2012年10月01日
【オススメ】『オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より』岡田斗司夫 FREEex

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、岡田斗司夫さんが、そのクルーの皆さん(FREEex)と書きあげた1冊。岡田さんが朝日新聞be紙上にて行っている人生相談「悩みのるつぼ」の舞台裏とその思考法を明かしてくれる、という興味深い内容です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
父親が大嫌い、Twitterで悪口を書かれた、女優と結婚したい……こうした悩みを打ち明けられたとき、どんなアドバイスができるか。朝日新聞beの人気連載「悩みのるつぼ」で、誰よりも相談者の気持ちに寄り添い、「役立つ回答」を編み出し、読者や相談者本人から絶大な信頼を誇る著者が、「回答」に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開。人生相談と本気で格闘することで、問題解決のための分析力、思考力が身につく、画期的な書。
岡田さんの回答の切れ味もさることながら、そこで用いている「思考ツール」は、まさに「問題解決」の手法として、ビジネスパーソンなら身につけておきたいものだと思います!

【ポイント】
■1.相手と同じ温度の風呂に入る共感のコツは相談者と"同じ温度の風呂に入る"ことにあります。
恋愛で悩んでいるとか、借金のことで困っているとか、いろんな悩みがありますよね。
その時に、ついつい僕たちはその相談者と"同じ温度の風呂"に入らないんです。(中略)
僕と同じで、役に立とうとするあまり、その人に対していま自分が言える一番論理的で、行動可能で、こういうふうにすれば状況が改善されるのにといった指針を、手早く言おうとしすぎるんです。
結論だけじゃダメなんです。それよりもっと前の段階で、「相手と同じ温度の風呂に入る」これが必要です。
■2.解決可能な問題を仕分ける
仕分けは、その悩みを「解決できるもの」と「解決できないもの」に、どんどん分けていっちゃう、という考え方です。「解決できないもの」「緊急でないもの」は一旦忘れて、頭の負荷を減らす。負荷を減らしてリラックスした頭で、「目前の」「解決可能な」問題にのみ意識を絞る。
また、自分の問題か他人の問題かを基準に分ける方法もあります。
つまり、自分がどうにかならなきゃいけない問題と他人をどうにかしなきゃいけない問題に分けていくんです。
これが仕分けです。
■3.「なぜ? なぜ?」と疑いながら考える
何か問題があった時、「なぜ? なぜ? なぜ? なぜ?」と、深く考える思考法、疑いながら潜っていく方法です。
これを僕は潜行と名づけました。(中略)
ず〜っと考え、なぜだろう、なぜだろう、なぜだろうと潜っていくと、どこかで自分の気が済む瞬間が絶対にあります。
それが「プールの底に手がついた」瞬間です。
ここまで考えたら、あとは簡単。そこから先は「じゃあ、どういうふうにしよう」と浮上するだけです。
■4.何かにたとえる「アナロジー」
ストレートに考え抜くよりも、いま自分が置かれている状況や感じている気分に一番近い「たとえ話」を探すほうが、実は考えたり説明したりする時に手っ取り早いし、客観的になれます。
動物でいうとどういう行動だろうか?
機械でいうとどうだろうか?
スポーツ選手でもいいですし、天文学でもいいです。いろんな方向から「たとえ話」を考えてみる。(中略)
自分が悩んでいる状況に似たような現象や気分を、いかに違うモデルから持ってこられるか。
何でもいいんです。その瞬間に発見した「あっ!」というヒラメキが、自分を楽にしてくれます。
■5.自分の感情や価値観を「メーター」表現する
人間というのは何かを考える時、つい100かゼロかで考えちゃう。
「彼が好きなの。彼とつきあうにはどうすればいいの?」
「つきあえないのは絶対イヤなの」
こう考えてる人、多いです。
そこでメーターです。
つまり「絶対イヤ」を「100イヤ」と言い直して、50とか60だとどうだろうかと考えてみる。
完全解決を望むと、達成は非常に難しくなる。
自分の感情や価値観について、メーター表現すると、急に客観的になれます。
■6.「ピラミッド」図解にする
自分の相対的位置を考えること。
いろんな順序で並べた時、その分布を考えて自分の立ち位置を知ること。
これが、ピラミッドという思考ツールです。
恋愛ピラミッドの中で、自分はどのあたりの位置にいるのか。どのグループにいるのか。
大体の男は。プラス100万円からマイナス100万円の間にいて、それを人数分布にしたら、おそらくピラミッドじゃなくて涙滴形になるだろう。
女性はゼロ円から。プラス100万円ぐらいのスライム形だろう。
このように図解で考える。
■7.「2×2」の4つに分類する
考えを整理する時、いくつかに分類するのはたいへん役に立ちます。
だからといって、毎回「これはいくつに分類できるかな?」と考えるのは大変です。
そこで僕のオススメは、なんでもかんでも、とりあえず4つに分類しちゃう、というフォーマット化。
これが思考ツール、4分類です。
【感想】
◆本書の中では「岡田斗司夫式思考ツール」なるものが、計11個列挙されています。今回はそのうち、上記にて6つをご紹介(ポイント2〜7)。
いくつかはロジカルシンキングでいうところのフレームワークだったりもするのですが、いずれにせよ、岡田さんはこれら11個のツールを使って、相談者の「悩み」を解決されています。
本書では、具体的な相談例と、それに対してこれら思考ツールを使った回答例が収録されているのですが、ボリューム的に引用しきれなかったので、丸ごと割愛(すいません)。
おそらく、実際に回答を考えていく過程を読むと、より腑に落ちると思いますので、ぜひ一度ご確認頂きたく。
◆今までも、何度か岡田さんがこの「悩みのるつぼ」での回答をサイトに掲載し、それが数多くブクマされることがありました。
ところがどうも、期間限定公開のようで、過去の記事をご紹介しようとしたところ、存在しておらず……。
一応、最新のものだけは、カテゴリーにて確認できるようですが。
岡田斗司夫なう。 朝日新聞・悩みのるつぼ
いや〜、本書でも収録されている「クラス内の位置が気になる中学生」の相談とか、「漫画家になりたい孫」についてのおばあちゃんの相談とか、リアルタイムで読んでいたものがご紹介できず残念です。
◆それにしても、岡田さんの回答ぶりには「目からウロコ」の連続でした。
上記「思考ツール」や、ポイントの1番目の「共感」、さらには「愛という名の緩和剤」等々を用いて回答を作成されているのですが、これが「職人芸」とひと言でまとめてしまったら失礼なくらいのクオリティ。
ちなみに第1章の「誰よりも面白い答えを」を読むと、岡田さんがどういう意図を持って回答されているか分かります。
曰く「相談者にとって徹底的に役に立つもの」を目指す、と。
それは、岡田さんが他の回答者陣(車谷長吉さん、金子勝さん、上野千鶴子さん)を意識してたどり着いた結論であり、岡田さんが「連載をクビにならないよう考え抜いた」結果でもありました。
……クビどころか、今では朝日新聞beの名物になってると思うんですがw
◆なお、本書は第11章の「思考ツール応用編」まででも内容、ページ数(252ページ)ともに、新書としては十二分なのですが、そこから先に「ボーナスステージ」が展開。
それが第12章の「悩みのるつぼ・メイキング」。
「下書き」から最終形に至るまでの、岡田さんの思考過程があからさまに記載されていて、この部分は非常に勉強になりました。
そして巻末には付録として「悩み全集」が!
本文部分で紹介されていない回答まですべて読むことができるという有難さに、涙がちょちょぎれる(死語w)こと必至です。
これはもうオススメせざるを得ません!

