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2012年11月19日

【メディア】『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』田端信太郎


MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも注目していた1冊。

各種メディアを渡り歩いてきた田端信太郎さんが、「アドタイ」の人気コラム「メディア野郎へのブートキャンプ」をベースに大幅に加筆・修正を加えたのが本書です。

アマゾンの内容紹介から。
メディアが毎日の隅々までを浸す「メディア爆発時代」。ビジネスの成否や、人生の質をも左右する、「メディア・リテラシー」の身に付け方とは?7000万ユーザーの「LINE」、5億PVの「livedoorニュース」、60万部の「R25」など数々のメディア・ビジネスを経験した著者が、その魔力を解き明かす。

メディア関係者はもちろん、ブログやTwitter、フェイスブックで情報発信されている方なら、一読の価値アリです!


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【ポイント】

■1.コミュニケーションとクリエーションは似て非なるもの
 誰も読まないファッション雑誌に掲載された、超クールなモード写真、それはクリエーションであっても、コミュニケーションではない。コミュニケーションにおいては、「いいね!」や「ウンウン」と読者をうなずかせる、あるいは「何だ、これは!」でも構いませんが、受け手に何らかの印象を残し、心理的に、あるいは行動として反応がなされることが、その存在基盤となります。コミュニケーションにおいては、受け手、読者、視聴者、ユーザーこそが王様なのです。


■2.ストック型コンテンツではSEOが重要
 現代において、特にウェブ上でストック型のコンテンツを商業メデイアとして考える場合、検索エンジン経由で、ユーザーから個別の記事コンテンツをどのように発見してもらうか?(いわゆるSEO<検索エンジンでの上位表示>の視点。特にロングテール型ワードでのSEOの視点)は、単純に技術的なレイヤーに留まらず、より編集的な観点、例えばタイトルに入れる見出しの工夫など、あらゆる側面から強調してもしすぎることはないほど重要なことになっています。「ストック型コンテンツではSEOを意識せよ!」これは鉄則です。


■3.ストックとフローを使い分ける
 例えば、ツイッターは究極と言ってもいいほどの「フロー」型メディアですが、そこに掲載される面白いツイート、興味深いツイートをピックアップして再編集し、1つのウェブページにまとめる「トゥゲッター」は、ツイッターそのものから、ややポジショニングをストックよりに移すことを狙い、「ツイートのピックアップ」や「見出しの強調・色つけ」といった編集機能を持たせることでオリジナルのツイートにストック性の高さも付与し、人気サービスとなりました。(中略)

 その他にも、例えばツイッター上には、古今東西の偉人や有名人の名言を、ツイートの形態に乗せてフォロワーのタイムラインに配信することで、数万ものフォロワーを獲得する人気ボットがいくつもあります。これも、ストック性の高いコンテンツ(=名言)を「フロー」の場に強引に引っ張り出し、「今ココ」で読ませてしまうことで、メディア価値を創出する試みと言えるでしょう。


■4.ウケ狙い・PV狙いは読者にナメられる
 現在の一般的なウェブサイトのコンテンツ編成は、全ての記事やカテゴリ、サイトコーナーで、同じように読者のウケを狙い、PVを取りに行くような記事ばかりになってしまっている例が多いです。(中略)
結果的に、読者のウケを狙ったような記事ばかりが、メリハリもなく金太郎飴のようにサイト内を埋め尽くし、読者は「あぁ、このサイトの編集者やライターは、PV乞食みたいに、PV欲しさで頭が一杯なんだな〜」「ネタとして考えていることも、だいたい自分の理解の範疇に収まるような、退屈な連中だな」と思われてしまうでしょう。要するに「ナメられている」わけです。こんな状況では、作り手への尊敬や畏怖の念などは、生まれてくるはずもありません。


■5.メディアの作り手はメディア消費に注意を払うべき
 プロの料理人ならば、店は汚くても、立地は悪くても「うまい料理を丹精込めて作ればイイ」と居直る人はまずいません。お客さんが「どんな席でどのように食べられるか」に必ず注意を払います。それと同じように、メディアの作り手もプロとして、どのような技術環境を通じて、どのようなTPOで(例えば、通勤電車の中? 寝る前に個室で? 会社のデスクで?)、自分の作っている、関わっているメディアが利用され、消費されているのか、今後されていくようになるのか? に最大限の注意を払い続けるべきだと私は思っています。


■6.デジタルが変える街の形
 今やHMV渋谷がなくなった、さらに書店も、大型・零細を問わず、どんどん消えていっています。インターネットの普及開始からほぼ15年の時を経て、いよいよデジタルメディア技術が、「街の形」を変え始めているということだと私は、考えています。自動車という技術が、郊外型のべッドタウンやショッピングモールというものを産み出したように、IT技術やソーシャルメディア、スマートフォンの普及が、都市の骨格を変え、ひいては不動産価格や街の景観、ライフスタイルや働き方、企業の組織構造にもゆっくりではあるものの確実に影響を与えていくでしょう。


■7.誤りが本人に帰結する個人メディア
 会社は、丸ごと倒産することもあり得ますし、あるいは経営上の決定として、メディア発行を停止することができます。しかし個人が、その個人であることを辞めることはできません。それなりに立場のある中年期以降の人間にとってそれまでの職業人生で築いてきた、評判や名声を否定されるということは、社会的な「抹殺」を意味することでもあります。
 つまり、サラリーマン編集者が新雑誌の立ち上げを命じられ、焦りから誤報を出して失敗させたときよりも、同様のことが有力なプロフェッショナルが創刊した個人メルマガやブログなどで起こったときのほうが、当人にとってのダメージはずっと大きいのではないでしょうか。


