2013年02月13日
【これは分かりやすい!】『コクヨの5ステップかんたんロジカルシンキング』下地寛也
コクヨの5ステップかんたんロジカルシンキング
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも評判だった1冊。ロジカルシンキング関係の書籍は、当ブログでも何冊かご紹介してきましたが、その中でも分かりやすさの点ではピカイチだと思います。
アマゾンの内容紹介から。
「論理的に考えているつもり」を解消して、最大の成果を生み出そう!誰でも論理思考が身につく。コクヨで実践している究極のコミュニケーションスキルを伝授。
各ステップごとに指示通りにこなしていけば、ロジカルシンキングが実践できることウケアイです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.「論点」→「結論」→「理由」→「行動」の流れで話す他人の話がわからない場合、以下の4点が原因になっているはずです。(1)そもそも何について話しているのか「論点」が分からないそこで(1)から順番に「論点」→「結論」→「理由」→「行動」の流れで話せば、誰が聞いても伝わる話ができるようになります。
(2)結局何が言いたいのか「結論」がわからない
(3)どのような根拠があってそう言っているのか「理由」がわからない
(4)どうしてほしい(どうする)のかという「行動」がわからない
例えば、このような言い方です。「(論点)営業部隊へのスマートフォン導入の件ですが」
「(結論)A社の製品を導入するのがよいと考えています」
「(理由)なぜなら機能、価格、セキュリティ対策を含めてA社の製品が一番優れているからです」
「(行動)承認いただければ具体的な導入プランを検討します」
■2.理由の共通点を見つけて結論を推測する「並列型」
並列型(帰納法)は複数の事実を列挙して共通点を見つけ、結論を導く方法です。
特徴は、結論があくまでも推測になってしまう点で、正確に表現すれば、結論は「〜らしい」という言い方になります。事実をいくつか見ていくと、たぶんこういうことが言えるだろうという論理手法です。(中略)
並列型のように、複数の事実を並べて結論を導く方法がビジネスでは主流の説明のしかたです。
また並列型のよい点は、複数の理由を併記する形なので、理由の1つが欠けたとしても残りの理由により(根拠は弱くなるものの)結論は維持される点です。
■3.理由をルールに照らして結論づけるのが「直列型」
直列型(演繹法)は、起こった事実と、それが当てはまるルール(一般論・物理法則など)を組み合わせて結論を導く方法です。
社内ルールや一般常識、物理法則などの前提(ルール・基準)があり、起こった事実がその前提に当てはまるために、なんらかの結論が断定できるというものです。
直列型の特徴は、起こった事実とルールが共に間違いなければ、結論は必ず成立するということです。ただ、少し堅苦しい言い方になる傾向があります。
■4.切り口が複数のあるミーシー状態の2つの表現方法
ツリーによる表現は、重要と思われる切リ口をはじめのほうに持ってきて、大分類、中分類、小分類のように分けていきます。
切り口が多い場合はこの分け方がいいでしょう。分類の途中で分け方変えたい場合も、この方法が適しています(例えば大分類で「法人」と「個人」に分けたあと、中分類で「法人」は「顧客規模」で分けて「個人」は「エリア」で分けるなど)。
マトリックスによる分解は、縦軸と横軸に項目を入れて表現する方法です。マトリックスの特徴は、構造がシンプルで、直感的にわかりやすいということです。
ただし分類する数としては2×2の4マスからどれだけ多くても3×3の9マス程度まででしょう。それ以上細かくなると複雑になりすぎるのが欠点です。
■5.「なぜ(WHY)を何度も繰り返し、原因を深堀りしていく
原因を探るには「なぜ(WHY)そんなことが起こったのだろうか? 原因はなんだろうか?」と繰り返し探って、深掘りしていくことです。
原因を深堀りして分解するときに注意してほしいことは、深堀りしたそれぞれの段階でミーシーを意識してばらしていくことです。
とくに1段目と2段目でミーシーを意識しましょう。3段目くらいになると完全なミーシーをつくるのは難しくなるので、重要なものがヌケていないかな、といった思考でいいでしょう。
