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2012年10月19日

【ブルーオーシャンを作る!】『欲望のマーケティング』山本由樹


欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)
欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、最近では珍しい「雑誌マーケティング」に関する1冊。

すでに土井英司さんがメルマガで紹介されているため、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

アマゾンの内容紹介より一部引用。
これからのブルーオーシャンは、「探す」のではなく、「創る」もの!

「美魔女ブーム」を巻き起こし、新マーケットの開拓に成功した著者(雑誌『STORY』、『美ST』の元編集長)が教える、新しいマーケティングの秘策とは!?

私は「美魔女ブーム」なるものを無意識に(?)「避けて」いましたが、このマーケティングの考え方自体は、無視できませんでした!


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【ポイント】

■1.ターゲットを絞り込む
『美ST』が「選ばせる商品」になれたのは、他にはないターゲティングができていたからです。対象とする読者を絞り込むことで、他のライバル誌とは換えのきかないオンリーワンな存在になれたのです。
 まずターゲットとしたのは45歳を中心とする女性たちでした。
 先に雑誌の市場は超「レッドオーシャン」だと述べました。それでもよく見ると、ところどころに「空白地帯」があります。40代の美容誌というジャンルは、まさにその「空白地帯」だったのです。


■2.感情の4レベル
 女性週刊誌の編集者を16年、女性月刊誌の編集者を10年間続ける中で、学んだことがあります。それは、人間が他者に抱く感情には、大きく分けて4段階あるということです。
 下から順番に、「同情→共感→賞賛→嫉妬」の4レべルです。(中略)

 商品を企画したり宣伝したりするときは、どの感情を刺激すれぱいいのでしょうか?
 もちろん「同情と嫉妬」を挙げる人はいないと思います。通常で考えれば、「共感と賞賛」です。女性月刊誌はすべてこの「共感と賞賛」を狙ってつくられています。


■3.ファン以外の人も巻き込む
 美魔女というコンテンツは実は若い人たちの反感を買いやすい傾向があります。低成長社会に生まれて、消費することはある意味罪悪のような価値観を身に付けている彼らからすると、バブル世代の象徴でもある美魔女には、反感を感じてしまうのかもしれません。
 でも川尻さんの言うように、そのことは実は織り込み済みです。
 若い人たちは直接美魔女のターゲットではないので、その反響自体はウェルカムです。
 どんどんノイズを立てて、社会現象化の一端を担ってもらえればと思っていました。


■4.ブランディングの際には川をイメージする
 雑誌を創刊する時(ブランディングする時と言い替えてもいいです)、私は神の目線になって一本の川を創るイメージをします。どこの山からどんな土地を通して、どんな海に注ぐのかと。川の幅は? 獲れる魚は? 川沿いに住んでいる人たちは?

 みなさんも、ブランディングするものをその「川」に見立ててみてください。
 きちんとブランディングができていれば、すぐに顧客が川に集まってきます。直接お金を払ってくれて、川に入って泳いだり、魚を獲ってくれたりします。


■5.絶対勝てるブランニューの法則
(1)雑誌というブランド力と信憑性の高いメディア……BRAND
(2)話題性のあるキーワード……NEWS
(3)リアルのコンテスト……REAL
(4)ウェブという情報拡散性と相互性の高いメディア……WEB

 特に大切な太字部分を英語に直して、ちょっと並べ替えます。

 BRAND+REAL+NEWS+WEB=BRNW(ブランニュー)

 これがまさに「新しい(ブランニュー)トレンド」を生み出すために必須な4条件です。
 どんなことにも応用できますし、この4条件がきちんとそろっていたら、大小はあるにしても必ずブームは起こせます。


■6.説得力のある言葉で揺るがす
 ショップチャンネルのカリスマゲストとして有名な、スタイリストの松島三季さんは、「揺るがす」コツについて教えてくれました。
「たとえば私の番組でワンピースを売るとすると、私は番組のはじまる前に、商品のお勧めポイントを10個くらい言えるようにして臨むんです。実際にはそのうちの4つとか5つくらいしか言えないけど、5つ説得力のある言葉、たとえば「利便性」とか「汎用性」とかが言えたら、その商品は爆発的に売れますよ」(中略)
「番組中に実際に言える4つか5つの説得力で、最終的に背中を押してあげるんです。『これなら買ってもいいわね』って思わせないと売れませんから」


