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2012年09月21日

あの直木賞作家も知らない『3D思考』の秘密


3D思考
3D思考

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、コンサルティング会社アウトブレイン代表取締役である泉本行志さんが、「視点」について言及された1冊。

俗に言われる「3つの視点」とは、ひと味違った観点が新鮮でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、多くのビジネスの現場で役立つ「3つの視点」をご紹介します。この3つの視点を意識できるようになると、思考はパワフルに変わります。
ぜひ「視点のマネジメント」の力を身に付けて、自分自身の思考の質、さらにはチーム全体の仕事の質を高めていきましょう。

丸ごと1冊「視点」を掘り下げただけあって、分かりやすかったです!

なお、書名がえらく短かったので、記事タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」のお世話になりました。


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【ポイント】

■1.レベルを意識する
「レべルの高い、低い」というのは、言い換えると次のような意味です。
・「レべルが高い」とは、より抽象的であること
・「レべルが低い」とは、より具体的であること
(中略)

 ビジネスの世界でいえば――
・実務、作業=レべルが低い(具体的)
・事業理念、商品コンセプト=レべルが高い(抽象的)

――ということが言えます。


■2.レベル感を合わせてコミュニケーションをとる
 全体的な話を確認する段階で、いきなり詳細の話をするような人は「レべル感」がない人です。
 例えば、プロジェクト全体の方向性を話し合うときに、個々のタスクや作業レベルの話を始めるような人は、レべル感がないため話を整理できず、頭に浮かんだことをランダムに発言しているだけなのです。(中略)

 一方、レベル感を持っている人同士で話をすると、コミュニケーションはとてもすっきりします。これは、おたがいに今話をしている対象が、全体のどの「レべル」にあたるものなのか共有できているからです。


■3.相手の視点を意識して考える
 優秀なセールスパーソンというのは「自分の視点と目の前のお客様の視点を何度も行き来できる能力がある」というようなことな言う人がいます。
 実際にそうしたトップセールスの方から「顧客の視点で、商品を説明している自分の姿を見ながら、営業している自分の言葉の表現や表情をチェックしている」といった話を聞いたこともあります。
「まるで映画を観ているような感覚」たと説明してくれました。
 無意識にそうした視点を持てるような達人の域を目指すためにも、まずは相手の視点を意識して考えることは、どんな仕事をしている人にとっても大切なことです。


■4.複数のポジションに視点を移す
 例えば、ある全社的な改善プロジェクトが立ち上がり、各部署から代表一人が参加することとなり、自分がそのリーダーを任されたとします。
 プロジェクトを遂行するためには、部署内外からの協力が必要です。
「自分は選ばれてプロジェクトの大変な仕事を任されているのだから、皆が協力してくれて当然だ」と考えていてもなかなかうまくいかないでしょう。
 その場合、周囲の関係者のポジションに視点を移して、自分を眺めてみるとよいのです。
 そうすれば、自分がどのようにその人たちに接して仕事の依頼をすればいいのか、これまでとは異なる理解を得られるはずです。


■5.時間の流れにそって考える
 例えぱコンサルティングの現場で、クライアントの方々に「業務上の問題点をあげてください」とお願いしても、改めて考えようとすると、なかなか問題点を思いつかないという場合があります。
 そんなときは「業務のプロセスの時間軸にそって、その業務の体験の中に自分が入っているつもりで考えてみてください」とフオローすることがあります。
 業務全体をいっぺんに捉えようとすると思考が固まってしまいがちですが、時間の流れにそって考えると発想しやすくなるのです。


■6.視点を未来に移して質問する
 未来からの視点を持つためには、未来へ視点が移動したことを前提とした質問をすることが役に立ちます。
 例えば、もし新サービスのアイデアを考えている場合、未来へ視点を移動し、以下のような質問なすることで、頭に何が浮かぶかイメージするとよいのです。
「新サービスを成功させた時点から見ると、今の自分に何が起こっただろう?」
「新サービスの成功を喜んでいる将来の自分から振り返って、何をきっかけにそのアイデアが浮かんだのだろう?」
(後略)


