2012年11月24日
【部下力?】『「誰のため」が「自分のため」につながる』中村由美

「誰のため」が「自分のため」につながる ~“日本一の秘書"が教える気配り仕事術~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、野地秩嘉さんの『日本一の秘書―サービスの達人たち』にて、その活躍が紹介されていた中村由美さんの仕事術本。中村さんは、かつて日本秘書協会が毎年選出していた「ベストセクレタリー」を受賞した経験のある、まさに「日本一の秘書」でもあります。
アマゾンの内容紹介から。
相手を“しっかり見て”“何を望んでいるか”を思い行動する!“お客様”“取引先”“上司”…相手の「役に立つこと」を目指して働くことが、あなた自身の成長につながる―。相手に喜ばれて初めて、その行動は「気配り」になる。
今回は、本書の中から「良い部下となるためのポイント」を5つ挙げてみますので、ご覧ください。

【ポイント】
■1.根回しをしっかりやる仕事を円滑に進めるために、自分がしてもらったら助かる、相手にとってもありがたいことだろうと思うことを、段取りの中に組み込んで、相手の立場になつて配慮をする。
それが正しい「根回し」ではないかと、私は思います。
身近なところでいえば、会議である事案についての決裁を通すために、稟議書を回して各役員に印をもらい、事前に承認をとるにも立派な根回しの1つです。
■2.否定せずに提案する
耳が痛いことにも耳を傾けてくれる上司だからといって、部下から頭ごなしに否定したり、遠慮なくストレートにそれを突きつけてはいけません。
「相手の心を刺さない言葉」「相手か受け入れやすい言い方」を選んで、伝える配慮が大切です。
ですから、「NOを言える部下」ではなく、「提案できる部下」を目指してみましょう。
「このケースでは、こういったやり方もあるみたいですが、いかがでしょうか(現状のやり方を考え直してみては? と暗に含めている)」(中略)
そんなふうに、やんわりと、押しつけがましくない提案をするのです。
■3.「ホウ・レン・ソウ」をする
しっかり「ホウ・レン・ソウ」をすれば、上司はあなたの仕事が成功へ向かうようにうまくコントロールしてくれるはずです。
信頼されて仕事を任せてもらえたのなら、「ホウ・レン・ソウ」は義務です。
自分を過信して、独断専行することほど危険なものはありません。そこには、"成功できない可能性"が生まれてしまいます。「ホウ・レン・ソウ」を1つするたびに、その"成功できない可能性"を1つつぶすことになるのです。
■4.同じ失敗を繰り返さない
失敗したら、素直に上司に報告して「申し訳ありませんでした」と謝りましよう。失敗は失敗なのだから、隠し立てせず素直に謝り、反省して、「もう1度チャンスをください」と願い出てください。
そして、失敗の経験を生かして、次は絶対に同じ失敗を繰り返さない。
これは自分を伸ばす秘訣なのです。
■5.自分以外のすべての人を「お客様」だと思って接する
もし上司や先輩、同僚など人間関係で悩んでいるのなら、1つアドバイスしましょう。
自分以外のすべての人を「お客様」だと思って接するのです。(中略)
まずはご要望をお聞きしますね。
その中には、ご要望に添えるものもありますし、そこまで配慮することはできないという無理難題もあるでしょう。
その線引きをしたら、やれることはやり、できないことはお客様にご理解いただけるように、言葉を選んでお伝えするはずです。(中略)
さて、対応が無事に終わったら、お客様の顔を見てください――。
あら、あなたの上司でした!
そんなふうに、ちょっと自分のこだわりを取り除いて接してほしいのです。
【感想】
◆当ブログのカテゴリーには「マネジメント」なるものがあり、これは主に「上司が部下をマネジメントするための本」が集められています。一方で、マネジメントされる側である部下のカテゴリーでは、「ビジネススキル」という「個人のスキルを磨くための本」しかありません。
もちろん、ビジネススキルの中には、「上司との働き方」に触れた本はありますし、「コミュニケーション」というカテゴリでは、特に上司部下関係なくコミュニケーション関係の書籍がまとめられているので、広い意味での類書はご紹介しています。
ただ、ここまで「上司の存在」を意識した作品は、今まで読んでおりませんでした。
それもあって、記事タイトルの冒頭に「部下力」と付けた次第なのですが。
◆個々の内容的には基本的であり、たとえ上司がいなくとも留意しておくべきものかと。
ただし、それぞれが「上司の存在」を意識した場合に、1つ上の次元に到達する気が。
典型的なのが上記ポイントの2番目で、頭ごなしに「NO」と言われたら、たとえ上司でなくとも言いなりにはなりたくないでしょう。
そこで「どのように言うと人が動くか」を分かっていることは、ビジネスパーソンとして大きなアドバンテージです。
なのに「自分の方が正しい」と正論を振りかざして、結果的に思うようにならない目にあう人の何と多いことか……。
◆実際、私自身も会社勤めをしていた頃は、それなりに仕事はこなしている方でしたが、必ずしも「良い部下」ではありませんでした。
自分が信頼されていると思ったがゆえに、「ホウ・レン・ソウ」もろくすっぽしないで、独断で仕事を進めたりとか。
一度、課長(私のラインには係長がおらず、課長と直で仕事をしていました)が出張中に、予算編成の関係で他の部と揉めた際には、そこの担当をしていた後輩に非がないことを理由に、一切頭を下げなかったこともありました(遠い目)。
今考えたら、平社員の分際でよくぞあんな勝手な真似をしたもんだと。
その後、後始末に追われることになった課長には、今でも頭が上がりませぬ。
そもそも「本当に仕事のできる社員」であれば、上記ポイントの1番目にある「根回し」をしっかりやって、揉めること自体を避けているんでしょうけどね。
◆先日の『トヨタの片づけ』の記事に関しては、実際にやってらっしゃる方や「当たり前」と言われる方が散見されました。
本書の内容も、既におやりになっている方からしてみたら、「何を今さら」なのかもしれません。
とはいえ「知っている」「分かっている」ことと「やっている」こととの間には大きな違いがあるわけで。
まだできていない方におかれましては、本書をきっかけとして、「上司の操縦」を含めた上での仕事術を実践されますように。
「部下力」を身につけて出世するために!

「誰のため」が「自分のため」につながる ~“日本一の秘書"が教える気配り仕事術~
1 すべては「相手のため」に―「できる!」といわれる人の気配り
2 だから、その人の周りには人が集まってくる―相手を虜にしてしまう人の共通点とは?
3 “壁”を打ち破るヒント―絶対に手放せない社員(部下)になる「気づきの法則」
4 頑なな心にもするりと入り込む―「信頼される人」はこの気配りの効果を知っています
5 ちょっと弱気になってしまったときに―“ストレス”とうまく付き合う
【関連記事】
【気づかい】『がんばる人ほど見落としている気づかいの極意』美崎栄一郎(2012年08月17日)【電通式?】『戦略おべっか どんな人でも、必ず成功する』ホイチョイ・プロダクションズ(2012年07月12日)
【気配り】『仕事は99%気配り』川田 修(2012年04月16日)
【気づかい】『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』能町光香(2010年11月15日)
【おもてなし】『「サービス」をサービス』指南役(2009年08月06日)
【編集後記】
◆昨日捕獲しそこねた1冊。
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)
ブルーバックスさんなので、内容的にはガチだと思われ。

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです