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2012年09月29日

マスコミが絶対に書かない『マインドコントロール式説得術』の真実




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、心理的テクニックを駆使して、他人を説得することを目的とした1冊。

広く知られているテクニックとは別に、新規で実験等行っている点がユニークでした。

アマゾンの内容紹介から
「マインドコントロール」という言葉には怖いイメージがあるかもしれない。しかし、マインドコントロールは非常に洗練された説得術であり、その理論と技法をマスターすれば、日常生活やビジネスの現場で、思うままに人を操ることができる。本書は説得学の権威である著者が、世の中に意外なほど溢れているマインドコントロール的アプローチについて、解説したものである。

『影響力の武器』辺りがお好きな方なら、気に入って頂けるかと。

なお、タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になっておりますw


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【ポイント】

■1.にっこりほほえむ「笑顔テクニック」
 私のゼミに参加していた学生が、面白い実験をしていたので紹介しましょう。この実験では、人に募金を呼びかけるときに、笑顔で要請する場合と、無表情で要請する場合で、募金額にどのような違いが出るかを比較しています。実験は慶応義塾大学の学生を対象におこなわれ、募金に応じる、応じないに関わらず、あとで実験であることが明かされました。
 実験の結果、無表情で募金を要請するよりも、笑顔で要請したほうが、明らかに募金額が高くなることが判明しました。また、募金を要請する対象が男女どちらでも、笑顔は効果的でした。


■2.説得者自らによる「手作りお弁当テクニック」
 実際に花見客100人を対象に、手づくりのお弁当をともに食べたグループと、昼食を済ませてきたグループを比較して、手づくりお弁当テクニックの効果を検証したことがあります。
 その結果、手づくりのお弁当を食べたグループでは、ほとんどの人が相手への好意を増大させたことがわかりました。また、お弁当を食べたあと、それをつくってくれた相手に軽い要請をされた場合、ほとんどの人が応じたのです。


■3.情に訴える「家族のためにテクニック」
 人間、自分に対する説得には抵抗感を覚えますが、「家族のためだ」などと家族や自分以外の大切な存在を説得材料として持ち出されると、案外素直に応じてしまうものです。そんな人が持つやさしさや弱みを突く説得方法を「家族のためにテクニック」といいます。
 このテクニックは、説得に応じることで夫や妻、子どもといった家族や大切な人に利益をもたらすことを強調するため、自分自身がターゲットになっているという意識か薄らぎ、説得意図を感じにくいのが特徴です。家族に対する思いやりはもちろん、「大切な家族をないがしろにするような人だと思われたくない」という心理から、説得に応じやすくなるのです。


■4.だまって相手の話を聞く「カウンセリング・テクニック」
 ビジネスにおいても、たとえば顧客からクレームがあった場合、まず相手の話をしっかり聞くことが大切です。すぐに言い訳や弁解をしていては、かえって相手の怒りが高まってしまいます。黙って話を聞いて、相手の気持ちを吐き出させることで、怒りや興奮がおさまり、説得されやすい方向へ自ら態度を変えていく場合も少なくありません。顧客からのクレーム対応を長年担ってきた人の話によると、まずは「お怒りはごもっともです」と、相手の苦情を聞いて、共感することが大切だといいます。


■5.まずは見た目から入る「舞台装置法」
 たとえば病院に行って、医師の診察を受けたときのことを思い出してください。医師が身につけている白衣や聴診器、周囲にいる看護師、さまざまな医療器具によって患者は専門性を感じ、医師の説得力がアップします。また、病院特有の匂いや、白を基調とした内装も、信憑性を高める舞台装置として一役買っているのです。
 では医師が自宅まで往診にきて、しかも白衣ではなく普段着だったらどうでしょう。病院では神妙に医師の話を聞き、全面的に信頼を寄せていた人でも、舞台装置がなければあまり心を動かされないかもしれません。