■7.3つの視点軸を空間でイメージする
・レべルの軸で動かすのは「上下」の方向
・ポジションの軸で動かす場合は「左右」の方向
・時間の軸で動かすのであれば、「前後」の方向

 ――このように視点を動かす方向を決めておくとよいのです。
 いつも決まった方向をイメージすることが習慣として定着すると、空間の方向をイメージすることが、視点を移動させるトリガーとして機能するようになります。
 何かを考えるときには、いつも自分を中心に置き、視点を3つの方向に立体的に移動させるイメージをめぐらすようにすると、3つの視点軸を意識した「3D思考」が常にできるようになるでしょう。


【感想】

◆本書で言う「3D思考」とは、3つの視点を意識したもの。

そして、その視点とは、上記ポイントで触れているように

「レベル」
「ポジション」
「時間」


の3つになります。

ちなみに、上記7つのポイントのうち、最初の2つが「レベル」、次の2つが「ポジション」、そのまた次2つが「時間」であり、最後の7番目はまとめ的なもの。

下記目次の通り、3つの視点が章を分けて解説されています。


◆ところで、「3つの視点」というと、先日ご紹介したばかりのこの本にあるように、「視点」「視野」「視座」の3つが一般的ではないでしょうか?

20代で身につける成長の法則
20代で身につける成長の法則

参考記事:【仕事術】『20代で身につける成長の法則』長井 亮(2012年09月03日)

ここでいう「視点」は、本書で言う「ポジション」であり、「視座」はレベルに該当しています。

本書の場合、この2つに「時間軸」を加算しているのが特徴。

時間軸を意識した発想法としては、神田昌典さんもこちらの本で「タイムマシンに乗って将来と現在の溝を埋める」みたいなことを言われてましたっけ。

非常識な成功法則―お金と自由をもたらす8つの習慣
非常識な成功法則―お金と自由をもたらす8つの習慣


◆個人的には、ポイントの2番目の「レベル感を合わせてコミュニケーションをとる」が腑に落ちました。

会社員時代、上手くまとまらなかった部内会議のことを考えると、実はこれが原因だったのかな、と。

確かに部長レベル、課長レベルと、当時の自分とでは、意識できるレベルが違っていましたし、今にして思えば、上の方は大局的に物事を捉えていたのだと思います。

本書でもケースとして、「お客様からのクレーム」が挙げられており、現場レベルで考えるのと、マネジメントレベルで捉えるのとでは、意味合いが違う、と指摘されておりうなずきまくり。

当時の自分がマネジメントレベルで捉えられていたなら、もっと出世(ry


◆本書は、今まで類書ではテーマの1つとして軽く触れられていただけの話を、丁寧に掘り下げている点で、価値があると思います。

というか、これほど重要なテーマなら、本来このくらい、しっかり論じるべきでしょう。

それぞれの視点ごとの事例も豊富ですし、また、それらもビジネスシーンでありそうなものばかり。

想定読者は全世代でしょうけど、個人的には特に若手の方にオススメしたいところです。


モノの見かたや考え方がワンランクアップする1冊!

3D思考
3D思考
第1章 なぜ視点が大切なのか?
第2章 「レベル」の視点軸
第3章 「ポジション」の視点軸
第4章 「時間」の視点軸
第5章 3つの視点軸を統合する


【関連記事】

【仕事術】『20代で身につける成長の法則』長井 亮(2012年09月03日)

【視点】『楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方』仲山進也(2010年01月20日)

【コンサル視点】『仕事オンチな働き者』山崎将志(2011年03月10日)

【コンサル視点】「マーケティングマインドのみがき方」岸田 雅裕(2010年03月03日)

【コンサルタントの視点】『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』小宮一慶(2007年10月24日)


【編集後記】

◆今や売れっ子作家となられた関谷英里子さんの新作。

関谷英里子の たった3文でOK! ビジネスパーソンの英文メール術
関谷英里子の たった3文でOK! ビジネスパーソンの英文メール術

土井英司さんが既にご紹介されているので、ご存知の方も多いと思いますが、一応アナウンスをば。


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