2012年12月04日
【文章術】『論理が伝わる 世界標準の「書く技術」』倉島保美
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。欧米では「学生時代に1年以上に渡って必ず学ぶ」という「パラグラフ・ライティング」の指南本です。
アマゾンの内容紹介から。
必要な情報がきちんと伝わる―そんな文章を書くにはパラグラフの概念が重要。欧米では学生時代に徹底的に訓練される「パラグラフ・ライティング」の技法を7つのポイントで分かりやすく解説。今日から使えるテクニック満載。
本書自体も「パラグラフ・ライティング」に則って書かれており、非常に分かりやすかったです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.伝わる文章の3つの条件●ポイントが30秒で伝わるか
●詳細をごく短い時間で読めるか
●論理的で説得力はあるか
(詳細は本書を)
■2.メンタルモデルを意識して文章を書く
たとえば「本モジュールは、A、B、Cの3つのサブモジュールで構成されている」と書き始められていれば、読み手はメンタルモデルを作って先を理解しやすくなります。読み手は、この文を読んで、「この後は、A、B、Cの3つのサブモジュールをこの順に説明するな。まずはAサブモジュールだ」と思うはずです。これがメンタルモデルです。読み手は、Aサブモジュールを理解するのに必要な情報を活性化して次の情報を待つので、次のAサブモジュールの説明を分かりやすく読めます。
■3.総論のパラグラフで始める
文章は、総論のパラグラフで書き始めます。先頭に総論のパラグラフがあれば、読み進むべきかの判断が素早くできますし、詳細も分かりやすく読み進められます。総論のパラグラフは、典型的なパターンを知っておくと、簡単に書けます。
■4.パラグラフを使った文章の4つの効果
●ロジックを正確に理解できる
●速読できる
●情報のバランスが取れる
●論理的にまとめられる
(詳細は本書を)
■5.パラグラフは要約文で始める
パラグラフの先頭には、そのパラグラフで言いたいトピックを示した文(=要約文)を置きます。要約文は、トピックセンテンスや主題文などと称されることもあります。この要約文でパラグラフを書き始めたら、次に要約文の内容を詳しく解説し、必要があればまとめの文を述べてパラグラフを終わります。つまり、パラグラフという小さな固まりにおいても、総論−各論−結論の構成を守ります。
■6.くどくても気にしない
論理的な文章は、ロジックを伝える文章なので、伝わりやすさや論理性が重要です。そもそも、論理的な文章の場合、同じ表現が繰り返されていれば、読み手はその部分を飛ばして読むはずです。読めばくどいかもしれませんが、そもそも読まないので間題ありません。
■7.既知から未知の流れでつなぐ
パラグラフ内の文をつなぐには、それぞれの文で既知から未知の流れを作ります(下図参照)。つまり、文頭は、既知の情報である、前に述べた情報で始めます。文末は、未知の情報である、その文で初めて登場する情報で終わります。逆に言えば、初めて登場する単語を文頭には置かないということです。
【感想】
◆本書の「はじめに」には、パラグラフ・ライティングがいかに重要であるか、を示すエピソードとして、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故のレポートの件が紹介されています。チャレンジャー号爆発事故 - Wikipedia
NASAでは、技術上の欠陥を指摘したレポートがエンジニアから提出されていたにもかかわらず、エンジニアの上司がそれを無視したために事故が発生。
事故後、その上司は裁判で訴えられたものの「レポートの書き方が悪かったので、事態の深刻さが把握できなかった」という主張が認められて、無罪になったのだそう。
アメリカさん、まじパネェっす!
場合によっては、このようなレポートを書いた側に何らかの責任が問われることもあるかもしれないわけですから、本書で展開される「パラグラフ・ライティング」のスキルは、ぜひとも身につけたいところです。
◆その「パラグラフ・ライティング」の形式的な部分については、本書を実際に読んで頂く(オイコラw)として、「目からウロコ」だったのが、上記ポイントの2番目の「メンタルモデルを意識して書く」というお話。
人は情報処理をスムーズに進めるために、頭の中にメンタルモデルを作り、次の展開を予想しながら文章を読みます。
その展開が予想外だと、当然情報処理は低速に。
上記の例だと、「まずはAサブモジュールだ」と思っているところに、いきなり「Bサブモジュールは〜」で文が始まってしまうと、「あれ?」となるのは当然です。
これは極端な例ですが、基本的に書き手の側は、全ての内容や展開を理解しているがために、往々にしてこのような「メンタルモデル無視」の文を書いてしまう模様。
……って、私の場合はメンタルモデル以前の問題ですね。
◆また、上記ポイントの5番目で「パラグラフは要約文で始める」というお話がありましたが、この要約文は「直前のパラグラフの要約文とつながる」ように書かれます。
つまり、各パラグラフの要約文だけ読んでも、意味が通るということ。
かつ、本書の場合、これら要約文が太字(強調)で表現されているため、パッと見て太字の部分だけ拾って読んで行っても内容はほぼ理解できます。
上記ポイントの4番目の「パラグラフを使った文章の4つの効果」中に「速読できる」とありましたが、実際に「パラグラフ・ライティング」で書かれている本書を読んで、それがよく理解できた次第。
以前、洋書の専門書を速読する際に挙げた、「段落の最初の文だけ読む」なんてTIPSは、これらが「パラグラフ・ライティング」で書かれていたからなんですね……。
参考記事:【本リスト有】専門書を素早く読む5つの方法(2008年04月29日)
◆なお本書の第2部では、各章ごとに「理解の確認」と称して、書き直しの設問が用意されています。
さらに第3部では「ビジネス実践例」として、メモ書きレベルの「整理されていないデータ」から本格的に文章を書き起こす練習をも収録。
その文章も「通知文」「技術レポート」「社外文書」と、実践的です。
私は時間の関係で割愛させて頂きました(スミマセン)が、ここまでクリアできたら、「パラグラフ・ライティング」をかなりマスターできるのではないでしょうか。
これぞビジネスパーソン必須の「文章術」です!
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)
第1部 なぜ伝わらない、どうすればいい
第2部 パラグラフで書く
第3部 ビジネス実践例
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【編集後記】
◆その「未読本・気になる本」の記事ではご紹介できなかったのですが。プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える
こうした「ストーリーテリング」のスキルも身につけたいものです。
ご声援ありがとうございました!
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論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)作者: 倉島 保美出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/11/21メディア: 新書 多くのビジネスマンの悩みの種であるライティング。本書はライティングについて、世界標準の形式面をわかりやすく解説した一冊である。
内容以前・論外の文章を生産しないために:論理が伝わる 世界標準の「書く技術」【本読みの記録】at 2013年01月05日 22:38
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