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2013年03月04日

【名言集】『鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか』勝見 明


鈴木敏文「逆転発想」の言葉95  なぜセブン-イレブンだけが強いのか (PHPビジネス新書)
鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、セブンイレブン創業者でセブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長である鈴木敏文さんの言葉を集めた1冊。

著者は、鈴木さんとは10年来の付き合いであり、鈴木さんに関する著書も多い勝見 明さんです。

アマゾンの内容紹介から。
業界の草分けであり、今なお圧倒的な業界ナンバーワンであるセブン‐イレブン。その創業者であり、巨大流通グループ・セブン&アイグループのトップである鈴木敏文氏の鋭い視点は、まさに今までの見方を180度変えてしまうような「逆転発想」と呼ぶべきものばかりである。本書はそんな鈴木氏の名言から、「鈴木流経営学」の真髄を解き明かしていく。

セブンイレブンの強さのヒミツがここに!


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【ポイント】

■1.「真の競争相手」は同業他社ではなく、「絶えず変化する顧客ニーズ」である。


Convenience at Holdom Station / sillygwailo

「私たちはとかく、自分たちの商品は90点で、他社は80点程度だから、勝っていると考えがちです。しかし、本当に勝っているのでしょうか。顧客から見たら、どちらも70点程度かもしれません。どこの商品がいいか悪いかという相対的な比較は、買い手がすることであって、売り手がすることではない。売り手が考えるべきなのは、他社との勝ち負け以上に、顧客により満足してもらうという絶対的な『あるべき姿』の追求です」


■2.仮説づくりは「どうしてなのか」と疑問を発するところから始まる。


Refreshing / kimubert

「仮説づくりは疑問を発することから始まります。コンビニでも冷やし中華は夏のものという固定観念を『本当にそうか』と疑えば、『冬でも寒さが緩む日は売れるのでは』と仮説が立つ。もし売れなければ頭の中を白紙にして、『どうしてなのか』と『顧客の立場で』自問すればズレに気づく。そこからまた仮説を立てれば、売れ筋が見えてくるはずです」


■3.今は「多様化の時代」ではなく「画一化の時代」であると考えると、打つべき手が違ってくる。


Clone troopers / adactio

「今は『多様化の時代』と、誰もがしたり顔で話します。しかし、今の日本のどこが多様化なのでしょう。誰かが『多様化』という耳に心地よい言葉を使うので、みんな、多様化、多様化といっているのであって、私が商売を通じて見る日本人の姿は、明らかに『画一化の時代』です。商品ライフサイクルがどんどん短くなり、次から次へと新しい商品や流行が出ては消えるから、一定のスパンの中で立体的に見ると多様化のように見えるだけであって、ある時点をとらえると画一化以外の何ものでもない。その傾向はますます強まっています。日本ほど、みんなが同じ商品に殺到する国はありません」


■4.人間は自分が「納得しやすい理由」をつくりたがる。


Costco - It's a little overwhelming / brewbooks

「セブン-イレブンを始めるころ、商店街の小型店が不振に陥った原因は『大型店の進出のせい』とされました。当時はもの不足の時代が終わり、小型店も商品を並べれば売れるという従来のやり方が通用しなくなっていました。それを『大型店のせい』にするのは、自分たちが納得しやすかったからです。人は自分にとって不都合な結果が起きると、『○○のせいだ』と原因を外に転嫁して、自分が納得しやすい理由をつくろうとします。自分の仕事の仕方のどこに問題があるか、問い直そうとはしないのです」


■5.人は「損と得」を同じ天秤にかけず、利得より損失のほうを大きく感じる。


balance scale / winnifredxoxo

「例えば、小売業の場合、売り手はとかく商品の廃棄ロスを恐れがちです。その一方で、その商品が十分にあれば得られたはずの売り上げが得られなかったことで生じる機会ロスには、あまり目が向きません。人は、同じお金でも、損と得を同じ天秤にかけようとせず、得られるはずの利得より、損失のほうを大きく感じてしまう心理があるからです」


■6.自分の中で「7割の可能性」が出てきたら挑戦してみることだ。


Daniel jumping down three steps / Andrew Gatt

「挑戦と無謀は違います。10メートルの高さからコンクリートの地面に飛び降りるのは、決して挑戦とはいえません。何かを思いつき、仮説を立てたら、実現可能性をシミュレーションしてみることです。100パーセント成功が保証されたビジネスなどありません。1つの目安として、自分の中で可能性が7割方出てきたら挑戦すべきです。そのシミュレーションの能力は、仮説と検証を繰り返す中で鍛えられていくはずです」


