2012年09月13日
【知的生産】『「世界水準」の思考法』キャメル・ヤマモト
「世界水準」の思考法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、外務省、外資系コンサルタントを経て、現在はデロイトトーマツコンサルティングのディレクターである、キャメル・ヤマモトさんの思考法を明かした1冊。昨年出版された『「世界標準」の仕事術』の続編に位置するものとなります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、欧米・アジア・中東を歴任してきたグローバル人材コンサルタントが、"日本人"が、今後のグローバル化の中で身に付けるべき「考え方」を紹介するものです。
書きながら仕事の「アウトライン」をつくる、「対話」して人の頭を使いながら新たな発想を生み出す、歩きながら動きながら「自分最適」の仕事をデザインするなど、今すぐにできる方法ばかりです。
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.難題には「アウトライン法」で取り組む(1)上司から指示された件の難題について、指示されるや否や間髪を入れずに、ワードのファイルを開けて、課題の名前を書く
(2)ついでに、即、課題解決案のアウトラインを書く
(3)それでも書けない場合、回答を出すための手順のアウトラインでもOK
このアウトライン法に慣れてくると、あなたの中に1つの変化が起きてきます。
その変化とは、すべての出来事があなたにとって、二重の意味を持ちはじめるということです。(中略)
難題その他についてアウトラインを書いた後のあなたは、日常的な出来事なこなす際にも、同時に、アウトラインとして仕掛けた罠に、何かがかかってくるのな自然に待ち受けるようになります。
■2.「着地思考」で結論を促す
何か報告書や企画書を書いているときに、突然、作業している自分に対してこう質問します。
「で、結局何が言いたいの?」と。(中略)
「結局ね、そうたな、結局のところはだな、簡単に言ってしまえば」などとつぶやきながら助走を付けてもよいでしょう。そういうふうに自分で勢いを付けると、あなたの思考モードは、一挙に結論に向かいます。
■3.時間をトップダウンで区切る
パワポの資料を作るときは、頭の働きが、どちらかと言うとボトムアップです。1枚ずつ過去の資料から使えそうなものを集めたり、新しく作っていくからです。でも1枚ずつ作ると、全体は見えなくなります。だから、50枚でも100枚でもボトムアップで作ったら、そこから反転して、今度は完全にトップダウンで考えます。トップダウンとは、全体1時間で質疑15分を引いて、話は45分、それを3つに分けよう、という2.0的な考え方です。つまり、全体があって、そこから引くものを引いて、割るものを割るという発想です。
■4.PCに打ち込みながら話をする
この方法には3つのご利益があります。
1つは、時間の節約になります。あとでノートをまとめる必要はありません。
2つ目は、情報共有化が楽になります。相手が求めれば、私がPCに記録したノートは、すべて共有化します。(中略)
3つ目は、集中力か高まります。PCに打ちこむのは単純作業ですが、そういう単純作業、特に、指を動かす動作は集中力を高めます。つまらない話にもまじめに付き合えます。
■5.社長の名前で文章を書く
あなたが1人のスタッフとして何かを起案するとき、課長のつもりで、いや、社長のつもりで、世の中に対してこれを提案している、市場に対して問いかけている、投資家に対して説明している、と考えてみてはどうでしょうか。
もっと言うと、そのことを考えるのに最もふさわしい主語、実際にものごとを決めることができる人(たとえば社長)になり代わってものごとを考える、単に考えるのではなく課長や社長、大使や大臣として考えたように書くわけです。
■6.相手にイメージを持たせる質問をする
たとえば、「リーダーシップに最も大切なものはなんですか?」という質問を発したとします。これだとあまりに直接すぎて、皆さんが天井を見上げて黙ってしまいます。
その代わりに、「あなたかこれまで会ったリーダーの中で、彼こそリーダーと思える人を思い浮かべてください。そして、その方の特徴を、事例・逸括とともにいくつかあげてみてください」というふうに、相手がイメージを持って答えられるような質問をします。
■7.即興で意外な思考を導く
