2013年02月07日
【誘導話法】『一瞬で人の心を誘導する技術』加藤聖龍
一瞬で人の心を誘導する技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「潜在意識を自在にコントロールする」と言われる、催眠療法家ミルトン・エリクソン博士の「ミルトン・モデル」を分かりやすく解説した1冊。ただし、「エリクソン催眠」の深遠な部分は割愛し、日常生活でごく自然に使えるもののみに焦点を当てています。
アマゾンの内容紹介から。
誘導話法18の基本公式。9割の人はこのフレーズで思い通りに動く。ビジネス・恋愛・友人・家族…あらゆる人間関係で使える。
「潜在意識に働きかける」話し方がここに!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.相手が正しく受け止められる言葉を使うたとえば小さな子どもが理解できるのは、ゆっくりわかりやすい言葉でしゃべってもらったときだけです。同じように大人でも、人それぞれ理解しやすい言葉や興味を持ちやすい対象があり、思考があります。
理論派の相手に、「この感じ、最高でしょ?」と感覚を訴えても、相手には実感が湧きません。感覚派の相手に、細かな文字がたくさん書かれた統計表を並べ立てた資料を渡しても眠くさせるだけ。しかし、相手にチューニングを合わせていくことができれば、実りある会話が成立しやすくなります。
本書の会話法のもととなっている催眠療法家ミルトン・エリクソン博士はよくこう語っていたそうです。「相手(患者)の言葉を使って話しなさい」と。相手が理解できる言葉で話をすることが大切だと述ぺているのです。
■2.オノマトペで相手と空気感を共有する
日本語は英語と比較すると、形容詞、形容動詞が極端に少ない代わりに、擬声語(オノマトペ)の種類が豊富です。
「雨がザーザー降っている」「雨がしとしと降っている」「雨がぽたりぽたり降っている」のように、オノマトぺによって雨の降り方も情感たっぷりに伝えることができます。そのため、オノマトぺ表現を利用することで、相手と情景や空気感を共有しやすくなります。
あなたの中の臨場感を相手の中にもつくり出すことで、リードが簡単に行えるようになります。あなたの紡ぎ出す言葉が、相手の中にも広がっていくからです。
■3.さりげなく相手の名前を挟む
相手の無意識の扉を開ける方法は、実に簡単です。
会話の中に相手の名前をときどき挟み込むのです。(中略)
自分の名前は生まれてから何百回、何千回とくり返し呼ばれていて、潜在意識にイヤというほど刷り込まれています。ですから、名前を呼ばれると無意識が優位になって、相手の言葉を受け入れやすい体勢になるのです。
そこで、ミルトン話法をより効果的にするためには、要所要所で相手の名前を挟むこと。しつこく入れるとかえって不快にさせるので、そこはさじ加減が必要ですが、「○○さんはどう思う?」「そうでしょ? ○○さん」というように、さりげなく相手の名前を挟んで呼びかけると、相手は勝手に話を聞く体勢を整えてくれます。
■4.呼吸のタイミングに合わせて話しかける
相手が息を吐き切って吸おうとした瞬間に「○○しようよ」と誘うと、相手は「YES」と答えやすい状況になることも伝えておきましょう。通常、人は何らかの言葉を話そうとするときには息を吐き出さなくてはならないからです。
つまり、このとき相手は「NO」と言うことができずに相手の言葉を飲み込むしかなくなります。
さらにもうひとつの理由として、呼吸によって頭は縦に動きます。この動きは、首を縦に振るうなずき姿勢と同じというわけです。うなずきながら「NO」と言う人は多分いません。こういった状態のとき、脳は混乱して「空白=(虚)」の状態がつくり出されます。このときには完全に意識が働いていないので、このタイミングでメッセージを伝えると意識の壁をすり抜けやすいのです。
■5.「YES」「NO」で答えられる質問で、行動を誘導する
×「窓を開けてください」(命令)この場合は、単に相手に窓をを開ける能力があるかどうかを聞いているだけです。つまり、相手は本来なら「YES」「NO」で答えることができる質問です。
○「窓を開ける(↓)ことができますか?(↑)」(可能)
しかし、相手はわずかに強調されたマーカーとイントネーションの部分に反応し、「窓を開ける」という行動をとることになります。
■6.「〜するとこう感じる」という会話で、相手に行動を誘導する
