2013年03月25日
『パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術』アンドリュー・ソーベル,ジェロルド・パナス
パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。原著はアメリカとカナダで昨年同時発売され、大反響を呼んだのだそう(確かにアメリカのアマゾンでも高評価ですね)。
アマゾンの内容紹介から。
閉ざされた扉を開き、問題の核心に切り込み、会話を驚くほど楽しいものに変える「パワー・クエスチョン」とは?バリエーションやフォローアップの質問も含め、337の「パワー・クエスチョン」を紹介。
質問も「戦略的に」使う必要があるんです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.「どんなふうに始めたのですか?」数多い質問のなかで、この質問のすばらしいところは、聞き手も語り手も喜びや情熱やインスピレーションを感じることができる点だ。「どんなふうに始めたのですか?」は、たくさんの輝かしい物語を引き出してくれる。そのどれもが尊く、喜びに(そして、その過程で、悲しみに)満ちている。そして、多くの場合、笑いにも。(中略)
この質問は、一見平凡に見えることが実は非凡なことだと気づかせてくれる。友人や同僚、出会ったばかりの人も、実はそれぞれが大切な物語を持っている。職業を選んだきっかけ、配偶者とのなれそめ、ロサンジェルスに旅行して、結局そこに落ち着くことになったいきさつ。こうした話は、語る側と聞く側の間に絆をつくってくれるだろう。
■2.「あなたはなぜ今の仕事をしているのですか?」
私は出席者に顔を向けた。「では、始めましょうか?」全員がうなずいた。
「まずみなさんのミッションと役割について話しましょう。ひとつ質問があります。あなたはなぜ今の仕事をしているのですか?」(中略)
やがて、ゆっくりと、何人かがうなずいた。なるほどというように笑みを浮かべている人もいた。
「なかなかいい質問だ」ひとりが言った。
私は周囲を見まわした。ようやく、突破口が開けそうだ。順番に発言してもらうことにした。彼らは自分の役割がいかに重要か熱心に語り始めた。顧客企業が発展したり、顧客が成功したりするのを間近で見ることが、どんなに大きな喜びか語った。
■3.「これまででいちばんやりがいがあったことはなんですか?」
やりがいは達成感や幸福とは一味違う。夢や希望をかなえたとき、私たちはやりがいを感じる。深い充足感に包まれ、しみじみとした満足を覚えるのだ。
いちばんやりがいがあったことを訊くと、必ずその人にとって特別の出来事にたどりつく。くつろいで夕食を共にしたときや、親密な夜をすごしたときのように、そこから強い絆が生まれるはずだ。
■4.「あなたの夢はなんですか?」
その夜、遅い夕食をとりながら、べンはリズの顔を見ながら、ぽつりと訊いた。
「君の夢はなんだい、リズ?」
「今なんて言ったの?」
「いや……君がどんな夢を持っているか知りたいと思って。また大学に戻って、学位を取りたいと言ってたね。覚えてるだろう?」
リズはうつむいて皿を見つめていたが、顔を上げたときには目に涙が浮かんでいた。
「一度も……これまで一度もそんなこと訊いてくれなかったわね」リズは言った。2人はテーブルについたまま2時間話し合った。リズは堰を切ったように夢や希望や不安を語った。夫はもっぱら聞き役にまわった。2人が寝室に入ったのは12時近くになってからだった。
■5.「もっとくわしく話してくれませんか?」
ある女性が、1ヵ月のうちに、19世紀のイギリスを代表する2人のライバル政治家、グラッドストンとディズレーリと晩餐を共にした。いずれもイギリスの首相をつとめたことのある人物だ。2人をくらべるように言われて、彼女はこう答えた。「グラッドストン様とお食事したあとでは、あの方がイギリスでいちばん利口な方だと思ったわ」友人たちが続きを促すと、彼女は言った。「ディズレーリ様とお食事をしたあとでは、イギリスでいちばん利口なのは私のような気がしたの」
自分のことばかり話すと、相手はあなたを利口な人だと思ってくれるかもしれない。だが、相手の信頼を得ることはできない。相手はあなたのことをなにも理解できないのだから。
■6.「今日、自分の死亡記事を書くとしたら、どんな略歴を書きたいですか?」
死亡記事は、本来、あとに残された人のためのものだ。家族や友人たちに故人の人生を賞賛する機会を提供してくれる。
だが、別の意味で、生きているうちに役に立つ場合もある。将来を見据えることで、人生設計を立てられる。自分にいちばん大切なもの、いちばん楽しめることが、わかってくる。自分の死亡記事を書くと、なにを選択すればいいか、そして、どんな選択ができるかがはっきりするだろう。
■7.「あと3年しか生きられないとしたら、あなたは個人として、そして職業人として、なにをしたいですか?」
これはあなたをすばらしい旅に連れ出してくれる質問だ。道はいくつにも分かれていて、道しるべはない。ロードマップもない。
こう問いかけられると、いやでも人生における優先順位を考え直すことになるだろう。時機を待ってなどと悠長にかまえていられない。待っていても、そんな時はこないのだから。
自分にこう問いかけて、心を奮い立たせよう。人生というカンバスはおぼろげでも、細部を描き込めば、輝かしい光を放つことができるだろう。
【感想】
◆上記ではダーッと、「パワー・クエスチョン」を列挙してしまいましたが、いくつかの質問は、「使い場所」を考える必要があったりします。たとえば上記ポイントの2番目の引用部分は、「超一流のグローバル金融機関のトップ18人」に「官僚主義の壁を乗り越え」て、「情熱を取り戻してもらう」ためになされたもの。
