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2013年04月26日

【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ


習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事では唯一書影がなかった自己啓発書。

タイトルにもあるように、私たちの「習慣」が生み出す様々な現象について、豊富な事例とともに解説してくれています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「消臭剤のファブリーズはなぜ突然ヒット商品になったのか」「アルコール依存症はなぜ治せるようになったのか」「大手アルミメーカーのアルコアはダメ会社から突如優良企業に変貌を遂げたのか」「スターバックスのスタッフを責任感の強いリーダーに育てるプログラムとは」。本書の著者によれば、これらはみな、「習慣」をうまく活用した成果であるという。

帯にもあるように、米アマゾンでは大人気の1冊です!


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【ポイント】

■1.私たちの全行動の4割は習慣


Jogging on a bright November morning / Ed Yourdon

私たちが毎日行っている選択は、よく考えた末の意思決定だと思えるかもしれないが、実はそうではない。それらは習慣なのだ。1つ1つの習慣はそれほど重要ではない。しかし長期的に見ると、食事で何を注文するか、毎晩子供たちに何を言うか、お金を貯めるか使うか、運動をどのくらいするか、考えをどうやってまとめるか、そしてどんな手順で仕事をしているかといったことが、その人の健康や効率、経済的安定、幸福感などに大きな影響を与えている。デューク大学の学者が2006年に発表した論文によると、毎日の人の行動の、じつに40パーセント以上が、「その場の決定」ではなく「習慣」だという。


■2.練り歯磨きのヒットの真の理由


Brush my teeth / Aonghus Flynn

 ぺプソデントが市場を独占するようになると、競合他社の研究員はその理由を見極めようと奮闘した。その結果判明したのは、消費者はぺプソデントを使い忘れたとき、口の中がひんやりしないのが物足りなくて、使わなかったことに気づくという点だ。消費者はそのかすかな刺激を期待し、求めたのである。ひりひりしないと、歯がきれいになった気がしないのだ。
 クロード・ホプキンスは美しい歯を売ったわけではない。彼が売ったのは感覚だった。ひりひりするような、ひんやりした感覚を人々が求めるようになったからこそ、つまりその感覚を歯がきれいになったことととらえるようになったからこそ、歯磨きは習慣になったのだった。


■3.悪い習慣はなくすことはできないが、変えることならできる


smokin' aces / basibanget

 悪い習慣は完全には改められない。むしろ習慣を変えるには、前と同じきっかけで、前と同じ報酬を使いつつ、新しいルーチンを組み込むべきなのだ。きっかけと報酬がそのままなら、ほぼどんな行動も変えることができる――これこそがダンジーの鉄則だった。
 現在、この鉄則は、アルコール依存症、肥満症、強迫性障害など、数百以上もの有害な行為の治療法に影響を与えており、どんな人間でもこの鉄則を理解すれば、自分の習慣を変えるのに役立つ。たとえば間食をやめようとしても、新しいルーチンが、もとのきっかけと報酬への欲求を満たさなければ、失敗することが多い。ニコチンへの欲求を感じたときのために、喫煙に代わる行為を見つけなければ、禁煙するのは難しいのだ。


■4.意志力を鍛えると、他に影響が広がる


Drinkin' / sarae

今度は29人の被験者に、4ヵ月に及ぶ「金銭管理プロクラム」に参加してもらった。目標の貯蓄額を決め、レストランでの食事や映画といった、ぜいたくを控えてもらう。被験者は買ったものをすべて細かく記録しなければならない。最初は面倒に感じるが、しだいに自制心が強化されて、買い物をすべてメモするようになった。
 プログラムに従って行動するうちに、被験者の経済状態は向上した。さらに驚いたことに、喫煙量も飲酒量もカフェインの摂取量も減ったのだ。(中略)
それは運動したときの実験結果と同じだった。ある1つの面(ジムでの運動や金銭管理プログラム)で意志力の筋肉を強化すると、それが食事や仕事への取り組み方にも波及する。意志力を鍛えれば、その影響がすべてに及ぶのだ。


■5.意思決定の権限を与えられると、より大きな自制心が発揮される


At the LEGO factory / Eric Lumsden

 たとえば2010年にオハイオ州にあるメーカーの工場で行われた研究では、組み立てラインで働く社員に、生産計画と労働環境に関する小さな決定を行う権限を与え、その社員を詳しく調査した。特別な制服をデザインし、シフトを決める権限を与える。他は何も変えない。製造プロセスも同じだし、給料も前と同じだ。しかし2ヵ月のうちに、その工場の生産力は20パーセントも向上した。休憩時間が短くなり、ミスも減った。ものごとを自分で動かしているという感覚を与えることで、社員はより大きな自制心を発揮できるようになったのだ。