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)
1.誰よりも面白い答えを
2.相手と同じ温度の風呂に入る
3.難問を解いた先に見えた、マイナスの世界
4.壮絶な悩みほど、解決の糸口はみつけやすい
5.愛がある答えとは
6.相談者に腹を立てた
7.なぜ悩みはるつほ化するのか
8.思考ツールを使ってみよう(1)
9.思考ツールを使ってみよう(2)
10.思考ツールを使ってみよう(3)
11.思考ツール応用編
12.悩みのるつぼ・メイキング
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【勝負師対談】『人生で本当に大切なこと』王 貞治,岡田武史(2011年12月07日)
【編集後記】
◆気になる勉強本。
すべての勉強は、「図」!でうまくいく: 今までの10倍「記憶力」「思考力」が強くなる
永田さんの図解能力はピカイチですから、これまた要チェックかと。

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あなたのやり方は誠実ではありません。
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あなたのやり方は誠実ではありません。
Posted by なかはまさ at 2012年10月01日 14:32
>なかはまささん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
タイトルに関しては、確かに本書内には「オタクの息子に悩んでいます」という相談がございます。
ただ、12章と後ろの方の軽めの扱いなのと、ツールの使い方等は、前半で解説してしまったのでこの部分は私は割愛しました。
お知りになりたければ、本書のP254ページをご覧下さいマセ。
なお、リンク先がアマゾンアフィリエイトなのは、どこの書評系ブログも同じかと……。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
タイトルに関しては、確かに本書内には「オタクの息子に悩んでいます」という相談がございます。
ただ、12章と後ろの方の軽めの扱いなのと、ツールの使い方等は、前半で解説してしまったのでこの部分は私は割愛しました。
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Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2012年10月01日 14:44
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