2013年05月06日
【スライド作成】『研究発表のためのスライドデザイン』宮野公樹
研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、京大准教授で工学博士の宮野公樹さんによる、スライド作成指南本。/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
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| ` ⌒/ ─' 'ー\
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. ヽ / ⌒(n_人__)⌒ \ >>ついこないだもプレゼン本やったお!ムググ
ヽ |、 ( ヨ |
/ `ー─− 厂 /
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……それはさておきw
サブタイトルに『「わかりやすいスライド」のルール』とあるように、徹底的にスライド作りのデザイン面にフォーカスしています。
アマゾンの内容紹介から。
必要な情報がきちんと伝わるスライドは、聴衆にとって「わかりやすい」ものになっている。本書はスライド作りに欠かせない根本的な考え方と「見た瞬間に伝わってしまうスライド」のルールを厳選収録。ルールを守るだけで、誰でも簡単に「わかりやすいスライド」を作れるようになる。
特に「発表」「報告」等を人前で行う方なら「マストlな1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.結論から全体の流れを考えるプレゼンのスライドを作成していくうえで最初に手をつけるべきなのは、プレゼン全体の構成の検討です。プレゼンのスライドの順番を考えるとき、多くの方が自分が取り掛かった実験の順番にしたがってスライドを並べていき、最後に「結論に書くべき内容についてどう書くか?」と悩んでいるようです。間違いではありませんが、わかりやすいプレゼンを構築していくにはうまいやり方ではありません。
プレゼンであなたが伝えたいメッセージをわかりやすく明確に伝えるには、結論で何を主張するかを考えることから始めます。結論で何を主張するか決まったら、そこから帰納的に全体の流れを考えていくのです。
■2.スライドの全体構成を3つの観点でチェックする
スライド全体の構成が固まったら、聴衆の視点や教師、上司などスライドを評価する指導者の人たちの視点で全体をチェックします。聴衆や指導者の人たちの視点を想定する際に必要なのは、「オリジナリティはあるか?」「客観的・論理的か?」「正確か?」という3つの観点です。
聴衆や指導者の人たちがプレゼン終了後にしてくる質問のほとんどは、これらの観点のいずれかに基づいています。そうした質問をされないように、準備の段階でチェックして改善しておくことが、「わかりやすい」スライドの作成につながるのです。
■3.口頭説明なしでもメッセージが伝わるスライドを目指す
スライドに掲載する情報量を減らしていくと、いかに口頭説明で聴衆を惹きつけられるかが重要となってきますが、その口頭説明は簡単なものではありません。発表者のプレゼン力も必要ですし、聴衆がもともと持つ発表者への注目度が影響するからです。(中略)
本書を手に取るみなさんに目指して欲しいのは、「口頭説明なしでもメッセージが伝わるスライド」です。スライドを見た聴衆が、瞬時に発表者が伝えたいメッセージを理解でき、口頭説明の内容を予測できるくらいのスライドが理想です。
■4.文章で説明する内容を図に表す(イラストレーション)
イラストレーションとは、「文章を図に変換する」ことです。これは、「わかりやすい」スライド作成における基幹技術と言っても過言ではありません。文章で説明する内容を図に表すことで、聴衆が文章を読む負担を軽減し、短時間で視覚的に内容を理解できるようになるからです。(中略)
基本的なやり方は、次の5つのステップに分かれます。(1)伝えたい内容を文章にする
(2)キーワードを抽出する
(3)キーワードを分類する(グルーピング)
(4)相互関係を表現する
(5)内容を可視化する
■5.文字はゴシック体を使う
日本語の書体は、大まかにはゴシック体と明朝体の2種類に分けられます。一般的には、プレゼンではゴシック体がよく使われます。その理由は、文字の線幅が一定なので視認性が高いからです。
明朝体は、文字の線幅に太いところと細いところがあり、可読性に優れています。そのため、論文や企画書などにおける長い文章に向いていますが、スライドで明朝体を使うと、文字がちょっとチカチカした感じになります。また、文字の横向きの線は細いため、プロジェクタで投影したスクリーン上では読みにくくなりがちです。
このことから、スライド作成においては、基本的にゴシック体を用いるのがよいでしよう。
■6.安易に箇条書きに頼らない
「箇条書き」は、文章を分解して図解しているようにも見えるのですが、実は、文章だけで説明されている点において、文章だらけのスライドとほとんど変わりません。文章をそのまま読ませる状態より、多少マシなのですが、ごちゃごちゃしたスライドの領域は出ていません。
筆者は、「筒条書き」に安易に頼らないことをおすすめします。「箇条書き」で終わってしまっているスライドの多くは、「箇条書き」に頼らなくても相互関係を図で表現できます。仮に図に変換しにくいとしても、箇条書きの1項目ごとに別々のスライドに掲載するという手もあります。