【感想】

◆本書で直接的に当ブログに関係する内容としては、個人メディアについて言及した第9章なのですが、それ以外にも、色々とためになるお話がありました。

まず上記ポイントの2番目の、ストック型コンテンツにおけるSEOの重要性について。

ブログもTwitterに比べるとストック型だと思いますし、私も基本的に書名や著者名をタイトルに入れることによって、SEO的に上位表示がされやすいようにしています。

ただ、こればかりはGoogle先生のアルゴリズム次第なところもあって、先日お伝えしましたように、先月頭から当ブログは、書名での上位表示がされなくなってしまいました。

一応、将来的な事も考えて、引き続き書名・著者名は入れるようにしていますが、SEOを意識しないのであれば、ホッテントリメーカーを使った場合のように、「煽り系タイトル」をつけるのもアリかと。

参考記事:そろそろ「ホッテントリメーカー」について、ひとこと言っておくか(2011年06月17日)


◆とはいえこれは、上記ポイントの4番目で指摘されている「ウケ狙い・PV狙い」と言われても仕方ありません。

自分自身、あざといタイトルを付けるサイトやブログは、多少色眼鏡で見ていましたが、ぶっちゃけ「同じ穴のムジナ」。

さらにこれでホッテントリに入ろうものなら、当ブログの場合はさらに、「アフィ厨」などと呼ばれることもあるわけです。

およそ「ステイタス」のあるメディアとは程遠いワケでして。

私はこういったアサマシ活動がマーケティング的に面白いのでやっていますが、もし「本を出そう」といった野望を持ってらっしゃる方なら、タイトルで釣ってアクセス集めていてもダメなのではないか、とフト思いました(誰がどうこうと言うのではなく)。


◆そして、上記ポイントの7番目の所を読んで思いだしたのが、こちらのエントリー。

【 提訴のご報告 】 | 上杉隆 -公式ウェブサイト- takashi uesugi - official web site

私は「実際のところどうなのか」についてはコメントするだけの情報を持ち合わせていませんが、お二人とも基本的には個人で活動されてらっしゃいますし、行きつくところまで行くしかないのかな、と。

もしくは、上杉さんが紙媒体での活動を続ける上で、何らかしらのポーズをとる必要があって、形式的に提訴するものの、なし崩し的にgdgdになって、結局今まで通り活動を続けるとか?

ただ、個人メディアの問題点として今ホットなのは、むしろこちらの方面かもしれませんが……。

Film Goes with Net 週刊(だったはずの)有料メルマガが一ヶ月間配信されなかった件


◆冒頭でも申しあげましたように、本書は、企業内で広報を担当されていたり、実際にサイトを運営されている方なら、「マスト」な1冊だと思います。

また、私のようなブロガーはもちろん、普通にTwitterやFacebook等のSNSで情報発信されている方も、メディアリテラシーが身に付くこと必至ではないか、と。

しいて言うなら、ページ数の割にお値段がちょっとだけ高い気がしたんですが、これはどうも版元さんのデフォルト(?)のようw

とはいえ類書がないのですから、気になる方は100円200円にこだわらず、アマゾンアタックしてみて下さい。


これからのIT社会を生き抜くために!

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体
第1章 はじめに
第2章 一般ビジネスパーソンもメディアの知識が必要な時代
第3章 「メディア」とは何か?
第4章 そこにメディアが存在する意味――影響力の本質
第5章 「コンテンツ」の軸でメディアを読み解く
第6章 「メディア野郎」へのブートキャンプ
第7章 メディアとテクノロジー
第8章 劇的に変わるメディアとメディア・ビジネス
第9章 拡大する個人型メディアの影響力とこれから


【関連記事】

【メディア関係者必読!】『「R25」のつくりかた』藤井大輔(2009年02月15日)

そろそろ「ホッテントリメーカー」について、ひとこと言っておくか(2011年06月17日)

【オススメ】「ヤフー・トピックスの作り方」奥村倫弘(2010年06月12日)

【オススメ】「ニコニコ動画が未来を作る」佐々木俊尚(2009年12月09日)

【ひろゆき節】「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」ひろゆき(西村博之)(2009年05月30日)

【必読!】「新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に」小林弘人(2009年04月16日)


【編集後記】

◆池田千恵さんの新刊が登場。

絶対!伝わる図解  面白いほど通るプレゼン作成術
絶対!伝わる図解 面白いほど通るプレゼン作成術

ジャンル的に、これは要チェックですね!


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この記事へのコメント
               
初めまして。
39歳独身男です。このブログを読んで色んな本とDVDを買いました。
smoothさんの自分ツッコミとモテ本ネタが大好きです。

これからも楽しいブログ期待してます!

Posted by ネコッチ at 2012年11月20日 00:17
               
>ネコッチさん

初めまして☆
コメントありがとうございます!

モテ本ネタ、楽しんで頂けているようで何よりですw
私も結婚したのは39歳だったので、ネコッチさんも頑張って!

今後ともよろしくお願いします!

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年11月20日 00:32