本書では、各パワー・クエスチョンごとに「いつこの質問を使うか」が明記されているのですが、この「あなたはなぜ今の仕事をしているのですか?」に関しては、
・相手にとってなにが動機となり原動力となるか知りたいときとありました。
・仕事に迷いを抱いている人を励ましたいとき
同様に、ポイントの6番目の「今日、自分の死亡記事を書くとしたら、どんな略歴を書きたいですか?」というのも、基本的に「若い人向け」であるのは当然ですし。
◆また、こうした「使う場面」以外にも、各パワー・クエスチョンごとに「この質問のバリエーション」「フォローアップの質問」をも付記されており、有り難い限り。
たとえば、ポイントの最初の「どんなふうに始めたのですか?」に関しては、バリエーションとして「(カップルに)お2人が出会って一緒になったきっかけはなんですか?」、フォローアップの質問として「なぜその当時、そうしようと決心したのですか?」「これまででいちばん身にしみた人生の教訓はなんですか?」等々が挙げられていました。
ちなみに、この「どんなふうに始めたのですか?」という質問は、著者がアムウェイの創設者であるリッチ・デヴォスに投げかけたところ、3時間近くも昼食を共にして、有意義な話を聞くきっかけとなっています。
もちろん「語るべきことがある人」に対してでないと、ここまでの効果は望めないでしょうが。
◆なお、本書にはただ1つだけ「陳腐な質問」と切り捨てられたものが挙げられています。
ネタバレするのもアレなので、以下の5つの中から当ててみて下さいw
「あなたにとって正しい決断はなんだと思いますか?」
「夜中にふと目覚めて不安になるのはどんなことですか?」
「あなたは何を学びましたか?」
「これまででいちばん幸せだった日はいつですか?」
「逆の立場だったら、どうしてもらいたいですか?」
いや、残り4つはキチンとしたパワー・クエスチョンなのに、疑われてしまうのも困りますね……。
気になる方は、本書にてぜひご確認を。
◆ところで、冒頭の内容説明で「337のパワー・クエスチョン」とありましたが、「使用場面」や「バリエーション」等の詳細まで触れられているのは、本文部分である35の章であり、残りの大部分については、巻末の「状況別・さらなるパワー・クエスチョン293」からになります(若干数が合わないのは、35の章での「追加の質問」を加算しているからなのだとか)。
この残りの293の質問は、「状況による9つのテーマ」ごとに分けられているので、むしろ特定の用途によっては使い勝手が良さそう。
たとえば「新規ビジネスを獲得する」というテーマをとってみても、「最初の会合を実のあるものにする」「ニーズを発掘する」「願望や目標を理解する」「提案を論じる」「クライアントに会う前に――自問すべきこと」とさらに5つに分けられています。
そのうち「最初の会合を実のあるものにする」からいくつか選んでみると、こんな感じ。
「御社が高く評価されている競合他社はありますか?」
「御社にとってもっとも大切な顧客とはどういう人ですか?」
「顧客が御社との取引を打ち切る理由はなんでしょう?」
この調子で「新規ビジネスを獲得する」全体では79もの質問が列挙されているという。
……質問するのが苦手な方(含む私)にとっては、どえらいアンチョコではないでしょうかw
活用できたらスゴイ効果が望めそうな1冊!
パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術
いい質問は安易な答えに勝る
どん底に落ちたくなかったら穴を掘るな
四語
売り込みがうまくいかないとき
ミッションは重要なのではない。すべてだ
洞窟から抜け出す
初めから始める
やり直す
理由がわかれば克服できないものはない
秘密〔ほか〕
状況別・さらなるパワー・クエスチョン293
訳者あとがき
【関連記事】
【オーラル・ヒストリー】『「質問力」の教科書』御厨 貴(2011年03月31日)【質問力】「脳を丸裸にする質問力」増田剛己(2010年05月12日)
【ウソ看破?】「相手の隠しごとを丸ハダカにする方法」デビッド・J・リーバーマン(2010年04月02日)
【これは使える!】「“聞き上手”の法則―人間関係を良くする15のコツ」澤村直樹(2010年01月23日)
【これは使える!】「キラークエスチョン」山田玲司(2009年08月19日)
【編集後記】
◆同じ「パワー」繋がりでこの本も。パワートーク 一瞬で人生を変える3つの話し方
アマゾンの表記で26日の発売かと思ってましたが、もう出てますね。
これはチェックせねば!
ご声援ありがとうございました!
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この記事へのコメント
本のご紹介ありがとうございます。
人に対する質問にも使えると思いましたが、自分自身に対する質問に使ってみたいと思いました。
早速、書店で見てみます。
人に対する質問にも使えると思いましたが、自分自身に対する質問に使ってみたいと思いました。
早速、書店で見てみます。
Posted by ゴマ at 2013年03月27日 10:16
>ゴマさん
コメントありがとうございます。
&ブログ反映が遅くなってスイマセン(汗)。
ぜひ書店でご確認下さい!
コメントありがとうございます。
&ブログ反映が遅くなってスイマセン(汗)。
ぜひ書店でご確認下さい!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2013年04月02日 11:15
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