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2012年10月25日

【本好き必読!】『ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊』


ノンフィクションはこれを読め!  - HONZが選んだ150冊
ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本のレビューサイトとしては、今一番アツい「HONZ」による年間ベストレビュー集。

過去1年間に紹介した約500冊の中から、150冊を厳選して1冊にまとめたのが本書になります。

アマゾンの内容紹介から。
成毛眞のもとに集った精鋭レビュアーによるノンフィクション書評サイト〈HONZ〉の年間ベストを集大成。 メンバー間の互選で第一位に輝いた『理系の子』、第二位『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』、第三位『ナチスのキッチン』をはじめ、『さいごの色街 飛田』『河北新報のいちばん長い日』『地球全史』『神は数学者か?』『スパイス、爆薬、医薬品』『見て見ぬふりをする社会』『地図から消えた島々』など、精選150冊を紹介。 いま読むべき本はここにある!

各レビューもさることながら、座談会における裏話は、書評系ブロガーである私としては非常に参考になりました!


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【座談会から】

■レビューしやすい本とは?

◆本書の冒頭を飾るのが、「HONZ年間ベスト座談会」。

ここではまず、各メンバーが「自分以外の人のレビュー10本を投票」することで、「メンバーによるランク付け」をしています。

冒頭で触れたように、1位に輝いたのは『理系の子』。

レビューを書かれた成毛 眞さんによると、この本はレビューが書きやすかったとか。
 まず引用しやすいでしょ。14章のそれぞれに主人公がいて感情移入もしやすい。読者にも、科学好きとか人情好きとか、いろいろあるじゃない。気に入った一編ずつを引つ張ってくればいい。テクニックとしては非常に書きやすいと思いますよ。
この本がレビューを書きやすい、という点については、東えりかさんも同意されていました。

理系の子―高校生科学オリンピックの青春
理系の子―高校生科学オリンピックの青春

参考記事:『理系の子』 2012年No.1の第1候補登場!by 成毛眞 - HONZ

一応、この本は私も読んでいたので、当ブログのレビューも。

参考記事:【スゴ本】『理系の子―高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン(2012年06月07日)

……比べられるとアレですがw


■書評を読んで満足するということ

◆2位の『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は、村上浩さんによるもの。

この本のレビューに投稿したした人は多かったものの、本自体を読んだのは3人と少な目。

この件に関しては、こんな指摘も。
成毛 おれ、完全に書評で満足したもん。もうおなかいっぱいになりました。

 そう、書評で満足させてしまうという、ちょっと悪い傾向も表れた。
実は、書評系のブログをやっていると、これは結構悩むところで、浅く書くとスルーされるのに、深く踏み込んで書くと、それを読んで満足されてしまうという。

私もかつては、今以上にガッツリ書き込んでいて、ブログのコメントやはてブコメントで「これ読んだから買わなくてもいいや」的な指摘をよく受けていました。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

参考記事:『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 - HONZ


■エポックメイキングな書評とは?

◆同じく、東えりかさん曰く「書評でみんな満足してもらった最たるもの」というのが『ナチスのキッチン』。

ただしこの本、4200円(!?)もするのに、増刷がかかったのだそう。
成毛 明らかに料理研究家、土屋敦の手柄ですね。いわゆる長文ネット書評の面目躍如でしょ。自分で作った素材や料理の写真をのっけようとしたら、新聞でも月刊誌でもできない。アマゾンでもできないじゃないですか。新しい方向性を示しているのかもしれない。個人のブログでやる人はいるかもしれないけど、たいていはプロの文章でもないし(笑)。僕は『ナチスのキッチン』こそエポックメイキング的な書評だと思うんですよ。
確かにブログでやる場合、画像やYouTube等の動画を使って内容補足することが可能です。

私も必要に応じてそうすることがあるものの、それはどちらかというと、自分の筆力のなさを補うためだったりするんですけどねw

ナチスのキッチン
ナチスのキッチン

参考記事:作ってみました。『ナチスのキッチン』 - HONZ


■面白くない本の面白い書評?

◆一方、『白い死神』については、東えりかさんの「読んだ人はいますか?」の問いに対して、こんなやりとりが。
井上 はい。ネットで一部の間ではけっこう話題になっていましたよ。レビューのあと読んだんですが、中身は淡々と戦争の内容を書いているだけなんです。

足立 仲野先生が「あんまりおもしろくない本を、あんなにおもしろそうに書評して」って言っていましたねえ(笑)。

内藤 土屋さん、本の話をほとんど書いてない。あんなに内容に触れない書評ないですよ。
このレビューを私も読んで、えらく気になった記憶があったのですが、本自体は面白くなかったとわ!(確かにアマゾンのレビューも微妙)

うーん、これやっちゃうと、ホントは「騙された」的な「小さな失敗体験」になりかねないんで、痛し痒しだと思うんですよね。

特にHONZの場合、「これを読め」的な性格が強いので、飛びついて買って読んだら「アレ?」となるわけで。

一応、私の場合「100%オススメ」でない本については、どこかしらに「エクスキューズ」を入れて、ある程度ブロックしております。

……って言えるほど、そもそも影響力があるか微妙ですがw

白い死神
白い死神

参考記事:『白い死神』ー「ムーミン谷のゴルゴ13」の実像 - HONZ


【所感などなど】

◆この座談会では、今までHONZで読んできたレビューの裏側を垣間見れて、書評系ブロガーとしては大満足!

