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2012年12月09日

【オススメ】『電子書籍を無名でも100万部売る方法』ジョン・ロック


電子書籍を無名でも100万部売る方法
電子書籍を無名でも100万部売る方法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、インディーズ作家として世界で初めて「アマゾン・キンドル総合ランキング」1位を獲得したジョン・ロックが、その秘訣を明かした1冊。

タイトルにもあるように、「累計100万部以上の電子書籍を販売」しているだけあって、その手法はかなり実戦的でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、執筆とマーケティングの両面からアプローチするが、肝となるのは、著者自身が数百万円をかけてトライ&エラーを繰り返し、ようやく辿りついた「マーケティングシステム」にある。このシステムの汎用性が高いということは、著者がキンドルで最もさえない・売れないジャンルだった「ウェスタン小説」のカテゴリーにおいてもベストセラーリスト入りしたことによって、実証済みである。

本というパッケージで「自分の考えを発信したい」「世の中に影響を与えたい」「生きた証、記録を残したい」と考えるすべての人に読んで欲しい1冊。

ぶっちゃけ、このマーケティング手法は、本や電子書籍のみならず、モノを売るすべての人に応用できそうです!


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【ポイント】

■1.読者が誰で何を望んでいるかを知る
 べストセラー本を書くのに最も良い方法は、執筆前にあなたの読者が誰か、そして彼らが何を望んでいるのかを知ることである。あなたは前もって、自分の読者について知り尽くすべきである。ほとんどの著者は、この重要な作業を後回しにする。(中略)
 もう少し具体的に、本書を例にあげてみよう。私は本書の執筆を始める前から、すでに読者が誰であるかを知っていた。それは「あなた」である。つまり、「インディーズ作家」「紙の書籍を出版したことのない作家」「電子書籍に興味がある人」「電子書籍の執筆を始めた人」「電子書籍の売り方を知りたい人」。


■2.固有名詞をブランド化する
 私は書籍の発売当初から、主人公の名前をブランド化することに専念した。それによって、主人公「Donovan Creed」はブランドになり、自然と広がっていった。小説がまだ読まれる前から、主人公が有名になるのである。(中略)
 私のウェブサイトのURLは「www.DonovanCreed.com」である。ブログは「DonovanCreed.blogspot.com」。2つ目のブログは「DonovanCreed.wordpress.com」。メールアドレスは、「John@DonovanCreed.com」。ツイッターは「@DonovanCreed」。見ての通り、すべてに「Donovan Creed」の文字が入っているのである。これが首尾一貫したメッセージとなるのだ。


■3.生涯読者メーリングリストをつくる
 インディーズ作家の究極のゴールは、「1万人の生涯読者メーリングリスト」をつくることだ。生涯読者とは、自分の出版するすべての作品を購入してくれる読者のことである。私の場合、はじめは25人が目標だった。次に目標を100人に上げ、それから250人、500人、1000人と徐々に増やしていった。今ではそれを達成し、2500人に取り組んでいるところだ。(中略)
彼らは買ってくれるだけでなく、友人・知人にあなたの本を広めてくれるので、さらなる広がりが期待できる。それによって、出版直後からアマゾン・キンドルランキングのトップ100以内に入ることが可能となる。


■4.ニッチ読者に向けて書く
『Donovan Creed』シリーズの読者は、出版社が狙う大衆ではない。ニッチ読者が10万人もいないことは知っているし、そもそも私は大衆に向けて書いてはいない。特定の読者のみに向けて執筆しているのである。作家として成功する最も重要なことは、大衆ではなく、二ッチ読者のみに向けて執筆することである。(中略)

 例えば、ロマンス小説が好きな電子書籍読者が200万人いるならぱ、私はその中の1割にアピールするジャンルに絞り込む。なぜなら、絞り込まれた20万人の読者は、非常に忠実で、次作を買う確率が高いのである。


■5.嫌われることを恐れない
 あなたのコンテンツが嫌いな読者は、1度は批判や悪いレビューを書くかもしれないが、次から決してあなたのコンテンツを買わなくなる。それでは、どうしてわざわざ嫌われる必要があるのか? 誰にでも好かれた方がたくさん売れるのでは? と不思議に思ったかもしれない。答えは単純で、多くの人に嫌われるコンテンツは、それだけ独創的でもあるからだ。(中略)
 目指すべきは、6割に好かれ、3割に嫌われる内容である。残り1割は、まだ評価を決めかねていてあなたの別の作品を試す読者である。1度自分のニッチ読者を知ってしまえば、彼らに向かってダイレクトに執筆することが可能になる。

 
■6.ツイッターで売り込みをしない
 あなたの電子書籍が5万部売れたとしよう。その時、「売り上げ累計5万部になりました! ヒットしています。あなたも今すぐご購入ください!」とつぷやいたら、読み手はどう思うだろう? 売り込みをされているように思うはずだ。言い方を変えてみよう。
「大切な仲間たちのおかげで、大きな目標を達成できました。売り上げ5万部です。あなたの助けがなければ、絶対に達成できなかったでしょう。素晴らしい仲間と一緒に達成できたことが何よりの誇りです」。このように表現すれぱ、売り込みではなく感謝を伝えることができる。


