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2012年10月21日

せっかくだから『ビジネスで失敗する人の10の法則』について語るぜ!


ビジネスで失敗する人の10の法則
ビジネスで失敗する人の10の法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、数年前に出て話題となった、コカ・コーラ元社長ドナルド・R・キーオ氏による経営本。

私は諸事情により未読でしたが、某著者さん「え? マジ読んでないの?」的なアドバイスにより、今般読了致しました。

アマゾンの内容紹介から。
会社がうまくいかない理由は経営者や社員の個人的資質にある。10の法則が1つでも当てはまるならあなたの仕事は高確率で失敗だ。コカ・コーラの社長として12年間にわたり全世界の事業展開を指揮し、数々の成功と名声を得てきた経営者が、60年以上のビジネス経験から導き出した法則を初公開。

今ならマーケットプレイスでお手軽価格により入手することが可能です。

なお、タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になりました。


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【ポイント】

■1.リスクをとるのを止めない


Santa Claus / MoonSoleil


 1930年代にウッドラフはもうひとつ、おそらく国際事業の拡大より重要な点でもリスクをとっている。
 大恐慌が1933年の底に向けて厳しさを増し、企業がつぎつぎに倒産し、株式市場が下落を続け、男性の労働力人口のうち4分の1が失業していた。ほとんどの専門家は、アメリカがふたたび繁栄する可能性は低いとみていた。ところがこの暗い状況のなかで、ウッドラフはコカ・コーラ社の広告予算を430万ドルに増やしている。当時としては驚くほどの記録破りの金額だ。
 この英断にはわれわれはみな感謝すべきだ。1930年代の広告で、いまわれわれがみな知っていて、大好きなサンタクロースが登場したのだから。(中略)
ウッドラフが何百万ドルもの資金を広告に投じてリスクをとったお陰で、はるかに親切で、やさしく、愛されるサンタクロースが生まれた。そして、コカ・コーラの売上は急増している。


■2.柔軟性をなくさない


Recycled Aluminum Paperweights / johncantrell


 柔軟性をまったく欠いたために消えていった企業には、リパブリック・スチールもある。1960年代、同社の主要な顧客のひとつは缶詰業界だったが、もっと軽く、輸送費が安いアルミ缶に切り替えはじめていた。当時、リパブリック・スチールは業績が好調で、資金がたっぷりあった。論理的に考えれば、みずからアルミ事業に参入するのが適切だと思えたし、当時であれば、巨額の資金を遊ばせていたのだから、それを使ってアルミ会社を買収するのは簡単だったはずだ。しかし同社の経営陣は柔軟性を欠いていたので、スチール缶を絶対に諦めないと発表した。アルミは「弱い金属」だと語り、あらゆる手段を使って缶詰市場を守るために戦った。この戦いで結局、すべてを失うことになる。リパブリック・スチールはいまでは存続していない。


■3.部下を遠ざけない


Bletchley Park House - Mansion - portrait of Winston Churchill / ell brown


 これは役立つ話だと思うが、第二次世界大戦のとき、ウィンストン・チャーチルは悪いニュースを自分に伝えることだけを任務とする特別の部門をつくっている。どんなことであれ、ありのままの事実を伝えるよう求めたのである。これに対してヒトラーは、ぎりぎりまで戦争に勝っていると思い込んでいた。優れた指導者になりたいのであれば、部下を遠ざけて批判を受け付けないようにする誘惑に打ち勝つ方法を考えるべきだ。ボスの立場に立てば、この誘惑がきわめて強くなるのだから。


■4.専門家と外部コンサルを全面的には信頼しない


57 new coke in space / adrigu


 アメリカ・コカ・コーラ社の経営幹部が本社経営陣にニュー・コークを提案してきたとき、われわれは説得されて、提案を真剣に考慮することにした。このとき、ゴイズエタとわたしはコンサルタントと専門家の意見を受け入れて、市場調査部門が行ったきわめて大量の味覚調査の結果をみれば、原液の配合を一新する根拠は十分にあると考えてしまった。(中略)

 発表の直後から、アトランタの本社には抗議の電話が殺到するようになり、その数が増え続けて、回線が一杯になった。数週間の間に、40万を超える電話と手紙が殺到し、すべてがニュー・コークに反対するものだった。ここで動揺してはいけない、方針を堅持すぺきだと、専門家は助言した。


