書も激プッシュはできませんが、コスパは良いと思います!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年05月26日 14:27
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