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2012年10月22日

【オススメ!】『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』山口 周


外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、会議やプレゼンの資料作りに必須なスライド作成術の本。

著者の山口さんは、電通入社後、ボストン・コンサルティング・グループやA.T.カーニーといったコンサルティングファームで働き、かつそこで新卒学生や中途採用者のトレーニング経験を長らく担当された方です。

その山口さん曰く、ロジカルシンキングや発想力と違い、「スライド作成の技術」は訓練によって、高いレベルまで到達できるとのこと。

私自身、本書を読んで「なるほど、こうすればよいのか」と目からウロコが落ちまくりました!


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【ポイント】

■1.文字は12p以上、メッセージは2行以内
 スライドに用いる文字の大きさ(p=ポイント)については特にルールがあるわけではないのですが、基本的に12p以上にすることをおすすめします。それと関連して、スライドのメッセージは必ず2行以内に留めることも覚えておきましょう。これもルールというわけではないのですが、作成しているスライドの内容の重要性が高ければ高いほど重要になってくるテクニックです。(詳細は本書を)


■2.主張を明確にする
 1990年代の半ばから後半にかけての時期のことですが、当時、大型コンペで電通が博報堂に連戦連敗するという事態が発生していました。(中略)

 恐らく7つくらいの対戦を分析したと思うのですが、全戦を通じてもっとも際立っていた違いが博報堂と電通の「主張の明快さ」でした。
 博報堂の提案書の1枚1枚には「何が言いたいのか?」「示唆は何か?」という主張が非常に明確に書かれていたのに対して、電通の提案書には「顧客分析の結果」とか「市場のエリア別分布」といった、グラフやチャートのタイトルがスライドに書かれているだけで、一番肝心なメッセージ、つまりその分析や情報から、何が示唆として言えるのかということが書かれていなかったのです。


■3.合成スライドのお手本
 これはナポレオン軍によるロシア遠征において、兵士の数がどのように変化したかを説明しているチャートです。地図上の長さで移動距離を、兵士の数を太さ(灰色を往路、黒色を復路)で示すことで、モスクワに到達する前こ多くの兵士が脱走でいなくなったこと、また戦場を離れた後も多くの死者出ていること、つまり本当の敵はロシア軍ではなく「士気の低さ」と「寒さ」であったことを圧倒的にわかりやすく表現しています。
 この場合、合成されているのは移動距離と兵士の数ですが、これを普通の数値として提示してしまっても、この悲惨さはまったく伝わってきません。



■4.フォーカスは引き算で考える
 フォーカスに関する教訓として、1つ指摘しておおきたいのが「引き算による強調」という意識です。フォーカスとは、つまり強調のことですが、熱心さがたたってすべての項目を強調してしまい、結果的に何が強調されているかよくわからない資料がまま見られます。(中略)
 ここで重要になってくるのが「引き算」によるフォーカスです。何かを足すより、むしろ何かを引くことで、フォーカスを当てたい事象を浮かび上がらせるということです。本当に伝えたい一点に絞り込んで、残りは大胆に単純化するか、あるいはスライド上から消してしまうという考え方です。極端な場合、口頭でのフォローが可能なのであれば、他の情報はすべて消すことによって強烈なフォーカスを発生させることができます。


■5.引き出しを増やす
 確かに、グラフの作成は、「指標の選び方×グラフフォーマットの種類×その組み合わせ方法」の分だけ存在することになるので、毎回最適な表現方去を選ぶのは難しいように思えるかも知れません。しかし実際のところ、最適な表現方法をその都度選べるかどうかは、センスよりも「引き出しをどれくらい持っているか」にかかってきます。
 引き出しを増やすためには、人それぞれいろいろなアプローチがあるかと思いますが、私が若いころからやっていたのは、自然科学や社会科学分野の主要な論文や書籍に接して、「これはいい表現だな」と思ったグラフやチャートについてはスクラップしておくというものです(最近では写真やPDFにとってEVERNOTEで保存しています)。