本当の即興は、それを言った本人が「こんな言葉が出てしまった」と言って驚くようなものになるそうです。何も準備しないその状態で、ぱっと出てくるもの、それが最善の答です。流れを止めないこと、それがすべてです。流れをそこなう摩擦を最小にしたのが即興なのです。
何かを考えて言わなけれぱならないとき、「いい答」ではなく、まずポンと出てきた言葉を声に出してみましょう。そこに思いがけない答が眠っていることがあります。声に出してから、あっ、ここに答があったというふうになれば、まさに即興的な成果です。
【感想】
◆上記ポイントでは割愛しておりますが、本書では、「1.0」「2.0」「3.0」という各思考法がベースにあります。「1.0」とは従来からある「日本的」な思考法。
「2.0」とはグローバルな思考法。
そして「3.0」とは「その間を行ったり来たり」して両方のいいとこどりしたもの。
類書の多くがとりあえず「2.0」的な思考法を推奨しているところ、本書ではそれだけでなく「1.0」的なものも活かしているのが特長と言えます。
……この前提がないと分かりにくいため、上記ではあえてそういう表現がなされていないところばかり拾ってますが。
◆また、タイトルには「思考法」とあるものの、本書では、ただ「考える」だけではなく、それが身体的な「動き」と結び付けられています。
具体的には、第2章からそれぞれ「書く」、「動く」(歩く)、そして「話す」。
これは「考える」という脳内における「目に見えない行為」を「見える化」しているとも言えるワケで、なるほど腑に落ちました。
個人的な趣向から、上記ポイントでは、第2章の「書く」ばかり取り上げてしまいましたが、やはりどうしても「考える」という行為は「書く」という行為と密接な関係にあるな、と。
実際、貼った付箋の数も第2章が断トツでした。
◆一方で、実は第3章からはまったく抜き出していないので、ここで1つだけご紹介。
グローバル人材の「基本中の基本」のスキルが「対話力」なのですが、これを比較的簡単に高める方法が、「歩きながら対話する」ことなのだそう。
著者であるキャメル・ヤマモトさんの過去の経験しかり、ジョブズが自伝の中で、当時アップルのトップにあったアメリオに自らの復帰を促すシーンしかり……。
スティーブ・ジョブズ II
【神話完結】『スティーブ・ジョブズ II』ウォルター・アイザックソン(2011年11月03日)
なお、本書では何故「歩きながら対話する」と難しい話がしやすくなるのか検討されています。
曰く、「風景が変わっていくこと」「2人で同じ方向に向かって一緒に進んでいくこと」「歩くペースを合わせるから2人のリズムもそろうこと」等々。
結局、結論は出ていないものの、実際にかなりの効果があるようですから、一度お試し頂きたく。
◆ところで、本書に収録されたTIPSの中で、どれが実践しやすいかと言ったら、やはり「机上でできる」第2章のものでしょう。
逆に第4章では「相手」が必要となるので、自分一人では難しいかと。
それでもグローバルな人材、さらには「3.0」な思考法を身につけるには、コミュニケーションも必須です。
とりあえず私は、人前で話す機会を作ることが先決なのですがw
これからの世界で生き抜くために!
「世界水準」の思考法
はじめに
第1章 日本人が生き抜くための「3.0」の思考とは
2章 「アウトライン思考」で問題を解決する 〜書きながらデザインを考える〜
3章 「自分最適」で仕事をデザインする 〜体を使って、考えが「湧く」状態を作る〜
4章 「話す」思考パワー 〜他人の頭で考えを深める〜
【関連記事】
【グローバル】『「世界標準」の仕事術』に学ぶリーダーシップのルール7選(2011年09月29日)【オススメ】『世界で稼ぐ人中国に使われる人日本でくすぶる人』キャメル・ヤマモト(2011年02月26日)
【クリロジ思考?】『論理的なのに、できない人の法則』高橋 誠,岩田 徹(2012年07月18日)
【オススメ!】『武器としての交渉思考』瀧本哲史(2012年06月26日)
【世界レベル?】『突き抜ける人材』波頭 亮,茂木 健一郎(2012年01月23日)
【編集後記】
◆人気ブロガー、ぐっちーさんが、初の著作を出されるようです。なぜ日本経済は世界最強と言われるのか
早くもアマゾンランキングにも入ってきていますし、これは要チェックですね!
ご声援ありがとうございました!
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