2012年12月22日
【M&A時代の働き方】『IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ』冨山和彦,経営共創基盤
IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO・冨山和彦さんのサバイバル術!?どの会社もM&Aとは無縁でない以上、いざ遭遇した場合の処世術は必須です!
アマゾンの内容紹介から。
いまやどんなビジネスマンも、企業の合従連衡の嵐から逃れられない。もし自らの事業部が「身売り」されたらどうするか。どう生き延びるか。本書では、経営再建ビジネスのプロフェッショナルが、現場から見出したリアルなサバイバル思考法、行動術を、多彩なエピソードを交えて描き出す。サバイバル時代の日本人ビジネスマン、必携の書。会社・上司が変わっても評価されるサバイバル思考・行動18カ条。
何たって、日本の都市銀行にお勤めの方なんて、皆M&A経験者なワケですから!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.創業者スピリッツは個人で受け入れるたとえば、「人のやらないことをやる」「他に一歩先んじる」などで知られるソニー・スピリッツ。そこに共感したのであれば、個人で体現すればいいのであって、ソニーという会社に帰属することと同一視する必要はないのである。(中略)
ソニー・スピリッツを受け継いでイノべーションを追求したいなら、自分で会社を立ち上げてしまったほうが早いかもしれない。ひょっとしたら、それがソニー創業者・盛田昭夫の本意かもしれないのだ。
その意味で、最も正統に盛田さんのスピリッツを継承したのは、スティーブ・ジョブズと言うこともできる。若かりしジョブズがソニーの大ファンだったことはよく知られる事実である。
■2.英語は身につけていなければ始まらない
よく「自分たちはドメスティックな会社です」「取引先も国内に限られるから語学は必要ありません」と言う人がいるのだが、突然、外国企業に買われて、外国人が上司になることもあり得るのだ。実際、ホテルなどでも最近よく、そういうことが起きている。
だとすれば、そこはイマジネーションの問題なのだ。自分の身にも、いつ何時、そういうことが起こるかわからない。英語を話すという戦闘能力を身につけておかなければ、いざというときに大変だ。このようなことがリアルに想像できれば、英語を学ぶかどうかで迷うことはないはずだ。
英語を学ぶかどうか、ではなく、身につけていなければ始まらない、のである。
■3.会社は最後は裏切ると心得る
本当に残念ながら、会社というのは、最後の最後で裏切るものなのだ。いくら自分はJALが好きだとOBたちが叫んでも、最後の最後で年金をカットする。従業員のクビも切る。労働組合も改編する。
株式会社というのは、もともとの成り立ちからしてゲゼルシャフト(利益集団)なのだ。会社に限らず、本当に生きるか死ぬかというところまで追い詰められると、みんな本性に戻る。会社の場合はゲゼルシャフトだ。生き残りのために利益集団に徹すると、不要なところから切っていくことになるのは当然だ。
■4.個人のパフォーマンスを最大化する
同じ仕事をするときに、今の会社でやるのと、外でやるのと、独立して自分でやるのと、その時点で最大のパフォーマンスを発揮するのは、そのうちのどれか。また、どれがいちばん自分の成長につながるか。
そういうことをつねに考えて日々の仕事をしている人は、日本ではまだ少数派だ。だが、「今の会社にいることが複数ある選択肢のひとつにすぎない」と気づいた人は、同じ仕事をしていても、それが自分の実になるかをつねに意識し、自分に足りない部分はどこか、どうすれば自分のスキルをもっと高めることができるか、を考えるようになる。この気づきが、セルフマネジメントの出発点である。
■5.会社に縛られすぎない
かつての日本企業では、社内結婚で奥さんが寿退社、仲人は会社の上司、社宅住まいで隣近所も会社の人だらけ、家を買うときは住宅ローンを会社から借りて、持ち株会で会社の株を買い、退職金も企業年金も全部会社に依拠していた。終身雇用で、定年まで同じ会社で働くのが当たり前だった時代はそれでよかった。
だが、今、そんなことをしていたら、おいそれと辞められないし、会社にもしものことがあれば、運命共同体で自分も一緒に沈んでいくしかない。もはやそういう時代ではないのだ。
