2013年01月07日
【サッカー】『必ず成果を出す! サッカー名監督のすごい言葉』桑原晃弥
必ず成果を出す! サッカー名監督のすごい言葉 (PHP文庫)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、サッカーネタの中でも特に「監督」にフォーカスした、書き下ろしの文庫本。とはいえ、ガチガチのサッカー系の著者さんではなく、ジョブズ本やバフェット本といった「語録」でお馴染みの桑原晃弥さんの手によるものなので、自己啓発書としても読める作りとなっております。
アマゾンの内容紹介から。
ファーガソン、モウリーニョ……プレッシャーの中で結果を出し続けるサッカーの「名将」たち。彼らのマネジメント術を語録形式で解説。
さすが世界の名監督たちの「語録」だけあって、なかなかに深いです!
いつも応援ありがとうございます!
【サッカー名監督のすごい言葉6選】
(なお引用部分の太字は、私、smoothによるものです)■ジョゼ・モウリーニョ
2008-2009年のチャンピオンズリーグでインテルがマンチェスター・ユナイテッドに敗れたあと、モウリーニョはプレスルームでこう言い放った。
「今日の戦いに対して選手たちを批判したいなら、まず私を殺してからにしてほしい」
モウリーニョは、規律を守らない選手は一切の例外を認めずチームから外す厳しさを持っている。しかし、一方でマスコミの前で選手を批判しないという自己規律も持つ。外部からの批判には体を張って選手を守る。言うべきことがあればマスコミを通してではなく直接選手に言う。
■アレックス・ファーガソン
Manchester - Old Trafford - Manchester United vs Crawley Town / Andrea Sartorati
選手を大幅に入れ替えてチームをつくり直すと、結果が出るまで2〜3年はかかる。その間に解任されたら元も子もない。以来、ファーガソンは少しずつ選手を代えながらチームを成熟させていくようになる。こう言っている。
「今日のために戦い、明日のために考える」
1995年、ファーガソンは「ファギー(ファーガソン)のひよこ」と呼ばれたべッカムやライアン・ギグスといったユース出身の若手を大胆に起用し、主軸を放出する。その一方で、エリック・カントナのようなべテランもチームに残した。その結果が1998〜99年の3冠に結実するのだ。
■ジョゼップ・グアルディオラ
Joan Gamper Trophy / tpower1978
グアルディオラが就任1年目からずば抜けた結果を残せた理由の1つは、仕事に対する熱心さによる。(中略)
その徹底ぶりを表すのが、ある表彰式を欠席した際のコメントだ。
「次の対戦相手のクルトゥーラ・レオネッサの映像を3本分析しなければならないから」
クルトゥーラ・レオネッサは強豪ではない。それどころか下部リーグに属する格下だ。普通は、表彰式を欠席してまで研究する必要はないと思う。だが、そこに手を抜かないのがグアルディオラである。彼をよく知る人が「1日24時間サッカーのことを考えている」と評しているが、これは、どんな分野でも一流になるために必要な資質だろう。
■アリゴ・サッキ
Arrigo Sacchi / torre.elena
サッキは監督時代、イタリアのサッカーをこう見ていたという。
「あの頃はどのチームも勝つことだけで満足していたのです。目的さえ達成できれは方法はどうでもよかった」
伝統的なイタリアサッカーに対し、サッキは「勝つだけでなく、「納得のいくプレー」を追い求めていた。当然、ほかのチームに比べてサッキの要求は厳しく高度だ。不満をもらす選手にサッキはこう答えた。
「勝利は記録に残るが、よいプレーはサッカーを愛する人たちの記憶に残る。私は人々に、このミランのことをいつまでも覚えていてほしいんだ」
結果はサッキの願い通りになった。
■フース・ヒディンク
「いったいどうすれば、サッカー大国ではない国を強くすることができるのか? 私は方法論を1つ持っている。まずやらなければいけないのは、その国がなぜそういうサッカーをするのか、本質的なルーツを知ることだ。言い換えると、その国の精神を理解するということである」
たとえばロシアの選手は過去の社会主義体制の影響か、命令に従うことに慣れすぎていると言う。(中略)
サッカーの試合は予測できなかったことが次々と起こる。選手が自分で考えて対応できなければならない。ヒディンクはロシアチームを率いるにあたり、自分で考える意識を植えつけようとした。
その一方で、ロシア人のまじめさやスピードは生かす。ハイテンポでショートパスをつなぎながら相手ゴールに迫る「コレクティブ・カウンター」などを試みた。その結果がユーロ2008でのべスト4入りだ。