■5.仕事への熱意、人生への情熱を失わない


Ira Bernstein flatfooting + slowmotion on Vimeo / fo.ol


 ウォーレン・バフェットはこう語っている。「わたしは毎朝、タップ・ダンスを踊るようにして仕事に行く」。わたしも同じ意見だ。
 仕事が楽しくなければいけないという意味ではない。そんなことを考えるのは、人材部門のよほどおかしな連中だけだ。みんな会社のためにがんばろうといい、クンバヤを歌おうという。だが、仕事というものは、本物の仕事であれば、きわめて厳しいことも多く、ときには心身ともに疲れ果てる。従業員を元気づけるとき、フィリピンでネビル・イズデルが行ったのが好例だが、もっと仕事を楽しもうなどとはいわない。もっとよい仕事ができるのだから、もっとはたらこうと呼びかける。従業員は満足感を得るために、もっとよい仕事をしたいと望む。仕事が厳しければ、タップ・ダンスを踊るようにして仕事に行くようになる。その日の問題を解決しようという熱意こそが重要なのだ。


【感想】

◆元々、法則自体が「10」なので、列挙するのもその半分の5つで自重。

ただし実際には、下記目次にもあるように、法則は全部で「11」挙げられています。

これらはそもそも、キーオ氏がコカ・コーラ社の社長だった頃、小売業の大規模な会議で行なった講演内容に基づくもの。

ただし、当初は「事業で勝利する方法」について話すよう求められたものの、「自分にはできない」と答え、代わりに「どういう方法をとれば負けるか」について話したのだとか。

やがてその内容が、長年のうちに改良を重ねて「事業を失敗に導く10の法則」となり、さらに1冊にまとめられたのが本書になります。


◆本書で特徴的なのが、アマゾンの商品説明にもある業界の重鎮たちの讃辞の言葉の数々。

詳細は割愛しますが、名前だけ挙げても早々たる面子です。

・ビル・ゲイツ(マイクロソフト会長)

・ジャック・ウェルチ(GE元会長兼CEO)

・ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハザウェイCEO)

・ルパート・マードック(ニューズ・コーポレーション会長兼CEO)

・アンドリュー・J・マッケンナ(マクドナルド・コーポーレション会長)

特に「長年の友人」であるバフェット氏にいたっては、本書の冒頭で5ページにも渡る序文を寄せ、さらには「本書を1000部購入し、バークシャー・ハザウェイの株主総会で配布した」のだそう。

いやぁ、アマゾンのページを見ただけでもこれだけ推されている本を、何故に私は読んでなかったのかw


◆個人的に興味深かったのは、あの「悪名高い(?)」ニュー・コークのお話。

カンザス計画 - Wikipedia

私も経緯はある程度知っていましたが、今まで読んだ本はいずれもマーケティング面からのお話でした。

例えばこんな本とか。

そんなマーケティングなら、やめてしまえ!―マーケターが忘れたいちばん大切なこと
そんなマーケティングなら、やめてしまえ!―マーケターが忘れたいちばん大切なこと

参考記事:「そんなマーケティングなら、やめてしまえ!」セルジオ・ジーマン(2006年11月08日)

それに対して本書は、経営面から語られており、かつ、その騒動時の当事者自らの言葉なワケですから、重みがあります。

この件では、大がかりな計画であったにも関わらず、速やかに失敗を認めて、元の味を復活させた点がスゴイと思っていましたが、どのような経緯があったのかが本書を読んで初めて分かりました(詳細は本書にて)。


◆本書は翻訳本としては、比較的コンパクト(232ページ)にまとまっています。

ただし、その教えはいずれも重要かつ本質的なもの。

「目からウロコ」といったタイプではないものの、読んでおいて損のない1冊だと思います。

あのビル・ゲイツ氏も「著者の法則が教えてくれるビジネス成功法は、書棚に並んだすべての本に勝る」と言ってますしネ!


もっと早く読んでおくべき良書でした!

ビジネスで失敗する人の10の法則
ビジネスで失敗する人の10の法則
法則1(もっとも重要) リスクをとるのを止める
法則2 柔軟性をなくす
法則3 部下を遠ざける
法則4 自分は無謬だと考える
法則5 反則すれすれのところで戦う
法則6 考えるのに時間を使わない
法則7 専門家と外部コンサルタントを全面的に信頼する
法則8 官僚組織を愛する
法則9 一貫性のないメッセージを送る
法則10 将来を恐れる
法則11 仕事への熱意、人生への熱意を失う


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【戦略】『戦略は直観に従う』ウィリアム・ダガン(2010年10月10日)

【意思決定】『賢者たちの決断』ブリン・ゼックハウザー&アーロン・サンドスキ(2010年09月30日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀

『ジャイアントキリング』ファンなら要チェックかと。


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