2013年01月26日
【スゴ本!】『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術』
AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、"朝生"田原総一朗さんが、"AKB"秋元 康さんにハゲシク迫った1冊。タイトルには「仕事術」とありますが、コンテンツを扱う方や、マーケッターさん等のクリエイティブ関係の方なら「マスト」な内容です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
いまも私は、齢78にしてAKB48にハマり続けている。
この本は、そんなAKB48の真実、魅力を余すところなく伝えるとともに、AKB48を題材としながら、秋元康という希代の大作家・プロデューサーの発想術や仕事術を徹底的に解き明かし、企画やビジネスにおおいに役立つ本になったと信じる。
AKB48ファンはもちろんのこと、ビジネスパーソンにこそ読んでほしいと思う。 田原 総一朗
思わず付箋も貼りまくりです!
130129追記:田原さんご自身の記事がブロゴスにあがっていました。
秋元康さんに聞いてわかった「AKB48の戦略」に隠されたすごいノウハウ(田原総一朗) - BLOGOS(ブロゴス)
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
本書は対談形式ですが、以下秋元さんの発言のみ取り上げております。■1.ふぞろいの「デコボコ」が大事
いやいや、歌唱力だけを見るわけじゃないんですよ。やっぱりプラスアルファが大事で、つまり「デコボコさ」を求める。これは、たぶん僕がおニャン子クラブで培ったことだと思うんですけど、いろんな子がいて、ふぞろいのほうがいい。対極にあるのがK-POPで、身長もスタイルも雰囲気も、できるだけそろえるんです。でも僕は、おニャン子クラブのときから、ファンが「僕はこの子が好きなんだ」とか「俺は右から2番目の子がいい」というように選べる楽しさが、なにより大事だと思っていました。
■2.大衆に迎合してもダメ
40歳くらいまで、僕は「自分は作り手だ。自分のターゲットは視聴者やオーディエンスである大衆だ。大衆が求めていることはなんだろう」と必死に考え、それを作ってきました。でも、いまは違う。「自分は大衆の1人だ。だから自分が楽しくなきゃダメなんだ」と思っています。
最近、若い人によく説教することがあります。たとえば雑誌のスタッフなんかに「この本、ほんとにおもしろいと思うの? あなたは編集者だから、読者むけにこういう企画がいいと思っているんじゃないの?」と。いちばん大事なことは、自分がこの本に一切関係なくても、本屋でこの本を手に取って買うかどうか。「僕はすっごくおもしろいと思う。絶対買うぞ」と編集者が思ってはじめて、その中に当たりが出てくるんです。
■3.AKBはリナックスである
これまでは、商売をする側がコンテンツを独占することによって利益を得ていた。でも、いまの時代に一人勝ちの構図はなかなか難しい。むしろ、AKBはリナックスのようにオープンソースにして、それぞれの専門家が「AKBはこう使えばいい」と工夫し、改良して広がっていくことがおもしろいと。(中略)
AKBも、いろんなシェフに料理してもらい、新しい魅力を引き出してほしい。それにはどんな人とも組むということです。
■4.プロデュースの仕事は畑を用意して種をまくまで
AKBの子たちに対して僕のできることは、チャンスを作るところまでです。なかには「秋元さん、花を育てるとき精魂込めて土を耕し、いつも水やりや陽当たりに気を配るように、AKBの女の子たちを大事に大事に育てているんでしょう」と誤解する人がいるんですけど、まったく違います。そんな花は風が吹けばすぐ倒れてしまう。いかにたくましく育つかは、自分の問題です。僕は畑を用意した。AKB48という種もまいた。あとは頑張って自分で咲いてくれ、という感じですね。
■5.刺さるコンテンツでなければダメ
AKBを始める前に僕が考えていて、会議でもいちばんよく口にした言葉は、「刺さるコンテンツじゃなきゃダメなんだ」ということです。「認知」と「人気」は違うと。(中略)
テレビで有名になると、すぐ歌を出しましょう、写真集も出しましょうという話になるんだけど、全然売れない。なぜか? "認知"でしかないからですよ。テレビがもたらす膨大な情報量の中でただ「知っているよ」ではなく、「自分はこれが好きだ」と思う、刺さるコンテンツにならなければいけない。テレビは流れて止まらず、瞬間瞬間で消えていくメデイアでしょう。そこで視聴者の嗜好にぴったり合い、もうそのことしか頭になくなってくるような刺さり方をすることは、容易ではないんです。
■6.2匹目のドジョウは小さい
ずっと時代の流行り廃りを見ていると、モグラ叩きみたいなものですね。みんなが次に出ると思っているところからは、もうヒットは出ない。つねにそうです。いま一大アイドルブームですけど、AKBがここまでいっちゃうと、次はもう出ないですよ。柳の下のドジョウは、2匹目がいたとしても、ものすごく小さくなってしまう。というのは、1匹目は野生育ちで作意がない。2匹目は、それに似たものをむりやり作ろうとするから、大きく育たない。(中略)
