スポンサーリンク

       

2012年11月07日

【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治


直感力 (PHP新書)
直感力 (PHP新書)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、お馴染み、将棋の羽生善治さんの最新刊。

今回のテーマは「直観力」で、将棋のみならず人生やビジネスにも活かすことができるものです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「直感」と「読み」と「大局観」。棋士はこの三つを使いこなしながら対局に臨んでいる。そして経験を積むにつれ、比重が高くなり、成熟していくもののひとつが「直感力」であるという。
将棋は、ひとつの場面で約80通りの可能性がある。それを瞬時に2つ3つに絞り、直感によってひとつの手を選ぶ。直感は、一秒にも満たないような短時間でも、なぜそれを選んでいるのか、きちんと説明できるものだ。直感とは、自分自身が築いたものの中から萌芽するものであると著者はいう。

将棋は全くの素人の私ですが、考え方のヒントを得ることができました!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!




【ポイント】

■1.頭の中に空白をつくる
 あえて「考えない」時間を意識的につくることが大切だと思っている。それは、いわぱ頭の中に空白状態をつくることだ。
 頭が飽和状態にあるとき、そこからは何も生まれてこない。私はある程度の隙間、空っぽの部分があるときでないと、創造的な思考はもちろん、深い集中はできないと考えている。


■2.少しくらい疲れているほうがいい
 ところで私は、集中するためには、少しくらい疲れているほうがいい、とも感じている。疲れていると無駄な力が入らず、雑念も入らないために、余計なことを考えなくて済むからだ。人間という動物は、あまり長い時間をずっと集中できるようにはつくられていない。だから、ある特別な時間や場面に焦点を定めて集中できるようにすればいいのではないだろうか。


■3.集中する時間を伸ばす訓練をする
 何かを学び習得していく、上達してうまくなっていくというのは、その集中する時間を少しずつ延ばしていくプロセスなのではないかと思う。
 子どものときには5分間しか集中できなかったものが、一生懸命何かに取り組むことによって10分集中できるようになり、30分続くようになり、やがてそれが1時間、2時間というように、長い時間集中することができるようになっていく。
したがって、どんな物事でもいいのだが、何かに熱中して一生懸命になって集中する時間を延ばしていく訓練をしておくことが必要なのではないだろうか。その訓練が根気をつけていくことにつながり、他に何か違うことを学んだり覚えたりといったときの基礎体力になるのではないかと思っている。


■4.「経験のものさし」を持つ
人はそれぞれのものさし、定規を持っている。何かを成し遂げた経験や、あれこれのことをマスターした経験から「経験のものさし」はつくられる。
 どんなことでもいい。たとえば竹馬ができるようになった――2週間くらい練習して乗れるようになったこととか、車の運転免許を取るために教習所へ2ヵ月通ったこと。受験勉強には丸々2年かかったこと――。いずれも、これくらいの時間と労力と情熱を注いだらこれくらいのことができるようになった、というものさしだ。(中略)
 そして、それら自分が学んでつくりだした「経験のものさし」によって、人は何か事に当たるとき、その時間の不安に耐えられるようになる。そのものさしの種類が豊富であればあるほど、人は自信をもって進むことができる。これから取り組むことの不安に耐え、余分な思案や迷いに時間も労力も費やさずに済むようになれるのだ。


■5.アウトプットを意識的に増やす
 茂木(健一郎)さんによると、脳には、見る、聞く、感じるなどの情報入力を司る感覚系領域と、手、足、口などを使って出力する運動系領域があり、その2つの領域を同時に使っていないと、「分かっていてもできない」状態になってしまうとのことだ。
 棋譜を理解していても、実際にできるかどうかは別間題である。多くの情報という食材を得ても、料理をしなければ、意味がない。インプットと同様に、アウトプットを意識的に増やすことが必要だろうと思う。


■6.ミスの後の行動を新しいものと考える
 これからの行動を考えるとき、人はどうしてもそれまでやってきたものの連続として考えてしまいがちだ。しかし、ミスをした後、これから始めるべき行動について、「もしも仮にこれを初めて見たら、自分はどういう判断をするだろう」とか「どういう選択をするだろう」というようなことを想像してみたらどうだろう。
「初めて見たら」と想像することと、過去からの連続で考えて判断することとは、大きく違う。そのとき思いきって自分の位置を切り替えて、「初めてこの場面を見たらといった視点をもつようにするといい。


