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2013年04月30日

【問題解決】『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』大嶋祥誉


マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書
マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目していた1冊。

著者の大嶋祥誉さんは、「記念受験にも拘わらずマッキンゼーに入社してしまった」という逸材(?)ですが、それが故に、その成長の過程において身につけた「マッキンゼー流」のTIPSが、本書では展開されています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
なぜ、マッキンゼー出身者は各業界で活躍できるのか?
その秘密はマッキンゼーの新入社員研修にあった。
本書ではマッキンゼーの厳しい新人研修を著者のエピソードと共に紹介しながら、そこで叩き込まれるマッキンゼー流問題解決の基本を解説する。

内容紹介の別の部分の『数あるマッキンゼー本の中でも、最も敷居が低く、「これなら私にもできる! 」思える一冊である』との釣り書きは、果たして!?


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【ポイント】

■1.ただ単に「分析」するのではなく「創造」する


iPhone Camera / derekGavey

 マッキンゼーの新人研修でも、まだ携帯電話が現在ほど普及していなかった当時、カメラを写真機という発想で売っていたら行き詰まる。情報を残すという発想をしたらどうなるか考えなさい」ということを言われました。
 まさに、現代のカメラ付きスマートフォンの発想です。つまり、目の前にある情報やデータを、そのままただ単に分析していたのでは「セクシー」ではなく、新しいバリューにもつながらない。分析ではなく、そこから「創造」しなければダメだよということを教えてもらっていたのです。


■2.コインの裏表で考えない


Coin / plindberg

 たとえば、「Aという商品の売上げが低下している」という問題が発生したときに、単に「売上げが低下したから販促を増やせばいい」というのでは、「コインの裏表」で考えた発想です。
 それでは、その物事の持つ意味や影響を考えたことになりません。
 深い思考をして、問いの核心をつかめば、そもそもAという商品の市場での役割が薄くなっているので、Aという商品にかける経営資源をまったく別のものに使ったほうが新しい成長につなげられるという発想もできるかもしれません。


■3.睡眠時間をリセットする


morning / katerha

 なかなか毎日、やることが多くて疲れも抜けないし、クリアな思考ができてないなぁ、という人にお勧めしているのが睡眠時間のリセット。
 騙されたと思って、1週間だけ毎日22時には就寝するようにしてみてください。できれば22時ちょっと前に寝るのが理想。3日間くらい続けると、スッキリしてクリアになるのがわかります。(中略)
 ふだん疲れた体を引きずって深夜まで活動していて、朝も疲れが抜けきれないまま無理やり起きるような生活では感じられない、「何か違う感覚」が感じられると思います。


■4.人の話を「意見」と「事実」に分解して聞く


Griff Snoozing / shrff

 たとえば、相手が「ウチの会社の会議はつまらなくて、時間も長い」と話していたら、「そうなんですね」と肯定しながらも、そんなふうに言っているけど、それはその人の「意見」だなと自分の中で分類します。
 そのうえで、なぜそんなふうに感じるのかを、さらに聞き込んでいきます。すると、じつは会議の中身がほとんど「議事の説明に費やされて、創造的な意見や提案がない」というのが事実であり、これが「真の問題」なのだと、発見することができるようになります。
 それであれば、時間の長さが問題なのではなく、創造的な議論ができるような工夫ができていないことが問題だなと思考をクリアにさせることができるわけです。


■5.「学ぶ姿勢」で相手にかかわっていく


Blowing Search Bubbles / mikecogh

「いい質問」にはシチュエーションによって、いろいろな定義があると思うのですが、私が思う「問題解決につながる、いい質問」とは、判断する姿勢をいったん脇に置いて「学ぶ姿勢」で相手にかかわっていくことです。
「きっと、こうに違いない」と最初からジャッジメントして、その勝手な答えに沿うように質問していくのでは、問いの核心には近づけません。
 決めつけを止めて、相手から「自分がまだ知らない情報」や「自分にはない考え方」などを学ぶ気持ちで質問していくと、相手も自分も気付かずに見落としていたことや、新たな可能性につながるキーワードが浮かび上がってきます。


■6.「そもそもメソッド」を活用する


Everyone has their own life and worries / seeveeaar

 たとえば、プロジェクトのメンバーがうまく成果を出せていないとき。
「どうしてできないの?」ということを言っても、言われた相手も何も答えられないでしょう。その理由が分かっているのなら、そうはなっていないということなのですから。
 そんなときは「そもそも、何が気になっている?」「そもそも、どうしようと思っていた?」というような話の引き出し方が効果的。(中略)
「そもそも」という思考をすることで、思考は拡散していきます。そこから見落としていたことが見つかったり、新たな発想が生まれたりするわけです。


■7.I(私)ではなくWE(私たち)を使う


Leica M9 Sample / bfishadow

「私にとって、オフィスに緑があることで作業がはかどる」
「私たちにとって、オフィスに緑があることで作業がはかどる」
 同じことを言っているのに、どちらの言い方のほうが、聞く人に「自分にも関係ある」と思ってもらえるか。
 簡単なことなのですが、私たちは意外に、そのことをあまり意識せずにいろいろなメッセージを伝えてしまっています。(中略)
 マッキンゼーでは、そういった細かい言葉の使い方でも、出せるバリューが大きく違ってくるのだということを教えられました。


