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2012年11月28日

【コンサル流?】『得点力を鍛える』牧田幸裕


得点力を鍛える
得点力を鍛える


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問』等の著作で知られる牧田幸裕さんの最新作。

牧田さんの人生において、他人より秀でる結果を出せたのは、ひとえにタイトルにもある「得点力」ゆえでした。

アマゾンの内容紹介から一部引用します。
高校時代から大学1回生時までは、「あまり頭がよくないこと」を自覚していた著者が、京都大学大学院に1位合格、外資系戦略コンサルティング会社のコンサルタント、またインストラクターとして活躍、さらに息子を最難関国立小学校に入学させることができたのはなぜか?
転機となったのは、「"やらないこと"を決めて努力を最適化する技術」、すなわち「得点力」に気づき、それを身につけたことだった!
およそビジネスにおける「得点力」と受験における「得点力」は変わらない。
なぜならば、いずれも「相手の求めていること」を明らかにし、それに「応える」ことが「得点力」だからだ。

かなり幅広いシーンで活用できそうな1冊です!


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【ポイント】

■1.京大生の「努力を最適化する」勉強法
・勉強する時に、むやみやたらに頑張らない
・教科書を読んだリ、問題集を解くときに、1ぺージ目からやリ続けない
・問題集は解かない
・高校の捜業でも大学の講義でも、ノートをとらない
・勉強時間で頑張ったと勘違いしない、時間が無限にあると思わない
・ギアが上がるまでしんどいが、ギアを上げる途中であきらめない

(詳細は本書を)


■2.相手の求めていることを正確に把握する
 あらゆる問題には出題者の意図がある。その意図=相手が求めているものを正確に把握してそれに応えて、初めて相手は喜ぶ。だから、勝負のキモは「相手が何を求めているか」だ。「自分か何を伝えたいか」「自分が何を提供したいか」ではない。
 これを間違えると、いくら勉強の蓄積があっても頭が良くても、試験で「結果」は出せない。試験とは、自分の考えを答える場ではなく、相手が求めていることを推察し、それに応える場だからだ。
 ボクは「相手の求めていること」だけに答え、余計なことは一切答えなかった。自分勝手に解答せず、「相手の求めていること」だけに徹した。結果的に、大学院入試ではこれが高い評価につながった。


■3.「合格体験記」で最短距離のナビゲーションを設定する
「相手の求めていること」に応えるとは、相手の要求水準に応えられるだけの製品・サービス、または解答能力を提示することである。そのためには、最短距離で最も効率よく時間をかけずに目的地=「相手の求めていること」=要求水準に到着しなければならない。
 そこで、非常に便利なツールが「合格体験記」だ。大学受験でもよいし、司法試験でもTOEICでもよい。受験しようと決意をしたら、何はともあれ、まず「過去問」と「合格体験記」である。「過去問」で「相手の求めていること」=目的地を正確に把握し、「合格体験記」で目的地までの最短距離を設定する。


■4.自分のポジションを取る
 新間でもビジネス雑誌でもそうだが、ボーっと読んでいても何も頭に入らないし、脳みそは考えない。どんな問題に対しても自分で仮説を持ち、ポジションを取る。そうすれば、その自分の判断軸と比較して新聞やビジネス雑誌の見解を検討できる。このような読み方をすると、新聞もビジネス雑誌も、その内容の吸収率は格段に上がるし、読むスピードも飛躍的に向上する。


■5.「あるべき姿」を目に焼き付ける
「受験勉強」でも「ダイエット」でも「マラソン」でも、目標を設定したら「あるべき姿」を目に焼き付けることをお奨めする。
 東京大学に合格することを目標に設定したのなら、受験年次でなくても3月10日に本郷キヤンパスで合格発表を見るべきだ。開成中学に合格することを目標に設定したのなら、2月3日に西日暮里駅から開成中学への坂道を上がるべきだ。(中略)
 プロジェクトマネジメントで最初に行うべき一番大切なこと。それは、プロジェクトの目標を、具体的に腹に落とし、腑に落とし、リアルなイメージを持つことである。


■6.小学生の「夏休みの計画」が破綻する3つの理由
1.計画をゴールではなく、スタートから策定している

2.タスクのボリューム感をイメージせず、時間でアクションを設定している

3.タスクの難易度を想像できず、スケジュールが破たんしやすい


(詳細は本書を)


■7.結果を出すためには「イシューから始める」
 第1章で、受験生時代の友達が女の子と遊びながら、それでも東京大学や京都大学に悠々と合格した話をしてきた。なぜ彼らは女の子と遊びながらも、合格できたのか。彼らは受験勉強を「イシューからはじめて」いたからである。「必要なタスク」だけをこなして、彼らは最短距離で、最少投資で「結果」を出した。
 翻って、ボクは壮絶な努力をして京都大学に合格した。なぜか。「イシューからはじめず」タスク全部をこなしていたからである。最長距離で、最大投資で、投資対効果の悪い「結果」を出した。


【感想】

◆上記ポイントの最後に「壮絶な努力」とありますが、本書のプロローグには、その具体的な内容が記されています。

曰く「意識のある間は勉強していた」「3食とも勉強しながら」「トイレの壁一面に日本史と地理の暗記事項」「洗面所の鏡に生物の暗記事項や覚えられない英単語」等々。

中でも圧巻は「電車の中で画板をベルトの上に挟んで即席の机を作り、立ったまま数学の問題を解いていた」というもの。
変な学生だと思われたのか、混んでいる電車の中でもボクの周囲には微妙な隙間ができていた。
って、当たり前です罠!