■7.配色の原則はベース色、メイン色、アクセント色の3つ
スライドを見やすくするために理解しておきたいのが、配色の原則です。配色の原則では、1つのスライド上で使う色を、べース色、メイン色、アクセント色の3つに絞ります。
べース色は、背景など面積の広い部分に使います。明度が高く(明るい)、鮮やかさが低い(鮮やかでない)色が適しています。メイン色は骨格となる部分に使います。明度が低い(暗い)色が適しています。そして、アクセント色は目立たせたい筒所に使います。メイン色と色相が逆の色(反対色)が最適です。なお、この3つの中に黒と白は含まれません。
【感想】
◆本書は講談社のブルーバックスシリーズの中の1冊であり、形としては「新書」になります。それゆえお値段も税込で1000円しないのですが、これが何と「全ページフルカラー」という豪華さ。
写真のページは数ページしかないものの、そこを含めて、イラストや図、表、さらにコラムの枠線まで全てカラー仕様です。
例えば、上記ポイントの最後で「配色の原則」のお話が登場しましたが、本書では明度、彩度はもちろんのこと、色相の説明に至っては24色使って解説がなされているという。
ちなみに「ベース色、メイン色、アクセント色の組み合せ」については、パターン例が4つ収録されていますので、上記の説明でピンと来ない方は、本書にてご確認を。
◆また、こうした図や表自体も豊富で、先日の『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』が「見開き2ページのうち右ページが図解」だったのに対し、本書は「必要があれば見開き両ページとも図解」。
見開き2ページ文章が続くこともあれば、連続3ページを使って「コントラストの良い例、悪い例の比較」を行なったりしています。
この辺は、『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』が、見開き2ページで論点が完結しているのに対して、本書はそのような縛りがない、というのも理由の1つかと。
とはいえ、「全体の6割強で一番量が多い」第2部は、タイトルが『「わかりやすい」スライドを作成する技術』であり、ここはもう図解だらけ。
本書の帯にあるような「見た瞬間に伝わってしまうスライド」の具体例が多数収録されています。
◆実は、上記ポイントは、この第2部の途中で
その第2部の残りをかいつまんで解説すると
・グラフの原則(各グラフの特徴や、色、軸目盛りの使いかた等)
・表の原則(色の付けかたや罫線の使いかた等)
・写真とイラストの原則(トリミング、文字枠、背景等)
・図形や線を見映えよくする手法(角丸、矢印のバランス、点線、下線の使いかた等)
などなどが。
……うーん、カットした部分だけでも、もう1記事書けそうなw
◆上記ポイントで興味深かったのが、まずは3番目の「口頭説明なしでもメッセージが伝わるスライドを目指す」。
これは、プレゼンとしてはトップレベルにあるTEDのプレゼンターのやり方を安易に真似ることを戒めています。
私はてっきり、口頭説明がないと分からない位の説明の方が聞いてもらえると思ったのですが、そうではないよう。
また、6番目の箇条書きに関しては、目からウロコでした。
具体的な対処法が本書には明示されていますので、心当たりのある方はご参照のこと。
◆ただし、スライドの「デザイン」については、これでもか、とばかりに解説されているのに対し、スライドの「中身」については、やや注意を要するところ。
タイトルにもあるように、本書は「研究発表」を前提としているため、「現状と理想を述べ、そのギャップを解消する提案をする」ビジネスユースのプレゼンとはちと違います。
とは言え、「伝えたいこと」が「見た瞬間に伝わってしまう」デザインが望ましいのは、ビジネスでのプレゼンでも同じこと。
垢抜けなかったり、分かりにくいご自分のスライドを何とかしたい方なら、本書はきっと役に立つと思います。
実際、人前で発表する機会のあるウチのヨメに本書を見せたら、「後で貸して」攻撃を食らいましたw
より良いプレゼンを目指すならオススメ!
研究発表のためのスライドデザイン (ブルーバックス)
第1部 「わかりやすい」スライド構成にするために
第2部 「わかりやすい」スライドを作成する技術
第3部 スライド全体の構成を聴衆に伝える工夫
【関連記事】
【資料作成】『「伝わる」「通る」ビジネス資料作成術』渡辺克之(2013年05月03日)【プレゼン】『絶対!伝わる図解 面白いほど通るプレゼン作成術』池田千恵(2012年11月21日)
【オススメ!】『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』山口 周(2012年10月22日)
もしものときのための『ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール』6選(2011年04月13日)
【図】「図で考えるとすべてまとまる」村井瑞枝(2009年09月13日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。30代こそ「奴隷」から抜け出そう!
奴隷の対象となるものが『「キャリアアップ」「ノマドワーカー」「マッキンゼー」「人脈術」「副業」「効率化」「英会話」「SNSの活用」「貯金」』ということで、身に覚えのある方も多いかと(自分含む)。
ご声援ありがとうございました!
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