2012年08月19日
【100%の反応率?】『12人の漁師たちを優秀なマーケターにする方法』ジョー・ヴィタリー
12人の漁師たちを優秀なマーケターにする方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、かなり真っ当なマーケティング本。タイトルからは分かりにくいのですが(原著でもあえてそうしているそう)、伝説的なマーケター、ブルース・バートンの広告・PRの秘密を解き明かした1冊です。
一方、著者であるジョー・ヴィタリーは、あの『ザ・シークレット』にも登場しているというコンサルタント&マーケター。
とはいえ本書は、スピリチュアル関係ない、現代でも通用する「ガチ」なマーケ本ですのでご安心をw
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
■1.ビジネスの新しい面を人々に見せるU.S.S. NEW YORK (LOC) / The Library of Congress
バートンは、ビジネスが国家と世界の成長と繁栄に貢献できるということを信じていた。
彼と同僚のロイ・ダースティンが、顧客であったUSスティールを1935年に訪問したときに、バートンらは歴史的な宣伝文句をひねり出した。アンドリュー・カーネギーは木で作られた家々が立ち並ぶこの国にやってきて、それを鉄の国家へと作り上げた。この広告は戦略的だ。なぜならこれを聞いた人の意識を変えることになったのだから。
人々は「鋼鉄」という製品を購入するのではない。人々は鋼鉄を購入するという行為によって国家の繁栄に貢献する、という意識を新たに持つようになったのだ。
■2.感情移入しやすい歴史上の人物を使う
バートンはその広告にしばしば大衆の感情に訴えかけるアーキタイプ(象徴的な人物)を使ったことでも知られている。
彼が即興で書いたといわれる有名な広告では、マリー・アントワネットがギロチン台へと送られる風景が象徴的に使われている。
偉人や、このアントワネットの例で見られるように、人々が感情移入しやすい歴史上の人物を使うことでバートンは聴衆の感情に深く訴えていたのだ。
ハーバード・クラシックスより出版されているドクター・エリオット著『5フィートの書棚』によると、先のアントワネットの広告は同じ製品を扱った一連の広告群の1つだったが、他の広告の8倍(!)の訴求力があったといわれている。
■3.寓話とともに語る
私があなたに「この靴はとても履き心地が良くて足にぴったりとフィットするんですよ」といきなり言っても、あなたは苦笑いを浮かべて歩き去っていくのがオチだろう。
だがそうではなく、たとえば、
「私は外反母趾でとても苦しんでいました。夜べッドで寝ていても痛くて泣いていたんですよ。でもある日、よい靴を見つけたんです。それを履いたらとてもソフトでしっくりして痛みが治まったんです」
と語り出したらあなたは興味を持って耳を傾けてくれることだろう。
これこそがストーリーの力だ。
■4.侮辱することなく挑発する
Loki stirred up on the cat tree / jon_a_ross
バートンは読者を侮辱することなしに、彼らをうまく挑発している。そしてこのさじ加減は案外難しいところだ。
たとえば、「このオファーを断るのはどうかしている」なんて広告があれば、それはこのオファーは断ってくれ、と言っているようなものだ。
しかし、「熱心に夢を追いかけている方だけにこのオファーを提供したい」と書いてあれぱ、その広告が気になってくるはずだ。なぜなら、この広告は巧妙に「あなたは熱心に夢を追いかけているのか」を問いかけているから。
■5.自分が信ずるものを語る
"If you believe in fairies ..." / JD Hancock
18冊以上のビジネス書の著者である名コピーライターのボブ・ブライは、『コピーライターズ・ハンドブック』という本の中で言っている。
「自分が信じる商品であれば、誠実で、有益で、役立つセールスコピーを書くのが簡単にできる。あなたの誠実さは不思議とそれを読んでいる人に伝わるものだ」
ジェイ・アブラハム。彼は1時間3000ドル以上のコンサルタント・フィーを取るマーケティングの天才だ。彼はこう言った。
「君は大体自分の商品を信じているんだろうか? 商品はまず君がそ今の価値を認めて、そのあとで目の前にいるお客に伝わるものだ。情熱は伝染するものだからだ」
そしてブルース・バートン。
自分が扱っている商品やプロジェクトへの真摯な態度のおかげもあり、彼の手掛けたマーケティング・キャンぺーンは幾つかの際立った実績を作った。
【感想】
