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2013年04月20日

『戦略思考トレーニング』が想像以上に凄い件について


戦略思考トレーニング (日経文庫) (日経文庫 I 49)
戦略思考トレーニング (日経文庫) (日経文庫 I 49)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、クイズ形式で「戦略思考」が身に付く1冊。

著者の鈴木貴博さんは、現在は百年コンサルティング代表取締役ですが、かつては東大卒のクイズマニアとして、『パネルクイズアタック25』『カルトQ』等のクイズ番組にも出演されたことがあるお方です。

アマゾンの内容紹介から。
経営戦略、マーケティング、ビジネスモデルなど、本当にあった「まさか! 」「なるほど! 」の実例から、自分のアタマで考える訓練まで、設問を解いていくうちに、戦略的思考が身につく、まったく新しい入門書。

思わず ( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーとなること必至!?

なお、タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」にて作成しております。


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【ポイント】

★「クイズ形式」である本書は、その答えを書いてしまうと完全にネタバレなので、問題のみ引用していきます(スイマセン)。


■1.セブン-イレブンに対抗する戦略とは?


Open again / Newtown grafitti

 セブン-イレブンはドミナント戦略といってある地域に徹底的に出店してそこで市場を制覇したら、その後に次の地域に移るという出店戦略を用いています。そのセブン-イレブンがいよいよ四国に上陸することになりました。困ったのは業界下位のコンビニに属するメガフランチャイジーの社長。四国で100店舗を超えるコンビニを経営しているのですが、セブン-イレブンが上陸したらひとたまりもない。そこで社長が考えた秘策とは何だったでしょう?


■2.『俺のフレンチ』の原価割れメニューの秘密とは?


鴨のオレンジ風味 ヴィガラードソース / hirotomo

 2012年のヒット商品番付にも登場した『俺のフレンチ』という飲食チェーンがあります。超有名フランス料理店のシェフを口説いて科理長にすえて、驚くほどおいしい科理を驚くほど安く提供することで東京の都心では大人気なのです。ビジネスモデルの秘密は高級フレンチなのに立ち席にすること。1日3.5回転と顧客の回転率を上げて収益を確保しています。さて、この『俺のフレンチ』のビジネスモデルにはもうひとつの秘密があります。メニューの中に原価率が100%や200%の料理が普通に存在しているのですが、なぜそんなことができるのでしょうか?


■3.日本にアウトレット専門店が少ない理由とは?


TJ Maxx / brownpau

 アメリカの主要都市にはROSSとかマーシャルズ、TJ Maxxといったブランド商品のアウトレット専門店があります。カルバン・クラインのシャツやコールハーンの靴、コロンビアのフリースといった百貨店で売られているような有名ブランド商品が激安で購入できます。もちろん百貨店で売れ残った商品なのですが、それが半額や7割引などという価格で売られているので消費者は本当に嬉しそうに買い物をしています。さて、なぜ日本にはこのようなアウトレット専門店が少ないのでしようか?


■4.他社航空券がマイルに変換できる理由とは?


Fax / &_yo

 ある外国航空会社では日本国内でJALやANAに乗った航空券をコピーしてFAXで送ると往復で1000マイルをプレゼントしてくれます。別にその会社の飛行機に乗ったわけではないのに最大で2万マイルまでただでくれるのです。なんでそんな大盤振る舞いをしてくれるのでしょう?


■5.携帯の電池を無料交換してくれる理由とは?


nokia battery / _sarchi

 Aくんは今の携帯電話を使い始めてもうすぐ2年目。そのAくんのところに携帯電話会社から「よろしければ無料で電池を交換しますよ」と連絡がありました。電池交換は本来は有料オプションなのに、なぜAくんのところにこのようないい話が飛び込んできたのでしょう?


■6.コンパクトな歯ブラシに日本メーカーが追随しなかった理由とは?


Rotary Toothbrush / Orofacial

 昭和の時代の話です。アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンが、歯医者さんが使う小型のミラーと同じ形をした『リーチ』という歯ブラシを日本で新発売してきたことがあります。歯を磨くへッドの部分がこれまでの歯プラシよりもずっとコンパクトで奥歯が磨きやすい。歯医者さんも推薦するこの商品は日本市場で少しずつ売上を伸ばしていきました。けれども当時の日本メーカーは『リーチ』に対して本格的に対抗商品を出そうとしなかったといわれています。なぜでしよう?


