2013年01月02日
【スゴ本?】『人の心を操る技術』桜井 直也
人の心を操る技術―マインドリーディングと話し方で交渉もコミュニケーションも上手くいく
【本の概要】
◆新年最初にお送りするのは、当ブログでは定番の「心理ネタ」本。装丁が若干おどろおどろしいので避けていたものの、いざ読んでみたら「あらビックリ」の中身の濃さでした。
アマゾンの内容紹介から。
NLP、コーチング、コールドリーディング、メンタリズムなどのテクニックを使いこなすには「コツが」あった!プロの催眠療法士が実際に使っている心理誘導術!短時間で相手の本心を知り、信頼関係を築き、気持ちを変化させる、催眠療法士の裏ワザ。
つい先日の記事で画像貼ってしまったので今回は省略しますが、マジで付箋貼りまくりました!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.相手の言葉を正反対の観点で捉えるDecisions, Decisions / dospaz
誰の中にも、「こんな風に自分を見て欲しい」という願望があります。そして自分のことは客観的には見られないため、自分の理想像と自分自身を混同しています。語られることは本当の自分ではなく、自分の目標である可能性が高いのです。
たとえば、「自分は変わっている」と自分で言う人がいますが、そういう人は、おそらくとても平凡な人間です。平凡だからこそ、「自分は変わっている」と思いたいし、思われたい。(中略)
自分がいかに幸せかをアピールする人にも同じことが言えます。幸せを意識しなければならないのは、幸せではないからです。
■2.部分を観察する
New Car / didbygraham
部分を観察すれば、相手の全体が見えてきます。無意識の中に学習された自動処理は、大きなことこも、小さなことにも、同じように使われるからです。そしてこの「部分を観察する」というやり方は、とても簡単で、強力なテクニックになります。たとえば、車をよく買いかえる人は、恋人もすぐにかえる傾向があります。逆に同じ車に長く乗る人は、恋人とも長く付き合う傾向があります。車と恋人は無関係に見えますが、新しく、魅力的なものが現われたときに使われる自動処理は同じなのです。
■3.「逆イエスセット」で話をコントロールする
An evening conversation / lrargerich
あなたが頷くことでイエスを伝えると、、相手もあなたの言葉にイエスで返すようになります。そしてあなたの「イエス」を維持するために、やがて相手のほうからあなたが頷きやすい話をしてくれるようになります。一度できあがった肯定的な空気を自分から壊すことは、とても難しいからです。
逆イエスセットをしているときに、もし相手がこちらの受け入れられないような話を始めたら、会話は同じように続けながら、わざと頷くのをやめてみてください。
相手の無意識はすぐに、こちらが乗り気ではないことに気がつきます。そして肯定的な空気に戻すために、話の内容をこちらに合わせてきます。
■4.「アンカリング」で感情を操る
smalltalk / jurvetson
たとえば、プラスの話をするときには右脚に重心をのせて話し、マイナスの話をするときには左脚に重心をのせて話すと、話によって顔の位置が、右や左に若干ずれることになります。それをくリ返すと、相手の無意識は「顔の位置」と「プラス/マイナスの感情」を、心の中で結びつけてしまいます。
このようなパターン化を、「アンカリング」と呼びます。(中略)
ステージ上でスピーチをしているときなど、空間を広く使えるときには、ステージを歩くことでもアンカリングすることができます。
たとえば、プラスの話をするときにはステージの右側までいって話し、マイナスの話をするときにはステージの左側までいって話せばよいのです。そうすることで、聴衆は右側で話される話を好意的に聞くようになります。
■5.握手をして要求を通す
01 (329) / Victor1558
結論から書きますが、握手をしている間、相手はあなたに影響されやすくなリます。相手にイエスを言わせたければ、握手の最中は絶好のタイミングです。そしてその握手は、こちらから不意に求めた握手であれば、より効果的です。(中略)
せっかくですから握手している最中は、相手の目を見つめてみましょう。握手の距離で目を見つめられると、相手は目を逸らすことができませんので、視覚も固定することができます。視覚の固定、触覚の固定、不意の握手による混乱、あなたの立場が上であるという暗示、これらすべてが一度に起こると、相手の理性はほとんど身動きが取れなくなります。そして握手をしている間、ノーを言えなくなるのです。
■6.「連結法」で否定しにくくさせる
FCC program offers child care, career - FMWRC - US Army - 100916 / familymwr
連結法の基本は「事実+暗示」です(特定の考えを刷り込むことを、「暗示」と呼びます)。
