2013年05月11日
【読書術】『賢人の読書術』成毛眞,松山真之助,藤井孝一,中島孝志,平野啓一郎
賢人の読書術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、成毛眞さん、松山真之助さん、藤井孝一さん、中島孝志さん、平野啓一郎さんという「5賢人」による読書術の競演本。皆さんそれぞれ、スタイルは違えど、読書に関しては一家言お持ちの方ばかりです。
アマゾンの内容紹介から。
メモ書き込み、速読、ミニレポート…オリジナルの読書を楽しむ。論理力・記憶力を高める読み方とは?多読・精読の両輪で読書を習慣化。教養の高い人間を目指せ。
本好き、読書好きの方なら、要チェック!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.成毛眞さん『大衆から抜け出すための「多読」の技術』◆成毛さんが推奨するのは、多ジャンルを同時・並列的に読む「超並列読書術」!
そもそも超並列読書術では、本をはじめから最後まで通して読む必要はない。また、読んだ内容を覚えていなくても構わない。読書において重要なのは、本を全部読んで内容を頭に詰め込むことではなく、読むことで衝撃を受け、自分の内部に精神的な組み替えを発生させることである。読んだ内容を覚えていなくていい、というのは、ビジネス系の読書術とは一線を画するもの。
たとえ読んだ内容をほとんど忘れていたとしても、何かを考えたり、アイデアをひねり出すときに、それまでに読んだ本が必ず影響している。無意識のうちに確実に自分の血肉になっているのだ。
むしろ、複数のアイデアの「組み合せ」によるひらめきを求めているかのような感じです。
◆さらにこういうお言葉も。
超並列読書術では、目的意識をもって本を読んではいけない。(中略)やはりアイデアのために読書をされるよう。
目的を決めて本を読むと、その目的に縛られてしまい、決まった内容の本しか手にとらなくなる。それでは世界が狭まり、目新しいアイデアは浮かびにくくなる。
人が思いつかないような斬新なアイデアを生み出し、仕事の幅を広げるのは、一見仕事にまったく関係ない本であることが多い。だからこそ、仕事に役立てよう、教養をつけようなどと目的を決めずさまざまな本を読むことが大切になってくるのだ。いやぁ、目的意識も問題意識も持たないで本を読む、というのは、非常に勇気のあることだと思います。
加えて、問題意識をもって本を読むこともやめるべきである。問題を念頭に置くと、重要な部分を読み落とす恐れがあるからだ。
とりあえずテクニカルな本やノウハウ本を読むと、すぐに役立つ情報が入手できるのに対し、この成毛さんのスタイルだと、「いつ花開くか分からない」アイデアのために多読するわけですから。
ちなみに成毛さんには、以前講演会で「ビジネス書以外の本を読んでビジネスに活かせ」と言われたことがありますがw
参考記事:【読書】成毛眞さんのセミナー「遠くを見すえるための非ビジネス読書術」に潜入してきました(2011年05月11日)
<当ブログにおける関連書籍>
実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)
参考記事:【オススメ】『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ 』成毛 眞(2010年07月10日)
■2.松山真之助さん『価値ある良書を手にするための「選書術」』
◆松山さんは「選書術」ということで、「リアル書店 vs ネット書店」「本の内容を瞬時に把握する方法」「アマゾンの評価の正しい読み方」なんてお話をされています。
また、いわゆる「ベストセラー」については、このように。
売れる本には何かしら売れる理由があるものだ。特にべストセラーランキングの上位に入るような本は、時代の流れをうまく捉えていたり、切り口が斬新だったりといった具合に、見るべきポイントがある。ベストセラーは、その時点で売れている、というだけで、目を通す価値がある、と土井英司さんも以前言われていたことが。
したがって、特別に興味がわかない本であっても、売れ線の本であるならば、実際に手にとって本の内容を確認してみるといい。パラパラとぺージをめくっているうちに、人気の理由が見えてくる。
さらに付け加えるなら、その時代その時代における「空気」との関係もあるので、後になってから読むのではなくて、売れている時点で読んでみることがキモではないか、と。
◆また、もう1点納得したのが「元ネタ本を読む」というお話。
実はビジネス書というのは、先達の名著を元に再構成した本が多い。たとえばマネジメントのノウハウ書は、ドラッカーの『マネジメント』という名著から派生した本であることが多く、ドラッカーの影響を受けていない本を探すほうが難しいくらいだ。他にも挙げると、この本も色々な作品(特にセールス本)の「元ネタ」として有名ですね。
であれば、派生本を数冊読むよりも、元本を読んだほうが、金額的にも安くすむし、時間もムダにならないのではないだろうか。
