2013年01月24日
【これはヤバいw】『面白い本』成毛 眞
面白い本 (岩波新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、最近は当ブログでも、著者さんとしてよりも、HONZ代表としてお馴染みの成毛眞さんの最新作。成毛さんもここの所、自己啓発系の作品が多かった(HONZ本を除く)のですが、本書は久々にガチなブックガイドとなっております。
アマゾンの内容紹介から。
面白いにもホドがある! 書評サイトHONZの代表が太鼓判を押す、選りすぐりの面白本100冊。ハードな科学書から、シュールな脱力本まで。いずれ劣らぬ粒ぞろい。一冊でも読んだら最後、全冊読まずにいられなくなる。本代がかかって仕方がない、メイワク千万な究極ブックガイド。
個人的には、改めて成毛さんの「本を人に薦める」スキルの高さを実感した1冊でした。
ヤバい、本買うてしまうww
いつも応援ありがとうございます!
【成毛さんにお薦めされた7冊】
ヴォイニッチ写本の謎
『ヴォイニッチ写本の謎』(ゲリー・ケネディ、ロブ・チャーチル著、松田和也訳)は、オーパーツ度では群を抜く、ある謎の書物について書かれた本だ。
地球上にある人間の創造物は時代の文脈との関連性を多少なりとももっている。しかし「ヴォイニッチ写本」にはそれが一切ない。だれにも読めず、だれも理解できない。もはや天界の風景が描かれているとしか言いようがないほどだ。
写本には薬草のような植物、緑の液体に足を浸す裸の女などの、精緻で美しい図版が描かれ、膨大な未知の言語体系で記されている。これらの謎を解こうとすればするほどに、まったくわからなくなるという。
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)
では、なぜハダカデバネズミなのか。それは彼らの非常にユニークな言葉と生活を覗いてみればすぐにわかる。なんと彼らは「パピプぺポ」を発音することができ、歌も唄う。さらには自分よりも階級が上のネズミには特定の鳴き声を多用し、まるで人間社会の「すみません」のような表現で、目上の者と下の者を分けるというのだ。
さらに驚くのはその社会だ。アリのごとく女王が統治し、兵隊をもつ。それどころか女王のふとんになる係もいれば、ときに巣から飛び出して旅に出る冒険者もいる。そのかたわら真面目なサラリーマンのようにみえる個体もいるという。
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
サイモン・シンのすごさは、数学をものの見事に、ふつうの言葉に翻訳してしまうところにある。たとえばフェルマーの最終定理の「3以上の自然数 n に対して、xn + yn = zn を満たすような自然数 x, y, z の組み合わせはない」といわれても、一般人にはまさに暗号でしかない。物理学ならある程度は言葉で説明できるが、純粋数学や高度な暗号に至っては、言語自体が数式にならざるをえない。そこをサイモン・シンは、ものの見事に言葉で表現してのけ、物語として届けてみせるのだ。
新装版 道具と機械の本――てこからコンピューターまで
本書が素晴らしいのは、緻密に描かれた美しいイラストを巧みに使い、複雑なメカニズムを非常にわかりやすく解説してしまう点だ。たとえば「原子力」の項目では、原子炉を喩えた「機械じかけのマンモス」が描かれている。ごくわずかな燃料から途方もないほどのエネルギーを生み出すイメージを重ねあわせているのだ。
しかし、ひとたび解説を読めば、けっして幼稚な内容ではないことがわかるはずだ。大人が読んでも、きちんと知識を獲得できる。見開き2ぺージで解説していくわけだが、これ以上わかりやすく、簡潔で面白い本とはなかなか出会えないかもしれない。
スエズ運河を消せ―トリックで戦った男たち
舞台は砂漠の北アフリカ戦線。軍備に勝る精強のナチス・ドイツ軍の前に、ひとりの男が立ちはだかった。ジャスパー・マスケリン、マジックの名手である。そのジャスパーのもとに集まったカモフラージュ部隊の面々が、なんとも魅力的だ。有名婦人服デザイナー、画家、デザイナー、シュルレアリスムの詩人。兵隊には不向きとしかいえないような人たちばかりなのだ。(中略)
このトリック部隊は、戦車をトラックに見せかけ、ゴミの山から軍隊を作り出したり、だだっ広い平原で15万の兵士、1000台の大砲、1000両の戦車を隠したりといった荒唐無稽な芸当もやってのける。まさにウソのような本当の部隊の話なのである。
音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々
著者は映画『レナードの朝』の原作者で知られる神経学者、オリヴァー・サックスなのだから面白くないわけがない。
最初に登場するのは、雷に打たれながらも幸運にも生き延びた42歳の医師だ。この医師は落雷の直後から激しい音楽の波に飲み込まれる。ピアノ音楽に対する突然の渇望からレコードを買い集め、ピアノの練習をはじめ、ついにはコンサートデビューし、ピアノ曲を作曲して喝采を浴びてしまう。音楽の才能とは先天的・後天的をとわず天賦のものかと考えさせられる。