【感想】

◆私はこの本をリアル書店で購入したのですが、今般記事を書くにあたってアマゾンのページを改めて見たところ、その情報量の多さにビックリw

これなら、わざわざブログで記事書かなくてもいいじゃ(ry

……それはさておき。

下記目次にもあるように、本書はわざわざ7つの章(プラス1つの特別講義)で構成されているにもかかわらず、上記では極めて偏った抜き出し方をしております。

まず第1講義では、「マッキンゼー流とはなんぞや」というお話から。

事例も豊富で話としては面白いものの、いざ自分の職場で考えたらどうなんだろ、と思うと、なかなか実践できるモノでもなさそうなので割愛。

続く第2講義が、マッキンゼーというかロジカルシンキングの本丸とも言える「問題解決のプロセス」のお話なんですけど、これは逆に類書でも見ないこともないのでこちらもカット。

結果、第3講義の「情報の取扱い力」から急にドカっと抜き出しているというw


◆上記ポイントの4番目の『「意見」と「事実」に分解する』という件も、昨日ご紹介した本では自分が「事実だけを報告する」ということでしたが、本書では「相手の話」でそれを行なえ、と。

上司から評価される人になる仕事のやり方・考え方 (アスカビジネス)
上司から評価される人になる仕事のやり方・考え方 (アスカビジネス)

参考記事:【出世のヒミツ!?】『上司から評価される人になる仕事のやり方・考え方』萱野 聡(2013年04月29日)

ただこれは、話を聞く時だけでなく、テキスト等を読む際にでもできること。

ネットサーフィンをしながらでもできることですから、ぜひ意識してみて頂きたいと思います。

ちなみに、この「事実と意見を区別する」というお話は、実は今までも当ブログで何度か出てきていました。

伝達力の基本
伝達力の基本

参考記事:【57のルール】『伝達力の基本』大石哲之(2011年04月30日)

必ず結果を出す人の伝える技術 (PHPビジネス新書)
必ず結果を出す人の伝える技術 (PHPビジネス新書)

参考記事:【話し方】『必ず結果を出す人の伝える技術』佐々木かをり(2012年04月23日)

私自身、そのたびに抜き出している(ヲイw)ので、いい加減マスターしなくては。


◆また、冒頭でも触れた「マッキンゼー本の中でも、最も敷居が低い」という件については、マッキンゼー本を多読しているワケではないので断言はできないものの、「比較的分かりやすい」という意味では同意できます。

その要因の1つが、大嶋さん自身が経験した「事例」が数多く登場すること。

守秘義務があるので、社名等は具体的には明かされていませんが、類書と比べても結構多い方だと思います。

面白かったのが「ずっと婚活しているのに、ちっともいい人に出会えない」という女性のケース。

これは「解決すべき問題」のようですし、「答え」もそれなりにひねり出せそうです。

しかし大嶋さんが取った方法とは……(ネタバレ自重w)。

いや、マッキンゼー恐るべしw


◆マッキンゼー本の中で、本書に近いものと言えば、以前ご紹介したこちらが挙げられるかと。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

参考記事:【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

とはいえ、この本に比べれば、本書はかなり「ライトテイスト」w

特別講義の「フレームワーク入門キット」もそうですが、「取り入れられる部分だけ取り入れる」という使い方ができる本だと思います(←意見)。


マッキンゼーアレルギーの方でも受け入れられそうな1冊!

マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書
マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書
第1講義 マッキンゼー流 プロフェッショナルの流儀
第2講義 マッキンゼー流 問題解決の基本プロセス
特別講義 マッキンゼー流 フレームワーク入門キット
第3講義 マッキンゼー流 情報の取扱い力
第4講義 マッキンゼー流 問題解決力を高める思考術
第5講義 マッキンゼー流 自分力の高め方
第6講義 マッキンゼー流 プロジェクトで結果を出す力
第7講義 マッキンゼー流 プレゼンの技術


【関連記事】

今回はマッキンゼー卒業生の皆さんのご本を選んでみました。

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

【オススメ!】『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本哲史(2011年09月23日)

【オススメ】『自分のアタマで考えよう』ちきりん(2011年10月29日)

【キャリア形成】「自分らしいキャリアのつくり方」高橋俊介(2009年08月25日)

【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)

【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代(2008年06月15日)


【編集後記】

◆マッキンゼーといえば、やはり大前先生をご紹介しないわけには参りませぬ。

メンタル・ブロックバスター―知覚、感情、文化、環境、知性、表現…、あなたの発想を邪魔する6つの壁
メンタル・ブロックバスター―知覚、感情、文化、環境、知性、表現…、あなたの発想を邪魔する6つの壁

と言っても、この本は先生が監修されたかなり昔の本の復刊のようなのでご留意を。


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