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2012年10月03日

【ボケ推奨!?】『一億総ツッコミ時代』槙田雄司


一億総ツッコミ時代 (星海社新書)
一億総ツッコミ時代 (星海社新書)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、芸人・マキタスポーツとして活躍されている槙田雄司さんのデビュー作。

結構評判が良さげなので、試しに読んでみたところ、なるほど色々と考えさせられました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
一般人がプチ評論家、プチマスコミと化した現代。それが「一億総ツッコミ時代」だ。動くに動けない閉塞感の正体はこうした「ツッコミ過多」にある。「ツッコミ」ではなく「ボケ」に転身せよ。「メタ」的に物事を見るのではなく「ベタ」に生きろ。この息苦しい空気を打破し、面白い人生にするために!異才・槇田雄司(マキタスポーツ)による現代日本への熱き提言。

他人の言動やニュースについついツッコミを入れたくなる方なら、一読の価値アリです!


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【ポイント】

■1.マスコミ視点で増えたツッコミ
 マスコミ志向の人は、「ツッコミ」の視点を持っています。起きている出来事に対して、評価する。批評、批難する。
「○○について、そろそろひとこと言っとくか」こんなフレーズをネットで見かけます。別に誰もコメントを求めていないのに気になるニュースには「ひとこと」言っておかねばならない。まさにマスコミ志向です。
 世の中がバラエティ番組化していくと同時に、マスコミ視点で、他者に対して、ツッコミをする人が本当に増えたと感じています。
 自分では何もしていなくても、他人のことは評価したい。そうすることで自分の価値を手軽に上げようとするわけです。


■2.額縁を当てて、意味づけしたがる人々
 ツッコミというコミュニケーションは「加工」です。
 私は「額縁を当てる」という言葉をよく使うのですが、コミュニケーションの中にツッコミを挟むことで、会話が編集されたもの、加工されたものになります。
 会話の中にツッコミが入ることによって、「ここが面白い」というマーカーがひかれ、「ここは笑うところですよ」という額縁が当てられる。「ここに注目してください」という編集がなされて、笑いになります。そうすることによって会話が笑いという形にパッケージ化されていく。これはお笑い芸人だけではなく、今や世の中の多くの人が身につけているスキルなのです。


■3.ツッコまれる人が求められている
 今、求められているのはツッコまれる人、「ツッコまれしろ」がある人だと思います。ツッコまれる遊びの部分を備えている人、ということです。
 業界的にも、今はそちらの需要のほうが確実にあります。ツッコまれる人、イジられる人のほうが重宝される。他人をイジるだけの人は、もううんざりです。
 世の中がツッコミ高の状態であることを認め、ボケ側に身を置くことによって頭ひとつ抜け出すきっかけになる。私はそう考えています。


■4.無垢なものが受け入れられる
 今、AKB48やももいろクローバーZが強いのは、ああいうガムシャラな人たちや、ひたむきな人たちが魅力を放っているからではないでしょうか。質的に同じ労働ならやっぱり本気のもののほうが絶対に強いわけです。無垢で強いものが神聖なものとして視聴者側に受け止められている。だから、相変わらず子どもと動物ものは強いのです。
「純なもの」や「神聖なもの」にはツッコミ性がありません。完全にボケ側のものです。しかし、世の中からはそういうボケ的な要素がどんどん削ぎ落とされています。


■5.減点法より加点法で
 今は「減点法」の世の中です。人々の目線が減点法になっています。面白い、魅力的だと感じたものに対しても、ついつい減点ポイントに目がいってしまう。(中略)

 ツッコミの視線とは、すなわち減点法の視線です。
 減点法は「あ、これはダメだ」「ここがダメだね」と簡単に評価を下せます。「噛む」ときのように、失敗を見つけたらすぐにツッコミが入るのです。減点法によるツッコミをするのではなく、加点法で物事を見ていきたいものです。


■6.「好き/嫌い」を表明しよう
 みんながみんな「メタ的」で「評論家」のようになってしまいました。そこでは、あらゆる物事に対して「良い/悪い」という「評価」をします。日本ではフェイスブックでも「好き!」ではなく「いいね!」です。評価をしているわけです。しかし、この「評価目線」は息苦しさを増長させる方向にしか作用しないのではないかと私は考えます。
 あらゆる物事に対して「良い/悪い」という評価をするのではなく、もっと「好き/嫌い」という感情を表現してみてはどうでしょうか。