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)
「恋愛にも使えるんじゃね?」ともう1本書いた記事もありますがw
<当ブログにおける関連書籍>
マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ
参考記事:「マインドマップ読書術」松山 真之助 (著)(2005年01月21日)
■3.藤井孝一さん『本を読み、活かすための「インプット・アウトプット術」』
◆藤井さんは、上記のお二方に比べて選書が「ビジネス書寄り」なこともあってか、まずこのようなお話から。
仕事上の必要があって読む本は、深く読むよりも数多く、しかも効率的に読まなければならない。そこで本を読む前に、「自分の仕事に活かしたい」「考える力を強化したい」「最新のビジネス事情の知識を得たい」など、その本を手にした目的を改めて明確にしておくのである。藤井さんに限らず、「目的をはっきりさせる」という事は、ビジネス書を読む際によく言われているところ。
このプロセスをしっかり踏んでおくことにより、目的を果たすことに意識を集中して読み進めることができる。逆に目的をはっきりさせずに本を読むと、「ああ、そうか」「すごい。驚いた」という受け身だけで終わってしまい、本から得られるものが限られてしまう。
……って、よく考えたら、成毛さんの「目的意識をもってはいけない」というお話と真逆なんですがw
◆さらにもう1つ、「本は能動的に読め」とも。
能動的な読書とはどのようなものかというと、著者の意見や考え方を鵜呑みにせず、著者と対話するつもりで臨む読み方である。これまたごもっとも。
あたかも目の前に著者がいるかのように、「これ、間違っていないか」「こんなこと不可能ではないか」といった具合に、書いてある内容に疑問を呈したり、反論したりしながら読み進めていく。
他の著者さんの読書術でも「本にツッコミを入れる」ですとか、「本と対話する」というTIPSはよく目にします(次の中島孝志さんも「反論」部分に付箋を貼るとのこと)。
ちなみに、各章ごとに推薦本が挙がっているのですが、当ブログの選書に一番近いのが、この藤井さんでした。
<当ブログにおける関連書籍>
投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術
参考記事:【Amazonキャンペーン有】「投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術」藤井孝一(2008年10月27日)
■4.中島孝志さん『デキる仕事人になるための「読書習慣術」』
◆中島さんからは、「読書習慣」についてのお話が。
まず、中島さんの推奨する読書スタンスは、次の3つである、と。
ひとつ目は「縁読」。これは本から本へと"縁つながり"で読んでいくというもの。「縁読」は横方向、「追読」は縦方向の読書、と言ったところでしょうか。
本のなかで著者がほかの本を紹介していることがある。それをチェックしておき、片っ端から読んでいくのだ。
ふたつ目は「即読」。誰かが「この本、面白いよ」などと勧めてきたら、即、読むのである。(中略)
そして3つ目は「追読」である。ある著者の本が気に入ったら、その著者の本を飽きるまで追いかけて読んでみる。
「即読」は、「勧められたらその場で買う」というお話は読んだことがありましたが、中島さんの場合、さらに「すぐ読んでしまう」ワケですね。
◆そして中島さんも、読書の際には「付箋」を活用。
それではどういう部分をチェックするのかというと、先に述べたような共感部分と反論部分のふたつ。共感部分は自分の想像力を刺激してくれるし、反論部分は「こう考えたらもっと面白くなるのでは」と注文をつけることによって、オリジナルのアイデアになったりするからである。付箋を貼った後は、読み返したり、さらにデータ化されていらっしゃいます。
その具体的な方法等については、本書にてご確認を。
<当ブログにおける関連書籍>
キラー・リーディング 「仕事脳」が劇的に回り出す最強の読書法 (JBシリーズ)
参考記事:【速読・多読・省読】「キラー・リーディング」中島孝志(2007年09月29日)
■5.平野啓一郎さん
◆えー、平野さんの提唱するのは「スロー・リーディング」ということで、本来ビジネス書にはあまり向いていないのですが。
小説ならひとりの著者の作品が壬まれるには、10冊分、20冊分の本の存在が欠かせない。歴史、哲学、文学、政治、経済など、その著者は多くの本を血肉として1冊に結晶させている。そう言えば、最近、こんな記事がはてな界隈では話題になっていましたっけ。
つまり裏を返せば、スロー・リーディングで1冊の本をじっくり時間をかけて読み込むことで、10冊、20冊分の本を読んだのと同じ手応えを感じることができるのだ。その意味でも、スロー・リーディングは効果的なのである。
文章を「書ける人」と「書けない人」のちがい - デマこいてんじゃねえ!