■6.人はなじみのある曲を好む


Eaton Centre, Toronto / InSapphoWeTrust

私たちの脳は、すでに聴いたことのあるものに似ている音のパターンを好む。セリーヌ・ディオンが新曲をリリースしたとき――そしてそのサウンドが、これまで彼女が歌ってきた曲や、ラジオから流れる他の曲と似ていたら――私たちの脳は無意識にそのわかりやすさを強く求める。だからそれらは、思わず聴いてしまうスティッキーな曲となる。あなたがディオンのコンサートに行くことはなくても、彼女の歌をラジオで聴く。あなたはそれを仕事に行く途中に「聴くものだ」と思っているからだ。
 そう考えると、ヒットソングサイエンスや音楽業界の重役たちが太鼓判を押していたにもかかわらず、なぜ『へイ・ヤ!』がラジオではうまくいかなかったのかもわかる。
 問題は『へイ・ヤ!』がなじみのない曲だったからだ。


【感想】

◆引用部分が長くなってしまったのでこの辺で。

実際には鬼のように付箋を貼りまくっておりますが、モロに抜き出すと、思いっきりネタバレしてしまうお話もちらほら。

例えば冒頭の内容紹介のファブリーズしかり、アルコアしかり、スタバしかり……。

逆に「内容紹介で出てないからいいよね?」とばかりに抜き出したのが、ポイントの2番目の「ペプソデント」(練り歯磨き)のヒットの秘密。

1900年代初め頃は、まだ世間一般に歯磨きの習慣はなく(!)、あのクロード・ホプキンスでさえ、当初広告話が持ち込まれた時は断ったのだとか。

広告でいちばん大切なこと
広告でいちばん大切なこと

しかしキャンペーンは大ヒットし、チューブ入り練り歯磨きを常備している米国の家庭は、それまでの7%から10年後には65%にはまで跳ね上がったのだそう。


◆またポイントの3番目でちょこっと出てくる「ダンジー」とは、NFLインディアナポリス・コルツのヘッドコーチとして知られた、トニー・ダンジー氏のこと。

Tony Dungy - Wikipedia, the free encyclopedia

初めてヘッドコーチに就任したタンパベイ・バッカニアーズは当時NFL「最弱」と言われていましたが、ダンジーの「秘策」により徐々に強くなっていきます。

その「秘策」とは、多種多様で複雑な攻撃パターンを持つ普通のチームとは反対に、シンプルなパターンを「誰よりも速く動く」というもの。

ちょっとでも考えすぎたりためらったりすれば、このシステムは崩壊してしまうゆえ、まさに「習慣」あればこそでした。


◆一方、ポイントの最後に登場する『ヘイ・ヤ!』とは、ヒップホップデュオ、アウトキャストの2003年のこちらの曲です。



この曲、上記にもあるように、「ヒットソングサイエンス」という曲の人気度を測定するプログラムや、レコード会社であるアリスタの重役連中が「大ヒット」を予測したにもかかわらず、リスナーの反応は「最低」。

アービトロンという企業が調べたところによると、「1/3近くのリスナーが、曲が始まってから30秒以内にチャンネルを変えた」ほどです。

しかし『ヘイ・ヤ!』のプロモーションに大金をかけているアリスタとしては、なんとしてもこの曲をヒットさせなければなりません。

そこで彼らが取った方法とは…………本書にてご確認を(ネタバレ自重)。

いや、実際にこの曲、ホントにヒット(グラミー賞受賞&アルバム550万枚)しちゃいましたからねぇ。


◆ところで、本書を読んで、昨年を代表するヒット作となった、『スタンフォードの自分を変える教室』に通じる部分があるな、と個人的には思いました。

スタンフォードの自分を変える教室
スタンフォードの自分を変える教室

参考記事:【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)

特に、「意志力」や「マシュマロテスト」のあたりは、本書ではさらに掘り下げている印象を受けます。

何たって、ポイントの4番目の最後にあるように「意志力を鍛えれば、その影響がすべてに及ぶ」というのは目からウロコ!

なるほど、子供の習い事も、それ自体の意味だけでなく、生活習慣全体に好影響を及ぼすのだな、と。

さらに、巻末には自分の習慣を変えるためのステップガイドまで収録しているのもありがたいところ。


これはもう、オススメせざるを得ません!

習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit
プロローグ

第1部 個人の習慣

 第1章 「習慣」のメカニズム
 第2章 習慣を生み出す「力」
 第3章 習慣を変えるための鉄則

第2部 成功する企業の習慣

 第4章 アルコアの奇跡
 第5章 スタバと「成功の習慣」
 第6章 危機こそ好機
 第7章 買わせる技術

第3部 社会の習慣

 第8章 公民権運動の真相
 第9章 習慣の功罪

エピローグ

付録 アイデアを実行に移すためのガイド


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【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)

【スゴ本】「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー(2008年12月15日)

【速報】アマゾン中古で超高値の名著『成功の心理学』が新訳で登場!(2012年04月23日)

ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『「先延ばし」にしない技術』の真実(2012年01月09日)


【編集後記】

◆その「意志力」といえば、土井さんのメルマガでこの本が丁度紹介されたばかりでした。

WILLPOWER 意志力の科学
WILLPOWER 意志力の科学

しかもタイトルに「科学」の文字まで入っていると、つい食指が


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