2012年08月29日
【56の心得】『会話は「聞く」からはじめなさい』上阪 徹
会話は「聞く」からはじめなさい
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、『書いて生きていく プロ文章論』等で知られる上阪 徹さんのコミュニケーション本。上阪さんは、ライターとしての経歴上、「書くこと」のプロなのですが、同時に、3000人を超えるインタビューを行っている「聞くこと」の専門家でもありました。
そこで本書では、上阪さんの「聞く技術」にフォーカス。
ビジネスにもプライベートでもにも応用できる「56の心得」を伝授してくれています。
「聞き上手」になりたい方なら要チェックです!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.相手の真正面は避ける人は真正面に相手がいるとき、じつは最も距離感を意識します。だから、真正面からわずかでもいいのでズレる。相手から、わずかでも斜めの位置に自分の身を置くのです。
インタビューでも、座るときにできるだけ真正面は避けます。ほんのわずか角度をずらすだけでも、印象はまるで変わります。それだけで、相手が感じる距離感はまるで違ったものになります(私自身か感じる距離感も、です)。
■2.質問項目を整理する
できるだけスムーズに質問と回答が流れていくように、私はいつも質問項目を整理します。相手が話しやすい順番を考えるのです。
これは営業や打ち合わせでも使える手法だと思います。事前に聞きたいことをリストアップしておいて、聞く順番を考えておく。メモしておく。これだけで、聞かれる側の話しやすさも印象もまるで違ってきます。そしてもちろん、打ち合わせ中に、聞くことがなくなって困る、なんてこともなくなる、ということです。
■3.ツッコミで相手のタイプを見極める
これは、あるテレビのプロデューサーの方に教わったのですが、"ツッコミ"を入れられるのが好きか、それとも嫌いか、人は必ずどちらかに分かれる、というのです。
それは意外にも、話し姶めてすぐにわかるものです。"ツッコミ"を入れられるのか好きな人は、どんどん話しかけていけばいい。逆に"ツッコミ"を入れられるのか嫌いな人には、間の抜けた質問や合いの手を連発するのは厳禁。ある程度、話したいだけ話させてあげたほうがいい、というわけです。
■4.意識的な相づちを打つ
話にしっかり耳を傾けて、自分の思いを相づちやうなずきで表せばいい。大きく賛同すれば、大きく相づちを打てばいいし、嘆かわしいと思えば、嘆かわしいといううなずきをする。それを少し意識してやってみる。そうするだけで、あまり普通はお目にかかれないような、意識的な相づちになります。(中略)
お客さまが話をしているときに、大きくうなずきながら相手の顔を見ていれば、「お、コイツはちゃんと話を聞いてくれているな」ということに間違いなくなると思うのです。ほんのわずかなことで、印象は大きく変わります。プライべートの場でも同じです。
■5.誰かをダシにして聞く
たとえば、次のような聞き方です。
「読者はきっと、こんなことを聞いてみたいと思っているはずです」
「編集長から、こんなことを聞いて来いと言われました」(中略)
不思議なのですが、自分で聞きにくいことも、誰かの名前を借りて聞く、という形を取ると自然に聞けてしまう。しかも、聞かれている本当の相手がその場にいないからか、話すほうもリラックスして話ができるようでした。
以来、私はインタビューで積極的に他の人をダシに使わせてもらうことにしました。
■6.答えてもらったらリアクションする
これも、聞かれて話す相手の立場に立ってみればわかることかもしれませんが、答えに対してどんな反応を持たれるかを、話し手はかなり気にしている、ということが、聞く側には意外に理解されていません。(中略)
もしかすると、聞く側にはまったく悪意はなかったのかもしれません。しかし、問いかけをして返ってきた答えにちゃんと反応できなければ、それは、話す側にとっては悲しいことです。聞かれて答えた側からすれば、答えたことに対して、何らかのリアクションか欲しいはずなのです。
■7.自分の話をした上で質問する
ストレートに質問をするよりも、自分の個人的な話を出して、その上で質問をしたほうが相手に質問の本質が伝わることもときどきあるのです。
「私自身、会社員時代にこんな経験があったんですが、どういうところに問題があったんでしょうか」(中略)