◆その結果、京都大学には合格するものの、遊びほうけた牧田さんが、1回生時に取得できた単位は、わずかに8単位。

ところが牧田さんと一緒に、とある科目のテストの前日に女のコと食事をしていた友人は、しっかり40単位取れていました。

自分の愚直な勉強法を開示し、どうして差がついたのか尋ねた牧田さんに、友人は言います。
「牧田が京都大学に俺よりもはるかに良い成績で合格したことも、俺は知ってる。すごい努力家だということも聞いたことがある。でも、お前は努力だけやな。基本的にアホや
そこで牧田さんは、友人たちから勉強法を学ぶことに。

それをまとめたものが、上記ポイントの1番目になります。

勉強本マニアにとっては、既知の部分もありますが、本書の第1章では個々に解説されていますので、気になる方はそちらでご確認を(特に「問題集は解かない」というのは誤解されそうな?)。


◆この「必要なこと」だけをやり「必要でないこと」「どうでもいいこと」はやらない、という考え方の重要性は、勉強だけでなく、ビジネスシーンでも同様です。

たとえば、コンサルティング会社に入った牧田さんは、入社1年目のある金曜日にパートナー(共同経営者)に呼ばれ、月曜の朝までに全部読んで理解するよう、未体験である製薬業界の40冊、6000ページほどの資料を渡されました。

さて、どうする?

まず牧田さんは、資料の「仕分け」をして、4つに分類。

製薬業界の概要が書かれた資料の「目次」だけを次々に読み始め、自分のアンテナに引っかかった最近のトピックだけを「製薬業界の最近のトピックが書かれている資料」から選び出し……(以下略)。

そして月曜の朝、パートナーとマネジャーの前で「現在の製薬業界の問題意識」についてプレゼンした牧田さんは、クライアントとのミーティングに出席することを許されたのでした。

この辺のくだりでは、この本が思いだされたワタクシ。

ロジカルシンキング・リーディング
ロジカルシンキング・リーディング

参考記事:すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)

まぁ、大石哲之さんもコンサルタントですから、ある意味当然ですか。


◆本書は、「勉強本」でもありますし、また同時に、「ビジネススキル本」でもあります。

今まで私は、狭義の勉強本(受験に特化した勉強本)のTIPSは、試験に合格するためだけに存在し、ビジネスシーンには使いようがないと思っていましたが、本書を読んでその考えを改めました。

確かに牧田さんの言うところの「得点力」は、試験でも仕事でも有益であることは間違いないでしょう。

そういう意味では、本書は当ブログのニーズにピッタリではないか、と。

……加えて、お子さんの小学校のお受験に関連して「子育てネタ」まで登場しちゃってるんですけどねw


個人的にはオススメせざるを得ません!

得点力を鍛える
得点力を鍛える
第1章 得点力とは「やらないこと」を決める力
第2章 得点力とは「相手の求めるもの」に応える力
第3章 得点力とは「想定外」でも対応できる力
第4章 「プロジェクトマネジメントスキル」で得点力を鍛える
第5章 「3C分析」で得点力を鍛える
第6章 「イシューからはじめる」ことで得点力を鍛える


【関連記事】

【オススメ】『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための23問』牧田幸裕(2012年06月09日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

【東大式】4倍効率がよくなる勉強法(2012年03月01日)

【勉強】『なぜ人は情報を集めて失敗するのか 目標達成論』牛山恭範(2011年06月24日)

すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)


【編集後記】

◆今日の気になる本。

IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか
IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか

土井英司さんのメルマガに先を越されて、ショボーンの巻……。


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この記事へのコメント
               
東洋経済の新刊を見ていて気になっていましたので、非常に参考になる記事でした。

40冊6000ページをどう仕分けたのか気になりますね。

牧田さんのツイート見ると、大石さんと近々番組で共演されるようです。同じコンサルティング会社出身なので親交あるのかもしれませんね。

Posted by がってん at 2012年11月29日 11:54
               
>がってんさん

レス遅くなってスイマセン。
6000ページの処理の仕方については、「なるほどコンサル流だな」と感じました。

大石さんもウチでは結構ご本紹介してますし、楽しみなタッグですね!
今後の動向にも注目したいと思います。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年11月30日 10:34
               
著者の牧田幸裕です。新刊のご紹介を頂きましてありがとうございます!

慧眼ですね!友人の大石が「ロジカルシンキング・リーディング」で書いているプロジェクトと私が拙著で書いているプロジェクトは、実は一緒です。
smoothさんのご指摘で、大石もあのプロジェクトの話を書いていたんだと改めて気づきました。ミッションは違ったのですが、この時の気づきや学びをそれぞれが書いています。

12月4日(火)21:00より、その大石と一緒に番組をやります。もしご都合がよろしければご視聴ください。
http://www.ustream.tv/channel/tyk-channel

Posted by 牧田 幸裕 at 2012年12月02日 19:25
               
>牧田幸裕さん

著者様直々のコメントありがとうございます。

大石さんのご本は、あそこの部分が最も衝撃的だったので、ふと思いだしたのですが、まさかご一緒だったとは(汗)!
既に揃って何冊もご本出されてますし、きっとお二人とも当時から優秀だったのでしょうね。

Ustについては、その日家内が仕事で夜いない可能性が強いので、私が子供たちの寝かしつけをする関係上、試聴は難しいかもしれません。
ただ、お二人とも私がウォッチしている著者さんですし、後でアーカイブ等でチェックできれば、と思います。

今後とも宜しくお願いします!


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年12月02日 23:26