本書では、こうした音楽と人の不思議な関係を、29章にわたって描き出す。病的な音楽好きで知られるウィリアムズ症候群や、音に色がついて「見える」共感覚、さらには2000曲以上のオぺラのすべての楽器の楽譜を記憶する特殊な才能を持つ人など、すべての章で驚くべき能力や事実が紹介されている。音楽はかくも人間の精神と不可分のものなのだと実感させられる。
鵤(いかるが)工舎の仕事―長泉寺建立記
本書は、2008年9月に落慶法要された東北最大規模の寺院本堂建立に関わった奈良の宮大工集団、鵤工舎の仕事ぶりを描いている。
本書によると、この本堂は少なくとも数百年はもつという。しかし基礎は100年ほどしかもたないというのだ。なぜかといえば、昔の工法では建築許可が下りないため、やむをえずコンクリートにしたからだという。日本古来の建築技法のための必要条件を、今の建築の法整備が阻害しているのも不思議だが、そんな技術が時代を越えて継承されていることにも驚かされる。仏さまがお座りになる本陣の床は台湾製の檜で樹齢は3000年のものだ。
【感想】
◆本書に収録されている本は、上記7冊を含む計100冊。成毛さんが『最近20年の読書道楽人生の中から厳選した「これぞ!」と思う本』ばかりです。
ちなみに、この100冊の中で、当ブログでご紹介している本はただの1冊もありませんでした。
(ノ∀`) アチャー
一応「成毛さんにお薦め頂いて買って読んだ(もしくは積読した)」のが、この2冊なんですが。
コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)
◆もっとも、そうなるのも当然で、成毛さんは基本的に、いわゆる「ビジネス書」「自己啓発書」の類はお薦めされてません。
本書の第7章「金と仕事とものづくり」においても
あえてひと言アドバイスするなら、いわゆるビジネス書らしい顔をしたビジネス書には時間を取られないようにすることだ。と言われています。
要は、「非ビジネス書を読んで、ビジネスに活かせ」ということかと。
そのことは、以前お伺いしたセミナーでも言われていたのですが。
【読書】成毛眞さんのセミナー「遠くを見すえるための非ビジネス読書術」に潜入してきました(2011年05月11日)
あくまで「読書は仕事の役にたてるべき」という方は、まず、第7章からご確認頂ければ。
◆ただし、そもそも成毛さんは、読書を「投資」とは考えてらっしゃいません。
本書の冒頭では「読書は道楽」ときっぱりと断言。
成功するためにとか、何かの役にたつようにとか、目的をもって本を読むのはおカド違いというものだ。それではせっかくの面白い本も、面白くなくなってしまう。本を読むことに何も意味を求めない。純粋に面白ければそれでいい。それが私の読書の理想だ。そして、今回私が選んだ7冊も、「仕事の役に立つ」という観点ではなく、純粋に「読んでみたい」と思ったもの。
実際に付箋を貼った本は、31冊もありました。
……ヤバい、ブログでご紹介できない本にアマゾンアタックしてしまうww
◆ちなみに私は今回、「どうして読みたいと思ったのか」「どのような薦め方だと人は読みたくなるのか」を意識して、本書を読んでみました(アサマシ的な意味でw)。
成毛さんのレビューの書き方については、上記セミナーでも触れられていたのですが、小飼 弾さんや、土井英司さんとは違います。
「良くなければdisる」とか「話題作だから触れておく」というのではなく、あくまで「良い本を薦める」というスタンス。
私も日頃は「薦める」立場なのに、本書には「薦められ」まくったという。
さっそくこんなツイートもw
してやったり〜! RT @motonobu_suzuki: 成毛眞(@makoto_naruke)の「面白い本」、1章読んですでに3冊ポチってしまった・・・。このペースでいくとヤバいと思い読むのを中断。「面白い本」…恐ろしい子!
— 成毛 眞さん (@makoto_naruke) 1月 23, 2013
やはり、成毛さんの「本を買わせる技術」は、半端ないッス!
すでに、本書で紹介された本が、続々と在庫切れになりそうな予感。
タイトル通り「面白い本」が満載です!
面白い本 (岩波新書)
1 ピンポイント歴史学
2 学べない生き方
3 ヘビーなサイエンス
4 シチュエーション別読書法
5 嘘のノンフィクション
6 タイヘンな本たち
7 金と仕事とものづくり
8 事実は小説より奇なり
9 鉄板すぎて紹介するのも恥ずかしい本
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【痛快!】「大人げない大人になれ!」成毛眞(2009年11月25日)
【編集後記】
◆今回ボリューム的に選べなかった中から1冊。ジーニアス・ファクトリー
読みたいのですが、多分ブログでは取り上げられないかと。
ご声援ありがとうございました!
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