■6.説得上手になるための11の魅力(抜粋)
●空間的近接と単純接触……相手と物理的距離が近いか、接触の機会が多いか。

●身体的魅力……外見的な美しさや精悼さ、清潔さがあるか。

●類似性……相手と似ているところがあるか。

●自己開示……自分のことをオープンにしているか。

●視線……相手をきちんと見ているか。


■7.類似性と専門性を組み合わせて高い説得効果をもたらす
太った人が3Lサイズの服を買うときに意見を求めるのは、自分と同じような体型をした人で、痩せた人ではないはずです。これは類似性を重視した例です。しかし、同じ人が動脈硬化について意見を求めるときは、自分と同じ太った人ではなく、内科の専門医になるでしょう。この場合は類似性より、専門性を重視しています。
 こういった傾向を頭に入れて、類似性と専門性をうまくミックスすれば高い説得効果が期待できるでしょう。たとえば名刺の表側には、自分の担当部署や取得資格など専門性に訴えかける肩書きを印刷し、名刺の裏側に趣味や出身地などの類似性のアピールにつながるプロフィールを入れておくのです。これは多くの営業マンが実行していますが、それだけ効果があるということなのでしょう。


【感想】

◆上記ポイントでは「テクニック」やら「〜法」といった独特の名称が連発されていますが、本書はまさにこうした「テクニック」がてんこ盛りでした。

今回は類書であまり見かけないものを中心としているものの、メジャーな心理テクニックはもちろん収録済み。

「吊り橋効果」

「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」

「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」

なんてあたりは当然のように含まれております。

この辺り、ドヤ顔で書名のサブタイトルに「50のテクニック」みたいにうたってないところは好印象ですがw


◆また、『影響力の武器』でお馴染みの6つの法則も登場……というか、上記ポイントの2番目の「手作りお弁当テクニック」も広い意味では「返報性の法則」ですよね。

ただ、冒頭で触れたように、新しく実験等を行っている点は、類書より評価されてしかるべき。

心理テクニックや、「ヒューリスティック」に関する本は、今まで数多くご紹介してきましたが、翻訳本以外で実験までしている本はほとんどなかったハズです。

こちらの本とか「性的興奮状態」における、「行動判断」の実験とかしてますからねぇ(下記記事ご参照のこと)w

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

参考記事:【スゴ本】「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー(2008年12月15日)


◆割愛した中で「モテネタ」として使えそう(?)だったのが、「戦友体験効果」。

「吊り橋効果」は怖いところでドキドキさせて、恋愛時のドキドキと勘違いさせるものですが、こちらはともに窮地や困難を乗り越えることで、親密感や連帯感が生まれる、というものです。

遊園地で言うなら、ジェットコースターより、ともにゴールを目指すお化け屋敷の方が、この「戦友体験効果」を体感できるそうなので、恋愛に一歩踏み出せない方は、一度試してみては?

……と書くと「その前に相手がいない」というツッコミがされそうですがw


◆ちなみに、本書ではこうしたテクニックを公表することが「悪用される恐れはある」と懸念されていますが、悪用するような人ならとっくにしているかと。

むしろ、本書のあとがきや、この手の本の多くで言われているように、「普通の人が騙されることを防ぐ」ためにも、もっと広まるべきだと思います。

正直なところ『影響力の武器』1冊読めば、根本的な部分はほとんどカバーできるのですが、かつての私が買うのに半年迷ったように、まずはこういう新書から読んでみるのもアリかもしれません。

……テクニックの名前の付け方が「アレ」な点はスルーして頂いてw


セールスマンに弱い方なら必読!

マインドコントロール式説得術 (マイナビ新書)
マインドコントロール式説得術 (マイナビ新書)
第1章 人間はだれもが操られている!
第2章 いますぐ相手の心を動かすスイッチ
第3章 知らず知らずに相手を操る技術
第4章 わかっていても操られてしまうパワーテクニック
第5章 相手の「意志」を捕まえる心理トラップ
第6章 「操りやすい人」を見極める方法
第7章 マインドコントロール式説得術を実践する


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【編集後記】

◆本書とアマゾンで一緒に買われているらしいのがこちら。

人の心を操る技術―マインドリーディングと話し方で交渉もコミュニケーションも上手くいく
人の心を操る技術―マインドリーディングと話し方で交渉もコミュニケーションも上手くいく

「催眠療法士の裏ワザ」と言うのが気になります。


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