■カルロ・アンチェロッティ
Carlo Ancelotti / Doha Stadium Plus
試合だけでなく、日々の積み重ねが大切である。試合が行われるのはせいぜい週に1日か2日にすぎない。試合に向けての練習という準備があって初めて、自信を持って試合に臨むことができる。アンチェロッテイは言う。
「試合をめぐるさまざまな決断も、日々の練習における積み重ねがあって初めて、自信を持って下すことができるものだからだ。監督にとって、日常的な仕事の現場は、スタジアムではなく、むしろチームのトレーニングセンターなのである」
練習を通して信頼を獲得する。監督の力量は日々問われているのだ。
【感想】
◆引用部分が多くなってしまったので、この辺で。下記目次をご覧頂ければお分かりのように、本書は実際には、9つの章で9人の名監督の言葉を収録しています。
しかも、今回割愛した監督がアーセン・ベンゲルにヨハン・クライフにイビチャ・オシムって、皆さん本まで出されてる大御所です罠。
勝者のヴィジョン
ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」
考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)
ちなみに、上記では1人1つしか「言葉」をご紹介しておりませんが、本の方では各人それぞれ10個程収録しておりますのでご安心を。
◆また、続く第10章では「世界を刺激し続ける6人の闘将」と題して、下記6人の言葉を1〜3つずつ収録。
ファビオ・カペッロ
マルチェロ・リッピ
ルイス・ファンハール
ロベルト・マンチーニ
アンドレ・ビラスボアス
フランク・ライカールト
こちらの方々は、まだ自著等が出てないので、資料が少ない分、個別の章にできなかったのではないでしょうか。
もっとも、監督経験も豊富な最初の3人はまだしも、残り3人の若手監督はこれからの面々ですから、今後さらに飛躍して頂き、個別の章で再登場して欲しいところです。
◆ところで、今回割愛した中にアリゴ・サッキ氏の「フィールドプレーヤーが職務を全うすれば、ミランにゴールキーパーは必要ない」という「言葉」がありました。
それを体現したのが、この試合。
1989年チャンピオンズカップ決勝、ACミラン対ステアウア・ブカレスト戦です。
注:動画削除されました💦
上記動画も得点シーン(ACミラン 4-0 ステアウア・ブカレスト)しか入っていないので分かりにくいのですが、サッキ氏率いるACミランは「1本のシュートも打たれていない」のだそう。
一応申し上げておくと、ステアウア・ブカレストもタダの雑魚というわけではなく、1985-86年にはあのバルセロナを下してヨーロッパチャンピオンになったチームですから、当時のACミランがいかに強いか分かるというものです。
◆なお、冒頭で本書の著者の桑原さんの過去の著作について触れましたが、この方、著者紹介に「経済・経営ジャーナリスト」とあるように、元々スポーツ畑の方ではありません。
それゆえ本書も、「サッカー名監督の言葉」という素材を扱っているにもかかわらず、根底にあるのは「マネジメント」や「仕事術」的なもの。
本書の「はじめに」にもこうあります。
監督には、並外れた精神力、人間力、そして究極のリーダーシップが求められる。つまり、サッカーの名監督を知ることは、ビジネスにおける自分の勝ち方を学ぶことでもある。それを受けて、今回「ビジネスに応用できる言葉」ばかり選んでみた次第。
各監督について、さらに深く知りたい方は、それぞれの著作に当たって頂いてもいいのですが、まずは本書でエッセンスを学ぶのも良いと思います。
皆さん、伊達に世界を股にかけて戦っていらっしゃいません!
必ず成果を出す! サッカー名監督のすごい言葉 (PHP文庫)
第1章 ジョゼ・モウリーニョ
第2章 アレックス・ファーガソン
第3章 ジョゼップ・グアルディオラ
第4章 アリゴ・サッキ
第5章 フース・ヒディンク
第6章 アーセン・ベンゲル
第7章 カルロ・アンチェロッティ
第8章 ヨハン・クライフ
第9章 イビチャ・オシム
第10章 世界を刺激し続ける6人の闘将
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【編集後記】
◆こちらはテレビ東京のサッカー番組『FOOT×BRAIN』の書籍化。フット×ブレインの思考法 日本のサッカーを強くする25の視点
実はまだ番組は観たことないんですが(サーセン)、本は結構面白そうです。
ご声援ありがとうございました!
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