AKB48ブームが去っても、ポストAKB48は、なかなか生まれにくい。きっと、僕たちが予想もしなかったところからブームが起こりますよ。
■7.時代と合気道をする
ヒットを出すには、ちょっとあざとい言葉で言うと、時代と合気道をしなければいけないんです。いくらアメリカやイギリスに進出したいと無理に頑張っても、時代の力というものを投げ飛ばすことはできない。でも「インドネシアですごい人気です。来てください」という声に乗れば、体がふぁんと浮く。僕は、自分の意志よりも、みんながどんなことを望んでいるかを優先して考えます。なるべく時代にもっていかれるほうに、できるだけ手綱を緩めておくんです。
【感想】
◆冒頭の画像でもお分かりのように、付箋を貼りまくりました。いつものノリで、前の方から引用しようとしたら、第1章だけで終わってしまいそうになり、慌てて選び直したくらいw
1つには、田原総一朗さんも「AKBにハマっている」と言われるくらいですから、世間一般よりはるかに詳しい状態であるにもかかわらず、あえて基本的な部分から問いかけてくれているからかと。
ファンの方なら常識であろう「なぜ秋葉原からだったのか」といった話や、私も耳にしたことのある「カルピスの原液」の話など、本書はむしろ「AKBのファンの人以外」に向けて書かれていると考えた方が良さそうです。
◆そういえば、丁度こんなニュースがあって。
「最低のクオリティー。失笑買うぞ」 秋元康がAKB48イベントにおかんむり (1/2) : J-CASTニュース
上記ポイントの4番目辺りを読むと、なるほどそうなんだな、と納得できました。
同様に公演等でのMCの内容も、秋元さんはほぼノータッチらしく、篠田麻里子さんの「かかってきなさい」や前田敦子さんの「私のことは嫌いでも〜」も、台本があったわけではないのだそう。
もっとも、全然面倒を見ないわけではなく、メンバーたちから相談を受けると、難しい言葉を言い換えたり、漢字にふりがなをふったりして、2時間くらいかけて、長いメールを返すのだとか。
……なのにその返事が「ラジャー」の一言と手の絵文字だけで「ええっ!? これだけかよ!」となったりするらしいですがw
◆ところで、今回割愛してしまったのが、第3章から第5章まで。
まず第3章の「AKB劇場」では、「東京ドーム」という「甲子園」を目指すまでの道のりについて。
そして第4章では、その東京ドーム公演の舞台裏が明らかにされています。
AKB48 in TOKYO DOME~1830mの夢~SINGLE SELECTION [DVD]
正直この辺は、ある程度AKB48について知識があった方が楽しめるというか、私の場合「舞台裏」以前に「表舞台」も知らないのがカナシイところ。
というか、大島優子さんって、第2期だったんですか(今さら)。
◆こんな私のようなシロートのために(?)、第5章では秋元さんの、AKB寸評がw
そもそも、「何で前田敦子がセンターなのか」という話から、「渡辺麻友はアイドルになるために生まれてきたような子」「柏木由紀は親に紹介したくなる感じ」「高橋みなみは政治家になるべき」等々。
ファンの方なら常識なのかもしれませんが、私は結構勉強になりました。
さらには、その第5章に続いて、高橋みなみさんと田原総一朗さんの対談も収録。
田原さんも「(対談当時の首相である)民主党の野田さんより高橋さんの方がリーダーとしての素質があると思う」なんて言われてるんですが、高橋さんがスゴイというより(ゴニョゴニョ
◆私は学生の頃「オールナイトフジ」を見ていた世代なので、秋元さんの大きな仕事には、ほぼ一通り接していた事になります。
その後のおニャン子クラブから、さまざまな作詞活動、そして現在のAKB。
全部を通して語った本は、おそらく本書が初めてなのではないか、と(雑誌等を除けば)。
ポジショントークな部分や、後づけの話があるかもしれませんが、現在トップにいるプロデューサーの言葉は、やはり重みがありました。
これはオススメせざるを得ません!
AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)
第1章 AKB48の誕生
第2章 秋元康の思考
第3章 AKB劇場
第4章 東京ドーム公演
第5章 AKB48のプロデュース
特別対談 高橋みなみ×田原総一朗
第6章 AKB48はどこへ行く?
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【発想】「もったいない主義」小山薫堂(2009年04月08日)
【アイデア】『「考え方」の考え方』指南役(2008年10月30日)
【編集後記】
◆本書とあわせて読んでおきたいのがこちら。企画脳 (PHP文庫)
AKB以前の秋元さんの仕事ぶりが分かる1冊です。
レビューは上記関連記事にてご確認を。
ご声援ありがとうございました!
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