■7.人生を変えたブログ記事
 次に紹介するのは、私の人生を変えたブログ記事だ。一読しただけでは、何が凄いのか分からないかもしれない。だが、この記事は2日間で5000以上のアクセスがあり、一気に広まった。さらに読んだ人がシェアしてくれたことで、国中のツイッター、ブログ、ウェブサイトに投稿された。
 記事を投稿した4週間後には、1300冊の電子書籍が売れた。さらに、購入者は別の作品を買ったり、感想をシェアしたりして広がりはさらに大きくなった。次の月には1万3681冊の電子書籍が売れた。その後も、同様の広がりがあり、売り上げは伸び続けた。

(詳細は本書を)


【感想】

◆上記の最後のポイントでは、結局ネタばらしをしておらず申し訳ございません。

とはいえ、ブログ記事を丸ごと載せたくとも、道義的にもボリューム的にも無理でして。

本書には、著者であるジョン・ロックが自分のブログに投稿した3つのエントリーが紹介されており、それぞれが重要な役割を持っていたのだとか。

もっとも何も知らずにこれらを読んでも、ほとんどの方がピンと来ないでしょうし、実際私も一読した時点では何が凄いのか分かりませんでした。


◆ところが、その裏の意図というか「仕掛け」を読んであらビックリ!

「ニッチ読者の琴線に触れる」工夫が色々されていたという……。

ちなみにちょっとだけネタを明かすと、上記ポイントの7番目の記事では、ペンシルバニア州立大学アメリカンフットボール部のカリスマ的コーチのジョー・パターノについて触れられています。

ジョー・パターノ - Wikipedia

そして、このブログ記事をTwitterで紹介した際に、「♯Joe Paterno」のハッシュタグを入れておいたとか。

もちろん、ただハッシュタグを入れるだけでなく、色々とアクションをしているのですが、それは本書にてご確認を(もちろんブログ記事も)。

それにしても、ブログというのはある程度頻繁に更新すべきものだと思っていましたが、ジョン・ロックは月に1回程度しか投稿していません。

その分、「記事のテーマを決定するのに数週間かけ、記事を書くのに数日をかける」とのことで、まー、私とは真逆かな、と(目的は違いますが)。


◆さらに本書では、この「人生を変えるブログの書き方」を詳しく指導してくれています。

実例として挙げられていたのが、ジョン・ロックが挑戦した「ウェスタン小説」。

この新シリーズを立ち上げるために、彼はニッチ読者を「30〜40代の母親・父親」と設定し、彼らに響くブログ記事を投稿します。
数日間を費やし、自分の幼少時代を振り返ると、『Kid Colt』というウェスタン漫画にハマっていたことを思い出した。さらに、現代の「30〜40代の母親・父親」に対して、何を書けば共感を得られるかを考えたところ、「人は皆、成長するにつれて純粋さを失くしている」ことに気がついた。
 これらを組み合わせ、『Kid Colt』を紹介しながら、幼少時代の純粋さを失くした経験を書こうと決めた。
一応確認しておきますが、これは自分の本ではなくて、ブログ記事についてのこと。

ブログやサイトに漠然とメールフォームを設置して、メアドを集めようとしているのとは次元が違います罠……。

いやホント、ビジネスブログをやってらっしゃる方なら「目からウロコ」になること必至かと。


◆なお冒頭で申しあげたように、このマーケティング手法は、本や電子書籍だけでなく、モノを売るすべてのケースに応用できるもの。

ただし、自分の書いた小説なりノンフィクションのある方が、それを「電子書籍」というパッケージにする作業については、ほとんど触れられていません。

この辺は、むしろセルフ・パブリシングの本を読んで頂くと良いのかもしれませんが。

私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~
私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~

参考記事:【アマゾン攻略法】「私にはもう出版社はいらない」は業界関係者必読な件(2010年06月13日)

……まだKoboもKindleも日本向けの出版サービスは始まってない以上、現状では、1人で何でもやるのではなく、どこかしらにお世話になる方が無難かと。


出版関係者並びにビジネスブログをやっている方なら必読!

電子書籍を無名でも100万部売る方法
電子書籍を無名でも100万部売る方法
PART1 キンドルで電子書籍を100万部売った男の物語
PART2 成功の4つの鍵
PART3 電子書籍を自力で100万部売る方法


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【編集後記】

◆またもや土井英司さんに先を越されてしまいましたが。

ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ずる―嘘とごまかしの行動経済学

『予想どおりに不合理』『不合理だからすべてがうまくいく』でお馴染みのダン・アリエリーの新作が登場!

やっと買いましたが、読むのが楽しみです。


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