■7.必要以上に悲観しない
 人は――棋士は特に、過去の自分の選択に対しては基本的に楽観的になって、未来の起こってないことに対しては悲観的になる傾向がある。もちろん、未来に対して用心することは、未然に予防するとか、危機を察知する意味では大事なことではあるが、それも度が過ぎるのは健全ではない。
 そういった傾向があることを承知しているからこそ、そこで意識的に行き過ぎた悲観を程よいところまで引き戻す作業をしなければならない。それでも、こういう不安があるとか、こんな心配がある、恐れがあると予想したことは、全部その通りにはならないものだ。


【感想】

◆羽生さんの作品としては、以前こちらのご本を紹介させて頂いたことがありました。

結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)
結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)

参考記事:【羽生流】『結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)』羽生善治(2010年12月13日)

こちらは上記記事にも書いたように、「結果を出し続けるための3つの秘訣」という講演内容をもとに、加筆修正されたもの。

テーマ的にもビジネスに通じるものであり、実際、単行本として世に出ているくらいですから、私にも「自己啓発書」としてすんなり受け止められました。

というか、将棋の一手一手が、基本的には「選択の結果」なわけですから、PDCAサイクルを回しまくっているようなものと言えるかと。

「考える」という点で見たら、超人的なレベルでしょうし、そこから導き出される経験則は、今改めて見ても納得できるものです。


◆一方本書は「新書」ということもあって、もうちょっとバラエティに富んだ仕様。

例えば、「直観力」や「集中力」とは関係なく、同世代棋士のことや、大山康晴十五世名人の人となりにも触れられています。

もっとも「直観力」が何たるかについては、冒頭のアマゾンの内容紹介で触れられている通り。

この辺の詳細については、本書の第1章「直感は、磨くことができる」にてご確認下さい。


◆なお、「直感とは、自分自身が築いたものの中から萌芽するもの」という意味では、この本も併せて挙げておきたいところ。

第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)

参考記事:『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)

また、最近ではこんな本も。

予測力 「最初の2秒」で優位に立つ!
予測力 「最初の2秒」で優位に立つ!

参考記事:【予測脳】『予測力 「最初の2秒」で優位に立つ!』ケビン・メイニー,ヴィヴェック・ラナディヴェ(2012年03月11日)

そう言えば、あまり知られていませんが、こんな本も読みましたっけ。

戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則
戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則

参考記事:【戦略】『戦略は直観に従う』ウィリアム・ダガン(2010年10月10日)

一瞬の判断
一瞬の判断

参考記事:【意思決定】「一瞬の判断」マイケル・ユシーム(2008年05月23日)

いずれにせよ、「直感」とは「氷山の海面下にある巨大な部分」のように大きなボリュームの経験なり知識があって、それが故に速やかに結論が出せる能力なのだな、と。


◆私の場合、上記の本以外羽生さんのご本を読んでいないので、それ以外の本は分かりませんが、とりあえずはネタかぶりはほとんどなかったです。

新書だけあって、章のまとめや太字部分もないため、非常に大事なお話がサラっと登場していて、思わず見落としかけたりw

その反面、読みやすいことは事実なので、「羽生ビギナー」にはお手頃な本ではないかと思います。

本書を読むか否かも「直感」にてお決め頂きたく(?)。


本書で羽生さん曰く「迷ったら本は買ったほうがいい」とのことです!

直感力 (PHP新書)
直感力 (PHP新書)
第1章 直感は、磨くことができる
第2章 無理をしない
第3章 囚われない
第4章 力を借りる
第5章 直感と情報
第6章 あきらめること、あきらめないこと
第7章 自然体の強さ
第8章 変えるもの、変えられないもの


【関連記事】

【羽生流】『結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)』羽生善治(2010年12月13日)

『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)

【予測脳】『予測力 「最初の2秒」で優位に立つ!』ケビン・メイニー,ヴィヴェック・ラナディヴェ(2012年03月11日)

【戦略】『戦略は直観に従う』ウィリアム・ダガン(2010年10月10日)

【意思決定】「一瞬の判断」マイケル・ユシーム(2008年05月23日)

【決断】本田直之さんの「意思決定力」から学んだ6つのポイント(2009年10月17日)


【編集後記】

◆「直観力」とはちと違いますが、頭を鍛えるという点で気になる本が。

遊ぶ脳みそ―パズルで鍛える!  記憶、知覚、認知
遊ぶ脳みそ―パズルで鍛える! 記憶、知覚、認知

私の場合は、ボケ予防というw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。