「一人っ子だから、わかままなんだね」と言われると、それが事実のように響きますが、ここで事実なのは「一人っ子」だけで、「わがまま」は暗示です。暗示だけならば否定することは簡単ですが、このように事実と暗示を連結されると、事実は受け入れて、暗示だけを否定することがとても難しくなります。
■7.「分離法」で切り崩す
Fortune Teller / Fimb
私の知人が占いに行ったときに、「あなたは頑張りすぎている」と言われたそうです。彼女は自分が頑張りすぎているとは思えなかったので、占い師にそう告げると、占い師は「頑張っていることにも気がつかないほど頑張っているんですよ」と返したそうです。彼女はその返答に納得し、すっかり占いを信じてしまいました。
占い師は、「頑張りすぎていると思っていない彼女」を、「頑張りすぎていることに気づいていない彼女」と、「本当は頑張りすぎている彼女」に分離することで、彼女の「自分は頑張りすぎていない」という思いを否定せずに、「気づかないところでは頑張りすぎている」ことを認めさせたのです。
【感想】
◆下記関連記事でもお分かりのように、当ブログでは今まで多くの「心理ネタ本」を取り扱ってきました。それだけに、ネタがかぶるのはある程度しょうがないワケで、例えば本書でも「イエスセット」(答えが「イエス」になる質問を繰り返し、相手に「イエス」を言いやすくさせる方法)が登場します。
ただし、本書の主張は「イエスセットは難しい」というもの。
その理由は、本書でも複数挙がっているのでここでは割愛しますが、逆に推奨されているのが、上記ポイントの3番目の「逆イエスセット」です。
確かに、うんうんと頷いている人が急に頷かなくなったら、話を合わせたくもなります罠。
さらに「相手にイエスと言わせたい質問をする」場合の裏ワザも掲載されているのですが、これはネタバレ自重。
ナ、ナンパに使えるんジャマイカw?
◆またポイントの6番目の「連結法」には、上記の「事実+暗示」以外にも、「暗示+暗示」、「事実+要求」、「要求+要求」、「暗示+要求」なんてものがあり、それぞれ具体例が付されています。
これまた詳しくは本書でご確認頂くとして、「事実+要求」のパターンは読者の皆さんも類書でも目にしたがあるハズ。
例の「コピーの列に割り込ませてもらう実験」で、どんな内容でもとにかく理由をつけると承諾率が上がる、ってヤツですね。
本書では「新しいアトラクションができたから、ディズニーランドに行かない?」という例が掲載されており、「新しいアトラクションができた」という事実を受け入れると、相手はノーと言いにくくなる、と。
断るということは、「ディズニーランドには行きません」という意味ではなく、「新しいアトラクションができたにもかかわらず、ディズニーランドには行きません」という意味になってしまうからです。なるほど〜。これもナンパ(ry
◆それとは逆に切り離すのが、最後の「分離法」。
上記の占い師のケース以外にも、本書では次のようなフレーズが紹介されています。
「建前ではなくて本音を教えてよ」
「良心に聞いてみなさい」
「本当のあなたを見せて欲しい」
「無意識的にそうしたんじゃない?」
……これらすべて「相手を分離」しており、相手の中の一部分でも味方につけることができれば、そこを突破口として切り崩すことができるワケです。
なお、「手伝いたい気持ちはあるけれど、体がついていかないんだよ」といった言い訳も「分離法」ですが、やがてそれらがセルフイメージとなる危険性もあるので、要注意とのこと。
◆ちなみに、本書に収録されたテクニックは「100%相手を操れるもの」ではなく、「その可能性を高めるもの」に過ぎません。
ゆえに著者の桜井さん曰く、「使えるテクニックを組み合わせることで確率を上げよ」と。
実際に本書では、「テレビを安く買う方法」と題して、テクニックを組み合わせて交渉する事例を収録。
これがまた「これでもか」とワザを繰り出しており、なるほど確かにここまでヤラれたら、お店としても安く売るしかないな、とw
ぶっちゃけ、ここだけ取り上げても記事になるくらいなので、チェックされる方は、是非ともこの部分はお読み頂きたく。
心理ネタ好きな方なら「マスト」でお願いします!
人の心を操る技術―マインドリーディングと話し方で交渉もコミュニケーションも上手くいく
第1章 無意識に働きかける技術
第2章 心を読む技術
第3章 行動やしぐさで操る技術
第4章 言葉で操る技術
第5章 操られない技術
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【編集後記】
◆リアル書店でチラ見したところ、面白そうだった1冊。弁護士に学ぶ!交渉のゴールデンルール
アマゾンの在庫がすぐ切れそうな上に、中古のタマが少ないので、どうしたものかと……。
ご声援ありがとうございました!
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