2012年10月26日
【会話術】『バカの話は必ず長い』に学ぶ知的会話術の5つのポイント
バカの話は必ず長い (宝島社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、話し方研究所所長・櫻井 弘さんによる、会話術の本。本のタイトルからは、新書にありがちな「こういう人いるよね」的なエッセイのようですが、これがどうしてなかなかに「テクニカル」な本でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
誰もが悪いとわかっているのに、どうして長話は減らないのか。人はなぜ無駄に長い話をし、改めることができないのか。そしてなぜ長話をする人は、頭が悪そうに見えるのか。本書では会話とは何か、コミュニケーションとは何かを分析し、コンパクトかつ論理的に話す方法を考察。「長話バカ」にならないための方法を提案します。
今回は「話し方」「聞き方」の両面から、「会話術」としてポイントを5つ選んでみましたので、ご覧ください!
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【ポイント】
■1.入念に準備をするPreparation / photofarmer
話題が行ったり来たりした結果話が長くなってしまうのは、準備不足が原因だと言えます。私どもが行なっているセミナーには「話が苦手だ」という方がたくさんいらっしやいますが、そもそも話す準備を怠っている人が非常に多いのです。人を惹きつけるスピーチを行なうには、前もって筋書きを作り、シミュレーションしておくことが必要なのです。
■2.情報を詰め込み過ぎない
Hamburger - Cafe Vue / avlxyz
たくさんの情報を把握しているということは、決して悪いことではありません。ところが情報を持っているからといって、異なる情報をどんどんつけ足してしまうと、話がどんどん長くなり聞き手はうんざりしてしまいます。
最初に伝えようとしていたポイントも長話の中に埋もれてしまうのです。やっかいなのは、これが話し手のサービス精神から起きているということ。「この話もしておいたほうがよいな」と考えているため、話し手に罪悪感がなく、自分の失敗に気づきにくくなってしまうのです。
■3.自分の話に酔わない
Hyde Park / Leonard Bentley
しゃべりがうまいと思っている人の難点は「スラスラとしゃべれてしまうこと」にあります。緊張感がないので、準備にかける時間もおのずと減ることになり、その結果、トークの内容は希薄になります。そんな話し手は「長々としゃべった割には、空っぽでもの足りない」という印象を相手に残すでしょう。
■4.五種類のあいづちを使い分ける
Tennessee, Corps officials sign new partnership agreement / NashvilleCorps
●肯定
「なるほど」「そうですね」「もっともです」などの基本的なあいづちで、頻度としてはこれがいちばん多くなります。
●共感
「腹が立ったでしょう」「よく我慢なさいましたねえ」「それは驚きましたね」というように、相手の気持ちを代弁するあいづちです。
●整理
「つまり、こういうことですね」「要するにこの点が問題なんですね」といったあいづちが典型的。
●促進
「あなたの話は興味深いですね」「もう少し詳しく聞かせてください」というようなあいづちをさりげなく差し挟むことで、少しずつ相手から話を引き出しましょう。
●転換
何回も同じ話を繰り返す相手の場合、正面からその相手をするのではなく、まったく話を変えてしまいましょう。
「ところでお客様、大事なことなんですけど、こちらの手続きは終わりましたか?」と、自分のほうに話を持っていくのです。
■5.三段階の質問で相手の懐に潜り込む
Question! / Stefan Baudy
まずは、社交的な質問。これは相手との人間関係の第一歩として、相手が答えやすい状況を作るためのもの。世間話をして関係を良好にするわけです。(中略)
第二段階になってからは質問もステップアップ。今度は相手の人となりや考え方がわかるような質問をすることで、お互いに理解を深められるようになってきます。(中略)
ここまできてから、相手を動かしていく第三段階に移ります。お酒の席に誘ってみてもよいでしようし、別のセミナーや勉強会に興味はないか聞いてみてもよいでしょう。選択肢を設けて相手を動かす質問をし、具体的な行動に移していくわけです。
【感想】
◆「バカ」かどうかは別として、他人の話やスピーチの長さに辟易としたことのある方は多いと思います。特に謝恩会等の「さあこれから乾杯!」「やっと食事」という直前にスピーチする方の話が長いのは、何か決まりでもあるのでしょうか(ないないw)?
これについては、「話が長いかどうかを決めるのが、話し手ではなく聞き手のほうだから」と本書は説きます。
つまり「話が長い」と陰で言われている人も、本人は適切な長さだと思い込んでいるという……。
◆この問題に対処するには、話し手側と聞き手側の双方からアプローチができます。
自分の話が長い(ということをまず認識するのが大事ですが)方は、どこに気をつけるべきか。
そして他人の話が長い場合には、どうやって切り上げさせるべきか。
本書は第3章までで話し方について、第4章では聞き方についてレクチャーしています。
◆特にこの第4章の聞き方の話は、長話関係なく、結構ためになりました。
上記ポイントで言うと4番目、5番目なんですが、そもそもあいづちに種類が5つもあるとは知らなかったワタクシ。
「肯定」「共感」あたりは経験あるものの、「整理」「促進」「転換」というのは意識したことがありませんでした。
思ったんですが、最初の2つが受動的であるのに対し、後の3つは、聞き手側で会話をリードしているのが特徴ではないか、と。
「3種類の質問」も、この3つのあいづち同様、聞き手側のテクニックとして身につけたいものです。
◆本書はネット界隈ではまだ話題になっていないようですし、リアル書店でも実はあまり見かけておりません。
タイトルはキャッチーなものの、サブタイトルがないためか(詰め込み過ぎのサブタイトルは個人的に良い印象をもってませんが)、困った人の生態を描写しているエッセイに見えないこともなく。
著者さんが、何をなさっているか広く知られている方(失礼!)だったらこれでもいいのですが、ビジネス書好き、ライフハック好きの方が手に取る可能性は低そうな。
ただ、少なくとも装丁からの第一印象よりは、ずっと役立つ1冊だと思います。
知的な会話を実現するために!
バカの話は必ず長い (宝島社新書)
1章 「また話、始まっちゃったよ……」の声、聞こえてますか?
2章 あなたは大丈夫? これが長話バカの症例です
3章 あなたの話し方は間違いだらけ
4章 バカの長話を未然に防ぐ! 聞く技術
5章 長話にならないための思考の整理術
6章 「接続詞」を変えるだけで会話はグッとよくなる!
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【編集後記】
◆神田昌典さん激賞のこの本もいよいよ発売です!ビジネスモデルYOU
これまた要チェックかと……。
ご声援ありがとうございました!
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