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2013年03月08日

【扇動?】『人を動かす心理テクニック』7選


人を動かす心理テクニック


【本の概要】

◆今日は、主に権力者が演説等で用いる「大衆を動かす」テクニックについてご紹介しようかと。

最近出た『人を動かす心理テクニック』という本では、小泉純一郎氏や橋下徹氏といった政治家たちが、演説や記者会見等で用いた技術が解説されていました。

私たちが演説をする機会はまずないでしょうが、プレゼンや面接、会議等で応用することは可能だと思われ。

"その場の空気を支配したい"方なら、要チェックです!


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【ポイント】

■1.甘いことだけでなく厳しいことも言う
 人を巧みに操ることができる人は、決して甘いことばかりを言わない。はっきりと厳しいこともいう。(中略)
国民にも痛みを耐えてもらわなくてはいけない
                    『週刊ポスト』2003年9月5日号
 これは小泉(純一郎)さんの言葉だ。
 そういえば、就任当時に圧倒的な支持率のあったケネディも、国民に対して厳しいことを言って覚悟するように求めた。こういう例を見てくると、甘いことだけ言っている指導者はダメだということになる。


■2.わが身を捧げる覚悟を持つ
「殺されてもいい」という小泉の言葉を、有権者が、「命を賭けた指導者」と受け止めるか、それとも単なるパフォーマンスと見るか。 
                       『Forsight』2005年9月号
 これは郵政総選挙の前の予想であるが、結果は、小泉さんの圧勝。国民は、気概を示してくれる指導者に弱い、という証拠である。


■3."短く、簡潔に"を心がける
 小泉政権が誕生したとき、小泉さんと電通トップとの一席が設けられ、そこで電通トップが広告業界の話として、「15秒のワン・コマーシャルでは、ワン・メッセージでないと伝わらない」といったアドバイスをしたそうだ。(中略)
「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」といった小泉のワンフレーズ・ポリティクスが集中的にぶつけられました。要するに、問題を極度に単純化することにより、普段モノを考えていない人の票を集めたわけです。
                        『新潮45』2012年10月号
 ワンフレーズ・ポリティクスは、普段「モノを考えない」人に有効である。彼らは、長ったらしい説明を好まない。スローガンのような、短い言葉を好む。
 スローガンのような短い言葉なら、ちょっと日本語を知っている人なら、だれでも理解できる。理解できるから、すんなり頭に入ってくる。だから大衆ウケするのである。


■4.とにかく比愉を使う
国は暴力団以上の組織。上納させられるので、やろうと思っていることができない。 
                      『橋下語録』産経新聞出版
 2008年11月28日、大阪府の北摂市長会での意見交換会で、橋下(徹)さんはこう述べた。
 国を「暴力団」にたとえることで、「自治体という弱い存在が、国家という大きな存在に、貪られ、しゃぶり尽くされている」ということをアピールしたのだ。まことにうまいやり方である。


■5.一拍の"間"を置きながら話す
か・な・ら・ず・やり遂げる 
               『AERA臨時増刊号』2001年7月10日号
 小泉さんは、歯切れのよい演説するのがうまかったが、決して早口でまくしたてるだけではなく、強調すべきポイントでは、このように"間"をとりながら話すのも巧みであった。(中略)
 演説という言葉には、「演じる」という言葉が入っていることからわかるとおり、単なるスピーチや説明とは違う。俳優になりきってしゃべらなければ、聴衆の心を打つことはできない。そのためのひとつの手法が、"間"を置くことなのである。


■6.動きを入れる
 小泉さんの演説は非常に熱いと言われた。それもそのはず、小泉さんの演説には、動きが伴っていたからだ。
拳を振り上げ、演台をたたきながら、オーバーアクションで繰り返した。
                『テレビは総理を殺したか』文芸春秋
 小泉さんが名演出家であったという事実は、こういう指摘からも明らかであろう。身体を動かさず、モゴモゴと口だけを動かす歴代の総理に比べて、小泉さんの演説には、「動き」があった。