■6.解決策を考えるのではなく、解決策の選択肢を拾い出す
今までは「なぜ(WHY) ?」で深掘りをしてきましたが、ここからは、見定めた本質的な原因にフォーカスを当てて、その原因に対する解策を「どのように(HOW) ?」と言いながら深掘りしていきます。
ここでも深掘りをどこまですればいいのかとなりますが、具体的にどのように動いたらよいかをイメージできるところまで深掘りを続けてください。(中略)
ここで大切なことは、まずはいったん出したアイデアは、できる・できないはおいて、論理的に考えうる方法をできる限り拾い出していこうとすることです。はなからこれはできない、これは現実的ではないと言っていると、ほとんどのツリーの先に実がならなくなってしまいます。
いきなりすばらしい解決策を考えるのではなく、論理的に考えうる解決策の選択肢をすべて出そうとしてみることをお勧めします。
【感想】
◆引用量が多くなってしまったのでこの辺で。本来、本書は見開きの右のページ(本書は左開きなので)に、図表が掲載されており、それを見れば内容がほぼひと目で分かる仕様となっています。
それがない分、文章だけで理解できるよう、テキストを抜き出したら上記のように引用となってしまった次第。
そもそも、「ツリー」やら「マトリックス」について述べているのに、肝心の図表がなければ、それは理解しにくくもなりますワナ。
実際の本書は、上記各ポイントより数段分かりやすいと思います(と言い訳してみるテストw)。
◆それにしても「帰納法」「演繹法」を「並列型」「直列型」と言い換えてしまうのには驚きました。
類書でもここまで大胆に割り切った本はなかった記憶がw
ただお恥ずかしながら、私自身「どっちがどっちだっけ?」とこんがらがった事が今まで何度かあったのも事実。
さらに、どちらを使うべきか迷った場合でも、本書で言うように「ルールがあるかないか」で判断すれば分かりやすいかな、と。
いや、もう「実践できれば、名前なんてどうでもいいんじゃね?」と勝手に納得してしまいました。
◆ちなみに、タイトルにもある「5ステップ」が何か、というのは下記の目次をご覧頂くとして、上記ポイントでは最後の「マトリックス」が欠けております。
もちろん本書では、このマトリックスの作り方についても懇切丁寧に指南してくれていますので、ご安心を。
一応ざっくり言っておくと、例えば何らかしらの問題解決をするために、選択肢(縦軸)を決め、それに対して評価軸(横軸)を設定し、それぞれに点数をつけて評価します……ってざっくりしすぎですがw
ここで知らなかったのが、「評価軸の重みづけ」で、合計の点数があまり変わらなかった場合は、重要度を考慮して、例えば『「即効性」×3、「継続性」×2』といった具合に点数をつけて、選択肢の優先順位を際立たせるのだそう(詳しくは本書を)。
◆当ブログでも「ロジカルシンキング」の書籍は何冊かご紹介してきましたが、冒頭でも申しあげたように、本書の分かりやすさは際立っていました。
本書の内容がロジカルシンキングの全てではないものの、少なくとも本書の内容をマスターできたら、十分「ロジカル思考」だと思います。
と言うか、個人的にはポイントの1番目の『「論点」→「結論」→「理由」→「行動」』だけでも元は取れた感じ(オイオイw)。
今まで「ロジカルシンキング」に挫折し続けてきた方にこそ、読んで頂きたい1冊です。
論理思考を身につけたいなら!
コクヨの5ステップかんたんロジカルシンキング
序章 すべての人に論理思考を!―ロジカルシンキング
第1章 考えを整理して伝えるテクニック―ロジカルコミュニケーション
ステップ1 「ピラミッド」で話を組み立てる!
ステップ2 「並列型」か「直列型」で理由をつなごう
ステップ3 「ミーシー」でヌケモレ・ダブリをなくす
第2章 問題の解決策を考える―ロジカル問題解決
ステップ4 「ツリー」でばらして深掘りしよう
ステップ5 「マトリックス」で評価して結論を決める
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【編集後記】
◆本書の著者である下地さんの前作。コクヨの1分間プレゼンテーション
こちらもなかなか良さげです。
ご声援ありがとうございました!
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