2012年09月23日
【思考術】『考え方のコツ』に学ぶ7つの思考術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『暮しの手帖』編集長である松浦弥太郎さんが、自らの思考法について述べた1冊。松浦さんのご本は、私は本書が初めてだったのですが、ユニークな考え方にはちと驚かされました。
アマゾンの内容紹介から。
「なぜ、なに、なんだろう」と考える。ゆたかに働き、ていねいに生きるための極意。『暮しの手帖』編集長が説く、すべての人に役立つ「仕事と生活」の指南書。
今回は特に、松浦さんの「思考術」で「これは!」と思うモノを7つ挙げてみましたので、ご覧ください。
いつも応援ありがとうございます!
【7つの思考術】
■1.あきらめずに考え続ける僕がなんとも惜しいなあと思うのは、あと少しというところであきらめてしまう人。「あと5秒、あと10秒考え続ければいいのに、どうしてそこで『無理』だと決めつけてしまうのだろう?」
まわりを見ていると、そうした人はたくさんいて、実にもったいないと感じます。
最後の最後まで考え続けると、仕事の質は変わります。たとえば、自分の企画を説明する会議が午後の3時にあるとしたら、その1分前まで考え続ける粘りが、企画そのものを高めてくれます。「あと5分!」となったらあきらめて書類の体裁を整えるほうに注力するのではなく、文書にする時間はなくとも、語る言葉で相手を説得するだけの質の高いアイデアにすべく、とことん考え抜くことです。
■2.知らないことを調べない
考えることと知識があることは、水と油ほど違います。考えるとは、自分で何かを生み出すこと。一方、知識とは、誰かが生み出したものをせっせと集めてくることです。
情報収集をし、知識が豊富になっただけで「自分で考えた」と思ってはいけません。人の知識を借りているのに、「自分のアイデアである」と勘違いするのは大きな過ちです。
■3.「自分だけの経験」という情報を用いる
「松浦さんは、情報などいらないんですね」
検索をせずに考えるという話をすると、時折こう言われますが、大きな誤解です。思考の材料として僕にも情報は必要です。ただし僕にとっての情報とは、検索して得られるものではなく自分自身の経験です。「自分が経験したことしか、情報とは言いたくない」と考えています。
自分が体験したこと、感じたこと、発見したこと、考えついたこと。これこそ僕にとっての実態のある情報であり、経験です。自分だけの経験という情報の中で、新しい答えを編み出していく。いくら格好悪くてもつたなくても、このオリジナリティに固執したいと思います。
■4.アイデアが「普通かどうか」を検証する
すごく突飛なことや、一部の人にしかわからないようなことは、アイデアとしては成立しないと僕は思っています。純粋でオリジナルであるけれど、同時に普遍的なもの。どんな人とでも分かち合えるもの。これこそ優れたアイデアだと定義しているのです。
誰にでもよくわかる、誰にでも親しみの)ある、誰にとっても当たり前に近いこと。これが僕の中では、「良きアイデアの条件」となっているので、人に話しながらその感触をいtも確かめています。アイデアを普遍的にすべく、磨いていきます。
■5.「叩きようがない叩き台」をつくる
僕が思うのは、完成の途中で生じるものは、人に見せないほうがいいということ。
現実には、「これはまだ叩き台ですが」といって、あまりに未完成な企画書を出す人が珍しくありません。この際の「叩き台ですが」という言葉は、完成度が低いことへの言い訳に近いと感じます。(中略)
目指したいのは、「かなりできあがっていますが、さらに良くするために意見をください」というウエルカムサインになるような「叩きようがない叩き台」です。
僕は「自分の中で、ほぼ完璧まで仕上げたものしか人には見せない」と決めていますし、部下が「草案ですが見てください」と言ってきたら、「じゃあ完成させてから持ってきてください」と答えます。完璧を超えたその上を目指さなければ、みんなで知恵を出し合う意味がありません。
■6.周辺に何があるのかを想像する
普通はアイデアの核心に注目し、そこばかりあれこれ考えてしまいます。だからこそ意識的に、核心ではなく周辺には何があるのかを想像しましょう。