■7.季節の行事を大切にする
 四季折々の行事を大切にしたり、お世話になった人にお中元やお歳暮を贈る。少し前なら当たり前のことでしたが、今の40代以下の人たちできっちりやっている人は多くはないでしょう。
 こういう基本的な礼節を大切にすることも、とても「べタ」な行為だと思います。(中略)

 もし「面倒だなあ」と思うのであれば、お中元やお歳暮、年賀状などを、「大喜利のお題」だと捉えてみるのはどうでしょう?
 誰にどんなものを贈れば喜んでもらえるのか? それを考えることを、面白がってみるのです。面倒くさがらずに、べタなことを進んでやってみることによって、人と人との深い関係性ができあがってきます。


【感想】

◆テレビの中に限らず、私たちが、様々な事象についつい「ツッコミ」を入れる風潮は、いつ頃から始まったのか?

本書では、90年代のダウンタウンの台頭をその要因に挙げています。

特に浜田雅功さんの「なんでやねん!」は、当時衝撃的だったとか(私は意識してなかったのですが)。

ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 9 笑神降臨伝!傑作トーク集!! [DVD]

同じようなフレーズとして挙げられていたのが、千原ジュニアさんの「ありえへん」

ジュニア千原と大輔宮川のすべらない話 [DVD]

さらには、こうした「ツッコミ役」の人がいなくとも、テレビには「テロップ」というツッコミツールまであります。

なるほど、時代が「ツッコミ化」するのも必然的なのかもしれません。


◆加えて、この流れを加速させているのが「ネット」です。

ネットが普及する前、人は何らかしらの意見を広く表明するには、ラジオに投稿したり、新聞に投書するしか手段がありませんでした。

それが今では、誰でも気軽にブログで意見を述べたり、Twitterでつぶやいたりすることが可能になり、「ツッコム」ことができるワケで。

上記ポイントの5番目では減点法より加点法を推奨していますが、実は加点法の視点を持つには、本書曰く「文化的な修練などいくつもの訓練が必要」とのこと。

逆に、対象の欠点を指摘するのは、割と簡単に行うことができるため、結果的に多くの人が減点法的に物事を見てしまっています。

実際、ネットでは「上から目線」の主張をよく目にしますし。


◆そんな流れを止めて「ボケ」や「ベタ」に生きよう、というのが本書の主張。

上記ポイントの4番目では、具体例としてAKB48やももいろクローバーZが挙げられていますが、そのAKBの中でも「自然体」「本人そのものが危うくて、放っておけない」と本書の中で指摘されていたのが、前田敦子さんです。

AKB48 A3ラミネートポスター【前田敦子】PS2623

伊達にAKBでセンターを張っていたのではない「人気の秘密」も、「ボケ」(いい意味で)にあるのだな、と。

確かに、世間一般的に「ツッコミ」の人が多いなら「ボケ」を目指すのも「ポジショニング」としては正解のような気がします。


◆ところで、本書の著者である槙田雄司(マキタスポーツ)さんの動画がYouTubeにあったのでご紹介。

3つネタが入っているうち、一番ワロタ最後のものからスタートするようにしておきました。



ちょwww

この2人って、犬猿の仲じゃなかったでしたっけ?

……とツッコミどころ満載(?)の作品を拝見しながら、こういう風にボケればいいのか、と思った次第。←違うw


時代はボケを求めています!

一億総ツッコミ時代 (星海社新書)
一億総ツッコミ時代 (星海社新書)
序章 バラエティ番組化した日本
第1章 「ツッコミ高ボケ低」の気圧配置が生む閉塞感
第2章 ツッコミが支配した空気にどう対処すべきか
第3章 現代社会はボケ不足
第4章 メタでソーシャルなセルフブランディングに疲れた人々
第5章 民主主義より資本主義より「面白さ至上主義」


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【編集後記】

◆知的生産術の新刊をご紹介。

フェルドマン式知的生産術 ― 国境、業界を越えて働く人に
フェルドマン式知的生産術 ― 国境、業界を越えて働く人に

『一流アナリストの「7つ道具」』を大幅増補し、新たに「結合力」の章を加えたとのこと。

出たらチェックする予定です。


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