特に、「レビューを書きやすい本」という観点は、私自身今まで意識したことがなかったので、「目からウロコ」的な気づきでした。

いやもう、本を選ぶときは「買って満足してもらえるか」とか「記事を書いてアクセス望めるか」といったことしか考えておらず、選んでから「じゃー、どういう風に書くのがベストか」という流れだったので。

もちろん、私のように一人で毎日1本書いている者としては、400ページ以上ある本は、まず読む時間を確保する目途がないと、手の出しようがないのですがw

例えばこの本は、HONZのレビューを読んで買ったものの、未だ読み切れていないという。

たった独りの引き揚げ隊  10歳の少年、満州1000キロを征く (角川文庫)
たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く (角川文庫)


◆また、同じ本を書くにしても、「読者を意識した」結果、HONZと全然違った切り口になることもあります。

この本は最近出たものなので、本書の収録対象外だと思いますが。

非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)
非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)

HONZのレビュー(『非道に生きる』 刹那を生きる)だと、冒頭で著者の園子温監督監督が、小学校時代の通知表に「性的異常が見られます」と書かれたことをフックに、以降ぐいぐいと掘り下げているのですが、多分そう書いても、ウチのブログの読者さんには響かないかと。

逆に私が注目したのは、上記レビューのこの部分。
自作のビラを書店のベストセラーに勝手に挟み込んだり、有名映画監督のトークショーではゲリラ的に映画の告知を始めたり、呆れるほどしつこく映画評論家を試写会へ招待したり、と知力・体力の限りを尽くすのである。その発想力と行動力には目を見張る。
実際、買って読んでみたところ、想像以上にマーケティング的に面白かったので、そこだけにフォーカスして下記のような記事を書いた次第です。

参考記事:【非道?】園子温監督の売れるための努力がパネェ件(2012年10月13日)


◆基本的に、HONZの場合、自己啓発系の本は避けているようですし(最近できた「ビジネスHONZ」は分かりませんが)、成毛さんご自身も「仕事にすぐ役立てる」ような本はお好きではなかったハズ。

ですから、この『ノンフィクションはこれを読め!』で選ばれている150冊には、「仕事の特効薬」的なものは含まれていません。

ただし逆に、「人間的な深み」や「新な物ごとの見かた」を得るためには、こういった作品群を読むことが大事なのだと思います。

また、ご自分で書評系ブログを運営されている方なら、本書を読むことにより、さらなるレベルアップが図れるかと。


どうぞ、選ばれしHONZメンバー達の珠玉のレビュー集を満喫して下さい!

ノンフィクションはこれを読め!  - HONZが選んだ150冊
ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊
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【関連書籍】

◆本書に登場する本の中から、当ブログで取り上げているものをご紹介。

理系の子―高校生科学オリンピックの青春
理系の子―高校生科学オリンピックの青春

⇒上記でも登場しているこの本。

実は下記記事にもありますように、面識のある川田先生のブログを読んで購入したという(成毛さん、スイマセンw)。

参考記事:【スゴ本】『理系の子―高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン(2012年06月07日)


本当のモテ期は40歳から (メディアファクトリー新書)
本当のモテ期は40歳から (メディアファクトリー新書)

⇒まさかHONZでモテ本を拝めるとはw

ただ、この分野に関しては、自称「モテ本マニア」の私も、決して負けておりませぬぞw

参考記事:【モテ】『本当のモテ期は40歳から』青木一郎(2012年02月29日)


ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力

⇒この本は成毛さんのプッシュにより購入。

「全24章の最後の数行を読むだけでもお判りになる」といって、そこだけ抜き出すという荒業ワロタw

参考記事:【任天堂の力!】『ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力』ジェフ・ライアン(2012年01月02日)


ローマ法王に米を食べさせた男  過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?

⇒これはHONZ経由、百式・田口元さんの記事を見て購入。

キャッチ通り「確かにスゴ本」です!

参考記事:【確かにスゴ本】『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮(2012年07月06日)


スティーブ・ジョブズ I
スティーブ・ジョブズ I

⇒さすがにこの本は、HONZでも避けては通れなかったかと。

私も下巻ともども、本の厚さに苦しみつつも、十二分にジョブズの人生を堪能いたしました。

参考記事:【速報】『スティーブ・ジョブズ I』が想像以上に濃厚だった件(2011年10月25日)


小田嶋隆のコラム道
小田嶋隆のコラム道

⇒一応「文章術の本」として、当ブログでもご紹介。

文章は文章でも、ビジネス用ではなく、コラム系ではありますが。

参考記事:【文章術】『小田嶋隆のコラム道』(2012年05月24日)


友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

⇒この本も、成毛さんの記事を読んで買いました。

確かに「今年の科学読み物ナンバーワン」と言われるだけあって、超絶面白かったです。

参考記事:【オススメ】『友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学』ロビン・ダンバー(2011年08月05日)


【編集後記】

◆この本もHONZに先を越されそうな悪寒。

ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣
ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣

『その数学が戦略を決める』のイアン・エアーズの新刊です!

何とか時間を見つけて読まねば……。


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