■7.できなくとも、できるような顔をする
 ヒトラーは、できないことでも、堂々と「できる」と宣言するような男だった。そのためヒトラーをぺテン師呼ばわりする人もいるが、自信を持ってウソをつけるのも演出上手な証拠である。
 ビル・ゲイツも、IBMとの交渉で、当時は存在さえしなかった「MS-DOS」を開発中だとウソをついて契約を成立させた。契約をまとめてから、大急ぎでプログラムを開発したのである。
 たとえ、手元にない商品でも、「もうすぐ完成」という顔をして、堂々と契約を結んでしまうしたたかさを持っていなければ、どんな世界でも成功することはできない。
 できないことでも、できるように演出しよう。


【感想】

◆本書の「はじめに」で著者の内藤誼人さんが本書について、「特定の政党の思想や信条を述べるものでは決してない」と断りを入れているのですが、それは私も同様です。

結果的に小泉さんのTIPSばかりになってしまっているものの、私も特に特に自民党の政策を推しているわけでもないので、ご了承頂きたく。

実際、本書に登場する回数も、小泉さんが断トツですし。

もっともこれは、内藤さんが「日本の読者にとって馴染みやすいように」"日本の政治"を優先し、かつ、日本の政治家で、ここまで「大衆をコントロールできた」のが、最近では小泉さんくらいしかいなかった、というのが実際のところでしょう。

もっと昔まで遡れば、例えば田中角栄さんなんかも魅力的なキャラクターでしたが、ちょっと古いですかね?

田中角栄流「生き抜くための智恵」全伝授 (ロング新書)
田中角栄流「生き抜くための智恵」全伝授 (ロング新書)

参考記事:【人心掌握】『田中角栄流「生き抜くための智恵」全伝授』に学ぶ、7つの人心掌握術(2012年02月08日)


◆なお、今回は当ブログの立場上、「意図的に取り入れられるもの」を選んでおります。

ただし本書の第1章では、「大衆を操ることができる人」として、その"共通する特徴"を挙げているのですが、その初っ端が「イケメンである」のが「身も蓋もない」といいますかw

そして具体例として登場するのが"小泉"Jr。



いや、この祝辞とか、決して顔だけじゃないような。

また、顔はさておき、本書によると「成功者たちに『自分が出世にあたって役に立ったと思われる理由は何か』を尋ねたところ、92.3%の人が「外見」をあげた」のだとか(『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌インタビューより)。

とりあえず、身だしなみは注意したいものです。


◆一方、本書の第2章は「操られやすい人の7つの特徴」ということで、今回のTIPSとは逆に「動かされる方の立場の人」について言及。

「不安感が高い」「失望感が高い」あたりはいいんですが「知能指数が低い」という表現は、いかがなものかと……。

ただこれも「外国での調査研究の結果」によると、「知能の低い人」ほど、「根拠や事実があやふや」であっても、その文章の内容を受け入れるのだとか。

具体的な数値が、本書には表形式で収録されていますので、詳細はそちらにてご確認を。

結局、こうした「操られやすい人」に向けてメッセージを発すると、選挙も勝ちやすい、ということですか。


◆本書は内藤さんのいつもの本同様に、ほぼすべての項目について、諸外国での研究結果が付されています。

今まで内藤さんのご本を紹介する際には、それらを優先して抜き出してきましたが、考えてみたら、研究結果自体は誰が紹介しても同じでしょうから、今回は丸ごと割愛してみた次第。

もちろん巻末には「参考文献」が5ページ半もあり、これも内藤さんらしいな、と。

基本的に、多作な著者さんはスルーしている私ですが、テーマが好きだったので楽しめました。


他人を動かしたい方に!

人を動かす心理テクニック
人を動かす心理テクニック
第1章 大衆を操ることができる人
第2章 操られやすい人の7つの特徴
第3章 心を揺さぶる悪魔の演説術
第4章 圧倒的な存在感を示す演出の極意
第5章 だれもが納得させられる説得技法
第6章 思いどおりに人を操るイメージ戦略


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【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

街コンでモテる男の作法
街コンでモテる男の作法

一応「モテ本」なんでしょうけど、そもそも街コンに行ったことのある人が、周りにいない自分……。


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