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2013年04月01日

社会人なら押さえておきたい『成功する人の「語る力」』


成功する人の「語る力」: 英国首相のスピーチライターが教えるライティング+スピーチ
成功する人の「語る力」: 英国首相のスピーチライターが教えるライティング+スピーチ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、プレゼンテーションやスピーチの原稿の書き方を指南してくれる1冊。

著者のフィリップ・コリンズ氏は、かつて英国のブレア元首相のスピーチライターを務め、現在も企業トップや閣僚のためにスピーチを書いているという、タイム紙のコラムニストです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
失敗はゆるされない、あなたの真価が問われる場面で、しっかりと結果を出すための6つのステップを伝授。
グローバルリーダーにも、町内会のまとめ役にも通用する、普遍的鉄則、相手に語りかけ、心をつかんで離さない技法がこの一冊に。
説得、プレゼン、講演会、ミーティング、スピーチ原稿の代筆など、あらゆるコミュニケーションの場面で役立ちます。

なお、エイプリルフールの日にアレですが、タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になりましたw


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【ポイント】

■1.スピーカーとしてのオバマ大統領の優秀さ
 キングのスピーチはあなたが読んでも、とてもすばらしく聞こえるはずだ。キング本人がつけたような抑揚をつけなくとも、原稿じたいに音楽があるから、誰が読んでもいい調子に聞こえる。

 次にオバマのスピーチを読んでみよう。レトリックで並べられた言葉をうまく響かせるのはかなり難しいにちがいない。その原稿には、散文的な音楽が備わっていない。家のなかを歩きまわりながら声に出して読んでほしい。オバマの原稿は平板で、ときに退屈だ。つまり、バラク・オバマがパフォーマーとしていかに優れているかがわかる。彼は自分自身の言葉に旋律をつけてスピーチできる人なのだ。


■2.タイトルは明確かつ的確で限定された意味の内容にする
 壮大で漠然とした内容のタイトルをつけてはいけない。テーマがあまりに広範囲にわたるため具体的な話ができず、その結果、ありふれたスピーチに終わってしまう。(中略)

 スピーチのタイトルは明確かつ的確で限定された意味の内容にしよう。スピーチ・ライティングの方向性として、一般的なテーマの問題から絞って論じるよりも狭い範囲のテーマから話を広げていくほうが簡単である。そのほうがあとで内容を追加して話を広くしたり、掘り下げていきやすい。


■3.スピーチの3つの機能
 あらゆるスピーチは次の3つの機能のうち、少なくとも1つを持っていなければならない。
1. 情報性:おもな機能が聴衆に情報提供すること
2. 説得力:おもな機能がある問題について説明したり、反対意見を持つ人々を説得すること
3. 刺激:おもな機能が、聴衆がこれまで考えたこともないようなことに取り組んだり、いままでは拒否していたことをしてみたり、何かを継続してやるよう刺激すること


■4.トピックは反対の内容で書いて確認する
 次の例を見てほしい。あなたのトピックが「政府に対応策がないので、来年はイギリス経済の成長は見込めない」だとしよう。このとき、正反対の主張は「政府に対応策があるので、来年イギリス経済は成長する」となる。この反論は正しいかもしれないし、まちがっているかもしれないが、ともかく意味は通じる。だから、あなたのトピックは合格だ。

 しかし、あなたのトピックが「政府は今後5年にわたり、国民の幸福を目指している」だとしたらどうだろう。この反対の主張は「政府は今後5年にわたり、国民がより貧困になるよう目指している」などとなるだろうか。この場合、あなたのトピックは陳腐である。なぜなら反対の主張がばかげた内容になるからだ。


■5.アウトラインの参考になるキケロの説得の5原則
 アウトラインを書くための優れた手引きをご紹介しよう。キケロの説得の5原則は、いいスピーチのアウトラインを書くガイドになる。
1.イントロダクション――目標を設定し、声の緊迫感やトーンを決めて、主張の要点に触れる
2.ナレーション――いちばん関係が深い事実を述べる
3.プルーフ――自分の主張が優れていることを補強して説明する
4.反論――反対意見に反論する
5.まとめ――もう一度主張を述べ、感情に訴える締めくくりにする


■6.スピーチ全文のためのチェックリスト
・1つひとつのポイントに明確な考えが含まれているだろうか?

