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2013年03月14日

【新旧対談】『スーパーIT高校生"Tehu"と考える 創造力のつくり方』Tehu,村上憲郎


スーパーIT高校生
スーパーIT高校生"Tehu"と考える 創造力のつくり方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、あの灘校2年にして数々のiOSアプリ公開で知られる"Tehu"さんと、元Google日本法人社長の村上憲郎さんとの対談集。

世代も経歴も違う2人のお話から、色々と考えさせられることがありました。

アマゾンの内容紹介から。
中学時代につくったiOSアプリがダウンロード数世界第3位。グーグル元名誉会長と話題のIT灘高生。祖父と孫ほど年の離れた2人が、IT、ビジネス、教育、英語に議論を交わす。

話題は多岐に渡るのですが、特にアプリを作ってらっしゃる方、英語を勉強されている方なら要チェックです!


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【ポイント】

■1.タブレットは未就学児の教育には向かない
 同じ遊びでも、iPadでパズルをやるのと積み木で遊ぶのとでは全然違います。iPadは液晶に映る2次元の世界しかないので3次元的な思考力が鍛えられないんです。そういう意味では、iPadを教科書に使うのはいいですけど、未就学の子どもたちの教育に使うことには賛成しません。3次元的な思考力や、立体感をどう把握するかといった感性を養う基礎教育にはタブレットは向かないと思います。その違いを考えるのは大人の役目だと思います。


■2.どこまで大丈夫なのかが分かりにくい日本
村上 何か新しいこと、たとえばラリー・ぺイジとセルゲイ・ブリンが日本人で、グーグルを始めようとしたら、コテンパンに叩き潰されてたろうね。だって、まず検索ができないよ。検索したら著作権法違反だったんだから、数年前までね。もっと言うと、検索したときに一部をチラッと見せるじゃない。そうしたら、もうこれはコピーじゃないかと言われたはず。読売新聞が過去に記事のリンクを認めないと言ったこともあったよね。見出しに著作権があると言った。そうなったらグーグルは成り立たない。


■3.リリース前に30個悪い点を見つける
 これはよくものを作るときに考えることなんですが、自分で完成だと思ったアプリから30個悪いところを見つけるんです。一生懸命。30個見つけるまでは出さない。自分で一度は完璧だと思ったものでも、作り手の目線ではなく、うざい批評家目線で、使いまくって批評して、ここが悪い、これがまだまだという点を30個見つけ出す。そして、それを修正すれば、文句なしのものになっているだろう。それをしたのとしないのとでは完成度が違うんです。出したあとのレスポンスが違います。


■4.起業は慎重に
 起業する起業するって、そんなに起業したいかねと思ってしまいます。大学生でも高校生でも、いま起業している若者って「起業すること」そのものに価値を見出してる人が大半じゃないでしょうか。何か具体的なアイデア、やりたいことがあって起業している人は少数だと思います。(中略)
起業しましたとツイッターでつぶやき、プロフィールに「18歳で起業」と書いてあっても、何をやっているのかわからない人が大半なんですよ。それは違うと思いますね。おそらく彼らのはとんどは5年後には消えてるだろうなという予想をしながら見てますけど。


■5.アプリには製作者のストーリーがある
僕はアプリをダウンロードするとき、まず、そのアプリの説明文だけ読んで、どんなアプリなのかを想像するんですよ。僕ならこんな感じで作るというのを想像してから、アプリをダウンロードして、その違いを見るんですよね。それで、僕とその人の思考回路はここが違うとわかる。そして、この人はそういう性格の人なのかなというのを想像する。それぞれのアプリには1つ1つにその人のストーリーがある。無限の世界が眠ってるんです。


■6.アメリカ式の教育はまずフォーマット
村上 アメリカの教育方法をもう少し話しておくと、うちの娘が中学校1年のときに、エッセイはタイプライターかワープロで書けと言われたと言ったよね。その続きなんだけど、日本と違うのは手書きかキーボードかだけじゃないんですよ。
 エッセイの書き方を尋ねると、形式の話から入るわけよ。「自分の主張と引用とを必ずくっきりと分けてください。引用については最後に引用元のクレジットを必ず入れてください」。最初は、とにかく手段、道具はタイプライターかワープロ。次にフォーマット、形式なんだよね。さらに、内容は? と聞いたら、「"人を殺してもいい"という結論でけっこうですから、それを論じていただければよろしい」。


