2013年04月14日
【30代以下でも!】『40歳からのサバイバル転職成功術』海老一宏
40歳からのサバイバル転職成功術 ~決まる人と決まらない人との差はココにある! ~ (ワニブックスPLUS新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、人材紹介コンサルタント・海老一宏さんの転職指南本。タイトルに「40歳からの〜」とあるように、中高年向けではあるのですが、若手であっても特にベンチャーや中小企業に転職を考えている方なら、一読の価値アリかと。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
望むと望まざるとに関わらず転職を考えざるを得ない中高年に向けて、この13年間で5000人以上の転職希望者に面談し、100社以上のクライアントに人材を紹介してきた著者が、厳しい中高年転職マーケットで成功するための秘訣を指南します。転職できる人、転職できない人の違いから、書類の書き方、面接突破のためのポイントまで、40代以上の会社員必読の内容です。
後半の転職アドバイスもさることながら、年代別の「備え」にも「なるほど」と思わせられました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.大企業病に注意するいままで私がお会いしてきた50代の方を見ますと、残念ながらほぼ全員と言ってもいいくらい、「大企業病」にかかっています。特に歴史ある企業や、業種的、業界的に大きな変革を経てこなかった企業、ある意味で安定した企業出身者に顕著な傾向です。(中略)
では大企業病とは何かをご説明します。まず、その病の原因となる企業の特徴は5つあります。1 会社としてのブランドがある。この1〜5の原因が引き起こす「大企業病」とは、「あなたは管理職、あるいは高級エグゼクティブとして仕事をしてきたそうですが、それは本当にあなた自身の実力ですか?」と問われて初めて気がつくような、自分の恵まれていた環境に無自覚な人のことを指しているのです。
2 資金力がある。
3 ずっと継続しているクライアントがある。(中略)
■2.40代は強力な人脈づくりを意識する
知識、経験、スキル、これらは当然です。しかし、もっとも魅力があるのは「人脈」なのです。転職者ひとりの能力でできることにはおのずと限界があります。ですから、40代、50代は良質な人脈を持っていることイコールその人の能力なのです。(中略)
40代では、自腹を切ってでも異業種交流会やセミナーに足を運び、あるいは友人からの紹介などで積極的に人脈づくりをするのが賢明です。欲を言えば、やみくもに人に会うのではなく、自分の目指す方向を決めたうえで、その目標に近づくような人脈を構築していくべきです。
■3.30代のうちに必ず実績を上げる
20代でもある程度の経験はあったかもしれませんが、30代では直接成果を出すためにやった仕事かどうかが問われます。(中略)
海外営業を例にとれば、単にブラジルや中国で商社まかせに営業をしていましたというのは実績として通用しません。現地に代理店網を新たに自ら構築したり、現地法人を設立し軌道に乗せたり、日本の他社と連携を組んで大規模な展示会を成功させたりというレべルで初めて、海外営業での実績と呼べるのです。
■4.20代では人間の"OS"を強化する
あくまでイメージとして考えてもらいたいのですが、20代の人たちが、とかく間違えやすいのは、パソコンで例えると、OSを強化するのではなく、アプリケーションを追加することばかりに血道をあげてしまうことです。いろんな資格を取ったり、何ヵ国語も語学を学んでみたり……ということを、私はアプリケーションに例えているのです。(中略)
もちろん勉強も大事なことです。資格を取るのも構いません。しかし本当に20代で必要なのは人間の本質や胆力、人間力を鍛えることではないでしょうか。若者らしく生意気に、そして謙虚さを持ち、勉強だけでは得られないものを模索していく時期なのではないでしょうか。
■5.社員の指導や教育は求められていない
よく元幹部社員の場合「私は人を育てるのが得意です」、「社員教育が得意です」と言う人がいます。「私のいままでのキャリアを後輩の指導という形で、御社に貢献したい」というアプローチですが、私の経験上、そんなことは100%、中小企業サイドでは求めていません。「入社したばかりだし、あなたの大企業の過去の経験で、うちの社員を教育なんかしないでくれ」というのが本音です。
社員を教育する以前に、まず会社から与えられたミッションをこなしながら、部下の教育も実行し、次なる目標を自ら作り出してくれる人材が求められているのです。部下を教育するのはミッションではありません。絶対に勘違いしないようにしてください。
■6.中小企業が必要とする3つのポイント