あるプロジェクトについて考えていくとしたら、そのプロジェクトがどう動くかという核心ばかりに着目せず、「その周辺で、何がどう動いていくか」について、想像カを働かせる。社内のことだけではなく、社外で何が起きているのか。それによって社会がどう変わるかも、きめ細かくイメージするのです。真ん中にあるものと周辺の要素を絵に描いてみることもおすすめします。
■7.「一番の敵」になって考えてみる
客観的になるための簡単な訓練は、自分にとっての「一番の敵」になって考えてみること。
自分について正しい評価をしてくれるのは、自分に対して批判的な人です。いささか乱暴ですが、世の中の人を自分の敵と味方に分けたとして、明らかに「アンチな人たち」というのは、誰にでも必ずいます。僕にしても「アンチ松浦弥太郎」という人たちは少なからずいると思っていますが、その人たちの評価が一番客観的で一番正しい気がします。ときどきそうした人になったつもりで、自分を評価しています。
【感想】
◆本書は、そのタイトル通り、「考える」ことを中心テーマとして展開しています。下記目次でいうところの、第1章「思考術」と第2章「想像術」がまさにそう。
この2つの章で本書のほぼ半分を占めており、実際私もこの2章を中心に付箋を貼りまくりました。
特に第1章はかなり濃厚で、割愛した中にも面白いお話がいくつか。
例えば、アイデアが煮詰まった時に「人ごみを見に行く」というTIPSは、なかなか斬新だと思います(詳細は本書を)。
ただ、第1章の小見出しの半分近くを上記で抜き出してしまったので、さすがにこれ以上は自重せざるを得ず。
◆また、本エントリーでは「思考術」以外の部分はすべてカットしてしまったものの、もちろん割愛した中にも、ピンときたお話が多々ありました。
例えば、自分の感情をコントロールする最良の策は、「いつも幸せな自分だと考える」こと。
「いつも幸せな自分でいる」ことは難しいけれど、「いつも幸せな自分だと考える」。
つまり、「何を幸せだと捉えるか」は自分の心で決められるものであり、受け取り方次第である、と。
ネガティブな感情を他人に押しつけないためにも、留意しておきたいところです。
◆さらには、少々自己啓発チックな話ですが、「勝ちが続いている時は、あえて自分から小さく転んでおく」というお話もツボでした。
「小さく転ぶ」というのは、例えばちょっとした挑戦をして、失敗したり、休暇をとって仕事を休んだり、積極的に発言しないで静かにしている、といったこと。
というのも、この世界にはバランスがあり、たくさんのプラスを手にしたら、同時にたくさんのマイナスも生じてしまうから。
ひとつひとつのプラスには、それ相応のマイナスゆえ対応できますが、大量のプラスに見合う大量のマイナスだと、抱えきれずに押しつぶされてしまう、とのこと。
……私の場合、そんなマイナスを食らうほどの大勝ちをしたことがないという話もありますがw
◆本書は「検索するな」とか「叩き台を出すな」といった、いくつかの仕事術系の本で言われている内容と相反している部分がありますが、「考え方」を指南する本としては、クオリティは高いと思います。
ただ問題は、こうした「思考」を用いなくとも、仕事(というか作業)は処理できますし、その方が効率的だったり要領が良かったりする、ということ。
確かに、ガンガン検索しまくって、アイデアのネタを貯めて、そこから何かを生み出す、という手法で結果を出している人もいるでしょうし。
それでも、あえてこうした「脳に負荷をかける」やり方の方が、ユニークなアイデアを生み出すような気が。
冒頭で申しあげたように、松浦さんの本は本書が初めてだったのですが、他にも読んでみたくなりました。
「考える」ことの本質を探る1冊!
考え方のコツ
第1章 思考術―なんでも知っている人ではなく、なんでも考える人になる
第2章 想像術―面ではなく、たくさんの点をイメージする
第3章 コミュニケーション術―群れの中で群れにのみ込まれない泳ぎ方とは
第4章 時間管理術―時間に好かれ、時間を味方につける
第5章 グローバル術―メンバーではなくプレイヤーとして働く力
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【編集後記】
◆その松浦さんの最新作がこちら。100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート
これまた面白そうです。
ご声援ありがとうございました!
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