■7."Tehu流"英語学習法
Tehu 僕は公文式で英語の基礎を学んだんですが、その後に、同時通訳をできるぐらいになった理由は、生の英語の映像を見たことです。YouTubeで、適当に英語圏の動画をあさればいいんですよ。テレビ番組でも、バラエティでも、芸術作品みたいなものでも。
 お勧めなのは、やはり主題がはっきりしているジョブズのプレゼンのようなものですね。僕が同時翻訳だったりとか、人に解説できるぐらいの英語ができるのはジョブズのプレゼンを聞き続けたからだと思っています。


【感想】

◆最初に上記の引用部分について注釈しておきますと、発言者の表記がないものは、すべてTehuさんのものになります。

本書は"対談集"と申し上げましたし、実際に下記目次の2,4,6,7章についてはお二人の対談なのですが、それ以外の部分はTehuさんの一人語りスタイル。

つまり本書は対談集というよりは、むしろTehuさんの著作で、村上さんとの対談がコンテンツとしてある、というものに近いです。

いや、アマゾンで著者名を見た時、年長の村上さんを差し置いてTehuさんの名前が出てくるのが解せなかったのですが、そういうことだったのかと。

……もっとも、対談部分では2/3以上村上さんが語っているので、やっぱりお二人の共著ですかw


◆その対談内容も、冒頭の内容紹介にもあるように「IT、ビジネス、教育、英語」とさまざま。

ITネタについては、意外と(失礼)村上さんがお詳しくて、ちとビックリしてみたり(元Google日本法人社長なんですから当たり前なんですが)。

一方、Tehuさんに至っては、「中学時代に作ったアプリが180万ダウンロード」された位なんですから、かなりガチです。

なお、Tehuさんのアプリ話については、本書の第3章で詳しく触れられていますので、気になる方はそちらにてご確認を。

どういうアプリだと、どういうダウンロード数になるか、という考察は、アプリ素人の私でも興味深かったです。


◆そして肝心の(?)英語ネタについては、第6章の対談パートにてじっくりと。

元マイクロソフトの成毛眞さんは英語は必要な人だけやればいい、というスタンスですが、村上さんは「小学校から英語漬け推奨」。

ただ、うちの小学3年生のムスメも、学校で英語をやっていますが、正直、お遊びに近い気が……?

またお二人ともが強調されていたのがリスニングの重要性なんですが、Tehuさんはとある理由により「耳が鍛えられていた」ようです(詳しくは本書にて)。

実際、TehuさんのUstreamである「オールナイトニホン」では、アップルの新製品等の発表会を同時通訳しているそう。



Video streaming by Ustreamこの番組、iPhone4Sの発表のときには、25万人集めたのだとか(スゲー)。


◆村上さんは本書の対談内で、何度もTehuさんにアメリカの大学に進むことを薦められています。

それに対してTehuさんも、「少なくとも東大には行かない」と返答してはいました。

ただ、本書の最後となる第8章では「今現在の考え」として、「日本に留まる」ことを選択しているよう。

と言うのもTehuさん曰く「いま、日本は20年に1回ぐらいの、一番面白い5年間が来ている」から。

同じ国内にいて、全然そんな風に思っていなかった私は、やはり感性が鈍りまくっているのかもしれません。


自分と自分の子どもの未来を考えさせられた1冊!

スーパーIT高校生
スーパーIT高校生"Tehu"と考える 創造力のつくり方
第1章 デジタルとアナログのはざまで―ITについて思うこと
第2章 さよならスティーブ・ジョブズ―ITの過去・現在・未来
第3章 “スーパー中学生”風雲録1―iPhoneアプリが僕の人生を変えた
第4章 本当の能力はどうやって培われるのか―日本とアメリカのエリート教育の違い
第5章 “スーパー中学生”風雲録2―Ustream、SNSが広げたネットワーク
第6章 21世紀を生き抜くための英語―なぜ、英語が必要なのか
第7章 進路相談―求めるものはアメリカにある?
第8章 決断―僕は人の心を動かすものを作る


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【対談】『ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」』(2009年09月06日)


【編集後記】

◆今さらですが、村上さんのこの本は読んでおくべきかな、と思ったワタクシ。

村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける
村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける

問題は、たとえ英語を学んでも使う機会がほぼ100%ないことなんですが……。


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