◆正直、本書を読むまで、"ブルース・バートン"という人物を全く存じなかったのですが、あの『ザ・コピーライティング』のジョン・ケープルズがかつてバートンの下で働いていたことがある、と知って、只者ではない、と思ったワタクシ。ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
参考記事:【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
本書の訳者あとがきによると、バートンは「多くのベストセラーの著者」であり、「全国紙に掲載されるコラムを執筆していたオピニオンリーダー」であり、「いまなお現存する大きな広告会社の元社長」であり、「何人もの共和党出身の大統領の誕生に関わったPRマン」であり、「自身も大統領選に出馬した有力候補」だったのだそう(一部割愛)。
そんな人物なワケですから、なるほど本書で紹介されている手法もガチなワケです罠。
◆実際、上記で挙げたポイントも、いくつかは類書で目にしたことがあるもの。
私の場合、比較的最近(ここ6〜7年)ビジネス書を読み始めたもので、むしろバートンが「元ネタの元ネタ」あたりになっております。
ただし、バートン自身はその手法について本にまとめておらず、これらは全て著者のヴィタリーが、バートンの本や手紙、広告から導き出したもの。
ヴィタリー曰く、本書の内容は
ブルース・バートンがその生涯で時に意識的に、そして時には無意識的に活用していたものとのことでした。
◆なお、上記ポイントの5番目の最後の部分で、バートンのキャンペーンは「幾つかの際立った実績を作った」とありますが、本書ではそれに続いて、具体例が挙げられています。
その中の1つが「ベレア大学への献金要請をするための手紙」。
これは、24人に送付され、当時のお金で1人1000ドルを要請し、その全員が応じたという「反応率100%」の傑作レターです。
本書の5章では、その全文を収録。
果たして、この手紙の秘密とは!?
……と盛り上げておきながら、第5章では特に解説もなく終わってしまうのですが、実は第7章の後に「Special Repot」と題して、50ページ超にわたり、この手紙の各フレーズごとの解説がありますのでご安心をw
というか、本書の一番の読みどころはこの「Special Repot」部分かもしれません。
◆ちなみに、本書のタイトルは、原題(『The Seven Lost Secrets of Success』)とも大きく違うもの。
アマゾンの内容紹介でも匂わせていますが、どうもバートン自身が書いた別の本のテーマから引っ張ってきているようです(これ以上はネタバレ自重)。
確かにこのタイトルは、書店やネットで読者の目を引く効果はあるかもしれませんが、著者のヴィタリーはもちろん、バートンにとっても本意ではないような。
冒頭で触れたように、真っ当な内容なのに、変なところで叩かれないか不安ではあります……。
「温故知新」で結果を出すべし!
12人の漁師たちを優秀なマーケターにする方法
はじめに――私はいかにして失われし成功の秘訣を見いだしたか
Prologue なぜどんな人であっても宣伝することが必要なのか
Secret #1: 汝のビジネスの新しい面を人々に見せよ
Secret #2: 業界の「神」になれ
Secret #3: 寓話と共に語れ
Secret #4: 彼らに挑みかかれ
Secret #5: 信なくば語るなかれ
Secret #6: 汝自身を与えよ
Secret #7: 汝の武器を磨きつづけよ
Special Repot: 奇跡を生んだ手紙の秘密を探る
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【必読】『ビジネスで一番、大切なこと』ヤンミ・ムン(2010年09月12日)
【名著!】「売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則」アル・ライ, ジャック・トラウト(2008年04月08日)
「10倍売る人の文章術」ジョセフ・シュガーマン(著)金森重樹(監訳)(2006年05月08日)
【編集後記】
◆上記ポイントの5番目に出てきたロバート(ボブ)・ブライの名著がこちら。セールスライティング・ハンドブック 「売れる」コピーの書き方から仕事のとり方まで
参考記事:【スゴ本】『セールスライティング・ハンドブック 「売れる」コピーの書き方から仕事のとり方まで』ロバート・W・ブライ(著),鬼塚俊宏(監修)(2011年04月10日)
これは、ホントいい本だと思います!
ご声援ありがとうございました!
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