・1つひとつのポイントはあなたのメインの主張を補強するたろうか?

・1つひとつのポイントは続くポイントにスムーズにリンクするだろうか?

・スピーチに盛りこむ事実は関連性があり印象的なものだろうか?

・スピーチに関係があるエピソードを挿入しているだろうか?


■7.失敗の原因は当日以前にある
 何度も原稿を音読して、編集を完了したと仮定しよう。これでスピーチ当日にはじめて原稿を声に出して読むという冒険をせずにすむ。何度でも言うが、こうした準備はスピーチ当日が近づくにつれて感じる不安をなだめるいちばんの方法である。ほとんどの失敗スピーチの原因は、内容が不充分なせいである。スピーチの大失敗をパフォーマンスのまずさのせいにするのはまちがいだ。失敗の原因はあなたが壇上に立ち、話を始めるずっと前に生まれている。講演会当日のスピーチが大失敗だったとしたら、それは積み重ねてきた過ちのせいであり、たった1つの原因によって起こるものではない。


【感想】

◆冒頭の内容紹介で「6つのステップ」という表現がありましたが、これは本書内で頭文字をとって「DETAIL」と呼ばれているもの。

具体的には下記の通りです。

Delivery(効果的な話しかた)

Expectations(期待される内容)

Topic(中心となる主張)

Audience(聴衆についての情報)

Individual(自分の個性)

Language(使う言葉)

ただし本書の構成は、実際にスピーチを書く作業の順番に従うため、下記目次の通り「Audience ⇒ >Expectations ⇒ Topic ⇒ Language ⇒ Individual ⇒ Delivery」になっている点はご了承頂きたく。

このうち、第6章の「効果的な話しかた」以外は、主にスピーチの原稿の書き方のお話となっています。


◆また本書では、いくつか過去の名スピーチを分析。

上記ポイントの1番目のキング牧師のモノは有名ですから別として、上記ポイントの3番目の「スピーチの3つの機能」のところでは、これらの演説が俎上に挙がっています。

●フランクリン・D・ルーズヴェルトの大統領就任演説(1933)



●ウィンストン・チャーチルの下院演説(1940)



他にも、オバマ大統領のスピーチは何度か出てくるのですが、これは類書でも分析されていますので割愛。

肝心の(?)ブレア元首相のスピーチがほとんど出てこなかった事が、ちょっと気になりましたがw


◆さらに、こうした実際のスピーチだけでなく、本書のテーマに沿って展開する、とある企業の「架空のスピーチ」も登場します。

そのトピックは「利益のみを追求する企業はそれすら達成しない」

第3章でアウトライン、第4章でスピーチ全文が掲載されていますので、気になる方は本書にて実際にご確認を。

なるほど、本書の内容に従って書くと、こんな風になるのだな、と。


◆スピーチやプレゼンの仕方の本や、一般的な文章術の本はよく見かけますが、「スピーチライティング」の本というのは、あまり読んだことがありませんでした。

ただし、上記ポイントの7番目でも触れられているように、スピーチが本番で成功するか否かは、原稿作成の時点である程度決まってくるワケで(本番でヤラかすことも当然ありますが)。

最悪、舞台では原稿の朗読になろうとも、中身があれば聞いてもらえるハズ。

本書に書かれている内容を地道に実践すれば、きっと本番での成功の確率が高まると思います。


スピーチ本番の成功は原稿作成から!

成功する人の「語る力」: 英国首相のスピーチライターが教えるライティング+スピーチ
成功する人の「語る力」: 英国首相のスピーチライターが教えるライティング+スピーチ
1 聴衆についての情報
2 期待される内容
3 中心となる主張
4 使う言葉
5 自分の個性
6 効果的な話しかた


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【スピーチテク】『スピーチの天才100人』から選んだ10のTIPS(2010年11月01日)


【編集後記】

◆サムスン本の中では、ちょっと気になる1冊。

サムスンで働いてわかった 韓国エリートの仕事術
サムスンで働いてわかった 韓国エリートの仕事術

「実際に働いたことのある日本人の視点」というのがいいですね。


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