■6.軸はメッセージの主語とあわせる
 縦と横の構造を用いてスライドを作成する際、用いられる軸は、伝えようとしているメッセージの主語述語がそのまま反映している必要があります。メッセージの主語が市場セグメントであれば、縦軸か横軸かのどちらかは市場セグメントに、主語が生産性であれば、どちらかの軸が生産性になっているべきでしょう。この点は、わかりやすいプレゼンテーションを実現するためには非常に重要な点です。(詳細は本書を)


■7.「色」は3色まで
 スライドにおける「色」の使用について言及したいと思います。まず、基本的にほとんどのスライドは、モノクロで100%の完成度までもっていけると考えて下さい。もし、皆さんがスライド作成をしていて、白と黒の2色以外の色が必要だと感じることがあったら、それは色数の問題ではなく、表現しようとしているグラフやチャートの内容に問題がある、更に言えば、伝えようとしている情報そのものが複雑すぎるケースがほとんどだということです。(中略)
 スライド作成においては、まず基本的に白と黒の2色で完結できること、そして「ここぞ」というところで「赤」等のコントラストをつけるくらいに留めるようにこころがけて下さい。


【感想】

◆本書はサブタイトルに「図解表現23のテクニック」とあるように、ほぼ全編、グラフやチャートの書き方等についての解説でした。

帯のフレーズによると、その事例は約100点もあり、しかもそれぞれ「Before」の図と、それを改良した「After」の図の両方を収録。

こういう時にはこういうグラフやチャートを描けば良いのか、と一目瞭然なのが有り難かったです。

と言いつつも、それらをブログでご紹介するのはかなり難しいのですが……。


◆そんな中、ネットに落ちているのを拾えたのが上記ポイントの3番目の「ナポレオン軍のロシア遠征」に関するもの。

確かに行きと帰りで線の太さが全然違うのが丸わかりです。

同じようにネットで拾えたものの割愛したのが、『ニューヨーク・タイムズ』に掲載されたギリシャ財政破綻に関する記事に用いられたチャート。

It's All Greek to Me: Understanding the Debt Crisis in Europe - NYTimes.com

ちなみに本書は2色刷りなため、このチャートもモノクロで掲載されておりますので、ご留意頂きたく。

確かにこれを見る限り、ギリシャの負債はそれほど多いワケではないようですね。


◆また本書の第5章は練習問題であり、全部で6つの問題とそれに対する回答を収録。

私も一応やってみたところ、「どういうグラフやチャートを使えばよいのか」レベルならば、結構善戦できました。

というのも、ここではご紹介しておりませんが「これはスゴイ図だわ!」というものには、上記ポイントの5番目のように「引き出しを増やす」つもりで付箋を貼っておいたところ、そこから出題されたものが2つほどありましてw

こういった「スゴいグラフ」「スゴいチャート」に接することができるのも、本書の魅力の1つだと思います。


◆なお、既に挙がっているアマゾンレビューによると、本書はマッキンゼーの中途入社社員用の社内研修資料ととても似ているとのこと。

この値段でそこまで言わしめる(ホントかどうかは分かりませんが)のならば、本書がお買い得であることは間違いないかと。

もっとも、たとえそうでなくとも、読んでいて「なるほど」と腑に落ちることの多かったこと!

私は下記参考記事のように、類書もそれなりに読んでまいりましたが、「使えそう」という意味では本書がベストだと思います。


これはオススメせざるを得ません!

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
はじめに
1.スライド作成の基本
2.グラフの作り方〜数値を視覚化する〜
3.チャートの作り方〜概念や関係構造を視覚化する〜
4.シンプルなスライドに磨き上げる
5.練習問題
「おわりに」に代えての、長いお願い


【関連記事】

もしものときのための『ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール』6選(2011年04月13日)

【オススメ】「超ビジュアルシンキング」ダン・ローム(2009年05月25日)

【88のワザ】「図解力の基本 ちょっとしたコツだけど、だれも教えてくれない88のテクニック」山田雅夫(2010年07月12日)

【図】「ビジネスモデルを見える化する ピクト図解」板橋 悟(2010年02月23日)

【図】「図で考えるとすべてまとまる」村井瑞枝(2009年09月13日)


【編集後記】

◆もうこういう季節なんだな〜、と思った1冊。

仕事で差がつく「超」手帳術 2013 (学研ムック)
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来年に向けて是非!


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