×「コーヒーを入れてくれ」これは会話の中に、相手にしてほしいことを埋め込んでいます。「〜しなさい!」と命令するではなく、「〜することでこう感じる」と暖昧にしています。しかし、実際は相手に「〜させる」ことを促す心理状態にさせます。
○「コーヒーでも(↓)あると、落ち着くよね」
■7.「なぜ?」でモチベーションを上げる
「ミルトン話法」で使う「なぜ?」は、相手のモチべーションをあげることができます。このときの「なぜ?」は、相手のポジティブな感情(無意識)に響く「なぜ?」なのです。具体例を出して説明しましょう。
「なぜ、あなたはそんなに素敵なの?」
こう言われて怒る人はまずいないはすです。これは(素敵なこと)を、すでに前提としている表現となります。
「なぜ、そんなに綺麗なんだ!」も同じです。
【感想】
◆「ミルトン話法」というと、小難しく聞こえますが、実際には私たちの実生活でもちらほら登場しているもの。本書で具体例として挙げられていたのが「時計持ってる?」というフレーズです。
そう問われれば、自分の腕時計を見て現在時刻を答えるのが普通かと。
これも字面だけ追えば、単に「時計を持っているか否か」を問うているのに過ぎません。
しかし、実際には「相手にして欲しい行動」(この場合は時間を教えてもらうこと)を見事に実現させた「無意識に働きかける会話法」なワケです。
……たまに空気が読めない相手だと、意図が通じなかったりしますがw
◆さて、本書は第2章で、この「ミルトン話法」について掘り下げていきます。
上記ポイントの3番目の「相手の名前を挟む」については、よく初対面の人を相手にする際に、その名前を忘れないようにするために、名前を呼んで話しかけるよう推奨されていますが、こんな効果があったとは。
また、スピーチなどで相手が複数のときは、「あなた」「私たち」という言葉で聴衆に呼びかけることで、同様の効果を得られるとのこと。
もっと高度なものになると、不特定多数を相手にする場合「すべての人が……」と語るより、「漏れがないようペアをつくる」のが効果的なのだとか。
本書では、このオバマ大統領のスピーチの「老いも若きも、金持ちも貧乏人も……」という一節を具体例として挙げていました(1分10秒辺り)。
◆なお、上記引用部分の5番目と6番目に「(↑)」と「(↓)」の記号が出てきましたが、これはイントネーションを意味しています。
実際には上向き下向きではなくて、右肩上がりと右肩下がりの矢印なのですが、入力できないのでご勘弁を。
これらが登場するのは、下記目次の第3章の『相手を自然と誘導する「ミルトン話法」の基本公式18』。
今回はそこから3つ選らんで、前述の5,6さらに7番目のポイントにて紹介しております。
本書のキモは、この18の基本公式だと思いますので、詳細並びに残りの15の公式については、実際にご覧になって確認してみて下さい。
◆本書のあとがきによると、「結論を最後まで言わなかったり曖昧にしたりする」日本語の特性は、「ミルトン話法」にあっているのだとか。
とはいえ、「ミルトン話法」の単純なフレーズだけならまだしも、イントネーションや声のトーン、リズム、姿勢といった「非言語」の部分まで押えるとなると、ちと難しそうな。
本書では、「読者限定特典」として、ミルトン話法の実践解説映像を提供していますので、こちらをチェックすれば、より効果が出るのではないでしょうか。
さっそく私もメアドを登録して、限定公開動画を見始めたところです。
……やっぱ動画は情報量が多いですわw
潜在意識に働きかける話法をマスターしたいなら必読!
一瞬で人の心を誘導する技術
第1章 やってほしいけれど相手に上手く伝えられない言葉の壁
第2章 「ミルトン話法」で相手を傷つけずに誘導する成功の掟
第3章 相手を自然と誘導する「ミルトン話法」の基本公式18
第4章 すんなりOKをもらえる「ミルトン話法」のケーススタディ
第5章 相手のかたくなな「思い込み」を溶かすとっておきの言葉かけ
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。できる!ビジネス文書のつくり方が身につく本
とオモタら、土井英司さんのメルマガで丁度紹介されちゃって涙目の巻……。
ご声援ありがとうございました!
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