■6.議論ができるようになる
ボスが代わって、売り方を変えろと言われたときに、ふだんから自分で考えてきた人は、議論ができる。ただ言われたことをこなすだけではなく、自分の意見を表明することで、より良い解決策が見つかるかもしれない。
外国人から見れば、自分の意見を持ち、それをきちんと説明できる人のほうが信頼できる。意見を言わない人は「意見のない人」と見なされる。つまり、その場にいてもいなくても同じような人ということだ。彼らが、そんな社員に仕事を任せることはないだろう。
■7.M&Aの知識を身につける
「M&Aの経験は買ってでもしろ」というのは冗談でも何でもない。もしM&Aを担当するチャンスがあるなら、ぜひ手を挙げるべきだし、「買収後の統合を任せるから、海外子会社を見てこい」と言われたら、どんどん行くべきだと思う。
それを経験することで、あなたは、たとえ将来、自社が買収されるようなことがあったとしても、有用な人物として評価されるし、十分生き残っていけるだろう。
【感想】
◆新書なのでページ数は多くないのですが、付箋を貼りまくってしまいました。タイトルからして個人の「スキル」や「パフォーマンス」の本のようですが、実際にはM&Aについて幅広くカバーしているという。
特に、M&Aが「どういうケースが成功」し、「どういうケースが失敗」するかの解説はなるほど納得。
小見出しにもある「ダイムラー・クライスラーが破談になった理由」(ネタバレ自重)と「日産の復活」は非常に対照的でした。
◆また、M&Aは一般的には「買収までが勝負」と思われがちですが、むしろ「買収後が勝負」である、と。
まず、リストラは時間が経てばたつほどしにくくなります。
さらに、買い手側はそのままでいいのかというと決してそうではなく、組織はもちろん、事業の中身を組み替えたり、場合によっては経営者も変わる必要があるという。
そういう意味では、「変わる必要がない」と思っている買い手側の社員の方が、M&Aに対する反発が激しいのだとか。
◆ところで、企業がM&Aをする際には、デューデリジェンス(適正な投資なのか、または投資する価値があるのかを判断するため、事前に行う詳細な調査)を行います。
従来「事業」「財務」「法務」のデューデリについては、必ず行われてきましたが、最近はこれに加えて「人材デューデリジェンス」を行うケースが増えてきたのだそう。
どの社員を引き上げて、どの社員をリストラするか等々……。
ただ、本書の事例にもありましたが、その会社に残ることが本人の幸せとは限らず、外に出ることで自分の個性が発揮されるケースもあります。
上記ポイントの4番目にもあるように「個人のパフォーマンスを最大化する」にはどうしたらいいか、常日頃から考えておくべきなのだな、と強く感じました。
◆なお、本書の第4章では「どこへでも持っていける汎用的スキル」の磨き方を伝授。
上記ポイントの2番目にもあるように、やはり英語については必須のようです。
ただし、TOEICのようなペーパーテストを社員に課すと、「ヒマな人ほど点数が伸びる」とのことw
そこで紹介されているのが、「日常業務で使っているフレーズを英語に翻訳」して、そういった「定型文」を増やしていく、という方法。
さらには、それらを滞りなく発音できるように音読練習せよ、と。
確かにこれなら実践的ですネ。
M&A時代の処世術がここに!
IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
第1章 あなたの会社は、いつ買われてもおかしくない!
第2章 買い手はどこを見て、何をするか
第3章 どんな人材が重宝されるか
第4章 プロフェッショナルスキルの磨き方
エピローグ マネジャー職に求められる能力は何か
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【編集後記】
◆本書の前作に当たるのがこちら。IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書)
こちらも読んでおきたいところです。
ご声援ありがとうございました!
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