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2013年01月18日

【勉強】『学び続ける力』池上 彰


学び続ける力 (講談社現代新書)
学び続ける力 (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先の選挙特番ではキレキレだった池上 彰さんの最新刊。

資格試験向けの狭義の勉強本ではありませんが、私たちビジネスパーソンにとって役に立つ「学びのコツ」を伝授してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
初めて語った、父の背中に学んだこと。記者時代、コツコツ独学したこと。そして、いま大学で一般教養を教える立場になって考えること。いまの時代に自分らしく生きるための「学び」について考えるエッセイ。

帯にある「池上彰ができるまで」というフレーズがしっくりくる1冊です!


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【ポイント】

■1.池上流「ノートのとり方」
 いま自分がもし、学生の立場で講義のノートをとるなら、どうするか。B5サイズの大学ノートを見開きにして、2ぺージを1面と考えて使います。
 左側に授業内容のメモをとっていくでしょう。右側は空けておきます(図2参照)。文章にせず、単語を書きつけるつもりで、メモをとっていきます。
 左側がいっぱいになったらページをめくり、また左ページに書いていく。右側はずっと空けておきます。
 授業が終わった後で見ると、左ページのメモは、なぐり書きだったり、全部メモしきれなくて断片的だったりするでしょう。
 それを見ながら、その日のうちに、今度は右側に、「ここの部分はこういう意味だよね」と補ったり、「先生は何を言いたかったんだろうか?」などの疑問とそれに対する自分なりの答えを書いてみるのです(図3参照)。


■2.キーボード入力への懸念
 パソコンでノートをとることについて、もう1つ思うのは、ローマ字入力についてです。ローマ字入力は、日本語をいったんアルファべットでローマ字に置き換えます。一方、手書きで漢字まじりで書くときは、耳で聞いた音を、文字自体が意味を持つ漢字に置き換える作業です。
 あくまで私の感覚ですが、ローマ字入力では、頭の中に、本当の意味でその内容がきちんと定着しないのではないかという気がするのです。文字を、その意味によってでなく、音で表示するからです。キーボードで入力したことが、そのままスッと自分のものになるだろうか。ちょっと引っかかるものがあるのです。


■3.キーワードを使いこなす
 メモをとるにはキーワードを拾わないといけません。
 私が言うキーワードとは、そのできごとを構成する大事な要素です。固有名詞であり、5W1H、あるいは、その人が伝えたい内容を象徴する言葉です。(中略)

 その人の論旨を追いかけながら、キーワードを拾って書き留めていく。それができれば、話し手の言い分をきちんと受け止められたことにもなります。
 そのためには、話を本当によく聴かなければいけません。それを心がけているうちに、「聴き取る力」も自然に身につきます。
 後から、左ぺージのキーワードをつないでいけば、その人が言いたいことが論理的につながってきます。
 そして、それをもとに自分の考えも加えて話すことができれば、上級者です。


■4.引っ張り出して組み合わせる
 検索能力は必要な能力ですが、あるキーワードで検索して引っ張ってきたものと、別のキーワードで引っ張ってきたものを重ねることによって新しい発想を生み出す。そこまでできないと、あまり意味がないと思うのです。
「組み合わせて引っ張り出す能力」と言っていいかもしれません。
 頭の中から、そのときに合わせて適切な知識を引っ張り出す。あるいは知識と知識を組み合わせることによって自分なりに展開させる。そのような能力こそが、いま必要なのではないでしょうか。
 そのためには、引っ張ってくるべき内容を大量に蓄積していなければなりません。これが、現代の教養のひとつなのでしょう。


■5.一般化してみる
 たとえば、ある国について学ぶとき、「このケースを一般化すると何が言えるだろうか」と考えてみます。
 最近なら、チュニジア、エジプト、リビアなどの中東各国について、民主化という普遍的な概念でとらえたときに、その民主化の受け皿はあるのか、民主化をもたらしたものは何か、周囲の国の経済制裁か、革命か……頭の中でそういった整理をしてみるのです。
 単に知識を集めるだけでなく、「要するにそれはどういうことなのだろうか」「ここから導き出されることは何なのか」ということを1つ1つ考えるようにしていると、ある点でAとBの例は共通している、ということが見つけられるのです。