■7.仁川国際空港最大の収入源とは?


Incheon International Airport / d'n'c

 韓国の仁川(インチョン)国際空港はアジアの航空拠点として高い競争力を誇っています。たとえば航空機の離着陸料は関西国際空港の3分の1。その安さを武器に貨物取扱量では世界第4位、日本を含む東アジアではトップを誇っています。仁川空港では価格競争力を高めるためにある収入を高めることで戦略的に着陸料価格を低く抑えています。空港の年間収入1000億円の中の400億円を占める、着陸料ではないその収入源とは何でしょう?


【感想】

◆いかがだったでしょうか?

いずれも、単なるクイズ問題とは違って、企業の戦略やビジネスモデルに直結するものばかり。

それだけに、分からないからといって、すぐ答えを見ずに、自分の頭でしっかり考え抜くことが大事だと思いました。

……と言いつつ、私は記事を書かねばならないので、3分間程一生懸命考えて、自分の答えを出してから回答を見たのですが、正答率の低かったこと(涙目)。

もっとも第7章はフェルミ推定だったので、丸ごと諦めたのですがw


◆なお、割愛した中には、以前当ブログでご紹介した本に、その答えが収録されているものもありました。

例えば、「安価にエアバッグを開発できる」と自動車会社に売り込んだメーカーの話はこの本に。

パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法
パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法

参考記事:【名著】『パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法』ジョエル・バーカー(2012年02月20日)

また、かつてIBMの低価格モデルと高級モデルのプリンタにおけるたった1つの違いが、後から付け加えられた「とある機能」だったというお話はこちらに。

まっとうな経済学
まっとうな経済学

参考記事:「まっとうな経済学」ティム・ハーフォード(2006年10月23日)

特に後者については、今事務所で使っている複合機もきっと同じロジックなのだと思って、イライラしてるんですがw


◆一方、上記ポイントの7番目の答えは、こちらの本に載っているのだそう。

物流がわかる (日経文庫)
物流がわかる (日経文庫)

というか、本書の第9章に収録された問題は、いずれも日経文庫の最近の本からによるもの、とのこと。

ビッグデータ・ビジネス (日経文庫)
ビッグデータ・ビジネス (日経文庫)

接客サービスのマネジメント (日経文庫)
接客サービスのマネジメント (日経文庫)

ビジュアル ビジネスに活かす統計入門 (日経文庫)
ビジュアル ビジネスに活かす統計入門 (日経文庫)

なるほど、これも一種のビジネスモデルなのか……?(違

ちなみに、「文庫」と銘打っていますが、本の大きさ等は普通の新書サイズですので、ご安心を。


◆当ブログでは、あまりクイズ形式の本はご紹介してきませんでした。

と言うのも、1度答えを読んでしまうと、2度目に読む時は、1度目ほど楽しめないから。

ただ、従来自分が用いている発想法と全く異なる発想法を得るには、こうしたケーススタディ集がうってつけだと思われ。

この手の本を読んでおくと、将来的に「ヒラメキの素」になるのではないでしょうか?


値段相応には楽しめる1冊です!

戦略思考トレーニング (日経文庫) (日経文庫 I 49)
戦略思考トレーニング (日経文庫) (日経文庫 I 49)
1 戦略思考のための柔軟体操の章
2 非常識になる訓練をしよう! の章
3 売上増の方程式の章
4 アメリカ企業の儲け方の章
5 儲け方はさまざまだの章
6 ビジネス常識を働かせてみるの章
7 だいたいの大きさを推定するの章
8 難易度を上げてみようの章
9 最後にやられた! の章


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【Amazonキャンペーン有】「人にはぜったい教えたくない「儲け」の裏知恵」岩波貴士(2010年01月17日)

【名著】『パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法』ジョエル・バーカー(2012年02月20日)


【編集後記】

◆相変わらず品切れ状態が続いているこの本。

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方
俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

上記ポイントの2番目の問題も、きっとこの本に答えが載っているハズ!?

ちなみに私は「アルコールでリカバリーしている」と答えて、間違いでしたがw


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