大事なことなので繰り返しますが、中小企業が人材を採用するに当たっては、「あなたが入ったら売り上げも利益も上がるんですか」、「ウチの会社の雰囲気がよくなるんですか」、「社長とはうまくやっていけるんですか」の3つがポイントになります。この3つのいずれかを面接時に感じさせない人は残念ながら、どんな会社にも採用になりません。
■7.相手を気づかい、興味を持ち、好きになる
一方的に聞かれた質問に、ただ機械的に答えているようでは、幹部クラスの面接はおそらく通りません。
一例を挙げれば、面接がスタートして挨拶が済み、本題に入る前に「いやあ、この会社の窓から眺める風景は見応えありますね」などと先手を取って、ほめるのです。すると相手も「ええ、晴れた日は特に気分いいものですよ」などと返してきます。そういう流れで面接に入っていくとお互いに緊張もほぐれますし、スムーズに話が進みます。
つまりコミュニケーション能力とは、相手を気づかう、相手に典味を持つ、相手を好きになる努力をすることなのです。これが習慣化されている人は、コミュニケーション能力が高いといえます。二度と来ることがない出張先で、ガソリンスタンドやコンビ二の従業員に「このあたりは空気がおいしい。いい土地ですね」などと、自然に言える人なのです。
【感想】
◆一般的に「転職本」と言うと、「自らのスキルを高める」という点にフォーカスされていることが多いです。それが故にTOEICの勉強をしたり、資格を取ったりすることにも繋がってくるのでしょうが、本書はそれとはまったく異なるスタンスを取るモノ。
なぜなら、本書では転職先が「オーナー社長が切り盛りする中小企業」というのが前提だから。
ポイントの1番目にある「大企業病」にかかっているような人だと、面食らうことまず間違いないでしょう。
◆かく言う私も、思い起こせば会社員時代は「大企業病」だったと思います。
何せ「3月以外の月に決算を行う会社もある」事を知ったのは、税理士試験の勉強を始めてから(意外と知らない人が多いみたいですが)。
その後税理士となり、顧問先の会社に深く関与するようになって初めて、今まで自分が働いていた「会社」とは、まったく違う風土や文化が存在することを知るようになりました。
例えば、「社長の言うことは社内では絶対である」ということ。
今でこそアップルはここまで大きくなりましたが、まだ将来が見えない頃の初期の時代において、スティーブ・ジョブズの「暴君ぶり」に耐えられた社員というのは、物凄い忍耐力があったのだな、と。
実際、あそこまでは強烈ではないものの、似たような「ワンマンぶり」を発揮する中小企業の社長はそれなりにいます。
ただしアップルと違うのは「製品に魅力がないこと」という、ワロエナイ現実が……。
◆もちろん、「転職するにしても大企業や外資系」という考えもありますし、それが可能になるよう30代で転職活動する方もいらっしゃるでしょう。
とはいえ、それとは逆に「定年まで勤めあげる」と決めていたとしても、リストラされたり会社自体がなくなることもあるのが昨今の状況かと。
そこで、そういう可能性も考えた上で、20代、30代を過ごすべき、という本書の主張は一理あります。
そこを抜き出した上記ポイントの2〜4は、第2章の「向こう10年を生き抜くための年代別処方箋」から。
割愛しましたが、ここにはこれら以外のアドバイスもあるので、転職を考えていない方でも一読をオススメします。
◆それに続く第3章以降は、中高年が中小企業に転職する場合(一部上場の大企業勤務経験者でも、中高年の転職先の9割方は中小企業なのだそう)について。
中小企業で採用されたり、活躍するためには、単純に「仕事ができる」だけではダメ。
例えば第5章の「転職先企業で活躍するための心得」に「優秀な人なのにクビになる理由」というのがあるのですが、本書によると受講者の方々が、「中小企業でクビになった理由はこれだったんだ」と思い当たって固まるのだとか(ネタバレ自重)。
ヒントと言うか、簡単に言ってしまうと「社長の建前と本音の区別がついていない」から。
これは、仕事ができるほど陥りやすいワナなので、中高年に限らず、ぜひご確認頂きたいところです。
まさに、「備えあれば憂いなし」!
40歳からのサバイバル転職成功術 ~決まる人と決まらない人との差はココにある! ~ (ワニブックスPLUS新書)
第1章 中高年の転職をめぐる厳しい現状と可能性
第2章 向こう10年を生き抜くための年代別処方箋
第3章 転職できる中高年と転職できない中高年
第4章 転職書類の盲点、面接突破のポイント
第5章 転職先企業で活躍するための心得
第6章 中高年の幸福なセカンドキャリアのために
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。あなたの仕事も人生も一瞬で変える 評判の科学
中経さんの翻訳本って、珍しいような?
ご声援ありがとうございました!
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