【感想】

◆引用部分が多くなってしまったのでこの辺で。

私も「美魔女」という言葉はたびたび耳にしたり、ネットでもフレーズを見たりはしていましたが、実は肝心のサイトはクリックしたこともないですし、著者の山本さんが関与された『美ST』も『STORY』も手にしたことすらありませんでした。

美ST (ビスト) 2012年 12月号 [雑誌]
美ST (ビスト) 2012年 12月号 [雑誌]

STORY (ストーリー) 2012年 11月号 [雑誌]
STORY (ストーリー) 2012年 11月号 [雑誌]

そもそも『美ST』を「ビスト」と読むなんて、今初めて知ったというww

すいません、ノイズすら立てることができなくて……。


◆最近では右肩下がり状態の雑誌業界において、流行の付録もなく、値段も高め。

そんな『美ST』がヒットしたのは、著者である山本さんの「ポジショニング戦略」の勝利でした。

「40代女性向け美容誌」というのは、まさに「空白地帯」。

さらには、編集やライターたちとともに、徹底的にリサーチして「SST」という造語(シミ・しわ・たるみの略)を作ったりしたのだそう。

そして、発信するメッセージは「美食習」(詳細は本書を)。

こうしたライフスタイルを提案することにより、それに共感する読者は、『美ST』を選んでいるワケです。


◆本書を読んで思いだしたのが、こちらの本。

LEONの秘密と舞台裏  カリスマ編集長が明かす「成功する雑誌の作り方」
LEONの秘密と舞台裏 カリスマ編集長が明かす「成功する雑誌の作り方」

参考記事:続「LEONの秘密と舞台裏」岸田一郎(著)(2006年08月15日)

雑誌『LEON』の元編集長であった岸田一郎さんが『LEON』ヒットの秘密を語ったものなのですが、要は従来のファッション誌はファッションが目的だったところ、『LEON』はモテることが目的で、ファッションはその手段に過ぎなかった、というお話(簡単にまとめ杉w)。

また、『LEON』は販売部数は少なくとも、載せる商品の広告単価が高いので、それでペイする、というビジネスモデルだったワケです。

ちなみに、『LEON』の表紙は一貫してジローラモ氏ですが、『STORY』は表紙モデルを変えることで、下の世代の読者層を取りこもうとして、失敗したことがあるのだそう(詳細は本書を)。


◆個人的に面白かったのは、雑誌から離れて、別の世界で本書の理論を展開する「妄想劇場」の部分。

超極太麺がウリの「ラーメン俺」のスター発掘イベントや、表参道の新店舗「ラーメン俺女」のコンセプトは、本書で展開されているマーケティングやブランディングを考える上で、良い事例だと思います。

というか、実際に誰かがやってもおかしくないんじゃないか、と思ったワタクシ。

私自身がそうだったように「美魔女」というフレーズだけで敬遠するのはもったいない1冊ではないか、と。


マーケティング好きなら要チェックです!

欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)
欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)
PART1 本当の欲望を聞き出せているか?
PART2 絞り込めているか?
PART3 巻き込めているか?
PART4 揺るがせているか?


【関連記事】

続「LEONの秘密と舞台裏」岸田一郎(著)(2006年08月15日)

【メディア関係者必読!】『「R25」のつくりかた』藤井大輔(2009年02月15日)

「ターゲット・メディア主義―雑誌礼讃」 吉良俊彦(2006年04月10日)

【超・仕組み系】「Hot Pepperミラクル・ストーリー」平尾 勇司(2008年06月04日)

『MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術』 くらたまなぶ (著)(2006年04月11日)


【編集後記】

◆タイトルだけでも気になっている1冊。

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

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