■6.論理とビジュアルを兼ね備えた説明をする
 最近、東京工業大学教授で生物学者の本川達雄先生に聞いた話です。(中略)
 本川先生がおっしゃるには、物事は論理的に言葉で伝えることが大事である。けれども、人間は論理的なものだけで動くわけではない、だから説明には、論理と視覚に訴えるものの、両方が必要である。論理的に説明されて何となくわかるけれどもいまひとつ腑に落ちないときには、ビジュアル化したもので説明されると納得できる。言い換えれば「左脳と右脳」の両方があいまって、「なるほどよくわかった」という気になるのだ……。
 つまり、聴いていて絵が自然に思い浮かび、なおかつ論理が通っていると、ストンと腹に落ちる、それが本当の意味で伝える力なのだ、という話です。


【感想】

◆若干引用量が多かったのでこの辺で。

実は今回抜き出したのは、本書の第3章の「身につけたい力」からのみとなっております。

実際には他の章にもガンガン付箋は貼っているものの、仕事や生活に役立つTIPSを優先したところ、このような結果になったと言う。

そこでここでは、その他の「割愛した部分」を中心に補足してみたいと思います。


◆まず第1章では、NHK退社後の池上さんの現状等について言及。

それまでひたすら「放電」していたと感じた池上さんは、まずは「充電」すべく社会人向けの大学に通われたのだそうです。

拓殖大学のアジア塾、明治大学のビジネス講座、慶應大学丸の内キャンパスの金融論等々。

あれだけ顔の売れてる池上さんが受講していたら、それは教える方は緊張します罠(その辺の記述はありませんでしたが)。

おまけに某コースに関して「こういう説明をしていてはダメなのだな、という反面教師としては役に立ちました」とバッサリw

「"黒池上"の本領発揮です」(違うw)


◆一方、第2章では、東工大で学部生に一般教養を教えることになった経緯と、その現状について。

学生に90分間講義を聴かせるためのノウハウや、どういうテーマを取り上げているのか、さらには成績評価の方法等、池上さんならではの工夫が興味深かったです(詳細は本書を)。

ちなみに成績評価は、出席数を一切考慮せず、学期中2回のレポート提出と期末試験のみで、その試験はレジュメやノート等の持ち込みも可というスタイル。

「極めて高い評価をつけたレポート」があったものの「大変低い点をつけざるをえないものも散見」したそうで、結果、かなりの数の学生を落とすことになったのだそう。

「まさに"黒池上"の本領発揮!」

おかげで、前期の講義では定員オーバーで履修者を抽選で選んだのが、後期は「教室の定員を大きく下回った」のだとか。


◆もっともこういったエピソードも、池上さんが本当に「学ぶことに対して真摯であるから」によることが、本書を読むと分かります。

そしてそれは、冒頭の内容紹介にあるように、お父さんに影響を受けたものでした。

池上さんのお父さんは、勤め帰りに慶應義塾大学の図書館で英語勉強し、資格を取得。

会社を退職後、60歳を過ぎてから、通訳ガイドの仕事や英語の技術書類を翻訳する仕事をなさっていたのだそう。

しかも、米寿を過ぎて寝たきりになってからも、『広辞苑』の第4版が発売になると池上さんに買ってくるよう頼み、それを枕元に置いて、亡くなられるまで少しずつでも読んでいたのだとか。
「世界が明日終わりになると知っていても私は今日リンゴの木を植える」という有名な言葉があります。私は、明日死ぬことがわかっていても、やっぱり勉強を続けたいと願っています。こんな心構えを、父は教えてくれたのでしょう。
やはり「この親にしてこの子あり」!


「池上 彰」という方の原点が分かる1冊!

学び続ける力 (講談社現代新書)
学び続ける力 (講談社現代新書)
第1章 学ぶことは楽しい
第2章 大学で教えることになった
第3章 身につけたい力
第4章 読書の楽しさ
第5章 学ぶことは生きること


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【編集後記】

◆色々な意味で気になる1冊。

正しいブスのほめ方
正しいブスのほめ方


丸善オアゾ店では大展開するかもです(嘘)。


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