自分のことを話してから、質問につなげていく。ストレートに質問を送り出すのとは、また違った答えが導き出せる手法です。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、上阪さんと言えば、ライティングのプロだと私は思っていました。実際、当ブログでもこの2冊をご紹介しておりますし。
文章は「書く前」に8割決まる
参考記事:【実践的】『文章は「書く前」に8割決まる』上阪 徹(2011年09月26日)
書いて生きていく プロ文章論
参考記事:【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)
しかし上阪さん曰く、「原稿のクオリティ」で考えるならば、「文章の巧拙よりも、書いてある内容、獲得してくる情報の方が重要である」と。
ゆえにご自身についても、「書くこと」ではなく「聞くこと」で食べているのではないか、とまで言われています。
◆そんな上阪さんが、経営者からスポーツ選手、ジャーナリスト、さらには一般の会社員や主婦の方に至るまで、「3000人を超える人々」にインタビューした経験から導き出したのが、本書収録の「56の心得」。
それらが下記目次の通り、6つの章にて展開されています(アマゾンの目次ページには56項目掲載済み)。
第1章は『「聞く」の効用』ということで、この辺は当ブログでコミュニケーション関係の記事をお読みの方なら、既にご存知かと。
続く第2章ではテクニカルな内容が多かったので、上記ポイントでもいくつかご紹介しております。
特に2番目の「質問項目を整理する」に関しては、後半で別途カテゴリーにまとめて、「小質問」と「大質問」分けることを推奨されていましたが、ここでは割愛(詳細は本書にて)。
いずれにせよ、インタビューにせよ質問にせよ、手ぶらで聞くのではなく、当たり前ですが、事前準備が大切なようですね。
◆一方第3章は「ピンチのときの会話法」。
「反論屋や無口なひとには、どう聞くか」「聞きたくない話、ネガティブな話をされたらどう対応するか」ほか、イレギュラーな状況等を想定した会話術について語られています。
「怖そうな人が実は優しかった」といったケースもあるようですが、苦手な人がいらっしゃる方なら、目を通しておくと良いのではないか、と。
また、第4章は『「聞く」「話す」のNG』に関してで、「自分は大丈夫」と思われている方も、やはり要チェックです。
たとえば「共通の話題がないとき」には、自分なりの「キラー・クエスチョン」を用意せよ、と。
キラークエスチョン (光文社新書)
参考記事:【これは使える!】「キラークエスチョン」山田玲司(2009年08月19日)
そう言えば、こちらの本の山田玲司さんも、インタビューのプロでした。
◆第5章もスキルフルなお話が多いので、やはり上記ポイントで多めにご紹介させてもらいました。
特に「誰かをダシにして聞く」というのは、個人的にも真似てみたいところです。
逆に、自分の言いたいことを誰かをダシにして言わせる、というやり方もあるみたいですけどね(他人事w)。
引用量の都合で第6章は割愛してしまいましたが、中にあった「異世代とのコミュニケーションを意識的に取る」というお話は、大変興味深かったです。
ひょっとしたら「コミュ強」というのは、こういうバックボーンがあるのかもしれませぬ(詳細は本書を)。
聞き上手を目指す方なら必読!
会話は「聞く」からはじめなさい
第1章 聞いてくれる人は、なぜ信頼されるのか
第2章 「思わず話してしまう人」は何が違うのか
第3章 苦手な人と、どうコミュニケーションするか
第4章 続かない会話を引き起こすタブー
第5章 コミュニケーションのステージを上げるために
第6章 日頃の行動が「聞く力」を高める
【関連記事】
【実践的】『文章は「書く前」に8割決まる』上阪 徹(2011年09月26日)【文章心得】『書いて生きていく プロ文章論』に学ぶ7つの心得(2010年12月05日)
【オーラル・ヒストリー】『「質問力」の教科書』御厨 貴(2011年03月31日)
【質問力】「脳を丸裸にする質問力」増田剛己(2010年05月12日)
【これは使える!】「“聞き上手”の法則―人間関係を良くする15のコツ」澤村直樹(2010年01月23日)
【編集後記】
◆その上阪さんの新刊がこちら。リブセンス<生きる意味> 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事
きっとこの本でも、上阪さんの「聞く技術」が発揮されていることかと。
ご声援ありがとうございました!
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