■7.「仕事の筋肉」を鍛えれば、昨日はできなかったことが今日はできるようになる。

バーベルプレートダンベル15 H-9250

「例えば、健康のため、運動を今日やったからといって、すぐに効果を実感できるわけではありません。しかし、筋肉が鍛えられていけば、やがて大きな力が発揮されます。
 仕事も同じで、『仮説・検証』をしたからといって、すぐ効果が表れるわけでははありません。ただ、『仕事の筋肉』を鍛えていけば、あるとき、昨日はできなかったことが今日はできるようになる。目先の楽さをとるか、続けるか。最後に残るのは健康体です」


【感想】

◆今まで2冊ほど、勝見さんが関与された鈴木敏文さんのご本を当ブログでも紹介しており、ネタがかぶりすぎたらどうしようかと思ったのですが、下記参考記事をご覧頂ければお分かりのように、そこまで重複はしていませんでした。

とはいえ、エピソードや決めフレーズは変えようがないので、これらの著作をお持ちの方は、一応ご留意を。

本書にも登場する「梅おにぎり」のエピソードは、以前読んだ記憶があったので、わざわざ割愛したのですが、どうも過去ログでは抜き出していない模様。

逆に、本書収録の「みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対することはたいてい成功する」という小見出しを読んで、てっきり下記参考記事にある「ボーリング場や不動産投機に参入しなかったお話」を予想したものの、出てきませんでしたw

さすがにこの辺は、ネタかぶりに配慮されているのかも。


◆さて、その過去記事でご紹介しているこの本ですが。

朝日おとなの学びなおし 経済学 鈴木敏文の実践!行動経済学 (朝日おとなの学びなおし 経営学)
朝日おとなの学びなおし 経済学 鈴木敏文の実践!行動経済学 (朝日おとなの学びなおし 経営学)

参考記事:【行動経済学】『鈴木敏文の実践!行動経済学』(2012年03月03日)

他の項目も出てくるものの、タイトルで「行動経済学」と謳っているように、セブン-イレブンの現場における「行動経済学」の事例が中心です。

その傾向は、実は本書も同様で、例えば上記ポイントの5番目は「プロスペクト理論」のような。

プロスペクト理論 - Wikipedia

本書では第1章を中心に、こうした「行動経済学」的ないしは、独自の経営論的なお話が第4章まで続き、私もここに付箋を多く貼りました。


◆一方、第5章以降は、コミュニケーションやマネジメント等のお話が中心。

付箋もそれなりに貼りましたが、正直、そこまでの章が濃かっただけに個人的には(ry

やはりセブン-イレブンの強さは、「顧客ニーズを踏まえた商品開発」や「店舗それぞれでの仮説づくり」といった部分にあるのではないか、と。

トップのセブン-イレブンと2位以下のコンビニとでは、平均日販で12〜20万円もの差がある(2013年2月期上期)のですが、本書を読めば、その「強さの秘密」が理解できるのではないでしょうか。


◆ところで、本書の「おわりに」には、著者の勝見さんと鈴木敏文さんとの交流が始まった頃のお話が記されています。

最初の取材が2001年で、その後10年以上に渡り何度も取材を行なわれているとのこと。

その結果、勝見さんは、巻末の参考文献にあるような「鈴木敏文(セブン-イレブン)本」を何冊も世に送り出されているワケです。

そして、そんな勝見さんだからこそ書けたのが、本書のような「名言集」であり、この1冊で鈴木さんのお考えは、かなりカバーできると思われ。

もちろん、過去の著作とのネタかぶりが気になる方は、実際にご確認の上で。


鈴木流の考え方をインストールするために!

鈴木敏文「逆転発想」の言葉95  なぜセブン-イレブンだけが強いのか (PHPビジネス新書)
鈴木敏文「逆転発想」の言葉95 なぜセブン-イレブンだけが強いのか (PHPビジネス新書)
第1章 鈴木敏文「逆転の発想」を語る
第2章 鈴木敏文「時間軸の発想」を語る
第3章 鈴木敏文「人間の真実」と「成功の法則」を語る
第4章 鈴木敏文「顧客の真実」と「成功の法則」を語る
第5章 鈴木敏文「伝え方の真髄」を語る
第6章 鈴木敏文「情報の活かし方」を語る
第7章 鈴木敏文「チーム力の高め方」を語る
第8章 鈴木敏文「生き方」を語る


【関連記事】

【行動経済学】『鈴木敏文の実践!行動経済学』(2012年03月03日)

【セブンの凄さ】「なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?」勝見 明(2009年06月05日)

【コンビニ三国志?】『コンビニだけが、なぜ強い?』吉岡秀子(2012年02月12日)

【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田(2011年11月25日)

【価格戦略】『マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか? クーポン・オマケ・ゲームのビジネス戦略』吉本佳生(2010年12月04日)

【オススメ】『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー(2010年11月26日)


【編集後記】

◆先日の未読本の記事でご紹介しているこの本が、丸善オアゾ店でも大人気の模様。

伝え方が9割
伝え方が9割

もっとも土井英司さんが、もうメルマガで紹介しちゃってるんですけどね(涙目)。


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