このエントリーのように、例え「100を1にする」まではいかなくとも、「20冊を1冊に」というのは納得です。
もう1つ平野さんのお話で興味深かったのが「スロー・リーディングでは音読や書き写しは不要」ということ。
音読の場合、どうしてもうまく読むことに意識が集中し、内容への注意力が散漫になってしまう。このことは、自分で試してみるとよくわかるだろう。手近にある本を5ぺージ程度、音読したときと黙読したときで比べてみてほしい。どちらがより理解できるかは自明である。(中略)これは1つには、平野さんが「視覚優位」だからではないか、と。
もうひとつ、書き写すことで理解が深まったり、文章がうまくなるといわれることもあるが、これもお勧めしない。
書き写しには、音読と同じような側面がある。どうしても書き写すという作業に集中しがちになってしまい、内容や文章については少しも理解が深まらないのだ。
この本にも書かれているように、人には優位な感覚があるわけで。
一瞬で「人を動かす」心理術 (成美文庫)
参考記事:【50のレッスン】『一瞬で「人を動かす」心理術』三宅裕之(2012年07月23日)
ですから、人によっては、音読や書き写しも、効果があるんじゃないか、と思います。
ちなみに私も「視覚優位」だったので、税理士試験の理論暗記では、書き写しが「写経」になってましたがw
【所感などなど】
◆本書は5人の「賢人」が登場しますが、その読書術はさまざまです。上記でも触れましたように、成毛さんの主張と藤井さんの主張は真っ向から対立していますし、最後の平野さんの「スロー・リーディング」は、他の方々とはまったく異なるコンセプトに基づくもの。
そもそも、「スロー」で読んでいたら、書評メルマガを発行されている方は間に合わないわけですし。
ですから、読む側としてはケースバイケースというか、自分に合った方を選ぶことになると思います。
◆これが、平野さんの代わりに土井英司さんや本田直之さんが登場されていたら、また違った感じにはなったかと。
ただし、それだと藤井さんや中島さんとかぶる、ということで、ちょっと毛色の違う平野さんが選ばれたのかもしれません。
もっとも土井さんのセミナーに、以前、平野さんが講師として教壇に立たれたこともあったみたいですが。
「スローリーディング」 経営コンサルタント がんばれ社長!
結局、本書の表紙にあるように「多読・精読の両輪で読書を習慣化」すべきなのだと思います。
◆ところで、本書の属する幻冬舎の「賢人の●●術」シリーズ。
今回初めて読んでみましたが、色々な人のコンテンツを1冊で楽しめる、という意味ではなかなか良かったです。
私の場合、平野さん以外の方の読書術の本をある程度読んでいたので、知ってるネタもありましたが、そうでなければ「買い」かも。
ただし、「図解本かYO!」とばかりに出てくる図のほとんどは、なくてもそれほど困らないものなので、それが気にならない方ということでw
読書好きなら、一応チェックをオススメ!
賢人の読書術
1 大衆から抜け出すための「多読」の技術
2 価値ある良書を手にするための「選書術」
3 本を読み、活かすための「インプット・アウトプット術」
4 デキる仕事人になるための「読書習慣術」
5 ゆっくりじっくり本を読む「スロー・リーディング」の勧め
【関連記事】
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【Amazonキャンペーン有】「投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術」藤井孝一(2008年10月27日)
【速読・多読・省読】「キラー・リーディング」中島孝志(2007年09月29日)
【編集後記】
◆その「賢人の●●術」シリーズから。賢人のアピール術
自分はアピールが苦手なので、ちと気になります。
ご声援ありがとうございました!
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